入れ歯を使用している方のなかには、口内炎に悩まされる方も少なくありません。そのため、入れ歯と口内炎の関係性について疑問を持たれている方も少なくないのではないでしょうか。この記事では、入れ歯が原因で起こる口内炎の仕組みや対策方法について詳しく解説します。入れ歯を快適に使用し、健康的な口腔環境を維持するためのポイントをお伝えしていきます。
入れ歯治療について
入れ歯治療は、失った歯の機能を回復させることができる治療法です。ここでは、入れ歯の種類や治療の流れ、そのメリットとデメリットについて詳しく解説していきます。
- 入れ歯の種類について教えてください。
- 入れ歯は、素材や製作方法によって主に4つの種類があります。
1.レジン(プラスチック)の入れ歯
保険適用で作れる一般的な入れ歯です。安価ですが、厚みがあり、装着時の違和感が大きい場合があります。2.金属床の入れ歯
土台に金属を使用しているため、薄くて丈夫で、熱が伝わりやすいのが特徴です。保険適用外のため費用は高くなりますが、快適な装着感が得られます。3.シリコンの入れ歯
歯茎に当たる部分がシリコンでできているため、やわらかい装着感が特徴です。しかし、耐久性が低く、変形しやすいというデメリットもあります。4.オーダーメイドの入れ歯
一人ひとりのお口の形や噛み合わせに合わせて作られるため、フィット感が高く、快適に使用できます。しかし、費用は高額になります。
- 入れ歯治療の流れについて教えてください。
- 入れ歯治療は、口腔内の状態に合わせて段階的に進めていきます。まず、歯科医が口腔内の診察とレントゲン撮影などの検査を行い、残存歯や顎骨の状態を確認します。次に、口腔内の型取りを行い、その石膏模型をもとに歯科技工士が入れ歯を作製します。そして作製された入れ歯は、患者さんの口腔内で試着し、フィット感や噛み合わせを確認して調整し、入れ歯の装着方法や手入れについて説明を受けます。また、治療後も定期的な調整や検診を行います。
- 入れ歯治療のメリットについて教えてください。
- 入れ歯治療のメリットは、まず失った歯の機能回復が挙げられます。これにより、食事をしっかり噛めるようになるほか、発音がクリアになり、コミュニケーションもスムーズになります。また、見た目の面でも効果があり、顔の形を保つことで若々しい印象を維持できます。さらに、入れ歯は残存歯を保護する役割も果たします。抜けた部分に入れ歯を入れることで、残った歯への負担を分散させ、健康な歯を長く保てます。また、保険適用の治療もあり、ほかの治療と比べて経済的負担を軽減できることも大きなメリットです。
- 入れ歯治療のデメリットについて教えてください。
- 入れ歯治療にはいくつかのデメリットがあります。装着当初は違和感や話しづらさを感じることがあります。しかし、ほとんどの場合時間とともに改善します。また、自身の歯程強く噛めないため、硬い食べ物を食べにくいと感じたり、食べられないといった可能性があります。また、毎日のケアが必要で、これを怠ると口臭や歯周病のリスクが高まります。これらのデメリットは、適切なケアを行うことで軽減できることが少なくありません。歯科医と相談して、より自分に合った対処法を見つけるようにしましょう。
入れ歯と口内炎の関係性
入れ歯を使用していると、口内炎に悩まされることがあります。しかし、なぜ入れ歯が口内炎を引き起こすのでしょうか。ここでは、口内炎の症状や入れ歯との関連性について詳しく解説します。
- 口内炎はどのような症状ですか?
- 口内炎は、口のなかに発生する炎症性の小さな潰瘍で、ほとんどの方が経験する一般的な症状です。通常、軽い痛みや違和感から始まり、その後、赤い斑点や白い斑点が現れます。進行すると、表面が白っぽい浅い潰瘍となり、周囲が赤く縁取られます。大きさは通常2〜8mm程度で、1つまたは複数発生することがあります。症状が進むと強い痛みを感じ、食事や会話に支障をきたすこともありますが、おおよそ1〜2週間程度で自然に治ります。しかし、大きな口内炎や複数の口内炎ができた場合は、治癒に時間がかかることもあります。深刻な病気ではありませんが、日常生活に影響を与えることもあるため適切なケアを行い症状を悪化させないようにしましょう。
- 入れ歯が原因で口内炎ができることはありますか?
- 入れ歯が原因で口内炎ができてしまうことがありますが、その原因として、入れ歯のフィット感が悪いということが挙げられます。これにより口の中の粘膜が入れ歯に圧迫されたり、擦れるなどして、口腔粘膜を傷つけることがあります。またケアをしっかりしていないために細菌が繁殖したり、入れ歯の材料が合わずアレルギー反応が起こり口内炎を引き起こすこともあります。違和感や痛みを感じたら、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。
- 口内炎ができやすい場所があれば教えてください
- 口内炎ができやすい主な場所は以下のとおりです
・頬の内側
食事中に傷つきやすく、ストレス時に噛んでしまうこともあります。・舌の側面や下部
入れ歯との摩擦が生じやすい部分です。・唇の内側
特に下唇は歯や入れ歯で噛みやすいです。・歯茎と頬の境目
入れ歯の縁があたりやすい部分です。・口蓋(上顎)
総入れ歯を使っている方は特に注意が必要です。これらの部位に違和感や痛みを感じたら、早めに確認や相談をすることをおすすめします。
入れ歯による口内炎の予防方法と対処方法
口内炎は適切なケアを行うことで、防ぐことができます。ここでは、入れ歯による口内炎を予防する方法と、もし口内炎ができてしまった場合の対処法について詳しく解説します。
- 入れ歯による口内炎を予防する方法は何がありますか?
- 入れ歯による口内炎を予防するには、まず、入れ歯の清掃を毎日丁寧に行うことが大切です。食後に入れ歯を外し、専用のブラシで優しく磨くようにしましょう。このとき、入れ歯用の洗浄剤を使うようにするのも効果的です。 また、定期的な歯科検診もおすすめです。入れ歯のフィット感は変化するため、半年に1回程度の調整が必要です。違和感があればすぐに主治医に相談するようにしましょう。また、夜間は入れ歯を外して水に浸けて保管し、口腔粘膜を休ませたり、食事はゆっくりよく噛み、バランスのよい食事でビタミン摂取を心がけることもよいでしょう。これらの予防法を実践することで、口内炎のリスクを減らすことができます。
- 入れ歯が原因で口内炎ができたときの対処方法を教えてください。
- 痛みや違和感を感じたら、まず、早めに歯科医院を受診するようにしましょう。また、応急処置として、入れ歯の使用を一時的に控えることが効果的ですが、長期間の不使用は避けてください。ほかには、症状を和らげるために、市販の口内炎用軟膏や塗り薬も役立ちます。ただし、使用前には主治医に相談することをおすすめします。また、頻繁なうがい、特に、塩水でのうがいは口内を清潔に保ち、痛みを軽減する効果があります。食事では刺激物を避け、やわらかい食べ物を選ぶように心がけたり、十分な水分摂取を行うことも効果的です。さらに、ストレス管理や十分な睡眠も回復を促進します。こういった方法を組み合わせることで、口内炎の早期回復が期待できそうです。
編集部まとめ
入れ歯による口内炎は、適切なケアと注意で予防することができます。定期的な歯科検診、日々の丁寧な入れ歯の清掃、そして自身の口腔内の変化に気をつけるようにしましょう。もし口内炎ができてしまった場合には、早めに歯科医への相談し、適切な処置を受けましょう。
参考文献