歯の健康を保つためには、歯医者のなかでも一般歯科と矯正歯科の違いを理解することが重要です。
一般歯科では、むし歯治療や歯周病の予防を行いますが、矯正歯科は主に歯並びや噛み合わせの歯科矯正を専門としています。
本記事では、歯医者のなかで一般歯科と矯正歯科の違いについて以下の点を中心にご紹介します。
- 歯医者のうち一般歯科と矯正歯科の違い
- 一般歯科での歯列矯正のメリット
- 矯正歯科での歯列矯正のメリット
歯医者を受診する際に一般歯科と矯正歯科の違いについて理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
歯医者のなかで一般歯科と矯正歯科の違い
歯医者のなかでも、一般歯科と矯正歯科は、それぞれ異なる役割を担っています。 以下で詳しく解説します。
一般歯科
一般歯科はむし歯や歯周病の治療、予防治療、入れ歯の作製など、歯の健康を維持するための基本的な治療を提供します。
歯科医院で提供される治療は、保険が適用されるものが多く、定期的な検診やクリーニング、予防治療も行います。
歯に痛みを感じたり、違和感があったりする場合、まずは一般歯科を訪れることが推奨されます。
ここでの治療は、歯の健康を維持し、口腔内全体の衛生状態を良好に保つことを目的としています。
矯正歯科
矯正歯科は、歯並びや噛み合わせの改善を専門とする診療科で、見た目と機能の両方を改善します。
歯列矯正治療には、ワイヤー矯正やマウスピース型矯正などさまざまな方法があります。
矯正歯科では、これらの治療法に特化した専門的な知識と技術を持つ医師が常勤しており、特定の装置や設備を使って診療を行います。
一般歯科とは異なり、矯正歯科では、長期間にわたる計画的な治療が必要となるため、定期的な通院が重要です。
歯列矯正によって見た目の美しさだけでなく、正しい噛み合わせの実現で、全身の健康にもよい影響を与えます。
一般歯科でも簡単な歯列矯正治療が行われることがありますが、複雑な治療や技術が必要な場合など専門的な知識が必要となります。
そのため歯列矯正治療は矯正歯科への受診が推奨され、さらに日本矯正歯科学会認定医以上の医師から診察を受けられる矯正歯科が推奨されています。
また、日本矯正歯科学会認定医以上の医師の場合、歯科矯正装置のトラブルへの迅速な対応や、難しい症例にも適切に対応できる可能性が高いとされています。
一般歯科での歯列矯正治療のメリット
一般歯科で受ける歯列矯正治療にはどのようなメリットがあるのでしょうか? 以下で詳しく解説します。
かかりつけ医に診てもらえる
一般歯科で歯列矯正治療を受ける一つの大きなメリットは、かかりつけの歯科医院で治療を継続できることです。
普段から通い慣れている歯科医院であれば、院内の雰囲気やスタッフに対する信頼感もあり、リラックスして治療を受けられます。
また、かかりつけ医は患者さんの口腔内の状態を詳細に把握しているため、適切な治療の提案が可能とされています。
信頼関係が築かれていることで、治療に対する不安やストレスの軽減も期待できます。
むし歯などにも対応
一般歯科で歯列矯正治療を行うもう一つのメリットは、歯列矯正治療中に発生するむし歯や歯周病などのトラブルにも同一の医院で対応できる点です。
矯正器具を装着している期間は、むし歯や歯周病のリスクが高まるため、定期的なチェックとケアが必要です。
一般歯科であれば、歯列矯正治療中にむし歯や歯周病が見つかっても、その場で治療ができるため、時間やコストの無駄を省けます。
また、歯列矯正治療と同時にほかの歯の問題も一貫して管理してもらえるため、口腔全体の健康を維持しやすくなります。
一般歯科での歯列矯正治療には、かかりつけ医による安心感や、むし歯などのトラブルにも対応できる利便性があります。
定期的なケアとサポートを受けながら、総合的な治療計画を立てることで、効果的かつ効率的な歯列矯正治療が可能とされています。
一般歯科での歯列矯正治療のデメリット
一般歯科での歯列矯正治療には、専門的なクリニックに比べていくつかのデメリットがあります。 具体的な内容について以下で詳しく解説します。
矯正専門医が常勤していない
一般歯科で歯列矯正治療を受ける場合、歯列矯正専門医が常勤していないことが多いと言われています。
月に数回だけ訪れる歯列矯正専門医が治療を担当する場合があり、そのため緊急の対応が難しくなります。
装置が外れたり、急な痛みが生じたりした場合でも、すぐに治療を受けられない可能性があります。
このような状況では、治療の進行が遅れることもあります。
専門的な技術や設備の不足
一般歯科では、歯列矯正専門のクリニックに比べて設備や技術が不足している場合があります。
歯列矯正治療には技術と専用の設備が必要ですが、一般歯科ではこれらが十分に整っていないことがあります。
その結果、治療の精度や効果が歯列矯正専門クリニックに比べて劣る場合があります。 また、一般歯科医が歯列矯正治療の専門的な研修を受けていないこともあり、治療の質にばらつきが出ることもあります。
通院スケジュールの制約
歯列矯正専門医が常勤していない一般歯科では、歯列矯正治療の通院スケジュールが制約されることがあります。
月に数回しか治療が行われないため、患者さんの都合に併せて通院日を調整するのが難しくなります。
このため、仕事や学校のスケジュールに併せて治療を受けることが難しく、治療の継続が困難になる場合があります。
待ち時間の長さ
一般歯科での歯列矯正治療では、矯正診療日に患者さんが集中するため、待ち時間が長くなることがよくあります。
歯列矯正治療を受ける患者さんが一日に多数訪れることから、一人ひとりの治療に時間がかかり、結果として待ち時間が長くなることが多いようです。
待ち時間の長さにより、患者さんにとっては通院がストレスとなる場合があります。
治療の一貫性の欠如
一般歯科での歯列矯正治療は、矯正専門医が非常勤であるため、治療の一貫性が欠けることがあります。
同じ医師が継続して治療を行うわけではないため、治療方針や方法が一貫しないことがあります。
これにより、治療の効果が発揮されない可能性があり、患者さんにとっては不満や不安を感じる原因となります。
包括的なケアの不足
歯列矯正専門クリニックでは、歯列矯正治療に特化した包括的なケアが提供されますが、一般歯科ではこれが難しい場合があります。
歯列矯正治療中の口腔内のトラブルやケアに対して、専門的な対応ができないことが多く、患者さんにとっては不十分なケアとなることがあります。
また、歯列矯正治療に伴う口腔内の変化に対する適切なアドバイスが受けられないこともあります。
矯正歯科での歯列矯正治療のメリット
矯正歯科で受ける歯列矯正治療にはどのようなメリットがあるのでしょうか。 以下で詳しく解説します。
歯列矯正専門の医師が常勤している場合がある
矯正歯科では、歯列矯正治療に特化した専門医が常勤していることが多く、患者さんはより安心して治療を受けられるとされています。
専門医が常に在籍しているため、治療の継続性が高く、装置のトラブルや急な対応が必要な場合でも迅速に対応できるのが利点です。
また、治療計画の変更や細かな調整が必要な際にも、常に専門医の判断を仰げるため、治療がスムーズに進行します。
治療期間が短い可能性がある
矯正歯科では、新しい技術と設備を駆使して治療が行われるため、治療期間が短縮される可能性があります。
専門医は豊富な経験と技術を持っているため、効率的に治療を進められます。
例えば、セファロレントゲンやデジタルスキャナーなどの検査機器の使用で、正確な診断と治療計画が立てられ、結果として治療期間の短縮が期待できます。
治療の範囲が広い
矯正歯科では、軽度から重度まで幅広い症例に対応できます。
一般歯科では対応が難しい複雑な歯列矯正治療や特殊な症例にも、矯正歯科の専門医の対応が可能とされています。
また、固定式や取り外し式の装置、非抜歯矯正や目立ちにくい装置など、さまざまな治療法を提供することで、患者さん一人ひとりに適切な治療プランを提案できます。
これにより、患者さんの希望や生活スタイルに合わせた柔軟な治療が可能となります。
矯正歯科での歯列矯正治療のデメリット
矯正歯科での歯列矯正治療には、メリットがある一方でデメリットも存在します。 以下で詳しく解説します。
歯列矯正以外の治療が受けにくい
矯正歯科は歯列矯正治療に特化しているため、むし歯や歯周病の治療、定期的なクリーニングなど、歯科治療を同時に受けることが難しい場合があります。
患者さんは歯列矯正治療を受けながら、ほかの歯科治療のために別の一般歯科に通院する必要があることがあります。
このため、複数の歯科医院を訪れる手間や時間が増えることがデメリットといえるでしょう。
費用が高い場合がある
矯正歯科での治療は、技術と専門的な設備を用いるため、費用が高額になることがあります。
歯列矯正治療は保険が適用されない自由診療であるため、治療費は全額自己負担となります。
なかでも、インビザラインなどの先進的な矯正装置を使用する場合、その費用はさらに高額になる傾向があります。
支払い方法や費用は事前に確認しておくことが重要です。
通院頻度が高い
矯正歯科では、治療の進行に併せて頻繁に通院する必要があります。
矯正装置の調整やトラブルの対応など、定期的な診察が求められます。
通院が必要な頻度は患者さんの症例によって異なりますが、忙しいスケジュールを持つ方にとっては、頻繁な通院が負担になることがあります。
また、通院の際には予約が必要であり、時間の調整が難しい場合もあります。
初診のハードルが高い
矯正歯科は一般歯科に比べて専門的な診療科であるため、初めて訪れる際に敷居が高いと感じる方もいるかもしれません。
初診では精密な検査や詳細なカウンセリングが行われるため、初回の診察には時間がかかることがあります。
また、歯列矯正治療に関する知識が少ない患者さんにとって、専門用語や治療内容を理解するのが難しい場合もあります。
トラブル対応が必要
歯列矯正治療中に装置が外れたり、痛みや不快感が生じたりすることがあります。
これらのトラブルに対して迅速に対応する必要があり、場合によっては緊急で診察を受けることが求められます。
矯正歯科が常勤で対応できる場合は問題ありませんが、そうでない場合は対応が遅れることも考えられます。
矯正歯科での歯列矯正治療にはメリットがありますが、上記のようなデメリットも存在します。
治療を受ける前に、これらの点を十分に理解し、自身に合った治療方法や通院計画を立てることが大切です。
信頼できる歯科医院の選び方
安心して治療を受けるためには、信頼できる歯科医院を選ぶことがとても重要です。
歯科医院を選ぶ際にどのようなポイントを重視すべきなのか、以下で解説します。
費用の明細が明確な医院を選ぶ
歯科治療は歯列矯正治療の場合、保険適用外の自由診療となることが多いため、費用が高額になることがあります。
そのため、治療費の明細が明確で、詳細な内訳を提示してくれる歯科医院を選ぶことが重要です。
事前に治療費の総額や支払い方法、追加費用の有無などを確認し、不明な点は遠慮せずに質問しましょう。
通いやすい医院を選ぶ
治療を継続するには、通いやすさも重要なポイントです。
歯科医院が自宅や職場から近い場所にあるか、公共交通機関や車でのアクセスが良好かを確認しましょう。
駅から近い場所や駐車場がある歯科医院は、通院の負担が少なくなります。
また、診療時間が仕事や学校のスケジュールに合わせやすいかどうかも重要です。
柔軟な診療時間を提供している歯科医院を選ぶことで、治療を継続しやすくなります。
丁寧なカウンセリングがある医院を選ぶ
治療前にしっかりとしたカウンセリングを行い、患者さんの悩みや希望を丁寧に聞いてくれる歯科医院を選びましょう。
カウンセリングでは、治療の流れや期間、使用する装置の種類、費用について詳しく説明してもらえるか確認します。
そうすることで、納得のいく説明を受けたうえで治療を始められます。
疑問点や不安を解消するために、親身になって対応してくれる歯科医院を選ぶことはとても重要です。
まとめ
ここまで歯医者のなかで一般歯科と矯正歯科の違いについてお伝えしてきました。 一般歯科と矯正歯科の違いの要点をまとめると以下のとおりです。
- 一般歯科と矯正歯科の違いとして、一般歯科はむし歯や歯周病の治療、予防ケア、入れ歯の作製など、歯の健康を維持するための基本的な治療を行なうのに対し、矯正歯科は歯並びや噛み合わせの問題を専門的に治療し、見た目と機能の両方を改善するための治療を行なう
- 一般歯科での歯列矯正のメリットは、かかりつけの歯医者で治療を継続でき、歯列矯正治療中に発生するむし歯や歯周病などのトラブルにも対応できる点がある
- 矯正歯科での歯列矯正のメリットは、歯列矯正治療に特化した専門医が常勤している場合が多い点、新しい技術と設備を駆使して治療が行われるため、治療期間が短縮される可能性がある点などがあげられる
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。