セラミックとジルコニアを選ぶ際、どのような違いがあるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
本記事では、セラミックとジルコニアの違いについて、以下の点を中心にご紹介します。
- セラミックとジルコニアとは
- セラミックとジルコニアの寿命の違い
- セラミックとジルコニアはどちらを選ぶべき
セラミックとジルコニアについて理解するためにも、ご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
セラミックとは
セラミックは歯科分野で広く用いられる素材で、特にその美観から、前歯の補綴物や見た目を重視する治療に用いられることが多いとされています。この素材の魅力は、自然な歯に近い審美性が期待できることです。セラミックは光を自然歯と同様に透過し、色の深みや透明感を実現できるため、笑ったときに自然な印象を与えることが期待できます。
しかし、セラミックの使用には技術が要求される点も重要です。素材の性質上、割れやすさがあり、特に咬合力が強い箇所には適さないことがあります。そのため、適切な場所に適切なタイプのセラミックを選ぶ必要があり、これには詳細な診断と精密な治療計画が不可欠とされています。
ジルコニアとは
ジルコニアは歯科分野でその強度と審美性から、歯の補綴物に使用され、その堅牢性から奥歯の被せ物やブリッジにもおすすめされています。ジルコニアは、高い耐久性が期待でき、噛む力が強い箇所でも長期間にわたって安定した性能を保ちやすいとされています。
加えて、ジルコニアは見た目も自然で、周囲の歯と調和しやすいとされています。透明感こそセラミックに劣るものの、自然な白さを期待できるといわれています。なかでも金属アレルギーの心配がある方にとって、金属を含まないジルコニアは使用しやすい選択肢の1つとされています。
セラミックのメリット・デメリット
セラミックを使用したい場合、メリットとデメリットにはどのようなものがあげられるのでしょうか?
セラミックのメリット
セラミック治療にはさまざまなメリットとがあげられます。
まずセラミックのメリットとして審美性の高さが挙げられます。セラミックはその自然な白さと透明感で、天然の歯にとても近い見た目を実現しやすいといわれ、前歯などの目立つ部分に使用されると、ほかの方にセラミックを入れていることを気付かれにくいとされています。
また、セラミックは耐久性も魅力です。セラミック素材は金属程ではありませんが、適切なケアとメンテナンスを行うことで10年以上の使用が期待できます。さらに、表面が滑らかであるため、タバコやコーヒー、紅茶などの着色が付きにくいとされ、清潔で美しい状態を保つことが期待できます。
セラミックのもう一つの重要なメリットは、金属アレルギーのリスクに考慮されている点です。従来の金属製の詰め物や被せ物では、金属イオンが溶出し、アレルギー反応を引き起こすことがあるとされていましたが、セラミックは金属を含まないものもあるため、金属アレルギーの方にも考慮されています。
さらに、セラミックはその密着性の高さから、歯との間に隙間が生じにくく、二次的なむし歯のリスクを低減するとされています。この密着性により、歯とセラミックの間で食べ物のカスが挟まることが少なく、衛生的な口内環境を維持しやすくなるとされています。
セラミックのデメリット
セラミック治療には上記のようなメリットのほかに、いくつかのデメリットも存在します。
まず、治療費の高さです。セラミック治療は保険適用外の自費診療であり、銀歯治療と比較してコストが数倍に上ることがあります。このため、経済的な負担が大きくなるのが一つのネックとなるでしょう。
次に、セラミックの物質的な特性に起因する問題があります。セラミックは陶器に似た硬度を持っているため、とても硬い一方で、割れやすいという特性も持っています。なかでも歯ぎしりや強く噛みしめる癖がある方にとっては、割れるリスクが高まるとされています。そのため、対策としてナイトガードの装着が推奨されることもあります。
また、セラミックを使った詰め物や被せ物を設置するためには、元の歯を削る必要があります。セラミックは一定の厚みを必要とするとされているため、銀歯よりも多く歯を削ることが必要になる場合があります。これが、歯の健康に対するさらなるリスクを引き起こす可能性もあります。
長期的なメンテナンスの必要性もセラミック治療のデメリットです。セラミックは耐久性があるとされていますが、適切なケアが行われない場合、二次むし歯や歯周病のリスクが増加するとされています。そのため定期的な歯科検診と日々の適切なオーラルケアが欠かせません。
ジルコニアのメリット・デメリット
ジルコニアのメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
ジルコニアのメリット
ジルコニアの歯科治療材料としてさまざまなメリットが存在します。
まずは耐久力です。ジルコニアはとても硬いとされ、長期間にわたる使用に耐えることが期待でき、特に歯ぎしりや強い噛み合わせがある方におすすめとされています。この材質は、破損のリスクがとても低いとされているため、使用しやすい選択肢ともされています。
さらに、ジルコニアは金属を含まない種類もあるため、金属アレルギーの方にも考慮されています。歯肉の黒ずみなどの問題も引き起こしにくく、アレルギー体質の方にも使用しやすいとされています。
また、ジルコニアの表面はとても滑らかで、汚れやプラークが付着しにくく、適切なケアを行うことでむし歯のリスクを効果的に低減させることが期待できます。
審美面において、ジルコニアは自然な白さと透明感を持ち、光を通すことで天然の歯に近い見た目を実現しやすいとされています。
ジルコニアのデメリット
ジルコニアのデメリットとして、まず治療費が高額になることが挙げられます。ジルコニアは保険の適用外で、自費治療となるため、初期の投資額が大きくなりがちです。しかしながら、その耐久性と長寿命を考えれば、トータルのコストパフォーマンスはよいとされています。
また、ジルコニアは自然な見た目を重視する場合には、オールセラミックに比べるとやや劣ることがあり、見た目の自然さを最優先する患者さんにはおすすめできない場合があります。しかし、技術の進歩により、ジルコニアも自然な色合いを実現することが可能になりつつあります。
さらに、ジルコニアを適用する際には、歯を多く削る必要があるという問題もあります。これは、ジルコニアの厚みを確保するために必要な措置とされていますが、元の歯を多く失う可能性もあるため、慎重な検討が求められます。
技工の難しさもジルコニアのデメリットの一つとされています。ジルコニアの加工には難しい技術が必要であり、その分、治療費が高くなる傾向にあるとされています。しかし、この難しい技術への対応がジルコニアの質を保証する要因でもあるとされています。
セラミックとジルコニアの違い
こちらでは、セラミックとジルコニアの違いについて項目ごとにご紹介します。
色・見た目
セラミックとジルコニアは、色や見た目に関して明確な違いがあるとされています。
セラミックはその透明感と自然な色調により、天然歯にとても近い見た目を実現することが期待できます。さまざまな陶材から選べるため、患者さんの既存の歯にぴったりと合わせることが期待できます。この細かい色調の調整能力は、前歯など審美性が求められる部分におすすめで、光の透過性も高くなりやすいとされているため自然に近い光沢が期待できます。
一方で、ジルコニアは元々透明度が低くなりやすく、白っぽい見た目が特徴とされています。初期のジルコニアは自然な歯と比較して人工的に見えることがありました。しかし、技術の進歩により、”ハイトランス”など透過率を高めたジルコニアが開発され、天然の歯に近い見た目を再現することが increasingly feasibleです。ステイニング技術による着色も進化しており、より細かな色調の調整が可能になっているといわれています。
セラミックとジルコニアの選択は、使用する部位や求める審美性、コスト、患者さんの具体的なニーズによって異なるとされています。どちらの材料もそれぞれの利点があるため、歯科医師との相談のもとで自身に合った選択を行うことが推奨されます。
強度
ジルコニアとセラミックは歯科材料として広く使用されていますが、それぞれに強度の面で大きな違いがあるとされています。ジルコニアは約1300Mpaの強度を持ち、これは天然歯の約3倍以上に相当するとされています。この高い傾向にある強度は、噛み合わせの力が強い奥歯や、歯ぎしりがある患者さんにおすすめされています。さらに、900Mpa程度と少し低めの強度を持つジルコニアも開発されており、ほかの歯への負担をさらに減少させることが期待できます。
一方、セラミックの強度は約360〜410Mpaで、天然歯とほぼ同等とされています。このため、セラミックは自然な歯に近い強度を持つとされているため、歯に与える影響が少ないと考えられています。しかし、その反面、セラミックはジルコニアに比べて衝撃に弱く、硬いものを噛んだ際の破損リスクが高いとされているため、使用部位を慎重に選ぶ必要があるとされています。
これらの材料の選択にあたっては、患者さんの噛み合わせの状態や噛む力、治療を求める部位の機能的要求を考慮する必要があります。
寿命
セラミックとジルコニアは、それぞれの材質によって寿命に違いが見られます。
セラミックは自然に近い見た目が期待でき、適切なケアを施すことで7年から10年程度の使用が期待できるとされています。しかし、セラミックは天然歯と似た強度を持っているため、硬いものを噛んだときの衝撃により欠けや割れが生じる可能性があります。
一方、ジルコニアはその物理的特性から、より長い寿命を期待することができます。10年から15年以上の使用が見込まれ、その高い傾向にある強度により日常的な使用では破損する可能性は少ないとされていますが、その硬さが原因で対向する歯にダメージを与えるリスクも考慮する必要があるとされています。
最終的に、セラミックとジルコニアのどちらを選択するかは、患者さんのライフスタイルや美的ニーズ、そして経済的な考慮によって異なります。
費用
セラミックとジルコニアの治療には、異なる費用が伴います。ジルコニアはセラミックよりもやや低価格で提供されることが多いとされています。その理由は製造プロセスや原材料のコストに起因します。ジルコニアは高い傾向にある強度と耐久性を持つとされる一方で、製造技術の進化がそのコストを抑える一因となっています。
具体的には、ジルコニアのクラウンが約5万5000円~12万円程度の範囲で設定されているのに対し、セラミックのクラウンは約8万8,000円~22万円程度となっており、セラミックの方が価格が高くなりやすい傾向にあります。これはセラミックの審美性とカスタマイズの難易度が価格に反映されているためです。インレーにおいてもセラミックは約3万3,000円~7万円程度、ジルコニアは5万3,000円~7万円程度と、セラミックの方が幅広い価格設定が期待できます。
治療費は、使用する材料の種類だけでなく、適用する歯科医院の技術料や地域、設備の違いによっても大きく異なるため、患者さんには事前に複数のクリニックで見積もりを取ることが推奨されます。
セラミックとジルコニアはどちらがいい?
では、セラミックとジルコニアではどちらを選んだ方がよいのでしょうか?
セラミックがおすすめな方
セラミックはその審美性から、見た目を重視する患者さんに推奨されています。
前歯など、顔の印象を大きく左右する部分に使用される場合、セラミックは自然に近い色と透明感を提供し、天然の歯と見分けがつかない程の美しさが期待できます。そのため、公私ともに人前に出る機会の多い方や、美的な完成度を求める方におすすめされています。
加えて、セラミックはジルコニアに比べて初期費用が低く抑えられることが期待できるため、予算に制限があるが審美性を妥協したくない方にもおすすめです。ただし、その耐久性はジルコニアより劣るため、コストと見た目のバランスを考慮して選ぶ必要があります。
ジルコニアがおすすめな方
ジルコニアはその強度と耐久性から、特定のニーズを持つ患者さんにおすすめです。
日常的に歯ぎしりや食いしばりをする方、または自然と噛む力が強い方にはジルコニアが推奨されます。これらの習慣は歯材に多大な圧力をかけ、セラミックでは破損のリスクが高まりますが、ジルコニアならばそのリスクを低減することが期待できます。
さらに、奥歯の治療にもジルコニアはおすすめとされています。奥歯は食事中に力が加わりやすい部位であり、ジルコニアの強度によって割れるリスクの低減が期待できます。また、その耐久性の高さから、一度の治療で長持ちしやすいとされているため、長期的なコストパフォーマンスも良好とされています。これらの特性により、ジルコニアは負荷がかかる環境にある患者さんの治療におすすめです。
まとめ
ここまでセラミックとジルコニアの違いについて、ご紹介しました。
セラミックとジルコニアの違いについてまとめると、以下のとおりです。
- セラミックとジルコニアとは、どちらも審美性を求める歯科治療に使用されやすい素材であり、耐久性の違いなどがある
- セラミックとジルコニアの寿命は、ジルコニアの方が長いとされている
- セラミックとジルコニアはどちらを選ぶべきかは、費用面や患者さん自身が歯ぎしりをするかどうかなどによって変わってくる
セラミックとジルコニアのどちらにも、メリットとデメリットが存在します。
両者の違いを考慮したうえで、歯科医師と相談のうえ決めることが望ましいでしょう。
これらの情報が、少しでも皆さまのお役に立てますと幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。