セレック治療は歯科治療で一般的なかぶせ物や詰め物を、画期的なスピードで作ってしまいます。通常でも即日装着もできる治療法です。
従来のセラミック治療のように歯科技工士は関与しません。そのため費用も安くなります。保険適用でも目立つ銀歯ではなく、違和感のない白い歯です。
満足度の高いセレック治療のメリットやデメリットを紹介し、費用や保険適用の詳細を解説します。歯の治療を予定している方は参考にしてください。
セレック治療について
- セレック治療とはどのようなものですか？
- セレック治療は、コンピュータ制御のCAD/CAM（設計・製作）システムで作った詰め物（インレー）やかぶせ物（クラウン）を使う治療です。手順はまず3Dカメラを使ってお口の中を撮影し、そのデータをもとに、お口の中の立体構造をシステム上で型取りします。
その型をモニター上で見ながら、噛み合わせや形状を細かく調整し理想的な補綴物に仕上げます。ここまでが設計で、次は製造工程です。
専用の加工機・ミリングマシンを使い、材料になるセラミックのブロックから補綴物を削り出します。これを研磨すれば完成で、土台になる歯に接着すれば治療は終了です。従来の手作業よりも格段に速く、当日の装着も可能です。
- セレック治療はセラミック治療とは違うのでしょうか
- セラミック治療の場合、手順はまずむし歯を削った後にお口の中の歯型を取ります。その歯型をもとにしてお口の模型を作り、模型上でセラミックの補綴物を作ります。セラミックの材料を焼成・着色・研磨する作業は歯科技工士の仕事です。
手作業で丁寧に行うために1週間～10日程かかります。このように、基本的に手作業でかぶせ物や詰め物を作るのがセラミック治療です。
これに対して、コンピュータ制御のCAD/CAMシステムを使って作るのがセレック治療になります。セラミック治療では工程の多くを歯科技工士の手作業が占めるのに対し、セレック治療では技工士の作業がありません。そのため、治療にかかる時間が大幅に短縮できるのが、セレック治療の特徴です。
- セレック治療のメリットを教えてください
- セレック治療は斬新な治療法です。歯科治療ではよくあるかぶせ物・詰め物の治療は、通常1～2週間かかります。それがセレック治療では、治療初日で装着可能な画期的なメリットが特徴です。
ほかにもいくつか挙げられるメリットを紹介します。- 歯型が不要：3Dカメラで口腔内を撮影したデータで補綴物を作るので歯型を取らない
- 費用が安い：歯科技工士の手作業が省略できるのでその分がコストカット
- 耐久性が高い：均一で高品質なセラミックブロックから削り出すので割れずに長持ち
- 金属アレルギーがない：保険治療の銀歯とは違い金属アレルギーの方も治療可能
- 審美性が高い：保険治療の銀歯のように目立ちにくく白い歯に治療できる
- 通院が1回だけ：セラミック治療では少なくとも2回の通院が1回で済む
このようなメリットがあり、治療を受ける方の満足度がとても高い治療法です。
- セレック治療のデメリットを教えてください
- 安くて早くてきれいな仕上がりが期待できるセレック治療でも、デメリットは存在します。少ないながら、以下のようなデメリットが見られました。
- セラミックより質感がよくない
- 歯を削る量が多い
- 誰にでも適応できない
まず審美性ですが、銀歯よりは見た目がはるかによい仕上がりです。しかし、保険適用のセレック治療では材料がハイブリッドセラミックに限定され、セラミックのような自然歯に近い質感ではありません。
また、かぶせ物を作る場合、強度面で一定以上の厚みが必要です。
その分、土台になる歯を削る量が増えてしまいます。さらに割れやすいので、噛み合わせが悪い方・歯ぎしりが強い方には不向きです。
また、ブリッジにしたい場合、適合性・接着性の面でセレック治療は難しいとされます。
- セレック治療はどのような方におすすめでしょうか
- メリットもデメリットもあるセレック治療ですが、おすすめできるのは次のような方になります。
- 銀歯を白くしたい
- 銀歯を自然な質感の歯に替えたい
- 早く治療を終わらせたい
- 金属アレルギーがある
- 安い費用で審美治療を受けたい
- 高精度な治療を望む
保険治療で銀歯にした方は、今の保険治療では白い歯が選べるようになりました。また、保険は効きませんが、銀歯を自然な質感のオールセラミックに替えることも可能です。早く治療したい方は、セレック治療なら初回の治療で終わりです。
金属アレルギーでも、セレック治療で保険の白いかぶせ物を作ることができます。審美治療も、セレック治療では技工士費用をカットできる分安くなります。セレック治療では、高精度な治療ができるCAD/CAMシステムが基本です。
セレック治療の費用
- セレック治療にかかる費用の相場を教えてください
- セレック治療では、歯科技工士が手作業でつくっていた補綴物がCAD/CAMシステムでできるため、技工士の加工費用が節減されて安価になります。比較すると以下のような違いが見られます。
- セレッククラウン（かぶせ物）：132,000円（税込）前後
- セラミッククラウン：154,000円（税込）前後
- セレックインレー（詰め物）：66,000円（税込）前後
- セラミックインレー：88,000円（税込）前後
このようにオールセラミックの場合で比較すると、セレック治療が22,000円（税込）程安くなるようです。次に健康保険が適用されるハイブリッドセラミックで、セラック治療をした場合の費用を見てみます。
- セレッククラウン：7,000〜8,000円程度
- セレックインレー：3,000～4,000円程度
※負担割合3割の自己負担額です。
- セレック治療のコストを抑える方法はありますか？
- セレック治療は新しい技術ですが、在来のセラミック治療と比べると費用が抑えられる治療です。
これをさらにコストダウンするには、安い材料への変更が考えられます。セレック治療の材料には、レジン（プラスチック）とセラミックの混合物のハイブリッドセラミックが使えます。
この材料を使ったセレック治療であれば、材料費が安くなる分だけコストダウンが可能です。また、材料をハイブリッドセラミックにすると、健康保険が適用されます。
そうなると治療費用の1～3割を自己負担すればよく、相当大きなコストダウンが見込まれるはずです。
セレック治療と保険適用の有無について
- セレック治療は保険診療ですか？
- セレック治療は保険診療もできます。ただし条件があり、補綴物を作る材料がレジン（プラスチック）とセラミックでできているハイブリッドセラミックであることです。すべてがセラミックのオールセラミックは対象外なので注意してください。
また、原則的にすべての歯に適用されますが、前歯から親しらずまでそれぞれに決められた種類のハイブリッドセラミックを使うことが条件です（強度を確保するため）。
さらに、残存歯の噛み合わせ状態にも細かい条件があります。保険の適用に関しては緩和傾向にありますが、短い周期で改正が繰り返されているので担当の歯科医師に確認してみましょう。
- セレック治療で保険適用となる歯があると聞いたのですが……
- セレック治療では、すべての歯の治療に健康保険が適用されます。ただし細かい条件があり、ほとんどが耐久性を持たせるための条件です。
セレック治療に使う材料のハイブリッドセラミックには1～5までの種類があり、保険治療では材料ごとに使える歯が指定されています。- タイプ1・2：小臼歯
- タイプ3：第3大臼歯を除く大臼歯
- タイプ4：前歯
- タイプ5：全大臼歯
また、大臼歯では残存歯の状態にも条件があります。第1・第2大臼歯では装着の反対側に大臼歯の噛み合わせがある状態で、装着側にも噛み合わせがあるか、装着歯に対合歯がなくても隣接して噛み合わせがあることが条件です。
過大な力が加わらない状態を条件に、保険が適用されます。
- セレック治療を受けるときの注意点を教えてください
- セレック治療にはいくつか注意すべき点があります。以下に挙げた内容を、あらかじめ理解してから治療を受けてください。
- 噛み合わせに問題はないか：噛み合わせが悪いと破損の原因になるので事前に対処
- 色の違いを確認：材料により色味の選択肢が少ない場合があるので自分の目で確認
- 日々のケアを怠らない：適度な力で丁寧に歯磨きして定期的に検診を受ける
- 歯ぎしり食いしばりに注意：歯ぎしりなどの癖がある方はナイトガードなどで防護
- 材質により寿命に差がある：ハイブリッドは5～8年・オールセラミックは10～15年
日頃からケアを怠らず、異常があれば早めに歯科医師に相談すれば長く使い続けられるでしょう。
編集部まとめ
セレック治療は補綴物が即日装着できるのが大きな特徴です。技工士の工程を省略できる分費用が安くなり、保険が適用される材料ならさらに費用は下がります。
それでも高精度で審美的にも優れた白い歯ができるなど、メリットがたくさんある治療法です。オールセラミックには及ばなくても、従来タイプの保険治療とは格段の違いがあります。
セレック治療ではコストパフォーマンスの高い治療が期待できます。むし歯治療を予定している方は、セレック治療ができる歯科医院を探してみてください。
参考文献
電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。