注目のトピック

歯医者

総入れ歯で快適に過ごすには?総入れ歯のメリット・デメリットも解説します

総入れ歯で快適に過ごすには?総入れ歯のメリット・デメリットも解説します

歯を失い、総入れ歯を検討している方にとって、生活の変化や使い心地への不安は少なくないでしょう。「しっかり噛めるのか」「会話はスムーズにできるのか」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

本記事では総入れ歯で快適に過ごす方法について以下の点を中心にご紹介します。

  • 総入れ歯の概要
  • 総入れ歯のメリット・デメリット
  • 総入れ歯で快適に過ごすために

総入れ歯の快適な使用方法について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

総入れ歯の概要

総入れ歯の概要

総入れ歯はどのような特徴・種類があるのでしょうか?
以下で解説します。

総入れ歯とは

総入れ歯は、上下どちらかの歯がすべて失われた場合に使用される入れ歯で、フルデンチャーとも呼ばれています。
総入れ歯は、歯茎を覆う土台部分と、噛み合わせを支える上部構造が一体となり、食事や会話、見た目の改善をサポートします。総入れ歯を装着することで、食べ物を咀嚼しやすくなり、飲み込みやすさも向上します。
また、顔のバランスを保つ役割も果たし、自然な笑顔や表情を支えることができます。

総入れ歯は、歯茎に吸盤のように密着して固定されます。そのため、患者さんの骨格や歯茎の形状にぴったりと合った設計が求められます。適切なフィット感が得られない場合、話をしている途中や食事中に外れてしまう可能性があります。歯科医師による精密な型取りと調整が、快適で機能的な総入れ歯の製作に欠かせません。

また、総入れ歯は定期的なメンテナンスが重要です。長期間使用するうちに、歯茎や骨の状態が変化し、フィット感が損なわれることがあります。そのため、定期的に歯科医師のチェックを受けることで、快適な使用を続けることが可能とされています。

総入れ歯の種類について

総入れ歯には、使用する素材や構造により以下のような種類があります。

  • プラスチック義歯(レジン床義歯)
    保険適用で製作できる総入れ歯です。床部分や人工歯がプラスチック製で、経済的な面が大きな利点です。ただし、厚みがあり異物感を感じやすく、長期間使用すると経年劣化で変形や割れが生じやすい点がデメリットです。また、熱が伝わりにくいため、食事の際の温度感覚が損なわれる場合があります。
  • コバルトクロム床義歯
    床部分に金属(コバルトクロム)を使用した入れ歯です。プラスチック義歯に比べて薄いため、口内での異物感が軽減され、装着時の快適さが向上します。 また、金属の特性により耐久性が高く、長期間の使用にもおすすめです。ただし、金属アレルギーの方には使用が制限される場合があります。
  • チタン床義歯
    生体親和性の高い金属”チタン”を使用した入れ歯です。軽量で耐久性に優れているほか、金属アレルギーの方でも使用可能といわれています。また、熱伝導性が高く、食事の温度を感じやすいため、自然な感覚で使用できます。さらに、床が薄いため、装着時の違和感も少なく、日常生活で快適に使用できる特徴があります。
  • シリコーン義歯
    床部分にやわらかいシリコーン素材を使用した入れ歯です。歯茎への負担を軽減し、フィット感が高いことが特徴です。なかでも、歯茎が弱い方や痛みを感じやすい方におすすめです。ただし、耐久性は金属床義歯に劣り、定期的な交換が必要になる場合があります。
  • マグネット義歯
    歯根やインプラントに磁性金属を埋め込み、入れ歯側に磁石を装着して安定させる入れ歯です。取り外しが簡単で、入れ歯がズレにくいのが特徴です。しかし、歯根が残っていない場合や磁石の維持管理が難しい場合には適用が制限されることがあります。
  • インプラント・オーバーデンチャー インプラントを土台として使用する入れ歯です。咀嚼力が高く、固定力に優れており、装着中の安定感があります。ただし、外科手術が必要であり、治療期間や費用がほかの入れ歯よりも高い傾向があります。
  • ノンクラスプデンチャー
    金属のバネを使用しない入れ歯で、歯茎に似た樹脂で固定します。審美性に優れ、装着時に自然な見た目を保てます。ただし、残存歯の状態が悪い場合や負荷がかかりやすい箇所には適用できない場合があります。
  • オーダーメイド入れ歯(精密入れ歯)
    患者さん一人ひとりの口腔内に合わせて精密に作られる入れ歯です。自然な見た目と高い装着感が得られます。熟練の技術と時間を要するため費用が高くなる傾向がありますが、長期的に快適な使用が期待できます。

それぞれの総入れ歯には違った特徴があります。患者さんの口腔内の状態、ライフスタイル、費用面を考慮し、歯科医師と十分に相談して適切な入れ歯を選ぶことが重要です。

総入れ歯のメリット

総入れ歯のメリット

総入れ歯を使用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
以下で見ていきましょう。

食事や発音がしやすくなる

総入れ歯のメリットの一つは、食事や発音がしやすくなる点です。
歯を失うと、噛む力が低下し、やわらかいものばかりの食生活に偏ることがあります。総入れ歯を装着することで、噛む機能が回復し、さまざまな食材を楽しむことができ、食べる喜びを取り戻せます。

また、総入れ歯は発音の明瞭さの改善を目指します。
歯が失われると、サ行やタ行などの音が不明瞭になることがありますが、総入れ歯を装着することで発音がはっきりし、コミュニケーションのストレスが軽減されます。

総入れ歯は、食事や会話などの基本的な生活動作をサポートし、生活の質を向上させる重要な役割を果たします。

保険が適応される

総入れ歯のメリットの一つに、保険が適用される点があります。保険適用の総入れ歯は、歯科用プラスチックを使用したシンプルな構造で製作され、費用を抑えながら失った歯の機能を補うことができます。

また、保険適用の総入れ歯は、シンプルな設計のため修理がしやすく、使用中に口腔内の変化があった場合でも調整が簡単なことが多いとされています。
さらに、定期的な作り直しが必要な場合でも、1回あたりの費用が抑えられるため、長期的に見ても経済的な選択肢となります。
総入れ歯は、失った歯の機能を補いながら経済面での不安を解消できる治療法です。

身体への負担が少ない

総入れ歯のメリットとして、身体への負担が少ない点が挙げられます。
総入れ歯の治療では、インプラント治療のような外科的手術を必要とせず、非侵襲的な方法で進められます。体力に自信がない方や持病をお持ちの患者さんでも、安心して治療を受けられるのが特徴です。

さらに、総入れ歯は治療プロセスがシンプルで、施術後の回復期間も必要ないため、日常生活への影響が少なく抑えられます。これにより、患者さんは早い段階で入れ歯を使用し、噛む力や発音などの機能を取り戻すことが可能とされています。
また、歯科医師による調整のみで対応できるため、通院も過度に負担がかかるものではありません。

このように、身体的な負担を軽減しながら失った歯の機能を補う総入れ歯は、現実的で安心できるポイントが多いとされる治療方法です。なかでも、健康状態や年齢的な制約を考慮する必要がある患者さんにとって、総入れ歯は重要な選択肢となるでしょう。

総入れ歯のデメリット

総入れ歯のデメリット

さまざまなメリットがある総入れ歯ですが、反対にデメリットも存在します。
以下で詳しく解説します。

味覚の変化

総入れ歯のデメリットとして、味覚の変化が挙げられます。総入れ歯はお口の中を覆う設計のため、食事中の味覚や食感、温度の感じ方に影響を及ぼすことがあります。

総入れ歯の床が口蓋を覆うと、味を感じる器官である味蕾(みらい)の一部が隠される場合があります。味蕾は主に舌に多く分布していますが、口蓋や上顎の奥にも存在し、これらが覆われることで甘味や苦味などを感じにくくなることがあります。その結果、味が薄く感じられるなどの違和感を覚える患者さんもいます。

また、総入れ歯による咀嚼力の低下も味覚に影響します。咀嚼時に唾液が分泌されることで食べ物の風味が広がりますが、総入れ歯では噛む力が弱いため、唾液分泌が減少し味覚が鈍る場合があります。

これらの影響は個人差がありますが、適切な調整や歯科医師との相談によって改善が可能とされています。
違和感を軽減し、快適に食事を楽しむためには、定期的なメンテナンスが大切です。

噛みにくくなる

総入れ歯は天然歯に比べて咀嚼力が弱く、硬い食べ物や繊維質の多い食材を噛むのが難しい場合があります。総入れ歯の噛む力は天然の歯の10%から20%程度とされ、硬いおせんべいやピーナッツなどは噛みづらくなることがあります。

さらに、入れ歯が動きやすいこともあり、食事中の違和感やストレスにつながることがあります。このような問題を軽減するには、やわらかい食材を選びながら徐々に慣れていくことが重要です。
また、定期的に歯科医院で調整を行うことで、より快適に使用できるようになります。

安定しずらい

総入れ歯は、歯茎との吸着力で固定されますが、安定しづらい場合があります。なかでも、歯茎の形状や顎の骨が痩せた状態では、入れ歯が動いたり外れやすくなることがあります。このズレや外れは、食事中や会話の際にストレスを感じる原因となります。

また、入れ歯が動くことでカチカチと音が鳴る違和感が生じることもあります。これらの問題を軽減するには、定期的な調整や、入れ歯用接着剤を活用する方法があります。
医師による精密な調整が、安定した使用感を得るためには不可欠です。

総入れ歯で快適に過ごすために

総入れ歯で快適に過ごすために

総入れ歯で快適な生活を送るためには、どのような点に気をつけるべきなのでしょうか。
以下で解説します。

食事の仕方の工夫をする

総入れ歯で快適に食事を楽しむためには、食事の仕方を工夫することが重要です。
まず、食材を噛みやすい大きさに調整しましょう。一口サイズに切ることで、噛む力が弱くても楽に咀嚼できます。
ただし、みじん切りなど細かすぎると食べにくくなるため注意が必要です。

また、硬い食材はやわらかく調理するのがおすすめです。煮込む、たたいて繊維を壊す、隠し包丁を入れるなどの調理法で食べやすくなります。

さらに、食事中の温度にも注意を払いましょう。
総入れ歯では温度を感じにくくなるため、熱すぎる食品は避け、やけどを防ぐ工夫が必要です。

入れ歯に挟まりやすい食べ物にも気をつけましょう。
ごまやいちごなどは加工することで対応でき、くっつきやすいお餅などは口内を湿らせてから食べるとスムーズです。

これらの工夫を取り入れることで、総入れ歯でも快適な食事が可能になるとされています。

噛み方について

総入れ歯で快適に噛むためには、正しい噛み方を意識することが大切です。
主に左右両側の歯で均等に噛むことが基本です。片側だけで噛むと、反対側の入れ歯が浮き上がり、安定感が損なわれる原因になります。
この”シーソーの原理”を防ぐためにも、左右バランスよく噛む習慣をつけることが重要です。

また、食べ物は前歯で噛み切り、奥歯で潰すのが基本的な噛み方です。前歯だけで噛む癖があると、奥歯の部分が浮きやすくなり、入れ歯がズレてしまうことがあります。そのため、前歯と奥歯を適切に使い分けるよう意識することが大切です。

さらに、一度に多くの食べ物をお口に入れないよう注意してください。総入れ歯では噛む力が天然歯に比べて弱いため、少量ずつお口に入れ、ゆっくりと咀嚼することで安定した噛み心地を保てます。正しい噛み方を実践することで、総入れ歯でも快適に食事を楽しむことができるでしょう。

口腔内や入れ歯を清潔に保つ

総入れ歯で快適に過ごすためには、口腔内と入れ歯を清潔に保つことが重要です。
入れ歯は汚れがたまりやすく、細菌やカビが繁殖しやすいため、毎日の丁寧なケアが必要です。使用後は専用のブラシで優しく洗浄し、洗浄剤を活用して汚れをしっかり落としましょう。
また、流水でのすすぎも忘れないようにしてください。

さらに、入れ歯を就寝中に外すことにより、お口の粘膜を休ませ、誤飲のリスクを防ぐことができます。ただし、夜間も装着が必要な場合は、歯科医師に相談して適切な指示を受けましょう。

また、入れ歯だけでなく、口腔内の清潔を保つことも大切です。歯茎や舌を優しく清掃することで、口内環境を健康に維持できます。痛みや違和感がある場合は、無理に使用せず、早めに歯科医院で調整を受けることが快適な使用の鍵となります。

入れ歯安定剤を多用しない

総入れ歯を安定させるために入れ歯安定剤を使用することがありますが、多用には注意が必要です。
安定剤は入れ歯が動く場合の応急処置として役立ちますが、長期間の使用や過剰な使用は歯茎や入れ歯自体に悪影響を及ぼす可能性があります。

まず、安定剤を多用すると歯茎への刺激が減少し、歯茎が痩せてしまうことがあります。
また、適合していない入れ歯を無理に安定剤で使用し続けると、顎の骨が圧迫されて薄くなるリスクがあります。これにより、入れ歯の不適合がさらに悪化し、悪循環に陥ることもあります。

さらに、安定剤が付着したまま清掃が不十分だと、カビや細菌が繁殖しやすくなり、歯茎の炎症や口内の感染症を引き起こす可能性があります。
免疫力が低下している場合、誤嚥性肺炎のリスクが高まるため注意が必要です。

入れ歯安定剤はあくまで短期間の補助的な手段として使用し、入れ歯が合わない場合は早めに歯科医師に相談することが重要です。正しいケアと調整で快適な使用を目指しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで総入れ歯での快適な過ごし方についてお伝えしてきました。要点をまとめると以下のとおりです。

  • 総入れ歯は、歯がすべて失われた際に装着する入れ歯で、噛む機能や発音、見た目の改善をサポートしつつ、患者さんの生活に合わせた素材や構造が選べる
  • 総入れ歯は、食事や発音がしやすく保険適用で経済的なメリットがある一方、味覚の変化や安定性の問題などのデメリットも伴う治療法である
  • 総入れ歯で快適に過ごすには、食事の仕方や噛み方の工夫、口腔内や入れ歯の清潔維持、安定剤の適切な使用を意識することが重要である

総入れ歯は、失った歯の機能を補い、日常生活の質を向上させる大切な選択肢です。ただし、メリットだけでなくデメリットや使用時の注意点を理解し、正しいケアや調整を行うことが重要です。

この記事が、総入れ歯についての悩みや不安を少しでも解消する手助けになれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340