前歯に隙間があることが気になる方や、前歯の色が1本だけ違うことに悩んでいる方などに適している治療法がラミネートベニアです。ラミネートベニアは、ごく短時間で歯の見た目を改善できる治療法として知られており、特に前歯の変色や変形などを改善したい方にとって有力な選択肢になります。治療にあたり、ラミネートベニアの特徴やデメリット、さらにはその他の選択肢になりえる治療法に関してもよく理解しておくことが大切です。この記事では、ラミネートベニアのデメリットや比較対象になる治療法など、これからラミネートベニアを受けようとしている方が知っておくべきことをわかりやすく解説します。
ラミネートベニアとは
- ラミネートベニアとはどのような治療ですか?
- ラミネートベニアとは、歯の表面にセラミック素材のラミネートベニアを貼り付けるようにして、歯の見た目を改善する治療です。厳密には、セラミックの一種であるポーセレンと呼ばれる陶器とほとんど同じ成分でできた被せ物で、歯が変形または変色している部分に接着剤で貼り付けるようにして固定します。ラミネートベニアを貼り付ける際、対象となる歯の表面を0.3~0.5ミリ削る必要がありますが、従来の被せ物と比較して歯を削る量が少ないことが特徴です。また、セラミック素材でできたラミネートベニアそのものの耐久性や強度が高いだけでなく、貼り付ける際に使用される接着剤の質も向上したことから、定期的なメンテナンスを受けることで10~20年にわたって使用できるといわれています。
- ラミネートベニアはどのような人におすすめですか?
- ラミネートベニアは、歯の変形、変色、不揃いを改善したい方におすすめです。特に、目立ちやすい上顎の前歯で、歯の変形や変色がある方に適しています。また、通常のラミネートベニア治療にかかる通院回数は2回とされているため、可能な限り短期間でコンプレックスを解消したい方にもおすすめです。例えば、前歯の隙間を改善する治療となると、歯列矯正が選択肢になりますが、1年以上の時間がかかることが想定されます。しかし、ラミネートベニアであればほとんどの場合2週間以内に治療が完了するため、スピードを優先する方に適しています。前歯の変形、変色、そして不揃いでお悩みの方にラミネートベニアをおすすめします。
- ラミネートベニアが向かない人はいますか?
- ラミネートベニアが向いていない方は、わずかでも歯を削りたくない方、コストを抑えたい方、そして強い力が加わる機会が多いアスリートなどです。ラミネートベニアは、固定の強度を上げるために、歯の表面をわずかに削る必要があるため、削ることに抵抗を感じる方には適さないでしょう。また、ラミネートベニアは保険が使えないため、全額自己負担です。そして、ラミネートベニアは接着剤で貼り付けて固定しているに過ぎず、球技や格闘技などをしている方は外れてしまう可能性が高いためおすすめできません。
- ラミネートベニアのメリットを教えてください
- ラミネートベニアのメリットは、主に以下のようなことが挙げられます。
- 審美性が高い
- 治療期間が短い
- 1本だけ治療できる
- 変色しにくい
- メンテナンスすれば長く使用可能
このように、ラミネートベニアは見た目の改善をはじめ、スピード、そして耐久性などのメリットがあります。特に、前歯の変形や変色などでお悩みの方にとって、数週間内に自然な見た目に仕上がることは大きなメリットといえるでしょう。歯の見た目にコンプレックスをお持ちの方や、多忙で治療にかかる時間を確保できない方ほどメリットを得やすいかもしれません。
ラミネートベニアのデメリット
- ラミネートベニアにデメリットはありますか?
- ラミネートベニアのデメリットには、以下のようなことがあります。
- 保険適用外の治療法
- 歯の表面をわずかに削る必要がある
- 衝撃などで外れたり、欠けたりする可能性がある
- 歯の変形、変色、不揃いに対する根本的な治療法ではない
ラミネートベニアの治療で、ほとんどの方に共通するデメリットが、保険適用外のためコストがかかることでしょう。歯科医院によって違いがありますが、1本あたり100,000円が目安になります。また、ラミネートベニアは歯の変形や変色を根本的に治す治療法ではないため、悩みやコンプレックスから完全に解放されるとはいえないのがデメリットになるかもしれません。
- 歯を削らずにラミネートベニアを行うことは可能ですか?
- 歯を削らずにラミネートベニアを接着させることは可能です。ただし、すべてのケースで削らないで済むわけではありません。削らずに済む前提条件として、歯並びがよいこと、むし歯などによって歯の表面に凹凸ができていないことなどが挙げられます。あくまでも、固定用の接着剤がしっかり接着する面があることが重要です。また、歯の表面を削らなくても済む程度の厚みに加工できる技術力を持った歯科技工士と歯科医院が連携していることもポイントになります。
- ラミネートベニアは破損することがありますか?
- ラミネートベニアは破損することがあります。例えば、なんらかの衝撃によってラミネートベニアが剝がれてしまったり、ラミネートベニアの一部分が欠けてしまったりするかもしれません。衝撃がきっかけになって破損する以外にも、歯ぎしりや食いしばりなどによって破損してしまうケースもあるため、歯ぎしりや食いしばりの症状をお持ちの方は、これらの症状を改善するのが先決になるでしょう。一方、ラミネートベニアを装着してから10年経過しているケースで破損が生じたのは11%だったとする報告もあるため、日常生活での破損リスクは低いといえます。
- ラミネートベニアで噛み合わせが悪くなることはありますか?
- ラミネートベニアを装着してから嚙み合わせが悪くなることは考えにくいでしょう。なぜなら、ラミネートベニアを装着する前の段階で、嚙み合わせに支障が生じないよう設計するためです。仮に、ラミネートベニアが嚙み合わせに支障をきたすと判断される場合は、そもそもラミネートベニア治療は推奨されません。一方、歯科医師の診断ミスや、患者さんの悪習慣が原因になって、ラミネートベニアが付いている前歯部分で咬耗や摩耗が起きる可能性があります。
ラミネートベニアと比較される治療
- セラミッククラウンとラミネートベニアの違いはなんですか?
- セラミッククラウンとラミネートベニアの違いは、歯の切削量、適用できる歯の範囲、そして費用です。セラミッククラウンは既存の歯にすっぽりと覆いかぶせるようにして固定するため、ラミネートベニアよりも土台となる歯を多く削る必要があります。また、ラミネートベニアは、上顎の前歯が対象になるのに対し、セラミッククラウンはすべの歯に適用されます。そして、セラミッククラウンは1本あたり200,000円するケースもあるため、ラミネートベニアよりもコストがかかりやすいといわれています。
- ホワイトニングとはどのような治療ですか?
- ホワイトニングとは、過酸化水素水や10%過酸化尿素、過ホウ酸ナトリウムが含まれているホワイトニング剤を用いて、化学反応で歯の色を白くする方法です。歯科医院で受けるオフィスホワイトニングや自宅で行うホームホワイトニング、さらには両方で行うこともあります。ホワイトニングは、お口の印象を改善したい方や、着色汚れが気になる方などに適していますが、ラミネートベニアで歯の変色を改善したい方にとって、別の選択肢になるでしょう。
編集部まとめ
ラミネートベニアは前歯の変形や変色などを短期間で改善できるメリットがある一方、保険適用外のためコストがかかることや、衝撃によって破損する可能性があることがデメリットです。
ラミネートベニアを検討している方は、メリットとデメリットを理解し、さらには中長期的な影響なども考えて、歯科医師としっかり相談するようにしてください。
参考文献