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入れ歯安定剤の危険性とは?正しい使用法と使用によるメリット・デメリットを解説

入れ歯安定剤の危険性とは?正しい使用法と使用によるメリット・デメリットを解説

入れ歯安定剤を使用している方も少なくないかと思いますが、この製品の危険性についてはご存知でしょうか。薬局やドラッグストアでも簡単に手に入るため、何も気にせず頻繁に活用している方も少なくありません。 この記事では、入れ歯安定剤に伴う危険性や正しい使用方法、入れ歯安定剤を使用することによるメリットとデメリットについて詳しく解説します。

入れ歯安定剤の危険性

入れ歯安定剤の使用に伴う危険性を確認しておきましょう。

入れ歯安定剤でアレルギー症状が出ることはありますか?
患者さんの体質によっては、アレルギー症状が現れます。

入れ歯安定剤にはさまざまな化学物質が含まれているため、これらに反応してアレルギー症状が現れることがあります。 薬局やドラッグストアなどで販売されている入れ歯安定剤は、治験にて安全性が確認された製品ですが、誤った方法で使用していると、アレルギー反応を引き起こす可能性があります。

入れ歯安定剤の使用が貧血や手足の痺れの要因となることはありますか?
可能性はあります。入れ歯安定剤には、粘着性を高める目的で亜鉛を配合している製品があります。亜鉛の一部が溶け出して体内に入り込むと、過剰摂取による貧血や手足の痺れを引き起こすことがあります。

このような神経障害は頻繁に起こるものではありませんが、入れ歯安定剤を長期使用するとリスクも高くなってしまいます。

入れ歯安定剤の使用がお口のなかに与える影響を教えてください
入れ歯安定剤を使用すると、入れ歯と口腔粘膜との間に汚れがたまりやすくなり、衛生状態が悪くなりやすいです。その結果、口臭が強くなったり、残った歯のむし歯リスクが高まったりすることもあります。入れ歯が原因で起こる義歯性口内炎は、入れ歯安定剤の使用で発症しやすくなります。

入れ歯安定剤の正しい使用法

入れ歯安定剤の正しい使用法 入れ歯安定剤の使用時間や使用後のお口のケア方法、何らかの症状が現れた場合の対処法などを解説します。

入れ歯安定剤の長時間使用は避けるべきですか?
入れ歯安定剤は、長時間使用するのは望ましくありません。

入れ歯をつけると痛かったり、すぐに外れたりする場合に限り、一時的なサポートとして使用をしましょう。入れ歯をつけると痛みが出たり、外れたりする場合は、そもそも、入れ歯自体に何らかの異常が生じている可能性もあります。 入れ歯を長く使っているケースでは、お口の環境も変わっていることから、入れ歯安定剤で対処するのではなく、歯科医院での入れ歯の調整を行うのがおすすめです。

入れ歯安定剤を使った後のお口のケア方法を教えてください
お口のなかに入れ歯安定剤が残らないよう、歯磨きやうがいをしっかり行いましょう。お湯でうがいをする方が、入れ歯安定剤が残りにくいです。口のなかに残っている分は、清潔なガーゼで拭い取るようにしましょう。
自分に適した入れ歯安定剤はどのように選べばよいですか?
入れ歯安定剤には、総入れ歯のみ使えるもの、部分入れ歯にも使えるもの、さらにはプラスチック床のみに使えるもの、金属床にも使えるものとさまざまです。以下のポイントに着目して、自分に適した入れ歯安定剤を選択しましょう。

操作の難易度 色(白やピンクなど) 外れやすさ 汚れの付着のしやすさ 味や臭い 形態(シート、パウダー、クリーム、クッションなど) はじめから自分に合った入れ歯安定剤を選ぶことは難しいので、通院している歯科医師に相談してみましょう。

使用中に痒みや腫れがでた場合は使用を中止すべきですか?
入れ歯安定剤が原因で口腔粘膜に痒みや腫れが生じた場合は、使用を中止してください。アレルギー反応や炎症性疾患が発症している可能性が考えられます。入れ歯安定剤の使用を中止しても症状がなくならない場合は主治医に相談しましょう。

入れ歯安定剤の使用で得られるメリット・デメリット

入れ歯安定剤の使用で得られるメリット・デメリット 入れ歯安定剤を使用することで得られるメリットと注意すべきデメリットについて解説します。

入れ歯安定剤を使用すると会話しやすくなりますか?
入れ歯安定剤の使用で、会話がしやすくなることはあります。

義歯床と口腔粘膜との適合が悪いと、話しているときに入れ歯がズレてしまいます。入れ歯安定剤の使用で、入れ歯が固定されますので話しやすくなります。 一方で、入れ歯の辺縁が長すぎたり、入れ歯が変形したりしてしゃべりにくい場合は、入れ歯安定剤を使用しても話しやすさは変わりません。

入れ歯安定剤を使うと食事でしっかり噛めるようになりますか?
食べ物を噛むときにズレたり、外れたりする場合は、入れ歯安定剤を使うことで噛みやすくなります。人工歯が欠けたり、摩耗したりすることで食事がしにくくなっている場合は、入れ歯安定剤で固定しても、しっかり噛めるようになるとは限りません。
入れ歯安定剤の使用にはデメリットがありますか?
入れ歯安定剤の使用を続けると、以下にあげるデメリットが生じます。
  • 歯茎や顎の骨が痩せる
  • 噛み合わせがズレる
  • 入れ歯安定剤に依存するようになる
  • 細菌が繁殖しやすくなる
  • 入れ歯をケアしにくくなる

入れ歯安定剤の長期使用は、歯茎や顎の骨の吸収が生じることがあります。この原因は、入れ歯安定剤によって特定の歯や顎に力が集中してしまうことと、また、本来は必要な圧力が十分にかからないことにあります。歯茎や顎の健康には悪いことなので、入れ歯安定剤の長期使用は避ける方がよいです。

また、入れ歯安定剤の使用で噛み合わあわせがズレることもあります。本来入れ歯は、歯科医師によって、噛み合わせも細かく調整されています。安定剤の使用方法によっては、せっかく調整した噛み合わせを変えてしまうことにもつながりかねません。 装着時に痛みや違和感がある入れ歯に入れ歯安定剤を使用すると、快適に食事や会話ができるようになる場合もあります。その感覚が忘れられなくなってしまい、入れ歯安定剤なしでは装着できなくなる患者さんも少なくありません。 また、入れ歯安定剤は、2つの意味で口内細菌の繁殖を促します。

1つ目は入れ歯安定剤そのものが汚れを吸着しやすく、細菌の温床となりやすい点があげられます。2つ目は、入れ歯安定剤が口腔内の水分を吸収することで、ドライマウスの症状が現れ、唾液による自浄作用や殺菌作用、自浄作用が働きにくくなる点があげられます。

口内細菌が繁殖すると、歯周病やむし歯だけでなく、誤嚥性肺炎のような全身疾患のリスクも高まるため注意が必要です。

入れ歯は、ただでさえ汚れがつきやすく、ケアしにくい装置であるにも関わらず、粘着性の高い入れ歯安定剤を使ってしまうと、清掃性がさらに低下します。これは入れ歯のケアにかかる手間や時間が増えるだけでなく、衛生的な観点からもよくありません。

編集部まとめ

入れ歯安定剤の危険性や正しい使用方法、入れ歯安定剤の使用に伴うメリットとデメリットについて解説しました。入れ歯安定剤は、合わない入れ歯の適合性を簡易的に高められる製品ですが、長期使用を前提としていない点に注意しましょう。 会話や食事がしやすくなるからといって、入れ歯安定剤を使い続けると、歯茎や顎の骨が痩せたり、噛み合わせが悪くなったりするなどのデメリットも伴います。入れ歯安定剤を使用するときは、こうした危険性も正しく理解しておくことが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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