入れ歯は、失われた歯の機能と見た目を回復するための治療法の一つです。
保険適用の入れ歯は価格を抑えて作成が可能ですが、素材や機能に制限があります。一方、自費診療の入れ歯は、より快適で審美性・機能性に優れた素材を選択できます。
しかし、入れ歯は使用とともに劣化し、修理や調整が必要になる場合があります。
この記事では、入れ歯の種類、寿命、修理方法、日々のケアについて詳しく解説します。入れ歯を長く快適に使うための情報として、ぜひお役立てください。
入れ歯について
- 入れ歯にはどんな種類がありますか?
- 入れ歯には大きく分けて総入れ歯と部分入れ歯という2つの種類があります。
総入れ歯は、上顎か下顎、いずれか、またはどちらかの、すべての歯がない場合に使用する入れ歯で、歯茎全体に装着することで、噛む機能と見た目を保管します。
部分入れ歯は、欠損した一部の歯の機能を補うために装着するもので、クラスプというバネを残っている歯に引っかけて固定して使う、部分用の入れ歯です。 総入れ歯も、部分入れ歯も、いずれも保険適用のものと自費診療のものがあり、一般的には保険適用の歯科用レジン製のものが使用されますが、より快適性や審美性、機能性を求める場合には自費診療でさまざまな入れ歯を作ることができます。
- 入れ歯はどのくらい使用していると壊れますか?
- 保険適用の入れ歯の寿命は、一般的には3年から5年程度と言われています。ただし、使い方やお手入れの仕方次第で寿命は変わる可能性があります。 保険適用の入れ歯は、レジンという樹脂製の素材でできているため、熱や圧力が加わることで変形することがあります。温度の高い飲み物や、硬い食べ物を噛んだりすると変形して、完全に壊れていなくても、お口の中の形状に合わなくなりずれやすくなったり、付け心地が悪くなることがあります。 自由診療の入れ歯の寿命はさまざまですが、保険診療の入れ歯に比べて年数が長い傾向があり、10年から20年もつ金属製のものや、さらに長いものでは30年ほど使用できるとされるものもあります。
- 入れ歯の種類によって壊れやすさは異なりますか?
- 自費診療の入れ歯に比べて、保険診療の入れ歯の方が壊れやすい傾向があります。
保険診療の入れ歯は、レジンというプラスチック製のものなので、変形や摩耗が起きやすく、自費診療のもっと丈夫な素材の入れ歯と比べると壊れやすいといえます。 保険診療の入れ歯のなかでは、部分入れ歯の方が総入れ歯よりも壊れやすいといえます。
修復不可能なほど壊れることはほとんどありませんが、使い続けていくうちにクラスプという留め具の部分が緩んだり、変形したりすることはよくあることなので、長く使い続けるためには、定期的にメンテナンスをして入れ歯の調整を行う必要があります。
自分で入れ歯を修理することについて
- 入れ歯は自分で修理できますか?
- 入れ歯は自分では修復できません。
入れ歯が欠けたりしてしまった場合に、市販の接着剤を使って一時的に形をもとに戻すことはできたとしても、そのような接着剤にはお口の中に入れてしまうと危険な成分も含まれている可能性があるため、健康を害するリスクが生じます。
また、自力で修理した入れ歯はお口にぴったりな使用感ではなくなってしまい、使用し続けることで口腔内のダメージにつながってしまう可能性もあります。
入れ歯の修理を適切に行うためには、専門的な知識を持つ歯科技工士による対応が必要となりますので、まずは歯科医院に相談してみましょう。
- 自分で入れ歯を修理することによるリスクを教えてください
- 入れ歯には、金属や樹脂など、特殊な素材が使われています。このような素材の修理には、専門的な設備や道具が必要で、一般の家庭では加工が難しいでしょう。
例えば変形を直すために無理やり力を加えてしまうことで、入れ歯が割れてしまったり、余計な歪みが出て、装着感がかえって悪くなってしまうリスクがあります。
また、割れた箇所を市販の接着剤でくっつけると、お口の中でその接着剤の成分が溶け出し、人体に悪影響のある成分を誤飲してしまう可能性があります。
- 入れ歯が壊れたらどうすればよいでしょうか?
- 入れ歯の修理は、歯科技工士という専門的な知識や技術を持った医療スタッフが行います。
歯科技工士は、通常は歯科医師から依頼を受けて加工や修理を行うため、患者さん個人から直接修理の依頼をするのではなく、患者さんから歯科医院に相談し、歯科医院から歯科技工士へ修理依頼をするという手順を踏みます。 よく、入れ歯を落として割ってしまった、というケースがありますが、そのような場合でも入れ歯の破片をくっつけて修繕することが可能なので、破片は捨てずに取っておきましょう。 入れ歯が壊れた、装着性が悪くなったなどと感じる場合は、まずは歯科医院に相談しましょう。
- 入れ歯が壊れている期間はどのように過ごせばよいでしょうか?
- 割れたりして入れ歯としての機能を失っているような壊れ方をしている場合は、歯科医院に持っていくまでの間、どう過ごせばいいかとお困りだと思います。
例えば旅行先で入れ歯が壊れてしまったという場合は、入れ歯がないままだと恥ずかしいということも考えられます。そういった場合は、応急処置として瞬間接着剤を使用することも一つの手段といえます。
ただし、使用する瞬間接着剤はどのようなものでもよいわけではなく、人体に悪影響のある成分が含まれていない、耐水性のものを選びましょう。 耐水性の瞬間接着剤で割れたところをつなぎ、はみ出たところはティッシュなどで拭き取り、しっかりと乾かします。しっかりとくっついてから装着します。
ただし、この方法はあくまでも見た目を補っているだけで、その状態で食事をしたり、何日間も使い続けたりすると、さまざまなリスクがあります。
壊れてしまったらできるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
- 歯科医院に行けば入れ歯は直りますか?
- 壊れ方にもよりますが、歯科医院に行けば入れ歯を直すことができます。
歯科医院で当日中に直せる場合もあれば、提携している歯科技工所などに送って直す場合もあり、その場合は手元に戻るまで数日から数週間がかかることもあります。
入れ歯のケア
- 入れ歯を長持ちさせるためのケア方法はありますか?
- まず、割れないようにすることが重要です。高いところから落としてしまったり、硬いものを無理に噛んだりすると、割れてしまうことがありますので注意が必要です。
また、乾燥した場所に長期間置いておくと割れやすくなる可能性がありますので、使わないときは水につけたり、専用のケースなどに入れておくようにしましょう。 そして、長期間使い続けていると生じる可能性があるトラブルが、変形や摩耗です。
熱いお茶を頻繁に飲んだり、熱湯で洗浄したりすると変形しやすくなりますので、洗浄するときは水かぬるま湯を使い、歯ブラシなどで優しく丁寧に汚れを落としましょう。
- 入れ歯を長持ちさせるための注意点を教えてください
- 入れ歯を長持ちさせるには、毎日の清掃が重要です。
流水を当てながら指で磨いたり、細かなところは歯ブラシなどで丁寧に擦って汚れを落としましょう。定期的に入れ歯の洗浄剤を使用してつけ置き洗いをすると、歯ブラシなどでとりきれなかった汚れを落とすことができます。日々清潔に保つことで、変色や酸化を防ぎ、入れ歯を長持ちさせることができます。 入れ歯は丈夫な素材でできていますが、強い力を加えると割れたり曲がったりする恐れがあります。落としてしまったり、強い力で噛んだりしてしまうと破損しやすいので、取り扱いには十分注意しましょう。
編集部まとめ
この記事では、入れ歯の種類や寿命、壊れた場合の対処法、そして長持ちさせるためのケア方法について解説しました。
入れ歯が壊れた場合は、自分で修理せずに歯科医院を受診することが重要です。また、日々の適切なケアによって、入れ歯を長持ちさせることができます。この記事で得た知識を参考に、入れ歯と上手に付き合い、快適な生活を送ってください。
参考文献