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テレスコープ義歯で奥歯を治療するメリット・デメリットとは?検討する際のポイントも紹介!

テレスコープ義歯で奥歯を治療するメリット・デメリットとは?検討する際のポイントも紹介!

奥歯を失ってしまうと、人は噛んだものをすり潰すことができなくなります。従来は、入れ歯やインプラントが主な治療でしたが、現在は「テレスコープ義歯(ドイツ式入れ歯)」という選択肢も注目されています。特にドイツで開発されたこの方法は、見た目の自然さや安定性に優れていると言われています。この記事では、テレスコープ義歯の基本的な知識から、奥歯の治療における利点・欠点、さらに治療を検討する際の重要なポイントまで、詳しく解説します。

テレスコープ義歯とは

テレスコープ義歯とはどのような義歯ですか?
テレスコープ義歯は、「ドイツ式入れ歯」とも呼ばれます。残っているご自身の歯を土台として利用し、特殊な装置をはめることで、強く固定します。高い安定性があることが特徴です。従来の入れ歯のように金属のバネを使用しないため、審美性に優れており、また、装着時の違和感が少ないと言われています。
テレスコープ義歯の特徴を教えてください
テレスコープ義歯の主な特徴は以下のとおりです。
  • 二重冠構造
    残っている歯に「内冠」と呼ばれる金属のキャップを被せ、義歯本体に組み込まれた「外冠」が内冠にピッタリとはまり込むことで固定されます。
  • 審美性
    従来の入れ歯のような金属のバネがないため、従来とは異なり、入れ歯であることがわかりにくく、自然な見た目を保てます。
  • 安定性
    しっかりと固定されるため、硬いものでも、安定して噛むことができます。
  • 残存歯への負担軽減
    テレスコープ義歯は、噛んだときにかかる負担が全体に分散されるように設計されており、残っている歯や歯茎を保護する効果が期待できます。
  • 清掃性
    取り外し式のため、毎食後のお手入れが容易です。専用のブラシや洗浄液もあります。
テレスコープ義歯は保険診療ですか?
テレスコープ義歯は、保険適用外の自由診療となります。日本の健康保険制度では、必要最低限の機能回復を目的とした治療が保険適用となりますが、テレスコープ義歯は従来の入れ歯よりも審美性や機能性を備えており、最低限の機能回復ではないためです。
テレスコープ義歯にはどのような種類がありますか?
現在、多くの種類がありますが、代表的なものとして以下の3種類が挙げられます。
  • コーヌステレスコープ
    残っている歯(4本〜6本程度残っていれば可能)に円錐形の内冠を装着し、義歯側の外冠が摩擦力で固定されるタイプです。同じ形の紙コップを重ねると取れにくくなるようなイメージです。多くの症例に対応可能で、残っている歯を土台として利用します。
  • リーゲルテレスコープ
    義歯に小さな鍵(リーゲル)が付いており、この鍵の開閉によって義歯を固定・着脱するタイプです。リーゲルとは、かんぬきという意味です。このタイプは片側の奥歯の2,3本が欠損しているケースなどに適しています。内冠が1本1本離れず連結しているという特徴があります。
  • レジリエンツテレスコープ
    残っている歯が少ない場合や、歯周病などで歯が弱っているケースに用いられることが多いタイプです。主に粘膜で義歯を支え、残っている歯は義歯の横揺れを防ぐ補助的な役割を果たします。歯を支えにしないため残っている歯を維持する効果が期待できます。
テレスコープ義歯の費用相場を教えてください
費用は残存する歯の本数や噛み合わせなどによって大きく異なります。一般的な目安として、本体費用(30~70万円程度)に加えて、内外冠の費用(1本あたり10~30万円程度)が本数分かかり、最低でも100万円近くかかることがあります。総額としては、およそ150万円~300万円ほどになる場合もあります。

テレスコープ義歯で奥歯を治療するメリット・デメリット

テレスコープ義歯は奥歯の治療に向いていますか?
はい、テレスコープ義歯は奥歯の治療に適している場合があります。特に、複数本の奥歯を失ったケースにおいて、その利点が活かされることがあります。奥歯は噛む力が強くかかる部位であり、従来のバネ式の部分入れ歯では安定性や残存歯へかかる負担が問題となることがありますが、テレスコープ義歯は構造的に安定しやすく、負担も分散される設計になっています。
奥歯にテレスコープ義歯を使うメリットを教えてください
奥歯の治療にテレスコープ義歯を用いる主なメリットは以下のとおりです。
  • 安定性
    テレスコープ義歯は保険診療の部分入れ歯で使用する金属のバネよりもしっかりと固定されるため、硬いものでも安心して噛むことができます。
  • 残存歯への負担軽減
    従来の入れ歯においては、残存歯や周囲の歯にかかる負担が課題でした。一方でテレスコープ義歯は、咬合圧が全体に分散するような構造になっているため、残存歯への過度な負担がかからず、残存歯を保護する効果が期待できます。
  • 審美性
    金属のバネを使用せず、特にコーヌステレスコープとレジリエンツテレスコープでは、残存する歯にも被せ物をするため、全体的に自然な見た目を保ちやすいです。
  • 違和感の軽減
    精密な設計により口腔内へのフィット感が高く、金属を健康な歯に引っかけるようなこともないため、従来の入れ歯に比べて違和感が少ないと言われています。
  • 衛生面
    従来の入れ歯は、金属部分の洗い辛さがありましたが、テレスコープ義歯の場合はそもそも精度が高く汚れがつきにくいことに加え、構造的にも細かい部分も洗いやすくなっています。
奥歯にテレスコープ義歯を使うデメリットはありますか?
奥歯の治療にテレスコープ義歯を用いる際のデメリットや注意点も存在します。
  • 健康な歯を削る必要がある
    内冠を装着するために、支台となる歯を削る必要があります。残存している歯を削るため、しみたり痛みが出たりする可能性があります。
  • 費用が高額
    保険適用外の自由診療であり、治療費が高額になります。
  • 対応できる歯科医師・歯科技工士が限られる
    テレスコープ義歯の作製には高度な専門知識と技術、経験が求められるため、どの歯科医院でも受けられる治療ではありません。
  • 支台歯の条件
    コーヌステレスコープのように支台歯に神経があることが望ましいとされる場合や、歯周病が進行している場合は適用が難しいこともあります。

テレスコープ義歯以外の奥歯の治療法

テレスコープ義歯以外にも奥歯の入れ歯の選択肢はありますか?
はい、テレスコープ義歯以外にも奥歯を補うための治療法はいくつかあります。欠損する歯の数が1本であり、残っている歯が、全体的に健康なケースなどは、従来の選択肢の方が望ましいことがあります。
  • ブリッジ
    失った歯の両隣の健康な歯を削って土台にし、橋を架けるように連結した人工歯を装着する方法です。両隣に歯が必要なため、一番奥の歯がない場合は基本的に適用できません。
  • インプラント
    顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を装着する方法です。自分の歯に近い感覚で噛むことができますが、外科手術が必要で費用も高額です。
  • 保険適用の部分入れ歯
    残っている歯に金属のバネをかけて固定する取り外し式の入れ歯です。安価ですが、審美性に劣り、バネをかけた歯に負担がかかることがあります。

これらの治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあり、口腔内の状態や予算などによって適切な選択肢は異なります。

テレスコープ義歯を検討する際のポイントや判断基準を教えてください
テレスコープ義歯を検討する際のポイントとして、以下が挙げられます。
  • 残存歯の状態本数、位置、健康度合いが重要です。テレスコープにも多くの種類があり、それぞれに適用の条件があります。
  • 噛む機能の回復への期待度:どれくらい噛む力を欲しているか
  • 審美性への要望:見た目の自然さをどの程度重視するか
  • 予算と費用対効果:上述したとおり治療費は高額になります。

編集部まとめ

テレスコープ義歯は、奥歯の治療において、優れた審美性と安定した咀嚼機能をもたらす可能性のある有効な選択肢です。一方で費用面や治療施設が近隣にはない可能性もありますので、メリットデメリットを考え、自身にとってよりよい治療法を見つけましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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