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噛み合わせ治療は保険適用で受けられる?適用条件や受ける際の注意点を解説!

噛み合わせ治療は保険適用で受けられる?適用条件や受ける際の注意点を解説!

私たちの永久歯は、親知らずを除くと全部で28本生えてきます。それぞれ異なる形をしており、上下の歯で適切に噛み合うようになっているのですが、さまざまな理由でその状態が乱れることがあります。つまり、噛み合わせには、よい状態と悪い状態とがあり、後者は歯科治療で改善するのが望ましいのです。今回はそんな噛み合わせ治療の方法や保険適用の可否、治療を受ける際の注意点などを詳しく解説します。噛み合わせに異常を感じている人は参考にしてください。

噛み合わせの治療について

噛み合わせの治療について はじめに、噛み合わせとそれを改善する方法の基本事項を確認しておきましょう。

よい噛み合わせと悪い噛み合わせについて教えてください
よい噛み合わせは、うえの歯1本と下の歯2本が噛み合っている状態です。これを専門的には1歯対2歯咬合(いっしたいにしこうごう)と呼び、理想的な噛み合わせの状態なので、必ずしもすべての歯が上下でその関係にある必要はありません。上下の歯列全体で均等に噛めていて、審美性や機能性に大きな問題を抱えていなければ、噛み合わせ治療を受ける必要性も低くなります。

一方、悪い噛み合わせは、前述した1歯対2歯咬合ではなく、上下の歯が不規則に噛み合っている状態を指します。専門的には不正咬合(ふせいこうごう)と呼ばれるもので、叢生(そうせい)、開咬(かいこう)、上顎前突(じょうがくぜんとつ)、下顎前突(かがくぜんとつ)、空隙歯列(くうげきしれつ)、過蓋咬合(かがいこうごう)、交叉咬合(こうさこうごう)、鋏状咬合(きょうじょうこうごう)など、実に多様な種類が存在しています。

噛み合わせが悪いとどのような問題がありますか?
噛み合わせが悪いと、次に挙げるような問題が生じることがあります。

【問題1】むし歯・歯周病のリスクが高まる

噛み合わせが悪いと、歯磨きが難しくなります。これにより、歯垢や歯石が溜まりやすくなり、むし歯や歯周病のリスクが増加します。

【問題2】歯の寿命が縮まる

噛み合わせの不調は、特定の歯に過度な負担をかけ、摩耗や破損が進行します。その結果、歯の寿命が短くなる可能性があります。

【問題3】顎関節症を発症する

噛み合わせが悪いと、顎の関節に異常な力がかかり、顎関節症を引き起こすことがあります。顎の痛みや違和感が症状として現れることがあります。

【問題4】歯ぎしりや食いしばりが誘発される

噛み合わせの悪さは、無意識に歯ぎしりや食いしばりを引き起こす原因となり、歯や顎にさらなるダメージを与えます。

【問題5】噛みにくいため胃腸への負担が増加する

十分に噛めないことで、消化が不十分になり、胃腸に負担がかかりやすくなります。

【問題6】顔が歪む可能性がある

噛み合わせが悪いと、顔の左右バランスが崩れ、顔の歪む可能性があります。

【問題7】頭痛や肩こりに悩まされる

噛み合わせの問題は、首や肩の筋肉に負担をかけ、頭痛や肩こりを引き起こすこともあります。

噛み合わせの治療について教えてください
噛み合わせの治療方法としては、歯科矯正、補綴(ほてつ)治療、外科的矯正の3つが挙げられます。

【方法1】歯科矯正

噛み合わせの問題を改善するために、歯列矯正が一般的に行われます。マルチブラケット装置(ワイヤー矯正)やマウスピース型矯正装置を使って歯を動かし、歯の位置や噛み合わせを調整します。

【方法2】補綴治療

噛み合わせの改善には補綴治療も有効です。欠損歯やすり減った歯に対し、被せ物やブリッジ、義歯を使用して噛み合わせを整えます。これにより、噛む力が均等に分散され、歯や顎への負担を軽減できます。

【方法3】外科的矯正

外科的矯正は、骨格的な問題が原因で噛み合わせが悪い場合に行われます。顎の手術により骨の位置を調整し、噛み合わせのバランスを改善します。この治療法は主に顎変形症などの重度のケースに適用されます。

噛み合わせ治療の保険適用について

噛み合わせ治療の保険適用について 次に、今回のメインテーマである噛み合わせ治療の保険適用について解説します。

噛み合わせ治療が保険適用になる条件を教えてください
前提として、悪い噛み合わせによって機能的な問題が生じていて、日常生活に大きな支障をきたしている場合は、噛み合わせ治療に保険が適用されます。ただし、噛み合わせ治療の種類によっては、保険適用の可否が変わることから、実施するかの判断は担当する歯科医師に委ねられることになります。特に歯科矯正と外科的矯正は、保険適用になる条件が以下のように厳密に決められています。

◎歯科矯正・外科的矯正に保険が適用される条件

①別に厚生労働大臣が定める疾患に起因した咬合異常に対する矯正歯科治療
②前歯および小臼歯の永久歯のうち3歯以上の萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするものに限る。)に対する矯正歯科治療
③顎変形症(顎離断などの手術を必要とするものに限る)の手術前・後の矯正歯科治療

これらの条件を満たす場合は、歯科矯正や外科的矯正に保険が適用されることがあります。

保険適用される治療の具体例を教えてください
補綴治療に関しては、一般的な詰め物・被せ物治療、入れ歯治療、ブリッジ治療などに保険が適用されます。歯科矯正は、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)やダウン症候群、ゴールデンハー症候群などの先天性疾患を患っていて、それが原因で噛み合わせに深刻な問題が生じている場合など、厚生労働省が指定する先天疾患がある場合、もしくは先天欠如歯が6本以上あったり、埋伏歯が3本以上ある場合、矯正治療は保険適用になります。ただし、上述したように埋伏歯開窓術(まいふくしかいそうじゅつ)という外科手術を併用する場合に限られます。顎変形症を患っていて、それを治すための外科手術を行い、その前後で歯列矯正を必要とするケースにも保険が適用されることがあります。
保険適用にならないのはどのような治療ですか?
補綴治療では、セラミックやジルコニアなど、特別な素材・治療法を選択する場合は、保険が適用されません。歯科矯正や外科的矯正は、上述した条件を満たさないケースで原則的に自費診療となります。
保険適用と自費の費用の目安を教えてください
噛み合わせ治療にかかる費用は、保険と自費で以下のように異なります。

【補綴治療】インプラントも含む

保険診療:3,000~20,000円程度
自費診療:20,000~500,000円程度

【歯科矯正】

保険診療:200,000~400,000円程度
自費診療:600,000~1,400,000円程度

【外科的矯正】顎変形症の手術費用を想定

保険診療:300,000~500,000円程度
自費診療:1,000,000円程度

噛み合わせ治療を受ける際の注意点

ここでは、噛み合わせ治療を受ける際の注意点を解説します。

どのようなクリニックで噛み合わせ治療を受けるとよいですか?
噛み合わせ治療の経験が豊富で、治療の選択肢も幅広く用意されているクリニックが望ましいです。また、歯科矯正を保険診療で受ける場合は、国が認可した医療機関である必要があります。国の認可を受けているかどうかは、地方厚生(支)局|厚生労働省のサイトにアップされている施設基準届出受理医療機関名簿で確認できます。
保険適用の条件に合えば、どこのクリニックでも受けられますか?
歯科矯正や外科的矯正に関しては、矯診あるいは顎診の指定医療機関でなければ保険診療で治療を受けられません。これらの指定を受けているかどうかは、上述した

地方厚生(支)局|厚生労働省の施設基準届出受理医療機関名簿で確認できます。

保険適用以外で費用を抑える方法はありますか?
噛み合わせ治療を自費診療で受ける場合は、料金の安いクリニックを選択することで費用を抑えられます。また、医療費控除を利用することでも噛み合わせ治療の費用を抑えることは可能です。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が100,000円を超えた場合に利用できる制度で、セラミック治療やインプラント治療、歯列矯正などで噛み合わせ治療を行った場合でも対象となることがあります。

編集部まとめ

今回は、噛み合わせ治療に保険が適用される条件や治療を受ける際の注意点などを解説しました。噛み合わせを治療する方法としては、補綴治療・歯科矯正・外科的矯正の3種類が挙げられ、補綴に関しては広い範囲に保険が適用されますが、歯科矯正と外科的矯正に関しては、保険適用の条件が厳密に定められており、ほとんどの症例で自費診療となる点に注意が必要です。ただ、自費診療で歯科矯正や外科的矯正を受けた場合でも、医療費控除の対象となるケースがあることから、経済的負担を減らすためにも、確定申告書の際に申請することが推奨されます。

参考文献

この記事の監修歯科医師
竹本 竜太朗医師(北海道大学病院歯科診療センター(歯科矯正科) 大学院生)

竹本 竜太朗医師(北海道大学病院歯科診療センター(歯科矯正科) 大学院生)

北海道大学歯学部 卒業 / 現在は北海道大学病院歯科診療センター勤務 / 専門は歯科矯正科

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