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歯石が溜まりやすい人の特徴とは?注意すべき疾患や歯石が溜まらないようにする方法

歯石が溜まりやすい人の特徴とは?注意すべき疾患や歯石が溜まらないようにする方法

きちんと歯磨きしているのに歯石が溜まる。そうした疑問を持っている人は、ぜひこのコラムを読んでください。歯石は、ある条件によって溜まりやすくなります。それを知っているか否かによって、今後の口腔の健康状態も大きく変わってくることでしょう。ここではそんな歯石が溜まりやすい部分や溜まりやすい人の特徴、その状態を放置するリスクなどを詳しく解説します。

歯石とは

はじめに、歯石ができる仕組みや溜まりやすい部分について確認しておきましょう。

歯石ができる仕組みについて教えてください。
歯石は、歯垢が石灰化を受けることで生じる汚れです。唾液に含まれるリン酸やカルシウムが歯垢に沈着し、石のように硬くします。この仕組みは酸によって溶出したエナメル質を唾液が修復するものと変わりはありません。唾液に含まれるリン酸やカルシウムというのは、歯だけでなく、歯垢にも無差別に沈着するものなのです。ちなみに歯石は、歯垢が生じてから2日程度で形成されます。歯垢ほど早く生じるものではありませんが、皆さんが思っているよりも早く形成されるため、十分な注意が必要です。
歯石が溜まりやすい部分はどのあたりですか?
歯石は、唾液腺の開口部付近で溜まりやすくなっています。具体的には、下の前歯の裏側や上の奥歯の外側です。この辺りは唾液腺の開口部が近く、常にたくさんの唾液に晒されています。そのため歯垢が歯石に変化しやすくなっているのです。

歯石が溜まりやすい人の特徴

歯石が溜まりやすい人の特徴 この段落では、歯石が溜まりやすい人の特徴について説明します。

歯石が溜まりやすい人にはどんな特徴がありますか?
次に挙げる特徴がある人は、歯石が溜まりやすくなっています。

・歯磨きが不十分である
歯磨きを十分に行えていないと、歯垢が沈着します。歯垢は歯石の元になる物質なので、その量が多ければ多いほど、歯石も溜まりやすくなります。また、歯磨きが不十分な口内環境では細菌が繁殖しやすく、歯垢の形成がさらに促進されていきます。

・唾液がアルカリ性に寄っている
歯石の溜まりやすさについて考える際、口腔及び唾液のpHへの理解が重要となります。むし歯は食品などの影響で口腔内のpHが低く、酸性に傾くことで発症リスクが高まりますが、歯石が形成されるpHは逆です。pHが高く、アルカリ性に傾くと、唾液中のリン酸やカルシウムが沈着しやすくなり、歯石の形成も促されるのです。そのため唾液がもともとアルカリ性に寄っている人は、中性付近の人と比べて歯石が溜まりやすいといえます。

・唾液の量が多い
唾液による石灰化作用は、その量が多ければ多いほど高くなります。上でも述べたように、唾液の量が必然的に多くなる唾液腺開口部付近で歯石の形成が増えるのはそのためです。また、唾液の分泌量には個人差が見られ、標準よりもたくさんの唾液が出る人がいます。それ自体は口腔衛生を良好に保つ上で有利に働く面の方が大きいのですが、歯石の形成という面においては不利に働きます。だからといって唾液の量を減らす努力をする必要はありません。なぜなら唾液による作用は、デメリットよりもメリットの方が圧倒的に多いからです。

・歯並びが悪い
歯並びが悪いとブラッシングしにくいことから、磨き残しが多くなります。その結果、歯垢の形成が増え、歯石もたまりやすくなるのです。

・喫煙している
タバコの煙は、口腔内を乾燥させることで細菌の活動を活発化させます。それは唾液による自浄作用、殺菌作用、抗菌作用が抑制されるからです。歯石を作る原因となる石灰化作用も抑制されますが、それ以上に歯垢の形成が促されたり、細菌が繁殖したりするため、結果としては歯石が溜まりやすくなるのです。

歯石が溜まっているのを放置するとどんなリスクがありますか?
歯石を除去せず放置していると、歯茎に炎症が起こったり、口臭が強くなったりします。

・歯茎の炎症を引き起こす
ザラザラとした歯石は、細菌の温床となります。歯茎の境目や歯周ポケットの中で細菌が繁殖し、歯肉炎を発症することで歯茎に炎症が生じます。その状態を放置していると、炎症反応が顎の骨にまで広がり、歯周組織の破壊が進んでいくため、早期に歯石を除去する必要が出てきます。

・口臭が強くなる
歯石の周りで繁殖した細菌は、食べかすを分解する過程で悪臭を放つガスを産生します。それが口臭を強くする原因にもなります。

歯石が溜まりやすい人が注意すべき疾患について教えてください。
歯石が溜まりやすい人は、歯周病に注意しましょう。歯茎の周りに歯石が溜まると、P.g菌を始めとした歯周病菌が異常繫殖します。歯周病菌は、歯茎や顎の骨に炎症反応をもたらすだけでなく、それらを溶かす物質も産生することから、重症化すると歯周組織がボロボロになってしまうのです。日本人が歯を失う原因の第一位がむし歯ではなく歯周病であるのはそのためです。末期の歯周病では、抜歯を余儀なくされます。

歯石が溜まらないようにする方法

歯石は歯周病を引き起こし、最終的には歯の喪失を招くため、可能な限り溜まらないようにすることが大切です。

歯石が溜まらないようにする方法を教えてください。
以下の方法を実践することで、歯石が溜まりにくくなります。

・適切な方法での歯磨き
歯科医院のブラッシング指導で学んだ方法を毎日の歯磨きで実践すれば、プラークフリーな状態を作りやすくなります。歯垢の堆積を防ぐことは、そのまま歯石の形成を防ぐことにもつながります。

・デンタルフロスや歯間ブラシの使用
歯と歯の間は、歯垢が溜まりやすいため、デンタルフロスや歯間ブラシで清掃しましょう。歯間部専用の清掃器具を活用することで、磨き残しが減り、歯石の形成も抑えられます。

・生活習慣の改善
喫煙や口呼吸は、口腔乾燥を引き起こすことで細菌の活動を活発化させ、歯垢・歯石の形成を促します。そうした悪習慣を改めることでも歯石を溜まりにくくすることは可能です。

歯科医院では歯石に対してどのような治療を行いますか?
歯科医院では、歯石をスケーリング、ルートプレーニング、フラップ手術といった方法で取り除きます。

・スケーリング
スケーリングは、歯石を除去する最も標準的な方法です。スケーリングという先端が鋭利になった器具で、歯の表面に付着した歯石を削り取ります。繊細な操作が求められる細かい部分の歯石は手用スケーラーで、歯全体の大まかな歯石除去は超音波スケーラーを使用するのが一般的です。

・ルートプレーニング
歯周ポケットの中に形成された歯石を取り除く方法がルートプレーニングです。スケーラーを歯茎の中に挿入して、歯石を削り取ります。歯石除去をする位置関係上、出血や痛みを伴うことから、ルートプレーニングでは事前に局所麻酔を施します。歯根面の歯石や歯垢などを除去して滑らかにしたら治療は完了です。

・フラップ手術
フラップ手術は、ルートプレーニングでも取り除くことが難しい、深い歯周ポケットが形成された症例に適応される歯周外科治療です。そのままの状態では歯石を除去できないため、歯茎をメスで切開して歯根面を露出させます。その上でスケーリング・ルートプレーニングを実施して、汚染物質を一掃します。最後は歯茎を縫合して、元の状態へと戻します。

◎自分で歯石を取るのは危険?
歯石は、市販のスケーラーを使って自分で取ることも可能ですが、推奨することはできません。なぜならスケーリングは歯科に関する正しい知識と技術が身に付いていないと、歯や歯茎を傷つける恐れがあるからです。そのためスケーリングは、原則として歯科医師や歯科衛生士といった専門家に任せた方がよいといえます。

編集部まとめ

編集部まとめ 本記事では、歯石が溜まりやすい人の特徴について解説しました。歯石は、歯磨きが不十分である、唾液がアルカリ性に寄っている、唾液の量が多い、歯並びが悪い、喫煙している場合に溜まりやすくなります。この中にひとつでも当てはまるものがある方は注意するようにしましょう。また、歯石は材料となる歯垢がなければ形成されないため、歯石を予防したい方は、本文でも紹介した方法を実践して歯垢を取り除き、口腔衛生状態を良好に保つよう努めてください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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