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入れ歯治療中の人の平均年齢は何歳?歯を喪失する原因や入れ歯の種類も解説

入れ歯治療中の人の平均年齢は何歳?歯を喪失する原因や入れ歯の種類も解説

歯がなくなってしまったときの治療法の一つである入れ歯ですが、入れ歯を使用しはじめる平均年齢は何歳くらいなのかと疑問に感じたことはありませんか? この記事では、部分入れ歯や総入れ歯の治療を受ける人の年齢や割合、そして入れ歯の種類などについて解説します。入れ歯治療について興味がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

入れ歯治療を受けている人の平均年齢と年代別割合

入れ歯治療を受けている人の平均年齢と年代別割合

入れ歯治療は、むし歯や歯周病、外傷などの何らかの理由によって歯を失ってしまった場合に行われる治療の一つです。任意につけ外しが可能で、歯の機能や見た目を補う装置を広く入れ歯と呼びます。
入れ歯は歯の欠損を補うものですから、やはり年齢層が高くなるにつれて利用者の割合は増加します。
ここでは、厚生労働省が行っている歯科疾患実態調査の結果をもとに、部分入れ歯と総入れ歯、そしてその他の治療を受けている方の平均年齢などについて紹介します。

部分入れ歯を受けている人

部分入れ歯は、一部の歯が欠損している場合に使用される入れ歯で、1本分を補うものから十数本という本数を補うものまでさまざまです。
部分入れ歯を使用し始めるのは35~39歳くらいからですが49歳頃までは全体の1%ほどしか部分入れ歯を使用する人がいません。50歳を超えると部分入れ歯の使用者数が5%を超え、60歳から64歳では15%ほどが部分入れ歯の利用者となっています。
部分入れ歯を使用する方が特に増えるのは70~74歳の年代で、全体の3分の1ほどが利用しはじめます。
さらに年齢が高くなり、80歳を超えると利用者の割合が45%に近づくため、最終的には全体の半数近い方が、部分入れ歯を利用することになるといえます。
各世代別の人口なども加味すると、部分入れ歯を使用している方の平均年齢は74.5歳ほどで、歯の欠損を補う治療のなかでは高年齢層に利用されやすい治療といえます。

総入れ歯を受けている人

総入れ歯は、前歯から奥歯まですべての歯が揃った入れ歯です。残っている歯がまったくない場合に利用されるため、総入れ歯と部分入れ歯やブリッジといったほかの治療を併用することはありません。
総入れ歯はすべての歯が欠損している方を対象とした治療であることもあって、利用者の年齢は部分入れ歯よりもさらに高めです。
総入れ歯を使用しはじめる年齢は45~49歳頃ですが、その後59歳頃までは全体の1%程度、60代でも全体の3%程度しか、総入れ歯を利用している方はいません。
70代前半では10%に近い利用率となり、その後70代後半には18%ほど、そして80代以降になると利用者が30%を超えていきます。
利用者の平均年齢は80歳程度で、85歳以降の方でも36%ほどの利用率であるため、生涯総入れ歯を使用しないという人の方が多いといえます。

入れ歯以外の喪失歯に対する治療を受けている人

入れ歯以外の欠損した歯を補う治療としては、ブリッジやインプラント治療があります。 ブリッジは複数本の歯がつながったような補綴物を、残っている歯にかぶせて固定する治療法で、歯科医院でしっかりと固定するため、強い噛み心地を実現しやすい治療です。
一方で、欠損している歯の両隣に健康な歯が残っていないと治療が難しいため、ご高齢の方など欠損している部位が多い場合は適応とならないことも多くなります。
ブリッジは30~34歳頃に治療を受ける方が出始め、40代では全体の10%強、50~54歳になると25%ほどがブリッジを利用しています。
60歳を超えると全体の40%以上がブリッジを利用し、特に利用割合の多い70~74歳には利用率が50%を超えますが、その後は利用者の割合が減少し、85歳以降においては40%程度の利用率となります。
利用者の平均年齢は67歳ほどで、入れ歯よりも若い年齢層の利用者が多い点が特徴です。
なお、ブリッジは歯の欠損を補う治療として最も利用される割合が高く、15歳以降の30%を超える方が、ブリッジを装着しているというデータがあります。 インプラント治療は、歯が欠損している箇所に、金属製の人工歯根を埋め込んで土台を作り、そこに被せ物を行うことで天然の歯と同じような構造を実現する治療法です。
自費診療であるため治療費用が高額になりやすいというデメリットがありますが、機能的にも見た目的にも天然の歯に近い治療が実現できることから、長期的な視点で選ばれやすい治療法といえます。若い年代での利用者も多く、25~29歳での利用率が2.6%、30~34歳での利用率が1.3%となっています。
インプラント治療は年代による差が小さく、50歳以降はどの年代も3~6%ほどの利用率です。
インプラント治療を受けている方の平均年齢は64.8歳ほどで、歯の欠損を補う治療のなかでは若い年代に利用されやすい治療であるといえます。

歯の健康状態の年代別データ

歯の健康状態の年代別データ

入れ歯をはじめとした歯の治療を受けている割合などとともに、厚生労働省は各年代の歯の健康状態などについての調査データも公表しています。
年代別に残っている歯の平均本数やむし歯の状況などについてみてみましょう。

8020の達成率は約50%

厚生労働省は、健康な口腔状態の目安として、80歳以上で20本以上の自分の歯を残すという目標を掲げ、8020運動を行っています。
令和4年度の調査では、この8020の達成率が51.6%となり、半数以上は8020を達成しています。
8020の達成率は平成28年度の調査時点でも51.2%であったため、前回の調査から大きくは数値が変わっていないという状況ですが、平成5年時点では10.9%であり、平成23年度でも38.3%であったことを考えると、歯科診療の進歩や歯のケアへの意識向上によって、近年になるにつれて健康な口腔状態が保たれやすくなっているといえるでしょう。

年代別の歯の平均本数

年代別の残っている歯の平均本数は、平成28年と令和4年の調査を比較すると増加傾向にあるといえます。
40代は前回調査から28本に近い本数で横這い、50~54歳でも26.5本ほどで横這いですが、55~59歳では前回調査時が25本程度に対し、令和4年度は26.5本と増加しています。
それ以上の年代でも増加している例が多く、85歳以上の方は前回が10本程度であったのに対し、令和4年は14本と大幅に改善されています。
また、70~74歳の年代で平均20本以上の歯が残っている状況であるため、今後は8020の達成率もさらに増加していくものと期待できます。

年代別のむし歯の状況

次に、年代別のむし歯の有無をみてみましょう。
永久歯を持つ5歳以上を対象にした調査では、処置済と未処置を含めて何らかのむし歯がある人の割合は、9歳までで2.5%、10~14歳で31.7%、15~19歳で44.9%、20~24歳で71.2と増加していき、それ以降は80%以上で推移しています。
特に35~74歳はどの年代も95%以上で、むし歯がとても身近な疾患であることが伺えます。
なお、処置完了のむし歯を除いた数値については、20歳以降はどの年代も30%に近い数値であるため、3人に1人は治療が必要なむし歯を抱えているという状況です。

歯を喪失する原因

歯を喪失する原因

歯を喪失する原因として特に多いのはむし歯と歯周病で、この二つは歯を失う2大疾患とされます。
歯を失うそれぞれの要因について確認しましょう。

むし歯

歯の喪失の約30%は、むし歯が原因によるものです。
むし歯は歯に付着した細菌が作り出す酸などによって歯が溶かされ、時間経過とともに細菌が歯の内部へと感染を広げていく病気です。
初期症状については自覚症状が少なく、症状が進行して歯の内部にある神経に感染が広がると、神経の炎症が生じて持続的な強い痛みが生じるようになります。
むし歯は、早めに治療を行えば、感染部位を除去して詰め物をしたり、人工の歯をかぶせるといった方法で対応が可能であり、歯の喪失を防ぐことができます。神経の炎症により歯が痛い状態も、神経を除去する根管治療によって改善が可能です。
しかし、痛みがあっても放置し続けてしまったり、神経を除去した歯でむし歯が進行してしまったりすると、歯が全体的にボロボロになり、抜歯が選択される可能性が出てきます。

歯周病

歯を喪失する要因として、実はむし歯よりも高い割合であるものが歯周病です。歯周病は歯を喪失する要因の37%を占めます。
歯周病は口腔内の細菌が作り出した毒素などによって歯肉に炎症が生じたり、歯槽骨という歯を支える骨が溶かされたりしてしまう疾患です。
痛みなどの自覚症状がないまま症状が進みやすく、歯がグラつくなどの自覚症状が現れたときにはすでに歯を喪失する直前ということも多いことから、歯を喪失する要因として特に多くなっているといえます。
歯周病によって歯槽骨が溶かされてしまうとその回復は簡単ではないため、歯周病によって歯を失わないためには、日々のケアや定期的な歯科医院でのクリーニングなどによって、歯周病を悪化させないことが重要です。

外傷など

歯を失う要因で3番目に多いものが破折で、歯が折れたり、ひびが入ったりしてしまうと、そこにむし歯が生じた際などにケアが行えなくなるため、抜歯が選択されます。
破折は歯に強い力が加わって起こる外傷などが原因となりますが、一方で健康な歯は破折が生じにくいため、むし歯の治療で神経を取る処置を行った歯で破折が生じるケースが大半と考えられます。そのため、破折を原因とした歯の喪失は、間接的にはむし歯が影響しているともいえます。

入れ歯の種類

入れ歯の種類

入れ歯にはさまざまなものがあり、それぞれに特徴が異なります。代表的な入れ歯を紹介します。

保険適用の部分入れ歯

特に多くの方が利用している部分入れ歯は、やはり保険適用で作れるものです。保険適用の入れ歯は、歯科用レジンで作られた義歯床と人工歯に、歯を固定させるためのクラスプとよばれる金属製のパーツがついています。
使用時にクラスプが目立ちやすいことや、高い安定感が得にくいというデメリットはありますが、保険適用で安価に作りやすく、どの歯科医院でも調整しやすいなど、使い勝手のよさにメリットがあります。

保険適用の総入れ歯

保険適用で作れる総入れ歯は、義歯床と人工歯のすべてが歯科用レジンで作られたもので、一人ひとりの顎に形を合わせて作られているため、そのままはめ込むだけで使用可能です。
総入れ歯を使用することで噛むという行為は行えるようになりますが、安定感が低く強い噛み心地を実現しにくい点や、ある程度の厚みがあるため使用時に違和感を覚えやすいといった点が難点です。

マグネットデンチャー

マグネットデンチャーは、残っている歯根に磁石と反応しやすい金属を埋め込み、そこに磁力で取り付けることができる、磁石が入った入れ歯です。
以前は自費診療でしか作ることができませんでしたが、現在はマグネットデンチャーも保険診療で作成可能です。
強い磁力で安定させるため、しっかりとした噛み心地を実現しやすく、見た目もクラスプなどがない、自然な仕上がりにしやすい点がメリットの入れ歯です。

ノンクラスプデンチャー

名前のとおり、クラスプを用いない部分入れ歯がノンクラスプデンチャーです。
クラスプの代わりに義歯床部分が残っている歯にフィットし、入れ歯を安定させます。
クラスプがないため使用時の見た目が自然であるというメリットがありますが、安定感が得にくく、強く噛むような行為がしにくい点がデメリットです。

インプラントオーバーデンチャー

歯槽骨に埋め込んだインプラントを土台にして安定させる入れ歯が、インプラントオーバーデンチャーと呼ばれるものです。
一般的な入れ歯よりもしっかりと安定させやすく、数本のインプラントで広い範囲の歯を支えられるため、欠損している歯の本数が多い症例などでおすすめできる治療法です。

金属床義歯

義歯床部分が、金属でできている入れ歯を金属床義歯と呼びます。
保険適用の入れ歯は義歯床部分が歯科用レジンで作られますが、歯科用レジンはそこまで強度が高い素材ではないため、十分な強度の入れ歯を作ろうとすると、厚みが出てしまいます。
この厚みが使用時の違和感につながりやすくなるため、義歯床の素材に薄くてもしっかりとした強度を実現可能な金属素材を使うことで、使用感の向上を目指すものが金属床義歯です。
金属は熱伝導率も高いため、食事の温度などを実感しやすく、食事を楽しみやすいというメリットもあります。

歯の喪失を防ぐための方法

歯の喪失を防ぐための方法

歯は、一度失ってしまったら自然と生えてくることがありません。
入れ歯などで失った歯を補う治療を受けることも一つの方法ですが、できる限り歯を失わないよう、以下の点に注意して過ごすことが大切です。

口腔ケアをしっかり行う

歯を失う要因の大半はむし歯と歯周病であり、どちらもお口のなかの細菌が原因です。
食事の後にはしっかりと歯磨きを行い、細菌が酸や毒素を作り出しにくい状況を作れば、むし歯や歯周病は予防することができます。
歯磨きだけでは歯と歯の間などに付着している汚れを除去しきれないため、フロスや歯間ブラシ、マウスウォッシュを合わせて適切に利用するようにしましょう。

むし歯や歯周病が見られたらすぐ歯科医院を受診する

むし歯や歯周病は、時間経過とともに症状が進行し、必要な治療範囲も拡大していく疾患です。早めに治療を受ければ歯を削るなど負担がかかる対応もほとんど必要なく、歯を健康な状態で残しやすくなります。
放置しておいても自然と治ることはありませんので、気になる症状がみつかったらできる限り早く歯科医院を受診するようにしましょう。

定期的に歯科検診やメンテナンスを受ける

定期的な歯科検診やメンテナンスを受けることは、歯の健康を守るためにとても役立ちます。普段の歯磨きで除去しきれずに残ってしまった歯垢も専門性の高いクリーニングで除去できますし、万が一歯にトラブルが生じていても、早期発見であまり削ったりせずに治療が可能となります。
生涯にわたってしっかりと自分の歯を残すためにも、1~3ヶ月に一度程度は歯科検診を受診するようにしましょう。

まとめ

まとめ

歯の喪失に対応する治療法のなかでは、入れ歯による治療を受けている方は平均年齢が高めとなっています。
ただし、平均年齢が高いからといって若い頃に利用するべきではない治療というものではく、治療を受ける際は症状やライフスタイルを加味して、自分自身に合った治療法を選択することが大切です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

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