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奥歯治療でジルコニアが適しているのはどのような人?メリット・デメリットや注意点を解説!

奥歯治療でジルコニアが適しているのはどのような人?メリット・デメリットや注意点を解説!

歯科の審美材料として人気の高いジルコニア。天然歯のように美しいだけでなく、強度も高いことから、通常のセラミックでは治療が難しいケースにも問題なく適応できる場合があります。ここではそんなジルコニアが奥歯治療で適しているケースやメリット・デメリット、治療に際して注意すべき点などを詳しく解説します。奥歯治療でジルコニアを検討中の方は参考にしてみてください。

ジルコニアの奥歯治療が適している人

ジルコニアの奥歯治療が適している人 はじめに、奥歯治療でジルコニアが適している人の特徴を解説します。

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方

奥歯治療で問題となりやすい習慣に、歯ぎしりや食いしばりがあります。専門的にはブラキシズムと呼ばれるもので、天然歯が欠けたり、亀裂が入ったりすることはもちろん、奥歯治療で装着した詰め物や被せ物が破損する原因にもなりえます。

歯ぎしり・食いしばりでは、成人男性の場合で100kg以上の力が歯や人工歯にかかるといわれているからです。奥歯治療で通常のセラミックを使用すると、圧力で割れてしまうかもしれません。保険診療のレジン歯も同様の理由から推奨できないケースがあります。

金属に匹敵する強度を持つジルコニアは、歯ぎしり・食いしばりで過剰な圧力が加わったとしても割れることは少ないでしょう。過去に奥歯治療で銀歯を入れた経験がある方なら、割れる心配をしたことがないかと思いますがジルコニアでも同様です。ただし、歯ぎしり・食いしばりは、ジルコニア以外の奥歯にも大きな負担を強いることから、いずれにしてもその症状を改善するよう努めた方がよいといえます。

金属アレルギーを持っている方

歯ぎしり・食いしばりがあったり、もともと噛む力が強かったりする方の奥歯治療では、金銀パラジウム合金で作られた銀歯が第一選択となりやすいです。銀歯は見た目が悪いことに加え、金属イオンが溶出して歯茎に沈着したり、その一部が血管に入り込んでアレルゲンとなったりしてしまいます。つまり、銀歯に含まれる金属でアレルギー症状が現れる体質の方は、それ以外の材料で人工歯を作る必要があります。

その際、有用なのが銀歯と同等の硬さを備えていて、審美性も極めて高いジルコニアです。ジルコニアはセラミックの一種であるため、長年の使用でも金属イオンが溶出するリスクはありません。生体親和性が高く、人工歯根の材料にも使われることから、健康面に不安がある方でも装着できます。

自然な歯に近い審美性を求める方

奥歯と前歯の治療では、後者の方が高い審美性が要求されます。笑ったときに前歯の色や形、大きさなどがよく目立つからです。そのため、保険診療でも前歯治療で完全な銀歯を使うことはありません。少なくとも歯科用プラスチックで前装された銀歯を装着します。

一方で、奥歯なら審美面においても銀歯で満足できるかといえば、そのように考える方は少ないです。例えば、会話している相手が口を大きく開けて笑ったときに銀歯が目につくことがあるでしょう。奥歯でもその色や形が目立つものです。セラミックの一種であるジルコニアであれば、自然な歯に近い色に仕上げられることから、奥歯治療に高い審美性を求める方にも推奨できます。

奥歯をジルコニアにするメリット

奥歯をジルコニアにするメリット 次に、奥歯治療でジルコニアを選択するメリットを解説します。

優れた強度と耐久性

第一大臼歯や第二大臼歯といった奥歯は、その他の歯と比較してサイズが大きいだけでなく、歯根も太いです。咀嚼機能においては、食べものを細かくすり潰す、あるいは噛み砕くことを主に担っていることから、とても大きな負担がかかる歯でもあります。それだけに奥歯治療では、丈夫な素材を使う必要性が高くなっているのです。

金属に匹敵する硬さを備えたジルコニアは、優れた強度と耐久性で、咀嚼機能の主体となることが可能です。何らかの理由で失った奥歯の歯質をジルコニアに置き換えれば、10年、20年後も変わらずしっかりとした咀嚼機能の維持が期待できます。奥歯の再治療の必要性を低下させることにもつながるため、患者さんには大きなメリットとなることでしょう。

自然な歯に近い審美性

ジルコニアは、自然な歯に近い審美性を備えたセラミックの一種です。奥歯の治療に銀歯ではなく、ジルコニアを使うだけで、口元の審美性は向上します。透明感が乏しいフルジルコニアクラウンで治療したとしても、奥歯ならその他の歯に自然と調和することでしょう。

金属アレルギーの心配がない

奥歯治療で、土台となるコアとクラウンの両方をジルコニアで製作すれば、金属アレルギーのリスクを限りなくゼロにできます。ジルコニアをはじめとしたセラミック自体にアレルギーを発症するリスクがないわけではありませんが、これまでの臨床経験から限りなくゼロに近いと考えることができます。

外科手術で顎の骨にジルコニア製の人工歯根を埋め込むインプラントでさえ、アレルギー反応が生じるリスクが低いとされています。奥歯の被せ物治療ぐらいなら心配する必要はほとんどないといわれています。

変色や着色汚れがつきにくい

単に白い歯であれば、保険診療でもレジン歯を奥歯に入れることが可能です。レジンの色にもいくつかのバリエーションがあり、患者さんそれぞれの歯の色に近づけることが可能です。しかし、レジンは歯科用プラスチックのため経年的な劣化が起こりやすく、長く使うと見た目が悪くなったり、噛み合わせにも変化が現れます。 過去にレジンで歯の治療を受けた経験がある方なら、その部分だけ黄色く変色して、審美性に悩んだ方もいることでしょう。レジンは歯垢や食べかす、着色汚れなどがつきやすいことから、衛生面においてもデメリットが大きいです。

一方、ジルコニアは安定性が高い材料で、経年的な変色はほとんどありません。表面は滑らかで硬いことから傷もつきにくく、食品に含まれる色素も吸着しにくいです。この点は通常のセラミックと同じです。

奥歯をジルコニアにするデメリット

奥歯をジルコニアにするデメリット 続いては、奥歯治療にデメリットを使うデメリットを解説します。

歯の削る量が多い

ジルコニアで奥歯を治療する場合は、被せ物をきちんと装着させるために、ある程度の歯の切削が必要となります。削る量は患者さんの歯の状態によって変わりますが、今ある歯の状態で、そのままジルコニアクラウンを被せるのは不可能であることがほとんどです。

ジルコニアは材料の性質上、形を細かく整えることが難しいのも、歯を大きく削らなければならない一因となっています。このデメリットが気になったり許容できないという場合は、ジルコニアクラウンよりは歯の切削量がやや少ないメタルクラウンを選択した方がよいでしょう。

対合歯を傷つけるリスクがある

ジルコニアのメリットは強度が高い点です。しかし強度のメリットが、デメリットに転じることがあります。ジルコニアは金属に匹敵する硬さを備えていることから、軟らかい対合歯を傷つけるリスクがあるのです。

対合歯が完全な天然歯である場合だけでなく、レジン歯や通常のセラミック歯である場合も例外ではありません。人工歯における強度というのは、とにかく高ければよいというものではなく、対合歯とのバランスの方が重要といえる場合もあるのです。

費用が高額になる

ジルコニアクラウンは、作製に大きな手間と時間がかかります。材料費もほかより高いことから、治療にかかる費用が高額になる点はジルコニアのデメリットといえます。ちなみに、ジルコニアクラウンの全国的な費用相場は、1本100,000〜150,000円程度です。奥歯を通常のセラミックや金歯で治療する場合よりも高くなる傾向にあります。

奥歯治療でジルコニアを選ぶときの注意点

奥歯治療でジルコニアを選ぶときの注意点 奥歯治療でジルコニアを選ぶときの注意点を5つに分けて解説します。奥歯のジルコニア治療で後悔したくないという方は、参考にしてみてください。

天然の歯を削るリスクを検討する

ジルコニアで奥歯を治療する場合には、天然の歯質をある程度、削らなければなりません。それはすべての奥歯の被せ物治療に共通していえることです。しかし、同じ被せ物治療でも、メタルクラウンよりもジルコニアクラウンの方が歯の切削量が多くなりがちです。

健全な奥歯の形や色などを改善する審美目的でジルコニアクラウンを装着する場合は、本来、削る必要のない歯質を大きく切削することになり、歯そのものの寿命も短縮します。奥歯治療でジルコニアクラウンを選択する場合は、そのリスクも理解しておきましょう。

メリットと費用をよく検討する

歯科治療を検討する際には、費用に見合ったメリットが得られるかどうかが重要なポイントとなります。特に奥歯のジルコニア治療では、費用が高額になるため、自分が納得できるメリットが得られるかどうかをあらかじめ確認しておかなければなりません。

奥歯のジルコニア治療では、1本あたり100,000~150,000円程度の費用がかかりますが、得られるメリットは、強度と耐久性が高い、見た目が自然で美しい、金属アレルギーのリスクがない、経年的な摩耗や変色が起こりにくいなどが挙げられます。

こうしたメリットに対して、高額な費用を支払うことに納得できる場合は、奥歯治療にジルコニアを選ぶとよいでしょう。逆に、経済面に重きを置いている人は、保険診療で入れられる1本5,000円程度の銀歯の方が推奨されます。

医師の治療経験と技術を確認する

ジルコニアを用いた奥歯治療は、歯科医師の治療経験や技術、歯科医院の設備によっても治療満足度が変わります。ジルコニアという材料の性質が、銀歯やレジンとは異なるだけでなく、作製のプロセスにも違いがあるからです。奥歯治療を担当する歯科医師には、ジルコニアの性質や被せ物の作製に熟知していることが求められ、事前の検査・診断や歯の削り方もそれに合わせて実施する必要があるのです。

そのため奥歯治療でジルコニアを選ぶ場合は、必ずジルコニア治療の経験が豊富で、確かな技術を持った歯科医師を探すようにしてください。精密な検査が行える医療設備や適切に処置を施せる医療機器が完備していることも併せてチェックしましょう。

ジルコニア治療に対応しているというだけで、奥歯治療の歯科医院を選ぶと後悔する可能性が高まります。

定期的に通院しやすいクリニックを選ぶ

奥歯治療にジルコニアを使う場合は、通院回数と期間が長くなります。ジルコニアを奥歯に装着した後も、長く使い続けるためには定期的な通院が必要となります。 3〜4ヵ月に1回くらいの頻度で定期検診やメンテナンスが推奨されます。そのため、通いやすい立地や環境であることも大切です。自宅から電車で2時間の歯科医院だと、治療が終わった後の継続的な通院は難しくなります。一方で、自宅から近いからといって医療設備が十分に整っていなかったり、歯科医師との相性が悪かったりする場合も定期的な通院が難しくなることがあるため、その点も留意するようにしましょう。

セカントオピニオンを受けてみる

セカンドオピニオンというと、がんのような深刻な全身疾患の治療などで利用するものというイメージが強いかもしれませんが、奥歯のジルコニア治療でも利用したいところです。奥歯のジルコニア治療は、かけがえのない天然歯を削る処置であり、高額な費用もかかることから、治療を任せる歯科医院は慎重に選びましょう。

もちろん、はじめに受診した歯科医院の診断や説明に何ら不安がなければ、そのまま治療へと進んで問題ありませんが、疑問に感じる部分や納得できない点がある場合は、セカンドオピニオンを利用してみてはいかがでしょうか。

ひとりの歯科医師の診断および治療方針だけで通院する歯科医院を決定するのではなく、複数の歯科医師の意見を聞くことで、ジルコニア治療に対する理解も深まり、施術後に後悔するリスクを軽減できるでしょう。

まとめ

今回は、奥歯治療でジルコニアを使うメリットやデメリット、注意点について解説しました。奥歯はとても強い力がかかる部位なので、金属に匹敵する硬さを備えたジルコニアで治療するメリットは大きいです。同時に、ジルコニアには歯を削る量が多く、対合歯を傷つけやすい、費用が高額になるなどのデメリットも伴いますので、それを踏まえたうえで治療法を検討することが大切です。ジルコニアの奥歯治療でほかにも疑問がある場合は、まず歯科医院に相談してみましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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