出っ歯とは上の前歯が下の前歯よりも、著しく前方に突き出した状態です。
出っ歯は、矯正歯科で改善が可能です。矯正歯科に通う患者さんの8割が、出っ歯改善を希望して受診しているというデータもあります。
出っ歯治療にはさまざまな方法がありますが、今回はセラミックを使った治療法を解説します。
セラミック治療は、ほかの治療法よりも短期間で完結し、リテーナーの装着も不要です。
詳細が気になる方は、以下の項目を確認しましょう。
セラミック治療で出っ歯を治したときの横顔の変化
- 出っ歯をセラミック治療で治すと横顔の印象はどう変わりますか?
- 歯科医療の世界では、出っ歯を上顎前突(じょうがくぜんとつ)と呼び、咬合異常の一種として扱います。出っ歯は、歯の傾きや位置に異常がある歯性と、骨に異常がある骨格性の2種類に分けられます。セラミック治療が選択されるのは、歯性だった場合です。前方に突き出している前歯を削り、理想的な歯並びに作ったセラミックの被せ物をします。突き出していた口元が収まるので、出っ歯の印象が改善するでしょう。出っ歯が原因で生じていたコンプレックスも、改善できると期待できます。ただし効果は部分的で、歯列矯正や外科手術のような大きい変化は期待できません。出っ歯改善のためにセラミック治療を検討する場合は、自分の歯並びや口腔内の環境に治療法が適しているのか、よく確認する必要があります。まずは、歯科医院で相談してみましょう。
- セラミック治療後の横顔を維持するために気をつけることはありますか?
- セラミック治療の効果を長持ちさせたい場合は、治療後のメンテナンスが重要です。セラミック治療のメンテナンスでは、以下のようなポイントが確認されます。
- 歯並びの状態
- 噛み合わせ
- 接着剤の状態
- 被せ物の状態
- 骨質や歯肉の状態
必要なメンテナンスの頻度は、口腔内の状態やホームケアの精度などによって異なります。短い頻度で約1〜2ヶ月に1回、長い頻度で約半年に1回の通院が求められます。担当する歯科医師の指示にしたがいましょう。歯列矯正では歯を動かす治療が終わると、整えた歯並びを維持するために、リテーナーで長期間保定しなければならないケースがほとんどです。しかし、セラミック治療は歯を動かす治療ではないため、後戻りのリスクも保定の負担もありません。
- 出っ歯が改善されることで口元はどう変わりますか?
- 出っ歯の状態では、口元には以下のような悩みが生じます。
- 口元が突出する
- 口が閉じにくい
- 口元の筋肉が歪む
口元の筋肉が歪んでしまうのは、前歯が突き出しているせいで、自然には閉じない口を無理に閉じているためです。出っ歯を改善すると、これらの悩みが解消して、横顔がEラインに近づきます。Eライン(エステティックライン)とは、歯科医師ロバート・リケッツが1954年に提唱した、理想的で美しい横顔の形です。下顎の先端と鼻先を結んだ直線よりも、やや内側に唇が収まった横顔を指します。Eラインは、多くの歯科医院で歯と骨を整えて目指すべき横顔として、治療の指針とされています。
- 口ゴボの改善にセラミック治療は有効ですか?
- 出っ歯と同じく、軽度の口ゴボであれば、セラミック治療で改善できると期待されます。口ゴボとは、上下の顎あるいは上下の前歯が前方に突出し、口元がこんもりと盛り上がった状態です。歯科医療の世界では、上下顎前突とも呼ばれます。軽度であれば、前歯の角度や位置を整えることで、治療が可能です。セラミック治療のほかにも、以下のような方法で治療できます。
- ワイヤー矯正
- マウスピース(インビザライン)
- 外科手術
出っ歯は前歯が前に出ている状態を指し、口ゴボは口元が盛り上がっている状態を指すことが多いです。
出っ歯をセラミック治療で治すメリット・デメリット
- 出っ歯をセラミック治療で治すメリットを教えてください
- 出っ歯をセラミック治療で治すと、以下のようなメリットがあります。
- 治療期間が短い
- ワイヤーなどの矯正器具がいらない
- リテーナーなどの保定装置がいらない
- 後戻りのリスクがない
またセラミックの特性から以下のようなメリットも得られます。
- 自然歯のように仕上がる
- むし歯になりにくい
- 金属アレルギーのリスクがない
歯科医療は日々発展しています。例えば近年ではセラミックにおいても、もろさを克服したジルコニアが登場し普及しつつあります。セラミック治療を受ける際には、医療情報のアップデートに力を入れている歯科医院を選び、先進的なセラミック治療を受けられるよう心がけましょう。
- 出っ歯をセラミック治療で治すデメリットを教えてください
- 出っ歯をセラミック治療で治すと、以下のようなデメリットがあります。
- 健康な歯を削る
- 被せ物が割れるリスクがある
- メンテナンスに通院が必要になる
- 歯の予後が悪くなる可能性がある
セラミックは陶器でできているため、もろく割れやすい特性があります。もろいセラミックを割れにくくするために、被せ物はある程度厚みを持たせる必要があります。そのため、セラミックの被せ物をするためには、健康な前歯を大きく削らなければなりません。しかし、どれ程歯を大きく削っても、頑丈なセラミックを選んで被せても、割れるリスクを完全に避けることはできません。また、神経を取らなければならないこともあるため、歯の予後を悪くさせる可能性も高まります。
- セラミック治療の費用はどれくらいですか?
- 出っ歯のセラミック治療は、一般的には保険適用外の自由診療となります。そのため、価格設定は各歯科医院に委ねられています。オールセラミックでセラミック治療を受ける場合、1本あたりの費用は約110,000円(税込)となるのが一般的です。その場合、前歯6本を治療する費用は、約660,000円(税込)となります。
横顔に自信を持つためのセラミック治療のポイント
- 出っ歯をセラミック治療で治す前に知っておくべきことはありますか?
- 出っ歯に悩むすべての方が、セラミック治療に向いているわけではありません。以下に当てはまる方は、別の治療法を検討しましょう。
- 健康な歯を削ることに抵抗がある
- 全体の噛み合わせを改善したい
- 出っ歯の原因が骨格の異常である
歯を削りたくない方や全体の噛み合わせを整えたい方は、歯列矯正でじっくり時間をかけて歯の位置を整える方法が適しているかもしれません。骨格に異常が原因で出っ歯になっている方は、セラミック治療のみで歯並びを調整しても、満足できる結果は得にくいでしょう。外科手術で骨格に干渉して、横顔を整える治療法をおすすめします。
- 横顔がセラミック治療で変化するまでの期間はどれくらいですか?
- セラミック治療を選ぶと、早いと約数週間、長くても約2〜3ヶ月という短い期間で横顔の変化を実感できるでしょう。歯列矯正の場合は、治療に約1年半〜3年の期間がかかることを加味すると、かなり短い期間で結果が得られることがわかるでしょう。歯列矯正の効果をより短期間で得たいならば、お子さんのうちに治療を開始することをおすすめします。お子さんの成長期を利用して歯列矯正を進めるため、骨の成長が止まった大人よりもスムーズな治療が可能です。お子さんの歯列矯正を始めるのにおすすめのタイミングは2つ挙げられます。約7〜8歳の混合歯列期か、約10〜14歳の永久歯が生え揃った時期です。お子さんの出っ歯が気になる場合は参考にしましょう。
- セラミック治療後の横顔のメンテナンス方法を教えてください
- セラミック治療で整えた横顔は、歯科医院でのメンテナンスで維持しましょう。セラミック治療後に、横顔の変化に納得できない場合は、歯並びだけではなく骨格から整えるという選択肢もあります。その際は、顎の骨を一度切り離し、理想的な位置に移動させる外科手術を行います。口腔内から手術するため、お顔の見える部分に傷がつきませんが、入院も必要となり時間もコストも大きくなる治療法です。また、手術の前後にも治療が必要です。歯並びが大きくずれていて食事や発音が難しい方、出っ歯によるコンプレックスが強い方は、外科手術も視野に入れて歯科医師に相談してみましょう。
編集部まとめ
出っ歯は歯並びや骨格の異常です。コンプレックスにつながりやすいため、悩んでいる方も少なくないでしょう。
軽度の出っ歯であれば、セラミック治療で改善が期待できます。
セラミック治療では、出っ歯の原因となっている前歯を削り、その上から理想的な歯並びの被せ物を装着します。
健康な歯を削るデメリットがありますが、後戻りもなく保定装置も必要ない点がメリットです。
歯列矯正や外科手術ともあわせて検討して、自分にピッタリの方法を歯科医師と一緒に見つけましょう。
参考文献