歯並びに関するトラブルのなかでも、悩みをかかえている方が多いといえるものが出っ歯ではないでしょうか。
この記事では、出っ歯についての詳細や、セラミック治療を含めどのような治療法で改善が行えるのかなどについて解説していますので、出っ歯でお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。
出っ歯について
- 出っ歯とはどのような歯ですか?
- 出っ歯は歯科用語で上顎前突と呼ばれ、顔を横から見たときに上の歯や上顎が前の方に飛び出たような状態の歯並びを指します。
上顎前突と診断される基準は、上下の前歯の間に隙間が6㎜以上あるかどうかで、安静状態にしたときに上の前歯が下の前歯よりも6㎜以上前に出ている場合、上顎前突と診断されます。
出っ歯は日本人における不正咬合の原因として2番目に多い症状で、厚生労働省の報告によれば12.9%の人が上顎前突の診断を受けているとされています。
出っ歯は見た目が気になるというだけではなく、前歯の噛み合わせが悪いことでしっかりと咀嚼がしにくくなったり、口呼吸が中心となってアデノイド顔貌を引き起こす可能性があるなど、さまざまなトラブルの要因となっています。
- 出っ歯になってしまう要因はなんですか?
- 出っ歯になってしまう原因には先天的なものと後天的なものがあり、先天的な部分でいえば、骨格や歯の大きさが影響してきます。
遺伝的に上顎の骨が下顎の骨よりも前に出ているケースではどうしても上の歯が前に出てしまいやすくなりますし、上の歯が大きい方の場合は、上の歯が生えそろうスペースが不十分となってしまうことで前に押し出され、出っ歯の状態になることが考えられます。
一方、後天的な原因としては幼少期の指しゃぶりなどが出っ歯の原因の一つで、ある程度成長してからも指しゃぶりのような行動を繰り返していると、出っ歯など前歯の噛み合わせに問題が生じやすくなります。
指しゃぶりだけではなく、上唇で下唇を噛むといった癖も出っ歯の原因となりますので、注意しましょう。
- 大人になってから出っ歯になるケースはありますか?
- 歯並びのほとんどは子どもから大人になるまでの成長期に変化していき、大人になってからは大きく変わることはありません。
しかし、大きく変わることはないといっても長期間に渡って歯に対して力が加わり続ければ歯並びは変化していきます。
大人になってから、実際に日頃の行動などが積み重なって出っ歯になってしまうというケースがあり、これは例えば下唇や爪などを噛む癖や、舌で前歯を押してしまうといったような癖がある場合、徐々に前歯が前方へと押し出されて出っ歯になってしまう可能性があります。
また、歯周病や歯ぎしりといった歯のトラブルによっても、噛み合わせが変わって出っ歯などの状態につながるケースがありますので、以前は出っ歯ではなかったのに、歯並びが変わってきたと感じたら、一度歯科医院で専門的な検査を受けるとよいでしょう。
- 出っ歯のデメリットを教えてください
- 出っ歯によるデメリットとして、わかりやすいものが見た目の問題です。
正面から見たときに歯が見えてしまうことや、横顔がいわゆる口ゴボと呼ばれるような、口元が突出した状態になってしまうため、見た目に自信がなくなってしまいやすいという点が出っ歯のデメリットといえるでしょう。また、出っ歯の方は自然とお口が開いて口呼吸になりやすく、口腔内が乾燥して細菌が繁殖しやすくなることからむし歯や歯周病といった症状が進行しやすく、口腔内の健康を維持しにくくなってしまう点もデメリットとなります。
口呼吸が中心になることでアデノイド顔貌なども引き起こしやすくなります。さらに、噛み合わせの悪さにより食事における咀嚼がしにくく、栄養が十分にとりにくくなってしまう可能性や、ものが顔にぶつかったときなど、前歯が口腔内を傷つけやすくなるといったリスクが高くなる点も、出っ歯のデメリットといえます。
出っ歯の治療方法について
- 出っ歯は歯列矯正で治せますか?
- 歯列矯正は、専用の装置によって歯に少しずつ力を加え続けることで、時間をかけて歯並びを改善させていく治療法です。
出っ歯の方も歯列矯正によって歯並びを改善させることが可能で、歯並びを整えてしっかりとした噛み合わせの獲得や、横顔の改善をすることができます。
ただし、出っ歯の原因が歯並びによるものではなく、そもそも上顎の骨が前方に突出してしまっているような場合には、骨格を修正する外科治療などが必要になるため、歯列矯正のみでは改善が難しい可能性もあります。
なお、歯列矯正の方法にはブラケットという装置を歯につけて、そこに金属製などのワイヤーを通して力をかけていく方法と、透明なマウスピース型矯正器具を毎日一定時間以上装着することで行う方法などがありますが、出っ歯の症状が強い場合は、マウスピースだけで治療を行うことが難しいケースなどもあります。
歯列矯正の方法はそれぞれメリットやデメリット、そして適応範囲などが異なっているため、出っ歯を改善したいという方は一度歯列矯正を専門的に取り扱う医師の診断を受け、適切な治療法の相談をしてみるとよいでしょう。
- セラミック治療で出っ歯は改善できますか?
- セラミック治療は、自然な歯の白さや透明感を作り出すことができるセラミックを使用した被せ物などを使用して行われる歯科診療で、前歯の歯並び改善や、白くうつくしい見た目の歯を手に入れる治療としてのセラミッククラウンなどがこれに該当します。
セラミッククラウンを適切な形状で作ることで、歯と歯の隙間が空いている状態や、歯が捻じれて生えているような状態を改善することも可能であるため、ある程度の歯並びを整える効果も実現できます。
出っ歯の症状は骨格が原因となっている場合と、歯並びが原因の場合がありますが、歯並びが原因の場合で、前歯が捻じれて生えることなどによって出っ歯が目立っている場合は、セラミッククラウンの治療でも改善が可能です。
しかし、骨格が原因で上顎が突出している場合や、歯並びの問題でも重度の不正咬合があるような場合では、セラミッククラウンだけで改善することは難しいといえるでしょう。
- 出っ歯は自分で直せますか?
- 理論上は、長期間に渡ってゆっくりと力をかけ続ければ、出っ歯も少しずつは改善させられる可能性がありますが、無理に歯に対して力をかけると歯茎などへの過剰な負担によってさまざまなトラブルが発生してしまう可能性が高く、歯を動かせたとしてもしっかりと適切な位置に動かすことは難しいので、自力での対応などはやめておいた方がよいでしょう。
一方で、幼少期の頃から、出っ歯にならないためにしっかりと食事を噛むようにしたり、指しゃぶりや唇を噛むといった癖に気を付けるといった予防についてはしっかりと行った方がよいといえます。
- 出っ歯を治療するメリットを教えてください
- 出っ歯は見た目についての自信を喪失してしまう要因の一つであり、出っ歯を治療することで見た目に自信を持ちやすくなり、性格などにポジティブな影響が期待できます。
また、噛み合わせの悪さや口呼吸などによって健康面でもさまざまなトラブルを引き起こす原因となっていますので、しっかりと出っ歯を治すことで、むし歯などのトラブルが起こりにくい、健康的な口腔環境が手に入りやすくなるでしょう。
口呼吸の改善は口腔環境の問題だけではなく、肩こりなどの症状にもつながっているケースがありますので、出っ歯を治すことでさまざまな体の不調を改善させられる可能性があります。
編集部まとめ
出っ歯は骨格や歯並びといった複数の原因が考えられ、原因に応じた適切な治療を行うことで改善が可能です。
出っ歯の状態によっては手軽に受けられるセラミック治療などでも改善が可能な場合があるため、まずはどのような治療が必要なのか、歯科医院で専門的な検査を受けて、治療の相談をしてみてはいかがでしょうか。
参考文献