セラミック歯は、種類によっては違いはありますが、基本的には黄ばみや着色汚れに強く、汚れが付きにくいものがあります。
しかし、ケアをしていないと着色汚れによる黄ばみが出る可能性もあります。せっかく、セラミック歯に変える治療を行い、きれいな歯を手に入れたのに黄ばみが出てしまうのは嫌な方も多いでしょう。
本記事では、黄ばみの原因や着色汚れを落とす方法、予防方法について解説していきます。併せてセラミック歯の種類によるメリットとデメリットも紹介していきます。
セラミック歯を検討中の方、セラミック歯にしてからケアをどのようにしていけばいいかわからない方は、ぜひ参考にしてください。
セラミック歯の黄ばみの原因
ホワイトニング剤を使用して歯をきれいにすることができないため、黄ばみがでないようにしていく必要があります。セラミック歯はなぜ、黄ばんでしまうのでしょうか。
原因は、大きく分けると3つに分類されます。
- 経年劣化
- 飲食物による着色汚れ
- 喫煙
一つひとつ詳しく解説をしていきたいと思います。
経年劣化
新しいセラミック歯は、強度が強く、ケアをしつつ取り扱うことで長期間寿命を維持することが可能です。
一人ひとりのお口の状態、施術を担当した歯科医師の技量によっても寿命は左右されますが、10年以上は持つと言われています。
しかし、それでも使用していけばそれだけ徐々に経年劣化が発生します。
15年、20年と少しでも長く寿命を保たせるため、自宅でのケアを徹底しましょう。
飲食物による着色汚れ
通常の歯と同じように、食べ物や飲み物により色素沈着を行い、変色していきます。
例えば以下のような食べ物や飲み物は、歯の変色を引き起こしやすいです。
- カレー
- チョコレート
- コーラ
- コーヒー
- 赤ワイン
以上のような、色の濃い食事をすると、セラミック歯の変色を引き起こしやすくなります。
完全に避けて通ることが難しいので、食後の歯磨きの自己ケアを徹底しましょう。
喫煙
喫煙をしている人も、黄ばみのリスクが高まってしまいます。タバコに含まれるタールは、歯の黄ばみの原因になります。部屋でタバコを吸うことで、壁紙の変色を引き起こすことと同様の状態です。
また、タバコに含まれるニコチンは血液の流れを悪くし、歯茎の変色をさせる恐れもあります。重症化すると黄色くなるどころか、お口の中が黒くなることもあるので、喫煙習慣のある方は注意が必要です。
タバコで歯が変色すると、歯磨きでの自宅ケアだけでは落とせなくなるので、禁煙を行うことが推奨されます。
セラミック歯の黄ばみの改善方法
ケアをしっかりとしていても、着色汚れがついてしまうことがあります。そんなときにセラミック歯の着色汚れを落とす方法は二つに分類されます。
それは、歯科医院でのクリーニングとホワイトニングです。
この二つについてご紹介をいたします。
歯科医院でのクリーニング
初めにご紹介するのが、歯科医院でのクリーニングです。
セラミック歯の着色汚れを落とす方法としては、一般的によく用いられる方法です。
歯石やプラークを取り除くために、専用の器具や超音波スケーラーを使用し、歯と歯茎の間や歯の表面に付着した歯石を除去するスケーリングがあります。
クリーニング後に、フッ素を塗布することで、歯のエナメル質を強化し、むし歯や黄ばみの予防を図るフッ素塗布といった方法もあるのです。着色汚れを落としつつも、歯の状態の確認、歯石、歯垢除去も行えます。
セラミックは汚れが付きにくい素材ですが、ケアを疎かにすると歯石・歯垢が付着することがあるため、こまめなクリーニングが重要です。
定期的なメンテナンスとして行うことで、むし歯や歯周病にも、なりにくい口腔内状態を作ることができますので、おすすめです。
ホワイトニング
序盤でも話しましたが、ホワイトニング剤を用いてのホワイトニングは、自分の歯つまり天然の歯に対してのみ適応となります。
しかし、ホワイトニングの種類は以下のようなものもあります。
- 歯磨き
- マウスウォッシュ(白くする効果のあるもの)
- 専門家による歯のクリーニング
- 歯専用のマニキュア
- ブリーチング(漂白)
- 直接レジンラミネートベニア
- ポーセレンラミネートベニア
- メタルボンドクラウン
- オールセラミッククラウン
- ポストクラウン
そんななか、今回ご紹介するのは、セルフホワイトニングです。
セルフホワイトニングとは、ご自身で行うホワイトニングのことを指し、サロンで行うものと自宅で行うものにわかれます。
セルフホワイトニングは、着色汚れやくすみには高い効果を発揮することができます。
一方で歯そのものの色が変色してしまった場合はセルフホワイトニングでは効果を感じづらくなくなってしまいます。
セルフホワイトニング自体は、安価に行うことができますが、効果を実感するまでにサロンでは3〜5回、自宅では数回実施をしないと効果を実感できません。
セラミック歯を白くする方法
前章で、セラミック歯の着色汚れを落とす方法をご紹介いたしました。しかし、どうしても落とすことができなく、経年劣化によるものでは限界がきてしまいます。
特に前歯になるとほかの人からもよく見られる部分になるため、少しでもきれいな状態にしていきたいと考える方は多いでしょう。そんなときに実施する方法をご紹介します。
セラミックの被せ物や詰め物の新調
まず紹介するのは、セラミックの被せもの(クラウン)や詰め物の新調です。色合いが変わってしまったのであれば、交換が必要になります。
またセラミックの種類によっては、摩耗してしまうことで、白さよりも噛み合わせが悪くなってしまうことでも新調の必要性が出てきます。
ホワイトコート・歯のマニキュア
歯のマニキュアとは、歯の表面に塗料(マニキュア)を塗ることで歯を白く見せる方法です。すぐに効果を感じたい方におすすめされます。
しかし表面に塗料を塗るだけなので、一時的な対応となり、塗料自体が落ちてしまえば、元の歯の色に戻ります。
施術時間は短く、約30分程で終わることがあります。保険適用外のため、費用がかかることやお口の中の状態によっては対応できないことがあります。
セラミック歯の着色汚れの予防法
着色汚れがついてしまった場合や白くする方法についてはご紹介をしてきましたが、まずはなによりもご自身がケアを行いつつ、長期間使用できるようにすることが大切です。
セラミック歯の着色汚れを予防する方法をご紹介していきます。
食事後はすぐ歯磨きをする
セラミック歯は、むし歯や歯周病になりづらく、汚れも付着しづらいですが、長持ちさせるためには、毎日の歯磨きによるセルフケアがかかせません。
硬いブラシで強く磨いてしまうと、歯が傷つき、寿命を短くしてしまうことにつながるため、なるべくやわらかい歯ブラシを使用して、優しく丁寧に磨くようにしましょう。
セラミックと歯の境界線は、特に汚れが溜まりやすいので、一本一本磨くようにして行く必要があります。
また、歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、マウスウォッシュを使用することで、さらに良好な状態を保つことができます。
唾液の分泌量を増やす
唾液には、消化作用、お口の中の自浄作用、殺菌作用などがあります。そのため、唾液の分泌量が増えることで自然と口腔内の状態を清潔に保つことが可能になります。
セルフで唾液腺マッサージを行うことで、唾液の分泌量を増加させていきます。 唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺の3つに分類され、それぞれのマッサージを行うことで、唾液の分泌量を増加させていきます。
以下にやり方を記載していきます。
耳下腺マッサージ
- 手のひらを温め、耳下腺部をおおう。
- 頬の耳下腺部上に、3本程の指をあて、縁を描くように回す。
- 回した指を小鼻の方向へ滑らせて、上顎の奥歯あたりを2・3秒圧迫して離す。
顎下腺マッサージ
- 耳下の下顎の骨内側のやわらかい部分に親指をあて、ゆっくりと押して離す。
- 耳下から顎下まで3・4ヵ所を順番に圧迫していく。
舌下腺マッサージ
- 両手の親指を舌下腺部にあて、舌を上顎に押しつけるようにゆっくりと押し込む。
- ゆっくり離す。
セラミック歯の種類
セラミック歯といっても、費用や効果、汚れにくさなどによってさまざまな種類があります。例えば費用面では、一般的に80,000〜200,000円(税込)になります。
今回は、それぞれの種類と特徴、メリットとデメリットについて詳しく解説をしていきます。
オールセラミック
オールセラミックは、セラミックのみを使用した歯になり、自分の歯と同じような透明感や色合いを再現することが可能な歯になります。審美性が必要な場面でよく使用されその名のとおり、すべてがセラミック素材で作られた被せ物や詰め物のことを指します。
前歯の見やすい箇所に使用する方が少なくありません。金属を一切使用していないため金属アレルギーのリスクが少なく、金属による歯茎の変色を心配する必要がありません。
また、表面がツルツルしていることで、汚れが付着しにくく、経年劣化により変形・着色が少ないです。
しかし、衝撃に弱いため、歯ぎしりや食いしばりに耐えることができないことがあり、奥歯には採用することは推奨されません。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、セラミックのなかでも強度が高い種類になります。金属と同じくらいの強度があるため、奥歯に使用しても問題がありません。
強度が高いことから、強く噛み合わせてしまう人や歯ぎしり、食いしばりの癖がある人でも心配なく採用することができます。
また経年劣化による変色や変形も少なく、汚れもつきにくくなっています。
しかし、見た目としてはオールセラミックよりも劣ります。また噛み合わせの際に強度が高いことで、自分の歯が負けてしまい、欠けること・割れることがあるのがデメリットです。
ハイブリッドセラミック
ハイブリットセラミックは、セラミックとプラスチックを合わせたものになります。ほかのセラミックよりも安価で、白い歯を手に入れることが可能です。
自分の歯よりも固すぎないため、噛み合わせで破損するリスクが低くなります。
しかし、レジン素材が混じっていることでほかのセラミック歯よりも耐久性が劣り、表面のざらつきがあるため、汚れが付着しやすくなります。
また、経年劣化による変色があるため、黄ばみのリスクが懸念されます。
メタルボンド
メタルボンドは、内側が金属で外側にセラミックの被せもののことです。ほかの種類と違って、内側に金属を入れていることで強度を高くしていることが特徴です。
強度がとても高いことが特徴で、金属フレームを使用することで噛む力に対し耐久性がありジルコニアセラミック同様、奥歯のような強い力がかかる部位にも適しています。
しかし、金属を使用しているため、金属アレルギーの方には使用できないことや歯茎の変色のリスクがあります。また、使用する部位によっては、金属部分が見えてしまうために透明感・見た目がほか種類よりも劣ります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回はセラミック歯の黄ばみの原因や着色汚れを落とす方法、予防方法と題して、解説をしてきました。
歯科で使用されるセラミック歯にはいくつかの種類が存在し、色の変化の仕方にもそれぞれの特性があります。費用や強度が異なり、使用しているセラミックスの種類に合わせて黄ばみへの対応方法が異なります。
また、セラミック歯はホワイトニング剤を使用したホワイトニングは行えないため、歯科医院でのクリーニングやセルフホワイトニングをご検討ください。
白く保ちたい場合、被せものや詰め物の新調や歯マニュキュアも有効です。毎日の丁寧なセルフケアに加え、定期的に歯科医院でメンテナンスを受けることをおすすめします。
美しい歯を保つことで、素敵な笑顔も保ちましょう。
参考文献