歯が痛いけど子どもの頃以来行ったことがない・お口のなかで気になることがあるけど行きにくいなど歯医者への恐怖感や緊張感など抱く方は少なくありません。
しかしどのような流れで診察や治療が行われ、どのぐらいの費用がかかるのかを知ることで歯医者へのハードルが下がる方もいるようです。
この記事では、歯医者の初診の流れや治療・その後のメンテナンスの内容や費用などを解説します。
歯医者の初診の流れや検査内容
- 歯医者の初診の流れを教えてください。
- 初診は、新規の患者さんや前回の治療終了後から期間が開いている方などすべての患者さんに行われます。
- お口のなかで困っていること・お身体の状態について問診する
- 必要な検査を行う
- 検査の結果を踏まえお口の現状やその原因・治療法など生活習慣や元々のリスクも考慮して説明をする
- 現状の症状に応じて応急処置が必要な場合はその処置を行う
- 次回の予約を取る
診察開始から1時間程度かかる場合があり、処置の内容によってはそれ以上の時間を費やす場合もあるので時間がない方は、予約をしての通院がよいでしょう。初診時の処置は、急性炎症・外傷・出血などの緊急処置以外、抜歯などの処置を行うことは少ないです。
- 初診時の持ち物を教えてください。
- 初診時に必要な持ち物は下記になります。
- マイナンバーカードまたは健康保険証
- お薬手帳(現在お薬を服用されている方)
- 紹介状(お持ちの方のみ)
- 限度額適用認定証・生活保護法による医療券・公費負担の医療証など(該当される方)
- 診療申込書や問診票など(事前にダウンロード可能な医療機関の場合)
紹介状が必要な医療機関では、紹介状がない場合は初診時に診療時選定療養費がかかる場合がありますので事前に確認をしておきましょう。
- カウンセリングではどのようなことを聞かれますか?
- まず、痛むところや気になるところなどお口のなかで困っていることを伝えましょう。そして、ご自身の身体の状態を事前に伝えてください。アレルギー・肝炎などの感染症はあるか・血液の流れをよくする薬を服用していないか・妊娠しているかなどの状態によって治療方法が変わる場合がありますのでしっかりお知らせください。
また、喫煙や飲酒などご自身の生活習慣について聞かれる場合もありますので正しく回答しましょう。カウンセリングでは、わからないこと・不安なことなど質問も可能です。
- どのような検査を行いますか?
- 初診の検査では、現状を把握するために下記の検査を行う場合があります。
- レントゲン検査
- 歯周病の検査
- お口のなかの写真撮影
レントゲン検査では、症状がある部分のみのレントゲンやお口全体が写る大きなレントゲンや必要に応じて1〜3歯単位を写すレントゲン撮影を行います。症状の少ないむし歯や歯根の炎症などでも早期発見できるようにお口全体のレントゲンを使用して治療計画を立てる場合があります。
歯周病の検査は、歯と歯茎の間にある歯周ポケットの深さを測定し、歯周病の重症度を確認するものです。歯周ポケットが深いと歯周病になってしまいます。
お口のなかの写真撮影は、カウンセリングや治療計画など相談時の重要な資料の1つです。またお口の状態を記録し、後の不良な被せ物や歯の色の変色など確認する資料にもなります。初診時にはこのような検査を行い患者さんにとって適切な治療を行えるようにします。
- 初診料はどのくらいですか?
- 2024年6月に診療報酬の改定があり、診療報酬料は267点です。つまり、1点10円計算なので267点×10円=2,670円になります。つまり、健康保険の自己負担額が3割の方だと窓口清算時点で801円の支払いです。
通院時は、マイナンバーカードや健康保険証や公費負担の医療証など忘れずに提示をしてください。
歯医者で行われる保険適用・自由診療の治療
- 保険が適用される治療にはどのようなものがありますか?
- 健康保険で適用される治療材料や技術について、以下で詳しく解説します。
- 充てん(むし歯の穴をきれいにして材料をつめて修復する方法)
- 鋳造歯冠修復(歯を削ったり欠けたりした場合その型を取ってもとの形に修復する方法)
- 前装冠(むし歯の部分が大きくて充てんや鋳造歯冠修復で回復できない場合天然歯に類似した色調の材料で表面を覆う方法)
- ジャケット冠(天然歯に類似した色調の材料だけで歯冠部の前表面を覆う方法)
- ブリッジ(失った歯に隣接する両側の歯を削って被せて土台にして人工の歯を固定装着する方法)
- 有床義歯(取り外しのできる入れ歯・部分的に歯がない場合の部分義歯と歯が全部ない場合の総義歯)
上記の治療を健康保険で認められた材料で行った場合は、保険適用です。ただし、前歯ならびに総義歯の床部分に認められた材料以外を使った際は、健康保険で認められた材料との差額を自己負担する差額自己負担になります。
- 自由診療の治療にはどのようなものがありますか?
- 前歯ならびに総義歯の床以外に健康保険で認められた材料以外を使った場合は、材料費と技術料のすべてが自己負担です。治療適用の技術を認められた材料以外で行われた場合が自由診療になりますので詳細を下記に解説します。
- 鋳造歯冠修復(セラミック・金合金や白金合金の場合ただし前歯部は差額負担)
- 前装冠(メタルボンド・金属に陶材を焼き付けたもの(ポーセレン)・臼歯の硬質レジン前装冠など)
- ジャケット冠(ポーセレン・ガラスセラミックなど)
- ブリッジ(金合金・白金加金・メタルボンド・ポーセレン・臼歯の硬質レジン前装冠)
- 有床義歯(全体の構造を金属でつくるクラスプは14カラットを超える金合金や白金加金・歯に固定する装置の種類により自費診療ですが金属床による総義歯は差額だけ負担)
- ホワイトニング
- 歯列矯正
- インプラント
健康保険適用治療の技術で認められた材料以外を使用した場合、前歯上下各6本だけは差額自己負担になりますので、技術料は保険を受けることができます。違いに注意をしてください。
治療後に行われるメンテナンスの内容
- 歯医者のメンテナンスの内容を教えてください。
- 治療終了後でも定期的に検診を受けてメンテナンスを行ってください。そのメンテナンスの内容を下記に解説します。
- むし歯のチェック
- 歯茎のチェック
- 歯垢の染め出しチェック
- 歯垢を取る
- 歯石を取る
- 歯磨き方法の指導
- お口のなかの粘膜の病気チェック
- むし歯や歯周病以外のお口のなかに関する悩みやケア相談
治療が終了した後も歯とお口の健康を守るために定期的なケアが重要です。1日でも長くお口の健康とご自身の歯を維持するために歯医者でのメンテナンスを受けてください。
- どのくらいの頻度でメンテナンスに通う必要がありますか?
- メンテナンスの推奨頻度は、3ヵ月に1度とされています。歯医者でプロのメンテナンスを受けると一時的にお口のなかの細菌を減少させる効果があります。ただ、日常的にセルフケアを行っていても徐々にお口のなかの細菌が増えてしまい、3ヵ月程度で元のレベルに戻ってしまうのです。そのため3ヵ月に1度の定期的なメンテナンスを受けることをおすすめします。
また、歯周病の治療を継続している方や唾液の分泌が少ないと感じる方などは、1〜2ヵ月ごとのメンテナンスが効果的です。ちなみに今まで1度もむし歯や歯周病になったことがない方は、お口のなかが清潔に保たれているため半年に1度の診察でも予防が可能です。このような方でも引き続きお口のなかの清潔を保つために定期的に検診を受けておきましょう。
- メンテナンスにかかる費用を教えてください。
- メンテナンスの費用は、歯医者によってメンテナンス内容が異なることもあり保険適用の場合と保険適用外で全額自己負担の場合があります。保険適用内で抑えたい場合は、事前に申し出ることが大切です。
健康保険適用の場合は、3割負担の方で1回3,000円〜4,000円が目安です。また2回目以降は、1,500円〜2,500円が目安になります。そして、自費診療の場合は歯医者によって金額設定は異なりますが5,000円(税込)〜10,000円(税込)が目安です。さらに高額な内容もありますので事前の確認をおすすめします。
編集部まとめ
この記事では、歯医者の初診の流れや治療・その後のメンテナンスなどの内容や費用について解説しました。
歯医者には恐怖感や緊張感を抱かれる方が少なくありません。歯は1度失ったら回復しません。少しでも早く診察・検査・治療・メンテナンスを行い、生涯ご自身の歯でおいしく食事をして笑顔で過ごしていただくことが大切です。
この記事が気軽に歯医者へ通院できる一歩としてご自身のお役に立てたら幸いです。
参考文献