セカンドオピニオンとは、治療に関してほかの歯医者に相談できる患者さんの権利です。現在の担当医に紹介状を出してもらい、別の歯科医院に受診の申し込みをします。
歯医者であっても複数の治療法を提案されたり疑問が残ったりする場合に、セカンドオピニオンを通して治療に対する不安を取り除くことができるでしょう。
この記事では、必要な書類・申し込み手順・メリットと注意点など歯医者のセカンドオピニオンに関する包括的な情報を提供します。
歯医者のセカンドオピニオンはできる?
- 歯医者のセカンドオピニオンはできますか?
- 診断や治療選択などで現在治療を受けている担当医の意見をファーストオピニオンといい、それに対して別の医療機関の医師に意見を求める行為をセカンドオピニオンといいます。
セカンドオピニオンはあらゆる疾患で利用でき、当然歯医者もその対象です。歯科先進国である欧米ではすでに一般的な方法であり、当然日本でもセカンドオピニオンを受けられます。
しかし、日本ではセカンドオピニオン外来は公的医療保険が適用されない自費診療となる点が大きく異なるため注意しましょう。
- 必要な書類などはありますか?
- まず歯科医院ごとのセカンドオピニオン申し込み書を用意しましょう。次にセカンドオピニオンでは検査や治療が行われないため、担当医からの診療情報提供書(紹介状)が必要となります。加えて、X線フィルム・検査記録・病理標本が必要となるでしょう。
担当医からの情報や検査資料がない場合、有効なセカンドオピニオンを提供できないことになるため申し込みが拒否される可能性があります。もし患者さん本人ではなくご家族だけでの相談の場合は、同意書が必要となるためご用意してください。
また患者さんが未成年の場合は健康保険証のような相談者との続柄を示す書類も必要となるでしょう。
さらに症例によっては、超音波検査の画像・MRI検査やCT検査のフィルム・病理組織検査の報告書・内視鏡検査の画像などが必要となります。
- 歯医者でのセカンドオピニオンのやり方を教えてください。
- まずは現在の担当医に診療情報提供書(紹介状)を依頼します。その際、検査データ・X線フィルムなどの資料も依頼してください。その後、それぞれの歯科医院の方法でセカンドオピニオンの申し込みをします。
多くの医院で完全予約制であるため、申し込みは必須だと考えてください。
その後、送った内容が精査され相談の可否が決定されます。相談日時が決定すると連絡が来るので当日、相談を受け、終了後は相談を受けた医師が報告書を作成し担当医に郵送します。また患者さんも担当医に結果を報告しましょう。
- 今通っている歯医者の医師に言いにくいのですが…。
- セカンドオピニオンを希望するなら、きちんと担当医にその旨を告げる必要があります。セカンドオピニオンの目的は治療の納得であり、新たな医師を見つけることではないからです。
もし治療を続けるつもりならば、たとえセカンドオピニオンで相談しても担当医のもとで治療を受けることになります。そのためセカンドオピニオンでは必ず診療情報提供書やX線フィルムの用意を担当医に依頼します。
医師はセカンドオピニオンが患者さんの自由な権利であることを承知しているため、信頼関係の毀損を心配する必要はありません。
それでも不安な方はセカンドオピニオンの結果を担当医に報告するとよいでしょう。
- セカンドオピニオンを検討した方がよいのはどのようなケースですか?
- 担当医から治療方針を複数提案され迷っている方や、治療法に納得できずほかの方法を探している方におすすめです。
具体的にはインプラント・歯周病・歯列矯正治療・ボロボロの歯の治療などで悩まれる方が少なくありません。
セカンドオピニオンは現在の治療に納得するための相談であるため、担当医への報告は忘れないようにしましょう。
歯医者のセカンドオピニオンのメリット・デメリット
- 歯医者のセカンドオピニオンのメリットを教えてください。
- 治療のアドバイスをえられることのほかに、歯医者と話し合う機会をえることがメリットです。
学会が策定したガイドラインが普及しておりそこに標準的な検査や治療が示されているため、医師によって意見が大きく異なることは多くありません。
しかしセカンドオピニオンの利用で検査の必要性・病状・各治療の利点や注意点の理解を深めることができます。これにより、治療に納得できるようになることがメリットです。
- 歯医者のセカンドオピニオンのデメリットを教えてください。
- セカンドオピニオンは健康保険が使えないため、高額な料金を請求されます。
具体的には紹介状を出す側と受ける側でそれぞれ請求され、紹介状を出す側は保険診療の対象となりますが、受ける側は保険適用外となります。
紹介状には必要な検査結果や画像情報も含めた料金として保険負担分がかかり、紹介状を受ける側には医療機関ごとに保険外診療として時間・料金の設定がされるでしょう。
セカンドオピニオンのタイミングは?
- セカンドオピニオンはどのようなタイミングで行うべきですか?
- 一般的には、担当医の説明に疑問が残る場合や治療方針への不安が拭えない場合に利用するのが好ましいです。そのような状況以外でも、複数ある検査・治療の選択に迷う場合にセカンドオピニオンを検討しましょう。
また患者さん自身が難しい治療を選択しなければいけない際に、専門家に意見を求め理解を深める目的で医師からセカンドオピニオンを提案します。
- 失敗しない歯医者の選び方を教えてください。
- セカンドオピニオンは担当医以外の第三者的立場の医師に意見を求めることで、現在の診察に納得するために行う患者さんの権利です。
納得が目標であるため、相談の後は担当医に戻ってもらうことが原則となっています。そのため、自分にとってよりよい担当医を探すことはセカンドオピニオンの目的とは相反します。
むしろセカンドオピニオンを通して担当医に対する感情ををほかの医師に吐き出すことで、失敗感が解消される場合もあるでしょう。
担当医の説明が理解できず一人で悩んでいた方が、相談後にはあらためて治療に臨めるようになることもあります。担当医に対して感じていた気まずさの解消ができます。
- セカンドオピニオンを引き受けてもらえないケースもありますか?
- セカンドオピニオンは、予約・書類・相談内容に関わるケースで引き受けてもらえないことがあります。
- 予約していない場合
- 書類の不備が確認された場合
- 特定の歯医者への紹介を希望する場合
- 相談内容が担当医に対する不満の吐露のように診察に関係ない場合
- 相談内容が医療費に関する場合
- 相談内容が死亡した患者さんを対象としている場合
- 相談内容が専門外である場合
- その他の理由でセカンドオピニオン運営委員会に採択されない場合
まず、セカンドオピニオンは完全予約制であるため予約しなければいけません。そのうえで診療情報提供書・検査データ・X線フィルムのような必要な書類の不備が確認された場合も、お受けできないでしょう。
担当医に対する不満の吐露や医療費に関わる内容のような診療そのものに関する相談でない場合や、そもそも内容が専門外だった場合もお断りされます。
またセカンドオピニオンは患者さん本人だけでなく家族もできますが、すでに患者さんが死亡している場合は受けられません。
これらの理由に該当せずとも、セカンドオピニオンを専門に扱う委員会が採択しなければ受けられず、患者さん側が理由を推し量ることには限界があります。
編集部まとめ
この記事では、歯医者のセカンドオピニオンを申し込む方法や注意点をまとめました。
セカンドオピニオンは一般的な方法であり、歯医者でも例外ではありません。患者さんの自由な権利であるため、誰でも申し込むことができます。
治療方針を複数提案されたり納得できなかったりする場合でも、患者さんは納得したうえで治療を受けることができるようになるでしょう。
注意点として、保険適用外であるため料金が高額になる点が挙げられます。
また、担当医に対する不満のように治療と関係ない相談の場合、セカンドオピニオンを引き受けてもらえないことに注意しましょう。
参考文献