口内炎は多くの方が経験したことのある疾患でしょう。
口内炎の痛みや違和感に悩んでいるならば、歯科医院で相談することをおすすめします。
今回は歯科医院で受けられる治療内容や治療を受けるメリット、デメリットを解説しますので、受診の参考にしてください。
また、口内炎とよく似た症状が、重大な疾患のサインであるケースもあります。
口内炎と類似している疾患についても理解を深め、疾患のサインを見逃さないようにしておきましょう。
歯医者で口内炎は治せる?
- 歯医者で口内炎は治せますか?
- 口内炎は口腔内の粘膜に生じる炎症の総称です。口内炎にはさまざまな種類があり、原因や治療法が異なります。よく見られるアフタ性口内炎は、口腔内への刺激をきっかけに発症し、約1〜2週間で自然と改善することがほとんどです。しかし、もっと早く治したい、痛みを和らげたいと希望する患者さんも少なくないでしょう。その場合は、歯科医院で治療を受けましょう。症状の改善を早める手助けをしてくれます。また、口内炎が長引く場合は、怖い病気が隠れているケースもあります。口内炎が通常よりも長引く場合は、早めに歯科医院を受診しましょう。
- 歯医者で行う口内炎治療のメリットはなんですか?
- 歯科医院で口内炎治療を受けると、以下のようなメリットが得られます。
- 症状が早く改善する
- 原因が特定できる
- 重大な病気を早期発見できる
口内炎が原因で強い痛みが出ると、日常生活に支障をきたすことがあります。早めの治療で改善しましょう。また、原因が特定できれば、繰り返し発症する口内炎の改善も期待できます。口内炎の痛みが強かったり、口内炎を繰り返したりして悩んでいるならば、歯科医師に相談してみましょう。
- 歯医者で行う口内炎治療のデメリットはありますか?
- 口内炎治療を受けるデメリットには、コストの負担があります。口内炎治療のなかでも、レーザー治療を自費治療で受けると、高額の治療費がかかるケースがあるため注意しましょう。治療前には、担当してくれる歯科医師から治療の内容・リスク・費用・メリット・デメリットなど詳細な説明を受けましょう。詳細な説明を受けたうえで、患者さんが理解し納得した後に治療を開始することをインフォームド・コンセントといいます。後悔せずに治療を受けられるよう、十分なインフォームド・コンセントを行う歯科医院を選ぶとよいでしょう。なお歯科医院で口内炎治療を受けないことによるデメリットには、食事や会話のしづらさ、重大な病気の見逃しなどがあります。
歯医者で行う口内炎の治療法
- 歯医者で行う口内炎の治療法について教えてください。
- 歯科医院で行う口内炎治療には、以下の選択肢があります。
- 塗り薬を塗る
- 貼り薬を貼る
- 内服薬を飲む
- 患部にレーザーを照射する
- 口腔内を清潔にする
- 休養を取って免疫力を上げる
塗り薬によく使われる薬はステロイドです。ステロイドは患部を保護しながら、炎症を抑えてくれます。また、触れると痛い小さな炎症には、患部をしっかりカバーしてくれる貼り薬がおすすめです。内服薬は、主に体内で不足しているビタミンを補う目的で処方されます。レーザー治療で使うレーザーは、炭酸ガスレーザーです。レーザーは患部を殺菌消毒し、炎症をやわらげてくれます。
- 口内炎にも種類がありますか?
- 口内炎には種類があります。口内炎を分類する方法には、粘膜表面の症状で分類する方法と、原因で分類する方法があります。以下は、粘膜表面の症状で分類される口内炎の一部です。
- アフタ性口内炎
- カタル性口内炎
- 潰瘍性口内炎
- 壊疽性(えそせい)口内炎
- 水泡性口内炎
- 紅斑性(こうはんせい)口内炎
また原因で分類すると、口内炎は以下のように分けられます。
- 細菌性口内炎
- 真菌性口内炎
- ウイルス性口内炎
- アレルギー性口内炎
また、がん治療に伴って発症する口内炎を、一般的な口内炎と差別化して口腔粘膜炎と呼びます。がん治療のために抗がん剤や痛み止め、抗うつ剤を使用しているとき、唾液腺がダメージを受けているときに発症しやすくなります。
- 口内炎ができる原因はなんですか?
- 口内炎の原因は、口内炎の種類によってさまざまです。以下でいくつか代表的な原因を挙げます。
- 口腔内の怪我
- ビタミン不足
- ストレスによる免疫力の低下
- ウイルスや細菌の感染
- 歯科治療の刺激
口内炎がみられるとき、不足していると考えられる栄養はビタミンBと鉄分です。また、口内炎を引き起こすウイルスや細菌には、ヘルペスウイルス・手足口病のウイルス・カンジダ菌などが挙げられます。
- 口内炎の予防法を教えてください。
- 口内炎予防には、栄養バランスの取れた食生活と適切な口腔ケアが重要です。食生活では、ビタミンBと鉄分をしっかり摂るようにしましょう。ビタミンBは、ビタミンB1・ビタミンB2・ナイアシンなど8種類に分けられ、これらをまとめてビタミンB群と呼びます。ビタミンB群はレバーや豚肉、緑黄色野菜など多様な食材に含まれる栄養素です。また鉄分は、レバー・しじみ・あさり・煮干しなどに豊富に含まれます。口内炎予防に必要な栄養は、毎日の栄養バランスが取れた食生活で補いましょう。さらに毎日の口腔ケアも重要です。適切な歯磨き習慣で、お口の中を清潔に保ちましょう。口腔内の乾燥も、口内炎発症の原因になります。こまめな水分補給やガムを噛む習慣で、お口の中を意識して潤すようにしておきましょう。
歯医者で行う口内炎治療の注意点
- 歯医者の口内炎治療は保険適用内でできますか?
- 歯科医院で受ける口内炎治療は、保険適用でも受けられる治療法です。一般的な口内炎である、アフタ性口内炎に有効なステロイド軟膏は、保険適用が認められています。一方で、レーザー治療は患者さんの症状や使用する機器などによっては、保険適用できないケースもあるため注意しましょう。歯科医院選びの段階で、よく確認しておくことをおすすめします。
- 口内炎が治らないときは歯医者に受診した方がいいですか?
- 口内炎はほかの重大な疾患の症状と混同されやすい疾患です。口内炎が1〜2週間経っても治らない、再発を繰り返している場合は、ほかの病気が隠れているケースがあります。当てはまる症状があるならば、早めに歯科医院を受診してください。なお、口内炎と間違われやすい病気には、以下のような病気があります。
- 白板症
- 紅板症
- 口腔がん
- 良性腫瘍
またベーチェット病やシェーグレン症候群などの自己免疫疾患の症状としても、繰り返す口内炎や一度に複数現れる口内炎がみられます。自然治癒していく口内炎か、ほかの病気に起因する口内炎かは、知識を持った歯科医院でなければ判断できません。お口の中に口内炎ができたと気がついたら、口腔内の衛生を保ち、刺激を与えないようにしながら経過を観察しましょう。不自然に長引く、気になる様子がある場合は、歯科医院を受診してください。
- 歯医者に定期受診した方が口内炎になりにくいですか?
- 歯科医院での定期検診は、口内炎予防に役立ちます。一般的な定期検診は、以下のような内容です。
- むし歯のチェック
- 歯茎のチェック
- 歯磨き指導
- クリーニング
- 歯科相談
- 粘膜の病気チェック
定期検診では、患者さんが口腔内を清潔に保つ手助けをし、ホームクリーニングで取り残した汚れを洗浄します。口腔内を清潔に保てると、口内炎リスクも下がるため予防につながります。さらに、粘膜の状態もチェックしてくれるため、口内炎の早期発見も可能です。定期検診は一般的には3ヶ月に一度程度の頻度で通うのが望ましいとされます。しかし、必要な定期検診の頻度は患者さんの状態によって異なるため、担当する歯科医師の指示にしたがいましょう。
編集部まとめ
口内炎は身近な口腔内の疾患です。
口内炎のほとんどが治療しなくても自然に治癒していくため、わざわざ歯科医院を受診する必要があるのか疑問に思う方もいるでしょう。
しかし歯科医院で口内炎治療を受ければ、完治を早められ、痛みも抑えられるメリットがあります。
特に口内炎が2週間以上続く場合と、口内炎が繰り返す場合は注意が必要です。口腔がんや白板症など、ほかの病気が隠れている可能性があるためです。
口内炎で悩んでいるなら、迷わず歯科医院を受診しましょう。
参考文献