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マグネット式の入れ歯とは?マグネットデンチャーのメリットや費用を解説

マグネット式の入れ歯とは?マグネットデンチャーのメリットや費用を解説

入れ歯はさまざまな種類がありますが、そのなかでもマグネット式の入れ歯があることをご存じでしょうか。マグネット式の入れ歯は取り外しがしやすいなどのメリットがあります。

しかし、「費用が高いのでは」「デメリットはないのだろうか」と思う方も少なくないでしょう。

そこで、この記事ではマグネット式の入れ歯のメリット・デメリットや費用などを詳しく解説します。

マグネット式の入れ歯(マグネットデンチャー)とは?

入れ歯

マグネット式の入れ歯の特徴を教えてください。
マグネット式の入れ歯(マグネットデンチャー)の特徴は、磁石の力で入れ歯を固定することです。
マグネット式入れ歯の仕組みは、歯根やインプラントにキーパーと呼ばれる磁石に反応する金属を埋めることで、入れ歯に取り付けてある磁石とくっつき固定されます。一般的な部分入れ歯はクラスプと呼ばれる留め具を使用して入れ歯を固定するので、留め具が見えて入れ歯だとわかりやすいです。
一方で、マグネット式は留め具が必要ないため入れ歯だとわかりにくく見栄えがよいという特徴もあります。
また、マグネット式は部分入れ歯だけでなく総入れ歯の作成もできます。
外れることはないのですか?
マグネット式の入れ歯が日常生活で外れることはほとんどありません。マグネットは垂直方向の力に強いので食事や会話でズレたり外れたりすることは少ないでしょう。
一方で、横や斜め方向に強い力が加わると外れてしまいますが、これはむしろ強い力から歯根を守ることにつながります。歯は横からの力が加わるとグラグラしてしまう原因となるので、過度な力に対しては外れた方がよいのです。
また、マグネットの磁力は落ちにくいといわれており、耐用年数は5年以上とされています。しかし、磁石とキーパーの間に汚れがあると磁力が落ちてしまうので、お手入れや定期的なメンテナンスは必要です。
マグネット式の入れ歯が向いているのはどのような人ですか?
マグネット式は取り外しを楽にしたい人に向いています。マグネット式は横にズラすと簡単に外せるので留め具を使用した入れ歯よりも楽に取り外しが可能です。
さらに、簡単に取り外せるため、洗浄も容易です。マグネット式に限らずほとんどの入れ歯は毎日の洗浄が必要ですので、簡単に取り外せると洗浄の負担が減るでしょう。
マグネット式の入れ歯の治療の流れを教えてください。
まずは残っている歯の状態を検査するためにレントゲンを撮ります。むし歯や歯周病の状態によってはキーパーを入れられない場合があるため注意が必要です。
検査で問題なければ、歯を歯茎付近まで削りキーパーを歯根に埋め込みます。その後、型取りをして患者さんのお口に合う入れ歯を作成します。
入れ歯作成後、噛み合わせや高さの微調整を行い、最後に入れ歯にマグネットを付けて完成です。治療期間は歯の状態に左右されますが、通常の入れ歯と同じく約1ヵ月前後かかります。

マグネット式の入れ歯のメリット・デメリット

入れ歯を持つ人

マグネット式の入れ歯のメリットを教えてください。
マグネット式のメリットは3つあります。
1つ目は着脱が簡単なことです。留め具で固定する入れ歯は着脱に苦労する方も少なくありませんが、マグネット式はより簡単に着脱ができます。そのため、体が不自由な方でも介護者が簡単に取り外せるというメリットもあります。
2つ目は入れ歯がグラつきにくく安定しているため強い力で噛めることです。
マグネット式の入れ歯に使用されている磁石は強力で、普通に使用していればグラついたり外れたりする心配は少ないので入れ歯のことが気にならずに日常を過ごせます。また、安定していることから強い力で噛んでも問題ないため日々の食事が楽しめるでしょう。
3つ目は残っている歯に負担がかからないことです。上記でも説明しましたが、マグネット式の入れ歯は横や斜めから強い力が加わると外れる仕組みなので、過度な力から歯を守ってくれます。
留め具で固定する入れ歯の場合は、引っかける歯に負担がかかってしまいますが、マグネット式ではその心配もないため歯に優しい入れ歯といえます。
マグネット式の入れ歯のデメリットを教えてください。
マグネット式のデメリットは2つあります。
1つ目は歯を削る必要があることです。マグネット式の入れ歯は歯根にキーパーを埋めるため歯の上部である歯冠部は削らなければなりません。そのため、元の歯を残したいという人には向かないでしょう。
しかし、むし歯治療などで歯根のみが残っている場合はその歯根を使ってキーパーを埋め込むことも可能です。
また、歯がまったくない人でもインプラントにキーパーを埋めることでマグネット式の入れ歯が使えます。
2つ目のデメリットはキーパーの周辺が汚れやすいことです。キーパー周辺は自浄作用が働きにくいため、定期的に歯科医院でお掃除をしてもらう必要があります。歯科医院でのお掃除をする頻度は2〜3ヵ月に一度は行うとよいでしょう。
マグネット式の入れ歯が使用できないのはどのような人ですか?
金属アレルギーの方はマグネット式の入れ歯を使用することはできません。歯根に埋め込むキーパーは金属製ですので、金属アレルギーの方が使用するとアレルギー反応が起こり危険です。金属アレルギーの方は別の種類の入れ歯を検討しましょう。
また、キーパーを埋め込む歯やその周辺組織の状態がよくない場合は使用できません。具体的には、歯周病などでグラついている場合や歯周ポケットの深さが4mm以上あると、その歯にはキーパーを埋め込めないとされています。
土台となる歯が不安定だと使用中に歯が抜けてしまったりする恐れがあるため、安定した歯でなければキーパーを埋め込めません

マグネット式の入れ歯の費用相場

カウンセリング資料

マグネット式の入れ歯は保険が適用されますか?
マグネット式の入れ歯は保険が適用されます。以前は保険適用外でしたが、2021年9月から保険が適用されるようになりました。ただし、すべてのマグネット式の入れ歯が保険適用になるわけではありません。
例を挙げると、歯根が1本もない場合は保険の適用外となります。歯根がないとキーパーを埋められないため、マグネット式の入れ歯を使用するためにはインプラントにキーパーを埋めることが必要です。
しかし、このインプラントによるマグネット式の入れ歯は保険の適用外となりますので注意しましょう。
費用相場を教えてください。
マグネット式の入れ歯の費用はマグネットの数によって変わります。3割負担での保険適用の場合、マグネット1つあたり6,000円前後です。そのため、マグネットが2つの場合は約18,000円、3つの場合は約24,000円になります。マグネットの数は歯の状態などから総合的に判断されるため、自分で数を決めるのは難しいでしょう。
保険適用外の場合の費用相場はマグネット1つあたり71,500円(税込)となります。また、どちらの場合も入れ歯の作成費用は別途必要で約10,000円かかります。
歯科医院によって費用に差があるのはなぜですか?
歯科医院によって費用に差があるのは、使われている素材や治療法が歯科医院ごとに異なるためです。
特に自由診療だと費用の差が大きく、同じような治療でも10万円以上の差があることも見られます。マグネット式の入れ歯の場合、使われている金属の種類によって値段の差が発生します。また、自由診療の値段は各クリニックが定めているため費用にばらつきが生じやすいです。
一方で、保険適用の場合は歯科医院ごとでそこまで差はありません。これは使われる素材や治療法がある程度国によって定められており、費用も一律で決められているため金額の差が生じにくいからです。多少の金額差があるのは、歯科医院ごとの受診料の違いによるものでしょう。

編集部まとめ

自信に満ちた人

マグネット式の入れ歯は自由診療から保険適用が可能になったので、多くの人が以前よりも少額で使用できるようになりました。しかし、インプラントによるマグネット式の入れ歯は保険の対象外となるので注意が必要です。

また、着脱がしやすいメリットがあるので、体の不自由な方や着脱の手間を減らしたい方におすすめです。一方で、金属アレルギーの方は使用ができない点は覚えておく必要があります。

今の入れ歯で悩んでいる方や、これから入れ歯を作成しようとしている方でマグネット式の入れ歯が気になる方は、お近くのクリニックで相談してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

若菜 康弘歯科医師(若菜歯科医院院長)

鶴見大学歯学部大学院卒業 / 現在は若菜歯科医院の院長

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