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40代で入れ歯は恥ずかしい?歯を失う原因・目立ちにくい入れ歯を解説

40代で入れ歯は恥ずかしい?歯を失う原因・目立ちにくい入れ歯を解説

40代に入ると、歯のトラブルが起こりやすくなり、結果として歯を失う方も増えてきます。特に更年期を迎える40代半ば~50代半ばにかけては、女性ホルモンの分泌量が大きく減少するため歯周病のリスクが高まり、歯を支える歯槽骨にも大きな影響を及ぼします。

失った歯を補填するためには、インプラントやブリッジが一般的ですが、ほかにも入れ歯という選択肢があるのをご存じでしょうか。40代ではまだ抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、最近の入れ歯は進化して、装着感や審美性に優れた種類も増えています。

今回は、40代で歯を失う原因とともに着けても目立ちにくい入れ歯の種類を紹介します。ぜひ本記事を参考に、あなたにぴったりな治療法を見つけてください。

40代で入れ歯は恥ずかしい?

歯の模型

入れ歯と聞くとお年寄りのイメージがあることから、 40代なのに入れ歯なんて恥ずかしいと思う方もいるでしょう。

「見た目が悪い」「金属のバネが見えるのが嫌」「うまく噛めない」「入れ歯を入れたら嘔吐感を覚える」など……いろいろな理由から入れ歯を嫌う方は少なくありません。

実際、令和4年の厚生労働省の調査によると、40代で入れ歯を装着する人の割合は0.7%しかいないそうです。しかし、最近では部分入れ歯の素材の質や技術が向上し、目立ちにくい部分入れ歯が作れるようになっています。

代表的なものには、ノンクラスプデンチャー・マグネットデンチャー・インプラントオーバーデンチャーなどがあります。入れ歯と気付かれない自然な見た目で、装着感と審美性を兼ね備えた入れ歯を選んでみてはいかがでしょうか。

歯を失う原因

歯を持つ手

厚生労働省の2020年患者調査によると、むし歯患者は横ばいながら、歯周病患者の1日あたりの推計患者数はここ20年あまりで倍以上に増加しています。また、35~44歳の1人平均喪失歯数は0.6本ですが、45~54歳では1.4本と倍以上に増えているとの報告もありました。

これらの調査から、歯周病の罹患者が増えており、40代後半から歯を失う方が増え始めるということがわかります。ここでは、歯を失う原因についてさらに詳しく解説しましょう。

事故

歯を失う原因にはいろいろありますが、不幸にしてスポーツ事故や交通事故などによって歯を失う場合もあるでしょう。

40代に事故が増えるというわけではありませんが、顔面の強打によって歯が欠けたり折れたりすることがあります。事故で歯を失った場合は、まずは迅速に口腔外科または歯科医院に相談してください。

可能であれば抜けた歯を牛乳など乳白色の液体に入れて持参すると再植手術を行えることがあります。

また、事故で失ったところに自分の別の歯を移し入れる自家歯牙移植という治療法もあり、条件が合えば歯の機能を生かすとても有効な方法かもしれません。ただし、健康保険が利用できる場合とできない場合があるので、医療機関に相談してください。

歯が完全に破損して再生不可能な場合は、入れ歯・ブリッジ・インプラントの選択肢から適切な治療方法を選びましょう。

むし歯

むし歯は、ミュータンス菌という細菌が歯の表面を溶かして穴を開けるなど、痛みを伴う歯の疾患です。

特に女性の場合は、40代特有の体の変化によってホルモンバランスが崩れやすいため歯を支える骨が弱まり、歯のトラブルが増加します。歯を失うと、噛む力が弱まり顎の筋肉も使わなくなるため、急に歯と歯茎の衰えが出始めるかもしれません。

また、むし歯が減ってきたことによって歯科医院に定期検診に訪れる機会が減ったことも、歯を失う一因と考えられます。40代になったらむし歯の有無に関わらず、定期的に歯科検診を受けてください。

歯周病

歯周病は、お口の中の歯周病菌が原因で炎症を起こす歯の疾患です。この菌は空気を嫌うため歯と歯茎の間の歯周ポケットに潜っていきますが、この時点で痛みはありません。

そのため放置してしまいがちですが、歯周ポケット内に歯石が溜まると一気に菌が増殖し、やがて歯を支える骨を溶かしてしまいます。

さらに歯周病が怖いのは、歯を失うリスクが高まることに加え、脳梗塞・心筋梗塞・糖尿病など全身疾患の引き金にもなることです。40代を迎え中年期に入ると歯周病は増加するため、その予防と対策をしていかねばなりません。

そのためには、歯と歯の間の汚れまで磨く毎日の口腔ケアはもちろんですが、歯科医院で定期的に歯茎の中の歯石を取り除く歯周病治療が必要です。

40代でも使いやすい目立ちにくい入れ歯

上の歯

さまざまな原因から歯を失う結果になった場合、義歯による補填が必要です。噛むという機能のほかにも、歯ぎしりの抑制や表情の変化を防いでくれます。

長く放置しておくと骨が痩せてお顔の表情に変化が現れ、会話や食事が楽しめなくなってしまうでしょう。しかし、40代の患者さんはまだ、入れ歯のイメージに抵抗があるかもしれません。ここからは、目立ちにくい入れ歯をご紹介します。

ノンクラスプデンチャー

下の歯

保険の部分入れ歯にありがちな金属の留め具が嫌な方も少なくないでしょう。ノンクラスプデンチャーは、クラスプと呼ばれる金属の留め具がありません。

歯茎の色に合わせた樹脂やシリコンの素材が使用されるため、入れ歯だと気付かれにくいのが特徴です。見た目が自然で、しっかりとした装着感と快適な使い心地で、周囲の健康な歯に負担をかけることがありません。

金属アレルギーの心配がある方・少数の歯の欠損に対応したい方にもおすすめです。デメリットとしては、強度や修理に制限がある場合があり、保険適用外であるため費用が高くなることです。

マグネットデンチャー

マグネットデンチャーは、磁石を使用した入れ歯です。 金属のバネを使用しないので見た目に入れ歯とわからず、簡単に脱着しやすくなっています。

歯根部分にアタッチメントまたはキーパーという磁石が組み込まれており、磁力で入れ歯をしっかり固定するため、外れにくく噛み応えも改善されています。

ただし、磁性アタッチメントが埋め込まれているとMRIが撮れないことを事前に知っておいてください。

インプラントオーバーデンチャー

机のうえの入れ歯

インプラントオーバーデンチャーは、残存する歯やインプラントを入れ歯で覆い被せるタイプの治療法です。単純にオーバーデンチャーと呼ばれることもあります。

見た目は総入れ歯そのものですが、入れ歯が粘膜で噛む力を支えているのに対し、インプラントオーバーデンチャーは残存歯やインプラントが支えます。

そのためオーバーデンチャー全体の安定性・噛む力が高くなるのが特徴です。また、オーバーデンチャーは入れ歯と同様に脱着が可能なため、高齢になっても介助者が簡単にお手入れができるでしょう。

残存歯の数が少ない・すべての歯を失った方は、オールオン4と呼ばれる4~6本のインプラントで支えるタイプのオーバーデンチャーを検討してもよいかもしれません。

40代で歯を失った場合の入れ歯以外の選択肢

歯の模型

歯を失った場合の補綴治療としては、入れ歯のほかにブリッジ・インプラントが検討されるでしょう。ただし、保険で治療したい場合にはブリッジや入れ歯を検討してください。以下に、それぞれの特徴を説明します。

ブリッジ

ブリッジは、欠損した歯の両隣の歯を削って土台にし、橋を渡すような形で固定式の義歯を被せる治療法です。咀嚼するときも安定感があり、入れ歯のように取り外す必要がありません。

そのため、自分の歯と同じような感覚で噛むことができるでしょう。また、保険が適用されるので治療費を抑えられる・約2~3回の通院で治療を終えられる・インプラントのような外科手術が必要ないというのもメリットです。

ただし、隣り合う健康な歯を削る必要があり、支えとなる歯に負担がかかるというデメリットがあります。ブリッジと歯茎の間に汚れが溜まりやすく、むし歯や歯周病になりやすいというデメリットも知っておきましょう。

インプラント

インプラント

インプラント治療は、ブリッジのように隣り合う健康な歯を削ること必要がありません。残っている歯への負担が少なく、固定式で安定性がよいので自分の歯と同じ感覚でしっかり噛めます。

インプラントを機能させることで、顎の骨が痩せるのを抑えることもできます。そのため、咀嚼機能や審美性の回復が可能というメリットがあり、利便性や快適性さらには審美性といった生活レベルの要望に応えられる治療といえるでしょう。

一方で、治療期間が長く、インプラント手術をしてから顎の骨と結合するまで約3~6ヶ月の期間がかかります。外科手術が必要なことや保険が適用されないなどデメリットもあります。

また、特定の持病を持った患者さんはインプラント治療が適用されないこともあるので注意してください。顎骨が硬い・軟らかいなど、骨質や量の影響を受けることも考慮したうえで治療を検討しましょう。

入れ歯のメリット・デメリット

消毒中の入れ歯

入れ歯は、顎・筋肉・全身の健康維持に役立ちます。歯を失ったまま長期間放置しておくと、反対側の歯が伸び出してくる・隣の歯が傾いてくるなどの不具合が起こり、結果として歯並びが悪くなることがあります。

咀嚼能力が低下するため、消化管に負担がかかってしまうこともあるでしょう。唇にしわができたり、顔つきや表情に変化がでることもあるかもしれません。ここからは、ほかにも考えられる入れ歯のメリット・デメリットを解説します。

メリット:外科的手術が必要ない

入れ歯は、インプラントのように外科処置が不要で、ブリッジのように周囲の健康な歯を削る必要もありません。残存する歯に負担のかからない、身体に優しい治療法といえるでしょう。

メリット:インプラントと比べて費用が安い

入れ歯は、保険適用のものもあり、インプラントと比べて治療費を安く抑えることも可能です。取り外し式でお手入れができるので、その後のメンテナンスも簡単です。

もし破損した場合も6ヶ月以上経てば、保険が適用されるため、再度制作できます。

メリット:インプラントと比べて治療期間が短い

入れ歯の治療は、インプラントと比較して治療期間が短いことが特徴です。入れ歯の製作には、通常、検査やカウンセリングを含めて4~5回程度の通院が必要とされ、一般的には1~2ヶ月ほどで完成します。

ただし、患者さんの口腔内の状態や個別の調整が必要な場合、さらに期間がかかることもあります。製作期間の目安は約4~6週間で、その後も快適に使用できるように調整を重ね、数ヶ月で自然に使用できるようになりますが適応には個人差があるでしょう。

デメリット:噛み心地がよくないことがある

入れ歯は、自分の歯のような噛む力はありません。インプラントやブリッジと比べても噛む力が弱いため、その噛み心地に不満を感じる方も少なくないでしょう。

また、外れやすいため違和感があるなど、噛み心地がよくないことがあります。

デメリット:こまめなお手入れが必要

入れ歯は、トラブルが起きても取り外しできて対応しやすい・取り外して掃除がしやすいというメリットがある一方で、こまめなお手入れが必要というデメリットもあります。

毎食後に歯を磨くのと同じ感覚で、入れ歯も毎食後に必ず外して義歯用ブラシで細かいところまで掃除しましょう。特に、部分入れ歯は金具の周辺に汚れが残りやすい場合があります。

夜寝るときはブラシで丁寧に磨いた後に洗浄剤に入れ、流水ですすぎ、水を入れた専用ケースに保存してください。

入れ歯の費用相場

部分入れ歯

保険適用の総入れ歯は約15,000円、部分入れ歯は約5,000~15,000円が目安です。ただし、保険が適用される入れ歯の素材はプラスチックに制限されており、部分入れ歯には金属製の留め具で固定するタイプに制限されます。

見た目が気にならなければ費用を抑えられるしょう。一方、自由診療の入れ歯は、使用する材質に制限がありません。

今回紹介したマグネットデンチャーは保険適用で作ることができます。以前は保険適用外でしたが、2021年9月より保険適用となりました。

ただし、保険適用で治療できるのは残っている歯の本数が少ない方で、歯がない方は保険適用外となります。

保険適用外の場合の費用相場は300,000円〜500,000円(税込)です。自由診療のほかの入れ歯の相場は、以下です。

  • ノンクラスプデンチャー:300,000~500,000円(税込)
  • インプラントオーバーデンチャー:650,000~800,000円(税込)

ただし、費用相場は素材だけでなく義歯の本数や歯科医院によって変わってきますので、直接お問い合わせください。

まとめ

歯の模型

今回は、40代で歯を失う原因から入れ歯のメリット・デメリット・費用までを解説しました。

40代で装着しても恥ずかしくないよう、目立ちにくい入れ歯も紹介しましたので、気になる種類もあったのではないでしょうか。

痛みがないため自分では気付かないうちに進行してしまう歯周病には、特に注意が必要です。歯を失うリスクのほかにも、血液に乗って全身におよび、糖尿病などを引き起こすこともあります。

身体も生活スタイルも大きく変わる40代は、定期的な歯科検診が欠かせません。歯を失う予防のためにも、歯周病を意識した丁寧な口腔ケアを継続しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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