「入れ歯にしたら食べ物の味が変わった気がする…」「なんだかおいしく感じなくなった」と感じたことはありませんか?
入れ歯を装着すると、噛む力や舌の動き、味の感じ方に影響が出ることがあり、それが食事の満足度に関わってくることもあります。 しかし、原因を理解し、ちょっとした工夫を取り入れることで、おいしく食べられるようになるとされています。
本記事では入れ歯にしたら食べ物がおいしくない原因ついて以下の点を中心にご紹介します。
- 入れ歯について
- 入れ歯の食事トラブル
- 入れ歯でも食事を楽しむために
入れ歯にしたら食べ物がおいしくない原因について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
入れ歯について
- 入れ歯にはどのような種類がありますか?
- 入れ歯には、大きく分けて部分入れ歯(部分床義歯)と総入れ歯(総義歯)の2種類があります。部分入れ歯は、一部の歯を失った際に使用するもので、残っている歯に金属のバネ(クラスプ)をかけて固定します。インプラント治療よりも費用を抑えられますが、金属部分の設計や素材によっては、総入れ歯よりも費用が高くなる場合もあります。
取り外しが簡単とされることもありますが、高齢者や手指に力が入りにくい方にとっては、クラスプの着脱が難しいことも少なくありません。そのため、使用にあたっては装着や手入れのしやすさを含めた個別の検討が重要です。
総入れ歯は、すべての歯を失った場合に用いられる取り外し式の入れ歯です。歯茎や顎の形に合わせて作られ、咀嚼機能や見た目の回復に役立ちます。以前は、話しにくい、違和感があるといったデメリットがありましたが、現在では精密な技術により、装着感の向上が図られています。
いずれの入れ歯も清潔を保つために日々のケアが欠かせません。
- 入れ歯を使用するメリットを教えてください
- 入れ歯を使用するメリットは、以下のとおりです。
①外科手術が不要
インプラントのように手術を必要とせず、さまざまな方が治療を受けやすく、高齢の方や全身疾患をお持ちの方にも対応しやすい治療法といえます。②費用を抑えられる
保険診療が適用されるため、ほかの補綴治療よりも費用を抑えやすく、経済的な負担を軽減できます。③短期間で完成する
特別な問題がなければ、入れ歯は1ヶ月程で完成するケースが多く、通院回数も少なく済みます。④メインテナンスがしやすい
取り外しができるため、日々のケアがしやすく、清潔な状態を保ちやすいとされています。
- 入れ歯を使用するデメリットを教えてください
- 入れ歯にはさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットも考えられます。
①安定性の不安
特に総入れ歯は歯茎の上に乗せる構造のため、外れやすくなることがあります。②咀嚼力の低下
天然歯よりも噛む力が弱く、硬いものを食べづらくなることがあります。③発音や会話への影響
入れ歯の装着によりお口のなかの感覚が変わり、特定の音が発しにくくなる場合があります。④慣れるまで違和感がある
装着初期には異物感や痛みを感じることがあり、慣れるまでに時間がかかることもあります。⑤こまめなメンテナンスが必要
日々の清掃と歯科医院での定期的な調整が欠かせません。違和感や不具合は調整や工夫で軽減できるため、気になることがあれば早めの相談が大切です。
- 入れ歯の費用相場を教えてください
- 入れ歯の費用は、保険診療か自費診療かによって大きく異なります。
【保険診療の場合】
保険適用の入れ歯はプラスチック製で、部分入れ歯は2万〜3万円、総入れ歯は5万円程度が相場です。3割負担であれば、部分入れ歯は6,000〜9,000円、総入れ歯は1万5,000円程度の自己負担が目安となります。【自費診療の場合】
見た目や装着感にこだわった入れ歯は自費診療となり、部分入れ歯で15万〜30万円、総入れ歯では30万〜50万円程度が相場です。金属床やシリコンなどの素材を選ぶことで、より快適な使用感を得られますが、費用は高くなります。
入れ歯の食事トラブル
- 入れ歯で食べにくい食べ物はありますか?
- 入れ歯を装着していると、食べにくさを感じる食材があります。例えば、ナッツ類やせんべい、ビーフジャーキー、するめなどの硬い食材は、入れ歯が浮いたりズレたりしやすく、噛みにくさを感じることがあります。また、リンゴや漬物のように歯でかじり取る動作が必要な食材も、前歯に負担がかかりやすいため注意が必要です。
さらに、餅やガム、グミなど粘着性のある食べ物は、入れ歯にくっついて外れやすくなる場合があります。加えて、セロリやアスパラガスなどの繊維質が多く含まれている野菜は噛み切りにくく、食べづらさを感じることもあります。
慣れるまでは、これらの食材は調理法を工夫して取り入れるとよいでしょう。
- 入れ歯で食事をする際の注意点を教えてください
- 入れ歯で快適に食事を楽しむためには、いくつかの注意点があります。
- 入れ歯のフィット感を確認する
痛みやズレがあるとしっかり噛めず、食欲不振や栄養不足の原因となります。定期的な検診で調整を受けることが大切です。 - 食材の大きさに工夫をする
一口サイズに切り、隠し包丁を入れるなどで噛みやすさが向上します。ただし、細かくしすぎると口内でまとまりにくく、飲み込みにくくなるため注意が必要です。 - 硬さを調整する
硬い食材は避け、煮る、蒸すなどしてやわらかくすることで噛みやすくなります。特に総入れ歯では噛み合わせが上手く設定されていない場合、前歯で硬いものを噛むと外れやすくなるため注意しましょう。 - 食べ物の温度に配慮する
総入れ歯では熱さを感じにくいため、やけどを防ぐためにも温度確認が重要です。
- 入れ歯のフィット感を確認する
入れ歯でも食事を楽しむために
- 入れ歯をすると食べ物がおいしくないと感じる原因を教えてください
- 入れ歯を装着すると、食べ物がおいしく感じにくくなることがあります。 主な原因は以下のとおりです。
- 温度を感じにくくなる
保険適用の入れ歯に含まれているレジン(プラスチック)は熱を通しにくく、ご飯の温かさや飲み物の冷たさを感じにくくなります。 - 味覚や食感への影響
入れ歯の土台が厚いと舌や粘膜への刺激が減り、食べ物の食感や微細な味を感じにくくなることがあります。また、味覚を感じる舌の味蕾にも圧力がかかると、味の認識に影響を及ぼす可能性があります。 - 違和感による集中力の低下
装着時の異物感が強いと、食事に集中できず、結果として「おいしくない」と感じやすくなる場合もあります。
- 温度を感じにくくなる
- 入れ歯で食事を美味しく楽しむコツはありますか?
- 入れ歯でも食事を楽しむためには、以下の工夫を行うことが推奨されています。
- 定期的な調整や修理を行う
入れ歯は時間とともに合わなくなることがあります。違和感や痛みを感じたら歯科で調整し、快適な状態を保つことが大切です。 - 安定剤を活用する
入れ歯のズレや外れを防ぎ、食事中の不安感を減らすために安定剤を使うのも一つの方法です。密着性を高めることで食事のストレスが軽減されます。しかし安定剤を使用しなければ痛みが出たり外れる場合は、歯科医院にて調整、修理をしてもらうことが重要です。 - 調理法を工夫する
食材はやわらかく、噛みやすく調理し、大きさも一口サイズにすると食べやすくなります。 - 食べ方に気をつける
少量ずつお口に運び、前歯ではなく左右の奥歯でバランスよく噛むと入れ歯が安定しやすくなります。 - 洗浄剤を見直す
入れ歯の清潔さは味覚にも影響します。使用感のよい洗浄剤を選び、快適な装着状態を保ちましょう。
- 定期的な調整や修理を行う
編集部まとめ
ここまで入れ歯にしたら食べ物がおいしくない原因についてお伝えしてきました。入れ歯にしたら食べ物がおいしくない原因の要点をまとめると以下のとおりです。
- 入れ歯は、部分入れ歯(部分義歯)と総入れ歯(総義歯)の2種類に分けられ、手術が不要で費用を抑えて短期間で製作でき、メインテナンスもしやすい一方で、装着時の違和感や咀嚼力の低下、発音への影響などがデメリットとして挙げられる
- 入れ歯で食事をする際には、入れ歯のフィット感を確認する、食材の大きさに工夫をする、硬さを調整する、食べ物の温度に配慮することが大切
- 入れ歯で食事をおいしく楽しむには、定期的な調整や修理を行う、安定剤を活用する、調理法を工夫する、食べ方に気をつける、洗浄剤を見直す工夫が必要
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があり、それぞれ失った歯の本数に応じて選択されます。
入れ歯は手術不要で費用を抑えられ、短期間で治療が完了するなどのメリットがありますが、装着時の違和感や安定性、咀嚼力の低下といったデメリットもあります。
なかでも、食事では、硬いものや粘着性のある食材に注意が必要で、調理法や食べ方を工夫することが求められます。また、定期的なメンテナンスや調整を行い、快適な状態を保つことが食事の満足感にもつながります。
これらの情報がお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。