歯がなくなってしまった場合に使用するのが総入れ歯ですが、総入れ歯をすると顔の見え方が変わるといわれています。
歯が抜けてなくなってしまうと頬がこけて見えてしまいますが、総入れ歯を入れると若々しくみせることが可能です。
一方、総入れ歯の形状によっては顔が歪んでこけてみえてしまうことも少なくありません。
また、入れ歯を入れたことで筋肉の使い方が変化し、顔が変わる可能性も否定できません。
そこで今回は、総入れ歯にした場合、顔に変化が出る理由や老け見えを予防する方法について解説しましょう。
総入れ歯にすると顔が変わる？
- 総入れ歯の種類を教えてください。
- 総入れ歯といってもさまざまな種類があり、素材や形状が異なります。総入れ歯の種類は以下のとおりです。
- 保険適用の総入れ歯
- 金属床の総入れ歯
- シリコンの総入れ歯
- BPSデンチャー
- インプラント入れ歯
- 磁性アタッチメント入れ歯
- オーダーメイド入れ歯
入れ歯は、人工歯の部分と人工歯を支える床（しょう）という歯茎にあたる部分の2つで構成されています。保険適用で作製できる総入れ歯は、床の素材がプラスチックです。メリットは費用がさほどかからないことがあげられますが、デメリットとして違和感を覚えることが少なくないため半年に1回は作り直しが必要になることがあります。金属床・シリコンの総入れ歯は自費となりますが、プラスチックの入れ歯に比べて寿命が長く、フィット感の良さや食べ物の温度・味がわかりやすいのが特徴です。BPSデンチャーは、Biofunctional Prosthetic System（生体機能的補綴システム）を略しており、噛み合わせの位置と力を再現して作製する入れ歯です。精密義歯とも呼ばれ、独自の作製工程で作られているため、作製する人による品質差はなく人それぞれに合った入れ歯を作成できます。インプラントは顎の骨に人工歯根のインプラント体を埋め込む治療ですが、総入れ歯にする場合はオールオン4という治療法を用います。オールオン4は審美・安定性・機能性・装着感も優れていますが、糖尿病の方や感染リスクの高い方はインプラント治療を受けられません。高い安定性を求める場合は、磁性アタッチメント入れ歯がおすすめです。磁性アタッチメント入れ歯は、歯のほうに磁石をくっつけるための磁性金属を入れ、入れ歯のほうに磁石をセットすることで、磁石の力を利用しながら入れ歯を装着します。唾液を利用して吸着させる入れ歯より安定性が高いため、力強く噛むことも可能です。高額な費用が必要にはなりますが、自分にぴったりの総入れ歯を作りたい場合はオーダーメイドで作製する方法もあります。
- 総入れ歯のメリット・デメリットを教えてください。
- 総入れ歯にすることで得られるメリットは、食事が楽しめることです。歯がない状態で食事を摂ろうとしても、歯ごたえのある食べ物を食べることができません。そのため、歯がないとやわらかい食事に偏ってしまいます。しかし、総入れ歯を入れれば、歯がある状態なので硬い物も食べられるでしょう。そのほかには、言葉をしっかり話せるようになります。歯が揃っていない状態では発音が不明瞭となることがほとんどなので、歯が揃えば、はっきりと発音することができます。また、凹んだ頬・口元にハリが出るので若々しく見えるでしょう。一方デメリットは、入れ歯が合わなくなって痛みが生じることです。入れ歯は、食事を摂ることで歯が摩耗したり破損したりすることがあります。一生涯使える入れ歯はないので、その都度不具合が出た場合は入れ歯を作製した歯科医院へ相談が必要です。また、保険適用で総入れ歯を作る場合は3割負担なのでさほど費用はかかりませんが、自費で総入れ歯を作る場合は数十万円単位で費用がかかります。そのため、作製には検討が必要です。またインプラントと比較した場合に、歯の見た目や噛みやすさの点で、少し劣るというデメリットもあります。
- 総入れ歯にすると顔が変わると聞いたのですが…。
- 総入れ歯にすると顔が変わるというよりも、むしろ歯がないと顔が変わるという認識がより適切です。歯がなく、インプラントも総入れ歯も使っていない状態では、顔の形は変わってしまうものです。総入れ歯によって、歯がある本来の状態に戻るため、総入れ歯で顔が変わるという見方ができるかもしれません。
- 総入れ歯にすると老けて見えますか？
- 総入れ歯にすると老けて見えることは基本的にありません。むしろ歯が欠けていて、入れ歯もインプラントも入れていない場合、老けて見えることがあるでしょう。歯のない状態の顔を老人様顔貌と呼ぶことがあります。しかし、現在では8020運動の成果もあり、高齢者でも歯が残っている割合が高く、入れ歯と老化を結びつける必要はありません。
- 総入れ歯にしたことで若々しく見えるケースもありますか？
- 口元が痩せてしまうと老けて見られることはありますが、総入れ歯を入れることで若々しく見せることが可能です。歯を失ってしまうと口元が凹んでしまうため、老けて見えてしまいます。反対に、自分にピッタリ合った総入れ歯にすれば痩せてしまっていた口元に膨らみを取り戻すことができるため、口の周りのしわも少なくなって若々しく見せられるのです。
総入れ歯にすると顔が変わる原因・対処法
- 総入れ歯にすると顔が変わる原因を教えてください。
- 総入れ歯にしたことで顔が変わる原因は以下のものが考えられます。
- 入れ歯の素材・形状
- 入れ歯の厚み
- 筋肉の使い方の変化
保険適用の総入れ歯には歯茎部分にプラスチックが使用されることが少なくありません。そのため、強度を持たせるために厚みが必要になるため、口元が盛り上がって見えることがあります。また、入れ歯の土台の形に影響され、上唇が凹んでしまうと老け顔になることがある可能性もあります。そのほかには、入れ歯を入れて動かしにくくなった部分の筋肉が衰えたり、衰えをカバーするために別の筋肉を動かして別の部分に筋肉がついたりすることです。顔には表情筋があるため、筋肉を動かさなくなれば痩せていき、筋肉を使えばその部分に筋肉がつきます。この状態は、合わない入れ歯を使った場合によく起こるので、合わない入れ歯を使い続けるのには注意が必要です。また、入れ歯が口にフィットしておらず、食べ物を噛むときの刺激が顎の骨に伝わりにくくなると、骨が後退し口周りが痩せてしわが目立ったり凹んで見えてしまったりします。自分に合った総入れ歯を入れないと良くも悪くも顔が変わってしまうのです。
- 顔が変わってしまった場合の対処法はありますか？
- 総入れ歯を入れて顔が変わってしまった場合の対処法は、次のようなものがあります。
- 入れ歯の調整または修理を歯科医院へお願いする
- 口・顔のストレッチを行う
- 自費治療の入れ歯を検討する
総入れ歯の形状が原因で、口元が痩せたり膨らんだりして見えてしまう場合は、歯科医院で調整・修理が必要です。調整や修理を行って問題が解決すればよいですが、それでも気になる場合は自費での入れ歯作製を検討しましょう。自費の総入れ歯であれば、今後の生活や表情の魅せ方など希望に添った総入れ歯を作製してもらえます。入れ歯を入れたことで筋肉の使い方に偏りが出てしまう場合は、口・顔のストレッチが効果的です。動かさなくなった筋肉へアプローチできるでしょう。
総入れ歯で老けて見えるのを予防する方法
- 総入れ歯で老けて見えるのを予防する方法はありますか？
- 総入れ歯で老けて見えることを過度に心配する必要はありませんが、自然な見た目を維持するために重要なのは、自分に合った入れ歯を選ぶことです。顔が老けて見られないためには、総入れ歯を装着したときの噛み合わせの高さ・位置が適切である必要があります。また、総入れ歯を作製するうえで、歯科医院で行う歯形の型取りの精度や技術・歯科医師のセンスがよいかを見極めるのも大切です。顔のバランスに合った総入れ歯でなければ、顔の印象を変えてしまうので、歯科医師としっかり相談して総入れ歯を作製しましょう。作製した総入れ歯が合わない場合は、まず歯科医院へ相談し、調整・修理を依頼するのが大切です。それでも納得がいかない場合は、新しく入れ歯を作製するほかないでしょう。
- 歯科医院で事前に相談すれば対応してもらえますか？
- 総入れ歯を作製したい場合は、受診する前にカウンセリングを行ってもらえるか確認してみましょう。歯科医院では治療を始める前にさまざまな検査を行い、患者さんのお口に合った入れ歯を提案するためのカウンセリング診療を行っているところも少なくありません。インターネットを活用し、カウンセリングを行っている医院を探してみるのもよいでしょう。
- 毎日の生活で気を付けるべきことがあれば教えてください。
- せっかく自分に合った総入れ歯を作製しても、保管方法やお手入れ方法を間違えてしまうと変形や破損につながる恐れがあります。入れ歯は就寝前に取り外し毎日洗いましょう。毎日洗わないとカビが生えてしまうため、入れ歯専用ブラシや入れ歯洗浄剤などを使い、水で洗い流します。また、3日に1度は入れ歯専用の洗浄剤の溶液につけ、手入れするのも大切です。総入れ歯を保管するうえで大事なことは、乾燥しないようにすることです。きれいに洗った後は水の中に入れて保管し、毎日水を交換しましょう。また、入れ歯は変形に弱いので、装着時は無理な力を加えないようにしましょう。
編集部まとめ
顔の印象を若く見せられるだけでなく、食事を楽しく摂るためにも総入れ歯は重要な役割を持っています。
しかし、合わない総入れ歯を装着してしまうと、顔が不自然に変化する可能性も否定できません。
顔の印象を若く見せたい場合は、ピッタリ合う総入れ歯を装着しましょう。
自分に合う総入れ歯を作りたい場合は、しっかり検査を受け、歯科医師と相談する必要があります。
総入れ歯を装着することで顔の筋肉に偏りが出てしまった場合は、口・顔のストレッチで補いましょう。
参考文献
電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。