粘液嚢胞とは？一般歯科で受けられる治療法を徹底解説

分泌される唾液がうまく排出されず、周囲の組織に漏れ出すことで、薄い膜に包まれた水ぶくれのような膨らみができるとされています。

見た目は透明〜半透明で、食事や会話中に違和感や邪魔に感じることもあります。また、舌の下の唾液腺から唾液が漏れた場合は、「ラヌーラ（ガマ腫）」と呼ばれ、大きくなることがあります。

まず、「物理的な刺激」が間接的な原因となるケースがあります。例えば、唇や頬の内側を噛む癖、硬い食べ物の摂取、矯正器具や入れ歯が粘膜に触れることなどです。

次に、「外傷や口内炎などによる粘膜の損傷」も導管の閉塞を引き起こします。特に小唾液腺は構造的に詰まりやすいため、粘液嚢胞ができやすい傾向があります。

また、「年齢」も一因であり、子どもや若年層に多くみられますが、大人にも起こることがあります。

① 下唇にできる粘液嚢胞
3種類のなかでも、多い傾向にあるのが下唇にできるタイプです。唇を噛む癖や外的刺激により、唾液腺が傷ついて唾液が組織内に漏れ出すことで発生します。小さな水ぶくれのような見た目で、浅い層にできます。

② 舌の裏側やお口の底にできるガマ腫（ラヌーラ）
舌下腺や顎下腺の唾液が排出されずにたまることで生じ、大きく、深部にまで及ぶことがあります。このタイプは再発や嚢胞の拡大が起こりやすく、外科的処置が必要となる場合もあります。

③ 頬の内側にできる粘液嚢胞
繰り返し歯や食べ物で粘膜が刺激されることで唾液腺が傷つき、嚢胞ができるタイプです。食事や会話で違和感を覚えることがあります。

いずれも痛みは少ないものの、再発や不快感を伴うことがあるため、正確な診断と治療が重要です。

まず主な治療方法として、摘出手術があります。局所麻酔を用いて嚢胞と原因となる小唾液腺を一緒に取り除く方法で、さまざまな歯科医院で行われています。処置時間は短く、再発防止にも効果が期待されます。

また、レーザー治療を導入している歯科医院では、出血や腫れを抑えながら除去できる方法もあります。身体への負担が少ないため、選択肢のひとつとして用いられることがあります。

一方で、舌下腺など深部に及ぶ「がま腫」タイプの粘液嚢胞では、唾液腺ごと摘出する必要があることもあり、これは口腔外科での専門的な処置が必要です。

嚢胞の状態によって治療法が異なるため、まずは一般歯科または口腔外科で診断を受け、適切な治療方針を決めることが重要です。

粘液嚢胞の治療は、局所麻酔下で行う摘出手術が基本となり、健康保険が適用されるケースが多いとされています。保険診療の範囲内であれば、手術費用はおおよそ3,000円〜5,000円程度で、再診料や処置料を含めても1万円以内で済むケースが多く見られます。

一方、レーザーなどの特殊な機器を用いる場合は、費用が1万5,000円〜3万円前後になることもあります。

また、初診料、検査費用、再診料などが別途かかることがあるため、正確な金額は事前に医療機関で確認することが大切です。

術後には痛み止めが処方されるため、痛みが出た場合も薬でコントロールできます。 まれに術部に一時的な痺れを感じることもありますが、数日〜数週間で自然に回復します。また、術後1週間程は、軽い違和感や引っ張られるような感覚が残ることがありますが、時間の経過とともに和らいでいきます。

手術を検討する際は、あらかじめ医療機関で詳しい説明を受け、納得したうえで治療を受けることが大切です。

1.患部の冷却
手術直後は腫れやすいため、保冷剤などで軽く冷やすことで炎症を抑えられます。

2.刺激の回避
患部が安定するまでは、舌や指で触れたり、強く圧迫したりしないようにしましょう。

3.食事内容の工夫
術後しばらくはやわらかい食事を中心にし、辛い物、熱い飲食物、アルコールなどの刺激物は控えてください。

4.口腔内の清潔維持
食後のうがいや丁寧な歯磨きを心がけ、口腔内を常に清潔に保つようにしましょう。

5.悪習癖の見直し
唇や頬の内側を噛む癖、唇を強く押しつぶす動作などは再発の原因となるため、意識して改善することが大切です。

6.術後の経過観察
術後は医師の指示に従い、定期的な診察を受けましょう。違和感や異常があれば早めの相談をおすすめします。

• 無意識の癖を見直す
  唇を吸う、頬を内側に巻き込むなどの癖は、唾液腺への刺激となるため、意識してやめるようにしましょう。
• 食事中の粘膜損傷を防ぐ
  硬い食べ物や尖った箸やフォークなどの使用に注意し、口腔粘膜を傷つけないよう心がけます。
• 歯の形状や補綴物の確認
  尖った歯や合っていない詰め物・被せ物が粘膜を傷つけていないか、歯科で定期的にチェックを受けましょう。
• ストレスケアを大切にする
  緊張やストレスは噛み癖や唇を巻き込む癖を助長することがあるため、リラックスできる時間を意識的に取り入れましょう。
• 口腔に優しい生活を心がける
  日常的に粘膜を守る意識を持ち、小さな刺激の積み重ねを避けることが予防につながります。