抜歯をした後、いつから普通の食事に戻せるか心配な方も多いのではないでしょうか。痛みや傷口があるなかで、どのようなことに注意をして食事を選べばよいのか悩むこともあるでしょう。 本記事では抜歯後の食事について以下の点を中心にご紹介します。
- 抜歯を伴う歯科治療とは?
- 抜歯後の食事のタイミング
- 抜歯後の食事内容
抜歯後の食事について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
抜歯後の食事について
- 抜歯を伴う歯科治療には何がありますか?
- 抜歯を伴う歯科治療には、歯を保存することが難しいケースや、ほかの歯や口腔環境を守るための以下のような治療が挙げられます。
【重度の歯周病やむし歯治療】
歯を失う原因の1位は歯周病で、むし歯は2位です。治療によって歯を残せることもありますが、進行が進んで歯を支える骨が損なわれたり、歯茎の構造が壊れたりすると抜歯が必要です。【歯根の破折(はせつ)】
歯根にヒビが入ったり折れたりして細菌感染が進む場合も、感染の拡大や骨の吸収を防ぐために抜歯が選択されます。【便宜抜歯】
歯列矯正治療の際、顎の骨が小さく歯のスペースを確保する必要がある場合に、便宜的に抜歯を行うこともあります。【その他】
親知らずが周囲の歯に悪影響を及ぼす場合や、乳歯が大人の歯の成長を妨げる場合など、保存することによるメリットが少ない歯も抜歯の対象です。これらの状況では、口腔内の健康を保つために抜歯が必要とされることがあります。
- 抜歯後は何時間後から食事ができますか?
- 抜歯後に食事を再開する時期は、麻酔が切れた後が適切です。抜歯の際に使われる局所麻酔は、血管を収縮させる成分を含むことが多く、その効果はおよそ2〜3時間続きます。麻酔が効いている間は、痛みや熱を感じにくくなるため、食事をすると気付かないうちに舌や頬を噛んでしまったり、熱い食べ物でやけどをしてしまったりする危険があります。
これを防ぐため、麻酔が切れてお口の中の感覚が戻るまで食事は控えましょう。
医師からの指示に従い、麻酔の効果が切れたことを確認してから食事を始めることが大切です。
- 抜歯後はいつから普通の食事が行えますか?
- 抜歯後にいつもと同じ食事ができるようになる時期は、個人の回復状況によりますが、3日程度を目安に判断します。抜歯から3日程経過して、腫れや痛みが和らいでいれば、抜いた歯と反対側の歯を使って、少しずつ固い食べ物を取り入れていきましょう。
抜歯から1週間程経つと、傷がほぼ治り、普通の食事に戻すことができますが、痛みが残る場合は無理せず、体調に合わせてゆっくりと進めることが大切です。
抜歯後におすすめの食事
- 抜歯後、当日の食事はどうすればよいでしょうか?
- 抜歯治療直後の傷口は、まだデリケートな状態です。そのため、血のかたまり(血餅)が傷口を保護している間は、やわらかく消化のよい食事がおすすめです。
おかゆやうどん、雑炊など、噛む力があまり必要ない食べ物が推奨されます。また、食事の際は抜歯部位を避けて噛むように心がけましょう。熱い食べ物は傷口を刺激する可能性があるため、しっかりと冷ましてから食べるようにしましょう。
- 抜歯後におすすめの食事を教えてください
- 抜歯後は、傷の回復を助けるために栄養バランスのとれた食事が重要です。特にビタミンAやビタミンB群、ビタミンC、亜鉛を多く含む食材が、粘膜や皮膚の修復を助けます。
ビタミンAは緑黄色野菜や卵、ビタミンB群は肉や魚に豊富です。また、亜鉛は大豆製品やナッツ類に含まれ、これらを食事に取り入れるとよいでしょう。
抜歯後の数日は、やわらかく消化しやすいおかゆやスープなどがおすすめです。冷たい野菜スープや果物は、熱っぽいときにも食べやすく、栄養補給に役立ちます。
- 抜歯後に避けた方がよい食事は何ですか?
- 抜歯後には、治療の傷口を守るために避けるべき食事があります。
まず、硬い食べ物や噛むと破片が生じやすいものは、傷口を傷つけてしまう可能性があるため控えるとよいでしょう。例えば、フランスパンやせんべい、小骨の多い魚などは避けましょう。また、香辛料やスパイスを多く含む料理も注意が必要です。これらは傷口に刺激を与え、痛みや腫れを引き起こす恐れがあります。カレーやキムチ、唐辛子を使った料理は控えるようにしましょう。
さらに、麺類をすする動作や、ストローで強く飲み物を吸うことは、かさぶたを剥がしてしまう恐れがあるため、パスタのように一口で食べられるものを選ぶか、すすらないように気をつけてください。
- 抜歯後に気をつけるべき生活習慣はありますか?
- 抜歯後は、治療痕を早く回復させるために、いくつかの生活習慣に注意する必要があります。
まず、アルコールの摂取は控えましょう。アルコールは血行を促進し、傷口からの出血を引き起こしやすくします。特に抜歯直後は出血が止まりにくくなるため、ビールやワイン、日本酒などの飲酒は避けることを推奨します。また、タバコの喫煙にも注意が必要です。タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を悪くし、治療痕の回復を遅らせる可能性があります。喫煙によってドライソケットと呼ばれる痛みの強い症状が起こることもあります。
さらに、抜歯後の数日間は、激しい運動や長時間の入浴も避けて、体を安静に保つことが大切です。
これらの注意点を守ることで、傷の治りを早めることが期待できます。
抜歯後の食事におけるトラブル
- 抜歯後の食事で痛みが出る場合はどうすればよいですか?
- 抜歯後に食事をすると痛みを感じることがありますが、基本的には心配する必要はありません。ただし、痛みを感じるということは、傷がまだ治っていないことを意味します。そのため、できるだけ傷口に負担をかけないように、反対側の歯を使って噛むように心がけるとよいでしょう。
痛みが強く、食事が辛い場合は、事前に痛み止めを服用するとよいでしょう。痛み止めは麻酔が切れる前に服用することで、痛みのピークを和らげることができます。また、処方された薬が効果を感じにくい場合は、歯科医師に相談し、薬の調整を依頼することも考慮してみてください。食べ物による感染のリスクは低いため、過度に心配する必要はありませんが、無理をせず、体調に合わせた対応を心がけましょう。
- 抜歯後の患部に食事が詰まったときはどうすればよいですか?
- 抜歯後に食べ物が傷口に詰まってしまった場合、無理に取り除こうとするのは避けましょう。舌や爪楊枝を使うと、かえって傷口を刺激し、治りを遅らせてしまう可能性があります。
まずは、優しく水でお口をすすいでみてください。それでも取りきれない場合でも、食べ物のかけらが残っていても大きな問題を引き起こすことは少ないため、過度に心配する必要はありません。
万が一不安が残る場合や、違和感が続く場合には、歯科医師に相談して適切な処置を受けましょう。無理にご自身で取り除こうとせず、歯科医師の判断を仰ぐことが大切です。
編集部まとめ
ここまで抜歯後の食事についてお伝えしてきました。抜歯後の食事の要点をまとめると以下のとおりです。
- ここまで抜歯後の食事についてお伝えしてきました。抜歯後の食事の要点をまとめると以下のとおりです。
- 抜歯後の食事のタイミングは、医師からの指示に従い、麻酔の効果が切れたことを確認してから食事を始めることが大切
- 抜歯後の食事は、やわらかく消化のよい食事がおすすめで傷の回復を助けるために栄養バランスのとれた食事を心がけ、硬い食べ物や香辛料、アルコールは控えることが大切
抜歯後は、注意点をよく守り、食事のタイミングや内容に気を遣う必要があります。自身で判断をせず、服薬を守ることやいつから普通の食事ができるのか、食べてよいものと避けるべきものを知ることで、早期回復に努めましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。