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ノンクラスプデンチャーは寿命が短いの?寿命を伸ばす方法を併せて解説

ノンクラスプデンチャーは寿命が短いの?寿命を伸ばす方法を併せて解説

ノンクラスプデンチャーは、金属のバネを使わないことによる審美性と、装着時の違和感を抑えられる点が魅力です。しかしその一方で、長期間使用できるかどうか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では、ノンクラスプデンチャーの寿命について以下の点を中心にご紹介します。

  • ノンクラスプデンチャーの寿命
  • ノンクラスプデンチャーの寿命を伸ばす方法
  • ノンクラスプデンチャーがおすすめな方

ノンクラスプデンチャーの寿命について理解するためにもご参考いただけると幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

ノンクラスプデンチャーとは

ノンクラスプデンチャーとは

ノンクラスプデンチャーとは、金属のバネを使用しない部分入れ歯のことです。従来の入れ歯では、残存歯に金属製のクラスプ(バネ)をかけて固定しますが、ノンクラスプデンチャーは歯茎に似た色の樹脂素材を使用して支えるため、見た目が自然で目立ちにくいのが特徴です。

ノンクラスプデンチャーは保険適用外の自由診療となるため、費用は入れ歯よりも高額になる傾向にあります。
価格は歯科医院や使用する素材によって異なりますが、10万〜55万円が相場とされています。

ノンクラスプデンチャーのメリット

ノンクラスプデンチャーのメリット

ノンクラスプデンチャーには、以下のようなメリットがあります。

自然な見た目で違和感が少ない

従来の部分入れ歯は金属製のバネ(クラスプ)を歯にかけて固定するため、お口を開けたときに金属が目立ちやすく、審美的な課題がありました。
ノンクラスプデンチャーは、歯茎の色に近い特殊な樹脂を使用しているため、装着していることがわかりにくいのが特徴です。そのため、人と会話をするときや笑うときにも、入れ歯であることを気にするストレスの軽減が期待できます。

また、金属のバネを使用しないことで、入れ歯の締め付け感や異物感が抑えられ、装着時の違和感が軽減されます。特に、薄くて軽量な素材が使われることでお口のなかでのなじみが良くなり、フィット感の向上につながっています。

金属アレルギーでも使用できる

従来の部分入れ歯には、歯に固定するための金属製のバネ(クラスプ)が使用されています。
しかし、金属を長期間お口の中に装着すると、口腔内の炎症、かゆみ、ただれ、さらには全身的な反応など、金属アレルギーのリスクが生じることがあります。そのため、金属アレルギーの方にとっては、従来の部分入れ歯の使用が難しい場合がありました。

ノンクラスプデンチャーは、金属を使用しない特殊な樹脂で作られているため、金属アレルギーのリスクを回避できます。さらに、レストと呼ばれる入れ歯の支えとなる部分も、金属ではなくセラミックや樹脂を用いることで、金属フリーの設計ができます。
このためノンクラスプデンチャーは、金属アレルギーの既往がある方でも使用できる入れ歯の選択肢となります。

残存歯への負担が少ない

従来の部分入れ歯では、入れ歯を安定させるために金属製のバネ(クラスプ)を健康な歯に引っかける必要があります。このクラスプが長期間にわたって歯に力を加え続けることで、支えている歯に過度な負担がかかり、歯のぐらつきや脱落のリスクが高まることが懸念されていました。

一方、ノンクラスプデンチャーは、金属のバネを使用せず、歯茎の形に合わせた柔軟な樹脂素材を使用することで、入れ歯を安定させます。この設計により、残存歯に余計な圧力がかかることがなく、歯へのダメージを軽減できます。
また、樹脂素材の柔軟性が歯や歯茎への衝撃を和らげるため、自然なフィット感を維持しながら使用できるのも特徴です。

ノンクラスプデンチャーのデメリット

ノンクラスプデンチャーのデメリット

さまざまなメリットのあるノンクラスプデンチャーですが、デメリットも存在します。

修理が難しい

ノンクラスプデンチャーのデメリットの一つに、修理や修繕が難しいという点があります。部分入れ歯では、破損した場合に補修が容易ですが、ノンクラスプデンチャーは特殊な樹脂素材で作られているため、修理が困難なケースが多く、破損の程度によっては新しく作り直さなければならないこともあります。

特に、ノンクラスプデンチャーに使用されるポリアミドやポリカーボネート系の樹脂は、柔軟性がある反面、一定の強度以上の衝撃を受けるとヒビが入ったり、割れたりすることがあります。しかし、この素材は修復用の歯科材料と結合しにくく、従来のレジン系入れ歯のように簡単に補修できません。歯科医院での修理が可能な場合もありますが、技術が必要となり、修理できたとしても強度や見た目に影響が出ることがあります。

さらに、破損してしまった場合、修理に時間がかかることも問題となります。部分入れ歯はその場で修理できますが、ノンクラスプデンチャーは修理のために技工所へ送る必要があり、数日〜数週間かかることもあります。そのため、長期間入れ歯なしの状態になってしまう可能性があります。

寿命が短い

ノンクラスプデンチャーには、寿命が短いというデメリットがあります。
ノンクラスプデンチャーの寿命は約2〜3年といわれています。これは、使用される樹脂素材の種類や、日々のメンテナンス、お手入れの状況によっても左右されます。

保険適用の入れ歯も寿命は3年程と言われていますが、ノンクラスプデンチャーは保険の入れ歯よりも高額になる可能性があるため、短い期間で作り直しが必要になる点は考慮すべきです。
しかし、定期的なメンテナンスをしっかりと行い、丁寧にお手入れをすることで、平均よりも長く使用できる場合もあります。

ノンクラスプデンチャーを選ぶ際には、数年単位で作り替えが必要になる可能性があることを理解したうえで、そのメリットがご自身にとってどれだけ重要かを考えることが大切です。
初めて入れ歯を作る場合、まずはノンクラスプデンチャーを試してみて、作り直しの際に別の種類の入れ歯を検討するという選択肢もあります。

適応できない症例もある

ノンクラスプデンチャーは自然な見た目と、快適な装着感が特徴ですが、すべての症例に適応できるわけではありません。そのため、歯の状態によってはこのタイプの入れ歯を選択できない場合があります。

まず、ノンクラスプデンチャーは、固定の仕組みとして歯のわずかな出っ張り(アンダーカット)を利用します。そのため、アンダーカットが十分にない歯列では安定性が確保できず、適応が難しくなります。
また、部分入れ歯の性質上、支えとなる歯が一定数残っている必要があります。3〜4本程度の健康な歯が残存していなければ、デンチャーの固定が困難となり、使用が推奨されません。

さらに、歯の欠損が多いケースでは、ノンクラスプデンチャーだけでは十分な咀嚼機能を確保するのが難しくなります。そのため、多数歯欠損や無歯顎(すべての歯がない状態)では、インプラントや金属床義歯など、より安定した治療法が適用されます。
噛み合わせの問題がある場合も、ノンクラスプデンチャーでは適切な力の分散が難しく、他の入れ歯や治療法の方が向いていることがあります。

ノンクラスプデンチャーの寿命が短い理由

ノンクラスプデンチャーの寿命が短い理由

ノンクラスプデンチャーの寿命が短い理由には、主に素材の特性と修理の難しさが関係しています。

ノンクラスプデンチャーは金属のバネを使用せず、見た目が自然に仕上がるのが特徴ですが、使用される材料には劣化しやすい性質があります。
主に用いられる微結晶性ポリアミドは柔軟性がありますが、その分変形しやすく、時間とともに劣化が進みます。

一方で、ポリカーボネート系の素材は硬く耐久性はあるものの、ヒビが入りやすく、金属ほどの強度はありません。

また、どちらの素材も唾液や食べ物の影響で化学的に劣化しやすく、耐久性に限界があります。

ノンクラスプデンチャーの寿命を伸ばす方法

ノンクラスプデンチャーの寿命を伸ばす方法

ノンクラスプデンチャーの寿命を伸ばすにはどのような工夫ができるのでしょうか。

正しいお手入れをする

まず、清掃においては、硬い歯ブラシや研磨剤入りの歯磨き粉の使用を避け、やわらかいブラシやスポンジブラシで優しく汚れを落とすことが推奨されます。特にポリアミド系の樹脂は傷つきやすく、着色しやすいため、食後の早めの洗浄が重要です。
また、煮沸消毒や熱湯での洗浄は変形を招くため厳禁です。

適切に保管する

就寝時など、入れ歯を使用しない際は、必ず適切な方法で保管するように心がけましょう。

保管方法は、入れ歯洗浄剤を使用することが推奨されます。水のみに浸けておくと、雑菌やカビが繁殖する原因となるため、専用の洗浄剤を使用し、清潔な状態を保ちましょう。
ただし、洗浄剤のなかには、ノンクラスプデンチャーの素材を劣化させる可能性のある成分が含まれている場合があるため注意が必要です。特に、アルカリ性の強い洗浄剤は、変色やひび割れの原因となることがあるため、使用を避けるようにしましょう。ノンクラスプデンチャーに合った洗浄剤を選ぶことが大切です。

また、保管場所にも注意が必要です。直射日光が当たる場所や、高温になる場所は避け、涼しく清潔な場所に保管するようにしましょう。
誤って踏んでしまったり、落としてしまったりする可能性のある場所も避けるべきです。

定期的にメンテナンスを受ける

歯科医院での定期的なメンテナンスで、口腔内のチェックも受けましょう。
入れ歯が周囲の歯や歯茎に与える影響を確認し、必要に応じて調整を行うことで、残存している歯への負担を軽減し、歯周病やむし歯のリスクを抑えます。
また、噛み合わせのチェックも行われ、バランスの崩れを早期に発見し、改善することで、顎関節への負担を減らします。

さらに、専門的なクリーニングを受けることで、自身では落としきれない汚れを除去し、口内環境を清潔に保ち、口臭予防にもつながります。

ノンクラスプデンチャーはこのような方におすすめ

ノンクラスプデンチャーはこのような方におすすめ

ノンクラスプデンチャーは以下の方におすすめです。

周囲の歯を削らずに失った歯を補いたい方

ノンクラスプデンチャーは、特に周囲の歯を削らずに失った歯を補いたいと考えている方におすすめな選択肢となります。

従来の入れ歯では、金属のバネ(クラスプ)で支えるために、健康な歯を削る必要があります。しかし、ノンクラスプデンチャーはバネを使用せずに歯に固定できるため、周囲の歯を削る必要がありません。これは、健康な歯をできるだけ長く保ちたいという方にとってメリットといえるでしょう。
歯を削ると、その歯の寿命が短くなる可能性があり、また、削った部分からむし歯になるリスクも高まります。
ノンクラスプデンチャーは、これらのリスクを回避し、自身の歯を大切にしながら、失った歯の機能を補えます。

自然な見た目を求めている方

ノンクラスプデンチャーは、自然な見た目を特に重視する方に合った選択肢といえます。金属のバネ(クラスプ)を使用しないため、お口を開けても入れ歯だと気付かれにくいのが特徴です。

ノンクラスプデンチャーに使用される素材は、歯茎の色に近い自然な色合いの樹脂で作られており、装着時の違和感を軽減し、より自然な笑顔につながります。
特に前歯など、人から見えやすい部分の歯を失ってしまった場合、ノンクラスプデンチャーの審美性が役立ちます。

金属アレルギーの方

ノンクラスプデンチャーは、金属アレルギーを持つ方にもおすすめの選択肢となります。 ノンクラスプデンチャーは、金属を使用せずに製作できるため、金属アレルギーによる口腔内の炎症や、全身への影響を心配することなく使用できます。

口腔内は、唾液によって金属イオンが溶け出しやすく、アレルギー反応が起こりやすい環境です。金属アレルギーを持つ方は、金属に触れることで皮膚炎やかゆみ、腫れなどの症状が現れることがあります。ノンクラスプデンチャーは、このような金属アレルギーのリスクを回避できます。

また、ノンクラスプデンチャーに使用される素材は、生体親和性が高く、アレルギー反応を起こしにくいとされる樹脂素材が使用されています。そのため、金属アレルギーの心配だけでなく、お口のなかへの刺激が抑えられ、快適に使用できます。

咀嚼に違和感を感じたくない方

ノンクラスプデンチャーは薄く、柔軟性のある素材を使用しているため、装着時の異物感が抑えられ、自然な噛み心地に近い感覚を得やすいのが特徴です。

入れ歯を装着すると、どうしてもお口のなかに何かが入っているという感覚が生じ、それが咀嚼時の違和感につながることがあります。
しかし、ノンクラスプデンチャーは、その柔軟性により、お口の粘膜に優しくフィットし、圧迫感を軽減します。食事の際に食べ物が入れ歯と歯茎の間に入り込みにくく、快適な食事が楽しめます。

また、ノンクラスプデンチャーはバネによる違和感もありません。
バネが舌に触れることで生じる不快感や、発音への影響も抑えられ、より自然な状態で会話や食事ができます。

まとめ

まとめ

ここまでノンクラスプデンチャーの寿命についてお伝えしてきました。
ノンクラスプデンチャーの寿命の要点をまとめると以下のとおりです。

  • ノンクラスプデンチャーの寿命は2〜3年
  • ノンクラスプデンチャーの寿命を伸ばすには、正しいお手入れ、適切な保管、定期的なメンテナンスが重要
  • ノンクラスプデンチャーは歯を削らずに失った歯を補いたい方、金属アレルギーの方、咀嚼に違和感を感じたくない方におすすめ

ノンクラスプデンチャーは、審美性や快適な装着感が魅力の部分入れ歯ですが、寿命が短いというデメリットもあります。長持ちさせるためには、適切なお手入れや定期的なメンテナンスが重要です。長く快適に使用するためにも、適切な管理を心がけましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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