注目のトピック

歯医者

正しい口腔ケアの方法と注意点|重要性や手順を解説

正しい口腔ケアの方法と注意点|重要性や手順を解説

口腔ケアは健康維持に欠かせない重要な習慣です。正しい方法で行うことで、むし歯や歯周病の予防はもちろん、全身の健康にもよい影響を与えるとされています。
本記事では正しい口腔ケアの方法と注意点について以下の点を中心にご紹介します。

  • 口腔ケアの重要性
  • 口腔ケアの手順
  • 口腔ケアを行う際の注意点

正しい口腔ケアの方法と注意点について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

口腔ケアの重要性

口腔ケアの重要性

口腔ケアの重要性について、口腔ケアの内容と目的の項目ごとに確認していきましょう。

口腔ケアの内容

口腔ケアには、以下の2つがあります。

器質的口腔ケア

器質的口腔ケアとは、うがいや歯磨きなどを通じて口腔内の清潔を保つ基本的なケアを指します。

具体的には、歯ブラシや歯磨き粉で歯垢や食べかすを除去する歯磨き、歯間ブラシやデンタルフロスを用いた歯間清掃、そして口の中をすすぐうがいが含まれます。また、舌ブラシや舌クリーナーで舌の表面を清掃し、口臭予防にも役立ちます。
定期的な歯科検診で専門的な口腔内チェックや歯石除去を受けることも重要です。

これらのケアを継続することで、口腔内の健康維持が期待できます。

機能的口腔ケア

機能的口腔ケアは、口腔機能の維持・回復を目的としたトレーニングやマッサージを指します。

顔面体操や舌体操で口や舌の筋力を強化し、嚥下や発音の改善を促します。また、耳下腺や顎下腺、舌下腺のマッサージにより唾液分泌を促進し、口腔内の湿潤を保ちます。
“パタカラ体操”を用いて食べるための筋肉を鍛えることも効果が期待できます。

これらのケアは個々の状態に応じて歯科医師の指導を受けながら行うことが望ましいです。

口腔ケアの目的

次に、口腔ケアの目的を以下でみていきましょう。

口腔内を清潔に保つ

口腔ケアの目的は、口腔内を清潔に保ち、唾液の潤いを維持することです。歯や義歯の汚れ、舌苔の蓄積は味覚を低下させ、食欲減退を招きます。

また、唾液は自浄作用があり、口腔の乾燥を防ぐことで細菌の増殖や歯周病悪化、口臭の悪化を抑制します。特に高齢者は唾液分泌が減りやすいため、口腔内の乾燥対策が重要です。

健康維持のためには、適切な保湿や刺激による唾液分泌促進が欠かせません。

口腔機能の維持と向上のため

口腔ケアは清潔保持だけでなく、口腔機能の維持・向上も目的としています。

口内や周囲のマッサージは食事の準備運動となり、咀嚼や嚥下機能を高め、誤嚥時の咳反射を促進します。定期的なトレーニングにより、食べる・話す能力の維持や、嚥下力の強化にも効果が期待できます。

これらのケアは誤嚥性肺炎予防や窒息防止につながり、生活の質向上に寄与します。

口腔ケアの効果

口腔ケアの効果

口腔ケアを行うことでさまざまな効果が期待できます。項目ごとに詳しく確認していきましょう。

むし歯や歯周病を予防する

口腔ケアはむし歯や歯周病を予防するために欠かせません。

加齢により唾液の分泌量が減ると口の中が乾燥しやすくなり、細菌が増殖しやすくなるため、高齢者は特に注意が必要です。

定期的なケアで口腔内を清潔に保ち、病気の原因となる細菌の繁殖を抑えることで、歯の健康を維持できます。ケアすることにより歯の脱落や入れ歯の不具合を防ぐことも可能といわれています。

口臭を予防する

口臭の原因は口腔内の細菌や食べかすにあります。

口臭を予防するためには、歯磨きやうがいだけでなく、歯間ブラシを使って歯と歯の間の歯垢もしっかり取り除くことが大切です。

口腔ケアを行うと唾液の分泌が促進され、口腔内の汚れが洗い流されやすくなり、細菌の繁殖や歯垢の蓄積を抑えることができます。

特に会話時の口臭が気になる方にとって、口腔ケアを通じて口臭を軽減することは、日常のストレスを減らす助けになります。

誤嚥性肺炎を予防する

誤嚥性肺炎は、食べ物や唾液が誤って気管に入り込んだ際、口腔内の細菌が一緒に肺に侵入し発症する感染症です。特に高齢者に多いとされ、命に関わることもあります。

口腔ケアを行うことで、誤嚥性肺炎の原因となる細菌を大きく減らすことができ、誤嚥があった場合でも重症化を防ぐことができるとされています。

寝たきりの高齢者では唾液が気管に入りやすく、これを予防するためにも、口腔ケアは大変重要です。定期的なケアを行うことで、誤嚥性肺炎のリスクを低減できます。

認知症を予防する

口腔の健康は認知症の発症リスクにも影響を与えるとされています。

食べる際にお口を開け閉めし、噛む行為は脳に酸素や刺激を与え、中枢神経を活性化させるため、認知症予防につながるといわれています。

実際、愛知県で行われた調査によると、歯が20本以上残っている人と比べ、歯がなく入れ歯を使っていない方は認知症のリスクが1.9倍高いという結果が出ています。

定期的な口腔ケアを通じて歯を守ることが、認知症予防に寄与する可能性があります。

健康状態の改善が期待できる

高齢者は”噛む””飲み込む””話す”などの口腔機能が低下しやすく、これが免疫力の低下や摂食障害につながることがあります。

口腔ケアを行うことで、これらの機能を改善し、身体全体の健康回復を促進できるとされています。特に、舌の汚れや口腔内の乾燥が味覚を低下させる原因となりますが、唾液分泌が増えることで味覚が改善され、食欲が増進します。

栄養状態の改善や精神的な支えとなり、食べる意欲が低下している高齢者の食への関心を回復させることが期待できます。

口腔ケアに必要な物品

口腔ケアに必要な物品

口腔ケアを行う際には、対象者の状態に合った適切な道具を準備することが重要です。

例えば、自身の歯がある方には歯ブラシや歯間ブラシ、部分入れ歯を使用している方には義歯用ブラシを使います。総入れ歯の方には義歯洗浄剤や舌ブラシ、スポンジブラシが便利です。また、口腔内の乾燥を防ぐために口腔ジェルを使用したり、介護者が仕上げ磨きするためにタフトブラシを使うこともあります。

準備する道具としては、手袋やコップ、ガーグルベースン、ソフトガーゼ、口腔用ウェットティッシュなどです。
口腔ケアをスムーズに進めるため、道具の整備は欠かせません。

口腔ケアの手順

口腔ケアの手順

次に、口腔ケアの手順を詳しく解説していきます。

1.うがい

口腔ケアの最初のステップは”うがい”です。

うがいを行うことで、食べ物の残りかすや汚れを取り除き、口腔内を潤す効果も期待できます。うがいができる方には、自身で行ってもらいますが、その際は水を飲み込まないように注意し、無理に行わないことが重要です。無理にうがいをさせると、誤嚥や嘔吐のリスクがあるため、状態を見ながら進めましょう。

うがいができない方には、口腔内を湿らせたウェットティッシュで汚れを取り除きます。意識障害がある方や麻痺のある方には、歯科医師や看護師に確認し、軽いケアで進めるように配慮します。

2.口腔内の湿潤

口腔ケアの次のステップは”口腔内の湿潤”です。

乾燥が目立つ場合、指やスポンジブラシを使ってジェルや少量の水分で口腔内を湿らせることが大切です。特にお口が乾燥している場合、唇や口腔内を水分で優しく湿らせることで、口腔の健康を守ります。

湿らせる際には、ソフトガーゼや専用のスポンジブラシを使用することで効果が期待できます。また、口腔内の乾燥を防ぐこともでき、ケアがスムーズに進みます。

適切な湿潤を維持することで、次のステップに進みやすく、口腔内の健康を守ることができます。

3.歯の清掃

口腔ケアの重要なステップの一つが”歯の清掃”です。

自身で歯磨きができる場合は、自力での歯みがきを促し、必要に応じて手首や肘を支援します。磨けた部分を確認し、磨き残しがあれば、介助が必要です。介助の場合、唇や頬を広げ視野を確保しながら、お口の中を一周して磨きます。

誤嚥のリスクが高い場合は、タフトブラシを使って汚れを浮かせ、不織布やガーゼで拭き取ります。歯ブラシを使う際は、歯と歯茎の境目を45度に傾けて優しく磨きます。 歯茎が弱くなっている場合は、やわらかい歯ブラシを使用し、力を入れすぎずに磨くことが大切です。

4.粘膜の清掃

口腔ケアの次のステップは”粘膜の清掃”です。

頬の内側や唇の内側、歯茎、上顎、舌など、デリケートな部分にたまった汚れを優しく取り除くことが重要です。
スポンジブラシや口腔ケア用ウェットティッシュを使い、優しく清掃します。

特に、寝たきりの方や身体を起こすことが難しい方には、口腔清拭を行い、汚れや水分を拭き取ります。この際、奥から手前に拭き取るようにし、無理に奥まで指を入れないように注意が必要です。

痛みや嘔吐のリスクを避けるため、個々の状態に合わせた配慮が求められます。

5.舌の清掃

次に”舌の清掃”です。舌に付着した舌苔(ぜったい)は、食べかすや細菌が原因で発生し、口臭や味覚異常、むし歯の原因となることがあります。

舌の掃除を行う際は、舌ブラシやスポンジを使い、奥から手前、中から外に向かって優しくこすります。力を入れすぎないように注意し、舌を傷つけないように気をつけましょう。

また、舌の奥を掃除する際に嘔吐反射を引き起こさないよう、無理に進めないことが大切です。

6.うがい

次に”うがい”です。うがいを行うことで、口腔内に残った汚れを洗い流します。

仕上げには、マウスウォッシュやデンタルリンスを使用することをおすすめします。洗口液を使うことで口の中の雑菌が減り、口臭予防や乾燥対策にも効果が期待できます。うがいができる方は、口腔内を湿らせてしっかりとすすぎましょう。

うがいが難しい場合は、ウェットティッシュで優しく拭き取るか、必要に応じて吸引を行い、残存物を取り除きます。特に麻痺や意識障害がある方には、歯科医師や看護師に確認のうえで行いましょう。

7.義歯の洗浄

そして次に”義歯の洗浄”です。

義歯の汚れを落とすため、まず流水で食べかすを洗い流します。その後、義歯専用のブラシを使い、ぬめりや汚れを丁寧に磨きます。

見えない部分も忘れずにきれいにするため、義歯専用の洗浄剤を使用して除菌します。洗浄後は、時間があれば専用の洗浄剤に浸け置き、消毒します。義歯は衝撃や熱に弱いため、取り扱いは慎重に行い、乾燥させないように注意が必要です。

就寝中は消毒剤入りの専用容器に保管し、次回の使用に備えます。

8.口腔内の湿潤

口腔ケアの最後のステップは”口腔内の湿潤”です。

乾燥を防ぐために、口腔内全体に薄く保湿ジェルを塗布します。ジェルを塗った後は、ウェットティッシュで優しく拭き取るか、本人が吐き出せるようにします。これにより、口腔内の潤いを保ち、乾燥からくる不快感や口腔内トラブルを予防できます。

ケア後は、唇や口周り、口腔内の乾燥を防ぐために、必要に応じて保湿薬を塗布します。乾燥が特に気になる場合には、この処置を欠かさず行うことが大切です。

口腔ケアを行う際の注意点

口腔ケアを行う際の注意点

口腔ケアを行う際は、いくつか気をつけるポイントがあります。以下で確認していきましょう。

できることは本人にケアしてもらう

口腔ケアを行う際の基本は、”できることは本人にしてもらう”ことです。

介護が必要な場合でも、歯ブラシを持って自身で磨くことを試してもらうことが大切です。毎日の歯磨きを繰り返すことで、手指の運動機能を使い、特に軽度の片まひや高齢者にとっては、手指のリハビリにもなります。

介護者が手を貸すことを可能な限り減らし、本人ができることを尊重することが重要です。可能な限り自身でケアを行うことで、生活の自立を支援し、心身の健康にもつながります。

しかし自立して磨いているとはいえ、磨けているかどうかは別問題です。1日に1回は口腔内の確認を行いましょう。磨き残しがないか、入れ歯を装着したまま磨いていないかなどの確認が必要です。

誤嚥に注意する

口腔ケアを行う際に特に注意すべき点は”誤嚥”です。

食べかすや細菌を取り除いても、汚れた液体を気管支や肺に入れてしまうことは避けなければなりません。そのため、ケアを始める前に声をかけて本人の意識を覚まし、誤嚥を防ぐために、可能な限り誤嚥しにくい姿勢をとらせることが重要です。介助者は頭部をしっかり支え、誤って水や唾液、歯磨き剤を飲み込まないように気をつけましょう。

また、こまめな水分補給も重要になります。唾液の分泌が少ない高齢者の口腔内は乾燥しがちです。喉が乾燥してしまうと、食べ物や飲み物が食道にうまく流れず、誤嚥を引き起こすリスクがあります。そのため、食事前に十分な水分を摂取し、お口の中を潤してから食事を始めることが大切です。

そして、十分な休憩を取りながら食事をすることも大切です。長時間の食事や飲み物の摂取によって、筋肉が疲れたり、集中力が低下したりすることがあります。十分な休息を取り、筋肉を休ませながら食事を進めることで、誤嚥を引き起こすリスクを減らし、安全に食事を楽しめます。

口腔内の健康状態を確認する

口腔ケアを行う際には、ケアの途中で口腔内の健康状態をチェックすることが重要です。

歯の噛み合わせやむし歯の有無、歯茎や舌、口腔内の粘膜の色や状態、口臭のチェックを行い、異常がないか観察します。

定期的な確認により、歯周病やその他の口腔内トラブルの早期発見が可能となり、早期対応につながります。もし問題や異常が見つかった場合は、すぐに歯科医師や歯科衛生士に相談し、適切な処置を受けることが大切です

無理強いはしない

口腔ケアは毎日続けることが大切ですが、体調が悪いときや本人が嫌がるときには無理強いを避けることが重要です。1日程度歯を磨かなくても大きな問題はなく、無理に進めるよりも、おおらかな気持ちで接することが長続きさせるコツです。

特に、介助は高齢者が信頼している方が行うことが理想的です。嫌がる場合は無理にケアを進めず、できる範囲で口腔ケアを行い、本人のペースに合わせて対応することが大切です。優しく声をかけ、無理なくケアを進めていきましょう。

歯科医師に相談する

口腔ケアに不安がある場合や、口腔内にトラブルが見られる場合は、早めに歯科医師に相談することが重要です。

特に、通院が難しい場合は、訪問歯科診療を利用することができます。訪問歯科診療は保険診療で受けられ、治療後の口腔ケアも介護保険を利用して低料金で提供されます。

歯科医師に相談することで、基本的なケア方法を確認したり、個々のニーズに合ったケアを実践したりできます。また、歯科医師から推奨される口腔ケアアイテムを購入したり、ケアグッズを紹介してもらえます。

まとめ

まとめ

ここまで正しい口腔ケアの方法と注意点についてお伝えしてきました。
正しい口腔ケアの方法と注意点の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 口腔ケアは口腔内の健康維持だけでなく、唾液分泌の補助や機能的な維持・回復にも重要で器質的ケアと機能的ケアをバランスよく行うことで、口腔内の清潔保持や食事・発声機能の改善、誤嚥性肺炎の予防が期待できる
  • 口腔ケアの手順は、うがいや歯の清掃、舌や義歯の洗浄、そして口腔内の湿潤を含む重要なステップであり、これらを適切に行うことで、口腔内の健康を守り、口臭予防や誤嚥性肺炎の予防にもつながる
  • 口腔ケアを行う際は、本人ができることを尊重し、誤嚥を防ぐために適切な姿勢を取ることが大切

正しい口腔ケアを実践することで、口腔内の健康を保ち、全身の健康維持にもつながります。日々のケアを継続し、適切な方法で口腔内を清潔に保つことが重要です。気になることがあれば、早めに歯科医師に相談しましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
松浦 京之介歯科医師(歯科医)

松浦 京之介歯科医師(歯科医)

出身大学:福岡歯科大学 / 経歴:2019年 福岡歯科大学卒業、2020年 広島大学病院研修修了、2020年 静岡県、神奈川県、佐賀県の歯科医院で勤務、2023年 医療法人高輪会にて勤務、2024年 合同会社House Call Agencyを起業 / 資格:歯科医師免許 / 所属学会:日本歯科保存学会、日本口腔外科学会、日本口腔インプラント学会

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340