セラミックの歯にして後悔しないためには？失敗事例や原因、対策について解説

セラミックの歯はほかの自然歯と比べても遜色ない見た目をしています。そのため、見た目を気にせず思いっきり笑うこともできるでしょう。

セラミックの歯は従来のプラスチック製の物と比べて、耐久性が高いとされています。

しかし、リスクがあることを認識せずにセラミックの歯にしてしまうと後悔してしまうでしょう。

ここではセラミックの歯の失敗事例や原因、対策について解説します。

セラミックの歯とは？

歯科治療において、使用される材料には以下の2種類があります。

• セラミック製
• プラスチック製

セラミックの歯とは、陶器と同じ素材を使って詰め物・被せ物をした歯を指します。セラミック製のものはプラスチック製のものよりも耐久性が高いだけでなく、陶器のような光沢や透明感もあるため審美性にも優れているといえるでしょう。

プラスチック製のものは歯の充填や入れ歯の人工歯などに使用され、汎用性が高くさまざまな場面で使用できるのがメリットです。

一方で、耐久性があまり高くなく、変色する場合もあるというデメリットもあります。

セラミック製にはデメリットもあります。それは、費用面です。

プラスチック製のものは保険適用で行えますが、セラミック製のものは保険適用外となるため、費用がプラスチック製のものよりもかさみます。

しかし、一度着けてしまえば再治療の必要性は低くなるので、長いスパンで考えたときにプラスチック製のものより低価格になる場合もあるでしょう。

セラミックの歯にして後悔する失敗事例

セラミック製の歯はプラスチック製のものよりも耐久性が高いですが、割れないというわけではありません。

割れてしまった場合、セラミック製の歯を付け替える必要がありますが、保険適用外での治療になるので費用もかさんでしまうでしょう。

さまざまな要因によって、セラミック製の歯をおすすめできない方がいるため、セラミック製の歯の特性をしっかり理解しておく必要があります。

今回は、セラミック製の歯にした結果、後悔してしまった失敗事例について紹介していきます。

噛み合わせが悪くなった

セラミックの歯を適切にメンテナンスしないと、噛み合わせが悪くなる可能性があります。セラミックの歯を作製する前に、お口の状態を確認しますが、これだけでは自分にピッタリ合った歯を作製することはできません。

実際に作製したセラミックの歯を装着し、噛み合わせを確認しながら適宜調整が必要になってきます。

噛み合わせが悪くなると咬合痛や顎関節症のリスク上昇につながるかもしれません。

セラミックには消耗するものとそうでないものがあります。そのため、装着後も定期的に噛み合わせが悪くなっていないかメンテナンスをする必要もあるでしょう。

メンテナンスしないといずれ噛み合わせが悪くなり、むし歯といった歯の疾患のリスクも高まります。

セラミックの歯が割れた

セラミックの歯は耐久性が優れているという特徴がありますが、決して割れないということではありません。

割れてしまった場合、状態や程度にもよりますが作り直す場合もあり、費用がかさんでしまう可能性もあります。

しかし、歯科医院によってがセラミック治療に数年間の保証がついている場合もあるので、このような保証面も事前に相談しておくことが大切です。

保証を受ける場合は、数ヵ月ごとの定期健診を受けておくことを必要とする歯科医院もあります。保証内容だけでなく、保証を受けるための条件についても把握しておきましょう。

むし歯・歯周病になった

人工物であるセラミックの歯自体は、むし歯になることはありません。

しかし、セラミックの歯を装着している付近の隙間に食べかすが溜まり、むし歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。

そのため、セラミックの歯を装着後も日頃の歯磨きといったケアやメンテナンスが重要です。

セラミックだからといってメンテナンスが不要というわけではなく、むし歯にならないわけでもありません。

歯髄炎になった

歯を削った刺激により、歯髄炎になる可能性もあります。セラミック治療に限らず、歯科治療は安全性が完全に保証されているわけではありません。一定のリスクがあることを認識しておきましょう。

またセラミックだから大丈夫だと誤解して、歯のメンテナンスを怠り、むし歯になってしまうケースもあります。
むし歯を放置すると、細菌が歯の内部へ進行し神経にまで到達してしまうと歯髄炎を起こしてしまいます。

歯髄炎になると、食べ物を噛んでいなくても痛みが出現してしまうでしょう。そのような状態にならないように、日頃の歯のケアやメンテナンスは欠かさずしておく必要があります。

セラミックの歯で咀嚼した際に痛みを感じるのであれば、むし歯がセラミックの歯の内部にある証拠です。そのような症状がある場合は、早急に受診し治療しましょう。

費用が高額になった

セラミックが割れてしまったりした場合、費用が高額になってしまうケースもあります。

歯科医院によっては保証期間がついているので、利用できた場合は費用は高くありませんが、保証期間外であれば高額な費用を払うことになるでしょう。

セラミックの歯を装着した後は定期的なメンテナンスも行われるので、自己中断することなく通院することが大切です。

セラミックの歯にして後悔する原因

ここではセラミックの歯にして後悔する原因を解説します。

セラミックの歯は天然歯に近い白さや透明感をもつため、まわりの歯と違和感がないため美しい口元に仕上がります。

一方で、二次むし歯のリスクがないわけではないので、むし歯にならないようにケアが必要です。

セラミックの歯はプラスチック製のものよりも耐久性に優れてはいますが、壊れないということはありません。

そのため、セラミックの歯を装着しようと考えているのであれば、注意すべきポイントも確認しておく必要があるでしょう。

病気のリスクを知らなかった

病気のリスクを知らずにセラミック治療を受けることは、後悔する原因となります。例えば、歯に金属製の詰め物や被せ物を装着した場合、使用しているうちに徐々に変形していきます。

変形することによって隙間や段差が生まれ、そこに汚れが溜まり、むし歯に発展する可能性もあるでしょう。

セラミックの歯にしたからといって、その歯の部分にむし歯ができないわけではありません。この事実を認識しておかないと、治療を後悔することになります。

セラミックの耐久性について認識不足だった

セラミックの歯は、プラスチック製のものよりも耐久性があり、硬いものを食べても壊れにくいといわれています。

しかし、外部からの衝撃が加わった場合は、セラミックの歯といえど壊れてしまう可能性があります。例えば、スポーツや事故などで強い衝撃を受けるとセラミックの歯の寿命が縮まるかもしれません。

歯ぎしりや食いしばりの癖もセラミックの歯の寿命を縮める要因といわれています。歯ぎしりや食いしばりによってセラミックの歯に日常的に強い力が加わると、セラミックの歯が欠けたり割れたりすることがあるためです。

歯ぎしりや食いしばりを放置すると、セラミックだけでなく自分の歯の寿命を縮めることにもつながるため対策が必要です。

また、セラミックにも寿命があります。5年生存率は一般に90%程度と考えられています。

セラミックの歯を長持ちさせるためには、毎日しっかりと歯磨きを行い、定期的にメンテナンスを受けることが重要です。適切なケアを続けることで、平均寿命よりも長持ちすることもあります。

セラミックの歯にして後悔しないための対策

セラミックの歯を検討する場合は、耐久性や病気のリスクについて把握しておくことが必要です。

そして、それらのリスクを上げないように自分たちでも対策をしておく必要があるでしょう。

ここでは、セラミックの歯にして後悔しないための対策について紹介します。

事前に調べておく

まずは、自分でセラミックの歯を装着するうえで治療の概要や費用、治療期間などについてを調べておきましょう。

そして、リスクを上げないための日々のケアを自分が行えるのか、検討することが重要です。

医師に相談する

セラミックの歯にもさまざまな種類があり、特徴や価格が異なります。そして、種類によってどこの歯に適しているかも変わってきます。

そのため、医師と十分相談しながら価格と効果面から自分にとって納得のいく治療を探っていきましょう。

歯科医院によっては、患者さんの希望・ライフスタイル・予算に応じて治療方法を提案してくれる場合もあります。

問診時には自分の希望を詳細に伝えることが大切です。

セラミックの歯を毎日メンテナンスする

セラミックの歯はプラスチック製のものと比べて高い耐久性をほこりますが、それはメンテナンスをきちんと行った場合です。

毎日食後には歯を磨きつつ、歯科医院に定期的に通い、噛み合わせを確認してもらう必要があります。

硬い歯ブラシでゴシゴシ磨くとセラミックの歯に傷がつき、寿命を縮めることにつながるため、やわらかい歯ブラシを使用して丁寧に歯を磨くようにしましょう。

歯科医院によっては、日々のクリーニングに対して指導も行ってもらえるので、日々のケアに取り入れてセラミックの歯をできるだけ長持ちさせるように努めましょう。

セラミックの歯の種類と費用

ここでは、セラミックの歯の種類・費用を解説します。

セラミックの歯の埋め込み方法としては、以下の2種類があります。

• つめ物
• かぶせ物

セラミックの治療では、上記のような治療の手段以外に使用するセラミックの歯の種類や大きさによっても値段が変わってきます。

そのため、治療前にセラミックの歯の種類・費用を知っておくことが必要です。

セラミックの歯の種類

まず、つめ物の治療で使用されるセラミックの歯の種類は以下の2種類です。

• セラミックインレー
• ジルコニアインレー

セラミックインレーは天然歯と変わらない見た目をしているため、ほかの歯と遜色がなく違和感なく使用できます。

しかし、強い衝撃を受けると割れてしまう面もあるので、噛み合わせが強い方には向かないでしょう。

ジルコニアインレーは人工ダイヤモンドを素材としているセラミック製の歯です。

セラミックインレーよりも割れにくいですが、色の再現性が劣るため見た目の部分ではセラミックインレーの方が違和感が少ないかもしれません。

次にかぶせ物で使用されるセラミックの歯は以下の4種類です。

• ジルコニアボンド
• オールセラミック
• フルカントゥア・ジルコニア・クラウン（FCZ）
• ジルコニア

ジルコニアボンドは色の再現性だけでなく強度も高いため、前歯のセラミック治療で使用されます。

オールセラミックは色の再現性だけでなく、透明感もあわせもつためより天然歯に近いきれいな仕上がりを実感できるでしょう。

3つ目のFCZは6種類のジルコニアを組み合わせることで、ご自身の歯に合った色合いの歯を作ることができます。

ジルコニアを使用しているため強度が高く、奥歯の治療で使用されるでしょう。

最後のジルコニアは、FCZよりも使用するジルコニアの種類が少なく安価で作製することができます。

セラミックの歯の費用

セラミック治療の費用は、埋め込み方法によって異なります。つめ物での治療では、値段の相場が40,000〜80,000円（税込）程度、かぶせ物の値段の相場は80,000〜120,000円（税込）程度で少しつめ物の治療よりも高いです。

この値段のなかには保証期間が含まれている歯科医院もありますので、受診された際は保証期間についても確認しておくとよいでしょう。

セラミックの歯の注意点

セラミックの歯は、プラスチック製の歯よりも審美性がありつつ頑丈です。しかし、絶対に壊れないというわけではありません。

セラミックの歯は保険診療外での治療になるため、壊れてしまった場合は治すためにさらにお金がかかってしまいます。

なるべくお金をかけないために、定期的なメンテナンスを行いセラミックを長持ちさせることが重要です。

ここでは、そのようなセラミックの歯の寿命と取れてしまった場合の対応方法について紹介します。

セラミックの歯は何年持つのか

セラミックの歯は種類によって寿命が異なりますが、おおよそ7〜10年程度です。

セラミックのなかでもジルコニアを素材としているものは、10〜15年程度と少し長いです。

セラミックの歯の寿命は、日々の手入れを怠っていると短くなることもあるので注意しましょう。

セラミックが取れた場合はどうすればよいか

セラミックの歯が取れてしまった場合、歯の内部がむき出し状態になっています。

その状態のまま放置していると、むき出しになっている部分がむし歯になり、口腔環境のトラブルに発展しかねません。

そのため、セラミックの歯が取れてしまった場合はかかりつけの歯科医院にすぐに受診しましょう。

まとめ

今回、セラミックの歯を装着後に後悔しないように、失敗事例や費用面について紹介しました。

セラミックの歯はプラスチック製の歯よりも頑丈ですが、割れないわけではありません。長持ちさせるように、定期的なお手入れは必須です。

セラミックの歯が取れてしまい、再度付け直す必要がある場合は保険診療外になるため、多額の費用がかかるでしょう。

セラミックの歯を装着した際は、歯科医師に手入れ方法や長持ちさせるためのポイントを確認しておくようにしましょう。

参考文献

• 歯髄炎｜社会福祉法人 恩賜財団 済生会