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知覚過敏で銀歯がしみる?知覚過敏と銀歯の関係を詳しく解説

知覚過敏で銀歯がしみる?知覚過敏と銀歯の関係を詳しく解説

銀歯を装着した歯がしみる。そんなときにまず思い浮かぶのが知覚過敏です。冷たいものを、お口にしたときに歯がキーンとしみる症状はとても不快なので、すぐにでも改善したいものです。銀歯がしみるのは、知覚過敏以外の原因が潜んでいるため、自己診断はよくありません。もしかしたら銀歯の下でむし歯が再発していたり、何らかの理由で歯が損傷したりしている可能性も否定できないからです。

ここではそんな銀歯がしみる原因や銀歯で知覚過敏が起こりやすい理由、銀歯がしみる場合の対処法などを詳しく解説します。

銀歯がしみる原因

銀歯がしみる原因 銀歯がしみる原因について解説します。

歯周病で知覚過敏になっている

銀歯がしみる原因のひとつとしては、歯周病が挙げられます。

歯周病は、歯茎が赤く腫れたり、歯磨きのときに歯茎からの出血が見られたりする病気なので、一見すると、銀歯がしみる症状とは関係がないように思われがちです。しかし、実際はそうではなく、進行した歯周病では歯周組織の破壊が起こり、歯茎や顎の骨が下がる現象が見られます。歯茎や顎の骨が下がると、エナメル質が分布していない歯根面が露出するため、冷たいものがしみやすくなります。これは一種の知覚過敏であり、むし歯などの異常がなくても歯がしみる症状は現れることがあります。

むし歯が銀歯の下で進行している

歯茎が健康で歯根面も露出していないのに銀歯がしみる場合は、銀歯の下でむし歯が再発しているかもしれません。

銀歯は、歯質との適合性があまり高くはなく、装着の際に使ったセメントが劣化しやすいため、二次むし歯のリスクが高くなります。銀歯の下でむし歯が進行していれば、歯質との間から刺激が伝わりやすくなっているだけでなく、むし歯による歯痛も生じやすくなっています。
そのまま放置していると、歯の神経にまでむし歯が到達して、さらに強い痛みを引き起こしかねないため注意しましょう。

銀歯の近くの歯がむし歯になっている

歯がしみる症状は、銀歯ではなくその隣の歯が原因であるケースも珍しくありません。

歯は繊細な器官ですが、痛みが生じている部位を特定するのは難しいのです。例えば、前から6番目の歯が痛いことが主訴で歯科を受診しても、検査をしてみると前から7番目の歯がむし歯になっていたということは少なくありません。

歯ぎしりや食いしばりで歯が損傷している

歯ぎしりや食いしばりの習慣がある人は、銀歯に過剰なダメージがおよんでいる可能性があります。歯ぎしりや食いしばりによる影響で、銀歯のなかの歯質が損傷しているかもしれません。重症例では、銀歯を被せた歯の歯根が折れていることもあるため、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある方は、歯科を受診が望ましいです。

銀歯治療と知覚過敏の関係

銀歯治療と知覚過敏の関係 銀歯と知覚過敏の関係について解説します。

銀歯は熱伝導が高い

銀歯は、歯がしみたり違和感が生じたりしやすい人工歯といわれています。

銀歯は金属で作られた被せ物なので、プラスチックやセラミックよりも熱伝導率がたかくなります。熱伝導率が高いと、冷たい刺激や熱い刺激が伝わりやすくするため、歯の神経も刺激を受けやすくなります。

銀歯のサイズが合っていない

被せ物である銀歯は、大きすぎても小さすぎてもよくありません。むし歯を削った後の歯にぴったりと適合することが求められるため、サイズの合っていない銀歯にはさまざまなリスクが生じます。

まず、歯に適合していない銀歯は、不要な隙間が生じることから、冷たい水が歯の神経を刺激しやすくなります。銀歯のサイズが大きいと、噛み合わせが高くなることで負担がかかり、歯の破損や亀裂を生じさせる原因にもなります。

神経が過敏になっている

銀歯治療を行ってからしばらくは、歯の神経が過敏になります。

むし歯治療で歯を削ったり、銀歯治療でさまざまな薬剤を使っていることが原因です。歯の神経が過敏になっている間は、冷たい刺激や熱い刺激でしみるという症状が現れやすくなります。

銀歯治療から数週間経っても歯がしみる、もしくは痛みを感じる症状が治まらない場合は、神経が過敏になっている以外の異常が疑われるため、主治医に相談しましょう。

残った神経が弱っている

進行したむし歯では、歯の神経を抜き取る根管治療が必要となる場合があります。抜髄をした歯は、外からの刺激を感知する神経がないため、歯がしみるという症状は現れませんが、抜髄が不十分だと一部の神経が残って痛みを誘発することがあります。 抜髄を行わずに銀歯治療を行った場合は、処置の過程で神経に刺激が加わっていることも考えられます。弱っている神経は、外からの刺激で痛みなどが誘発されやすいため、歯がしみるという知覚過敏が現れやすくなります。

銀歯がしみるときの対処法

銀歯がしみるときの対処法 銀歯がしみるときの対処法を解説します。

一時的であれば痛み止めの使用

銀歯がしみる症状が一時的なもので、発生する頻度が少ない場合は、明らかな異常ではないかもしれません。銀歯治療を受けた直後は、歯がしみる症状が現れやすくなっているため、まずは市販の鎮痛剤で対処してみましょう。いつも使っている痛み止めを、用法用量を守って服用してみてください。歯科医院から処方された鎮痛剤があれば優先的に使いましょう。

痛みが続く場合は歯科医院に受診

鎮痛剤を使ってもあまり効果がない、銀歯がしみる症状が長く続いている場合は、歯科医院で適切に対処する必要です。

銀歯治療を受けた歯科医院への受診が望ましいでしょう。ほかの歯科医院を受診すると、銀歯治療を受けた経緯や治療の内容などを正確に把握することが難しくなり、適切に対処できないこともありえるからです。ただし、銀歯治療を行った歯科医院へ受診するのがどうしても嫌な理由がある場合は、新しい歯科医院で診てもらうのもひとつの選択肢といえます。

銀歯がしみるときの歯科医院における治療

銀歯がしみるときの歯科医院における治療 銀歯がしみるときに歯科医院を受診すると、次に挙げる方法で治療を受けることができます。

銀歯をほかの素材に変える

銀歯は熱伝導率が高くセメントが劣化しやすいため、歯質との適合性が低くて、しみる症状につながる場合があります。

銀歯をセラミック材料に変えると、歯がしみる症状を改善できることがあります。歯がしみる原因と選択する材料によっては、銀歯をほかの素材に変える治療を保険診療で受けることは可能なので、まずは歯科医院に相談してみましょう。保険診療ではオールセラミックの治療を受けることはできませんが、ハイブリッドセラミックの治療を受けることができます。

噛み合わせを調整する

銀歯のサイズや高さが合っていなくて噛み合わせに異常がある場合は、咬合調整で対処することになります。

一般的には銀歯の強くあたっている部分を削ることになりますが、噛み合う天然歯や人工歯を削ることになってしまいます。咬合調整をした後は、削ったときの刺激によって歯がしみる症状が強くなる場合もありますが、徐々に消失していくため経過を見ていきましょう。

再発したむし歯の治療を行う

銀歯の下でむし歯が再発している場合は、むし歯治療を行わなければなりません。

銀歯を撤去したうえでむし歯をドリルで削り、感染した歯質を取り除きます。撤去した銀歯はもとに戻すことができなくなるため、新たに被せ物を作る必要があります。

近年は、保険診療でも白い歯が入れられる症例が増えたので、銀歯以外の被せ物を選択するのもよいでしょう。CAD/CAM冠(キャドキャムカン)やPEEK冠(ピークカン)などの白い被せ物があります。

歯周病の治療を行う

歯周病によって歯茎が下がり歯根面が露出している場合は、歯周病治療が優先されます。

歯周病菌の温床となっている歯垢や歯石を取り除き、患歯の周りを清潔に保ちます。下がってしまった歯茎や顎の骨は特別な治療法を選択しない限りもとには戻せません。

具体的な治療法は、口腔粘膜を採取して歯茎が下がった部分に移植する結合組織移植術(CTG)や遊離歯肉移植術(FGG)などを行うことで、露出した歯根面を覆うことができますが、原則として自費診療となります。保険診療で対処する場合は、露出した歯根面を専用の薬剤でコーティングしたり、修復治療を行ったりすることで、知覚過敏の症状を緩和していきます。

歯周病治療というのは、あくまで歯茎と顎骨の退縮を止めるものであり、露出した歯根面に起こる知覚過敏は、別の方法で対処しなければなりません。

神経を取る根管治療を行う

銀歯がしみる原因が歯の神経にある場合は、根管治療もひとつの選択肢です。

神経が細菌に感染して歯髄炎を発症している場合では、神経を取る根管治療が必要となります。神経を取った後は根管内を清掃し、ガッタパーチャなどの樹脂で充填します。そのうえで、コアと呼ばれる土台を作り被せ物を装着します。

装着する被せ物は銀歯である必要はありません。生体との親和性も高いセラミックも選べますので相談してみるのもよいでしょう。自費診療のセラミック治療が難しい場合は、保険診療のCAD/CAM冠やPEEK冠がおすすめです。

マウスピースを使用する

歯ぎしりや食いしばりが原因で銀歯がしみる場合は、治療用のマウスピースを使ったスプリント療法が推奨されます。就寝中にナイトガードと呼ばれるマウスピースを装着することで、歯ぎしりや食いしばりによる歯や歯周組織への影響を軽減できます。

歯ぎしりや食いしばりは、銀歯がしみる症状にとどまらず、歯茎の炎症や歯根の破折、顎関節症などのトラブルへと発展しかねないため、早期に改善するのが望ましいです。

銀歯がしみないようにするためのセルフケア方法

銀歯がしみないようにするためのセルフケア方法 銀歯がしみる症状を予防あるいは改善するためのセルフケア方法を紹介します。

正しい方法で歯磨きをする

銀歯がしみる症状は、むし歯や歯周病などの口腔衛生状態が悪くなって発症する病気と関連します。そのため正しい方法の歯磨きは、銀歯がしみないようにする対策の第一歩です。

銀歯の周りに歯垢や歯石がたまらないようにすれば、細菌に関係する口腔疾患や症状を予防できます。正しい歯磨き方法は、歯科医院での定期検診で身に付けましょう。

歯間ブラシやマウスウォッシュを使う

歯と歯の間の汚れは、歯磨きだけでは取り除けないため、デンタルフロスや歯間ブラシを活用しましょう。銀歯と隣の歯との距離が短い場合はデンタルフロス、長い場合は歯間ブラシがおすすめです。

職場や学校、レストランなど、食後に歯磨きできない環境にいるときは、マウスウォッシュで簡易的な口腔ケアをするとよいです。薬局やドラッグストアでは、携帯用の小型のマウスウォッシュも販売されています。

定期的に歯科検診を受ける

定期的に歯科検診は、銀歯がしみる症状を含めた、お口のトラブルの予防に大切です。歯科検診では、むし歯や歯周病を早期に発見できるだけでなく、歯のクリーニングや歯磨き方法の指導など、お口のトラブルの予防になるからです。

銀歯は、長い間使い続けているとさまざまな問題が生じやすいことから、3〜4ヵ月に1回くらいの頻度で定期検診が推奨されます。

まとめ

今回は、銀歯がしみる原因や知覚過敏との関係、歯がしみる症状の治療法について解説しました。銀歯がしみる原因としては、知覚過敏、むし歯の再発、銀歯の隣の歯がむし歯になっている、歯ぎしりや食いしばりで歯が損傷していることなどが挙げられます。特に銀歯は、熱伝導率が高いことから、レジン歯やセラミック歯よりも知覚過敏が起こりやすくなっている点に注意です。銀歯がしみる症状を治療する方法は、原因によって変わってくるため、まずは歯科医院を受診することが推奨されます。銀歯がしみる症状を予防したい場合は、正しい方法で歯磨きをして、歯科検診も定期的に受けるようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

木下 裕貴歯科医師(医療法人社団天祐会 副理事長)

北海道大学歯学部卒業 / 医療法人社団天祐会 副理事長 / 専門はマウスピース矯正、小児矯正 / 一般歯科全般もOK

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