入れ歯を選ぶ際、快適さや見た目、費用など多くのポイントが気になりますよね。なかでもシリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、痛みを軽減しながら安定性を保てる入れ歯として採用されています。 本記事ではシリコン入れ歯の費用相場について以下の点を中心にご紹介します。
- シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)とは
- シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)の費用相場
- シリコン入れ歯以外の義歯の種類と費用
シリコン入れ歯の費用相場について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)とは
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、従来の入れ歯の課題を解決するために開発されたオーダーメイドの入れ歯です。歯茎に接触する部分にやわらかいシリコン素材を使用し、痛みを軽減しながら噛む際の負担を和らげます。シリコーンの弾力は吸盤のように働き、会話や食事の際に外れにくく安定感がある点が特徴です。
また、インプラントのような外科手術が不要で、歯科医院で型を採取した後、日本の熟練した歯科技工士が丁寧に製作するため、患者さんひとり一人のお口にフィットします。シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、快適で安定感のある装着感を求める方に適切な選択肢となるでしょう。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のメリット
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
以下で詳しく解説します。
痛みが少ない
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のメリットの一つ目は、痛みが軽減される点です。従来の硬いプラスチック製の入れ歯では、歯茎と入れ歯が擦れることで”床ずれ”のような状態が生じ、歯茎に傷ができやすく、痛みの原因となることがありました。
しかし、コンフォート義歯は歯茎に接する部分にやわらかいシリコーン素材を使用しており、クッションが歯茎にかかる圧力を分散させることで、噛む際の痛みを和らげる効果が期待できます。
噛みやすい
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のメリットの二つ目として、噛みやすい点が挙げられます。
この入れ歯には、歯茎に接する部分にやわらかいシリコーン素材が使われており、硬いものを噛んだ際の歯茎への負担を軽減します。このため、硬い食材でもしっかり噛めて、食べ物の選択肢が広がることが特徴です。
さらに、シリコーン素材の弾性は歯茎の粘膜のやわらかさに近いため、入れ歯が歯茎にフィットしやすく、上下左右の顎の動きにもしっかり対応することで、噛む動作が安定し、咀嚼機能の回復が期待できます。
このような特性により、食事中の入れ歯の外れやすさが軽減され、食事そのものがより楽しめるようになります。
安定感がある
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のメリットの三つ目として、安定感がある点が挙げられます。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、シリコン素材が歯茎にかかる圧力を分散してくれるため、入れ歯が動きにくくなるだけでなく、歯茎への負担も軽減されます。
さらに、入れ歯と歯茎の間にいちごの種のような細かい食べ物が挟まりにくくなるため、安心してさまざまな食事を楽しめます。
さらに、コンフォート義歯は患者さん一人ひとりのお口の形に合わせて作られるため、より高いフィット感が得られます。この安定感により、入れ歯の違和感が少なくなり、日常生活が快適に過ごせることが期待できます。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のデメリット
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットも存在します。以下で詳しく解説します。
汚れが付着しやすい
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は快適な装着感や安定性が魅力ですが、デメリットの一つ目として、汚れが付着しやすい点が挙げられます。
シリコーン素材は内部が細かい構造であるため、カンジダ菌などの微生物が付着しやすく、適切なケアを怠ると衛生面での問題が発生する可能性があります。
さらに、市販の義歯ブラシを使う際には注意が必要です。硬い毛先のブラシで強くこすると、シリコーン表面に傷がついてしまい、その傷に汚れが入り込みやすくなります。結果として清掃が難しくなり、入れ歯の吸着力が低下し、外れやすくなる恐れがあります。
また、不適切な清掃によって細菌が繁殖し、むし歯や歯周病、口臭などのトラブルを引き起こす可能性もあります。
これらを防ぐためには、毛先がやわらかい義歯ブラシや超音波洗浄を活用し、毎日専用洗浄剤を使用した清掃を行うことが大切です。
正しいケアを心がけることで、シリコン入れ歯の快適さを長く維持できるでしょう。
シリコン部分が剥がれやすい
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のデメリットの二つ目に、シリコン部分が剥がれやすい点が挙げられます。
この入れ歯は、プラスチック製の土台にシリコンを接着剤で貼り付ける構造となっており、使用状況や経年劣化によって接着部分が剥がれることがあります。大体2〜5年程度で剥がれが発生しやすくなるため、定期的なメンテナンスが必要です。
剥がれてしまった場合は、歯科医院でシリコンを張り替えるか、必要に応じて入れ歯全体を作り直す必要があります。このため、入れ歯の耐用期間を考慮し、あらかじめメンテナンスや修理の可能性を理解しておくことが重要です。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)の費用相場
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)の費用相場は、部分入れ歯か総入れ歯かによって異なります。部分入れ歯の場合の費用相場は10万円〜50万円程度となっています。
一方、総入れ歯では、より多くの材料を使用することから40万円〜60万円程度が目安とされています。
また、シリコン入れ歯は自費診療に分類されるため、保険診療の入れ歯よりも高額になる傾向があります。
しかし、その分、装着時の違和感が少なく、咀嚼力の向上や食事の快適さを実感できることが特徴です。
さらに、デンタルローンを利用できる歯科医院もあり、支払い方法について相談することが可能とされています。
費用の見積もりは、患者さんのお口の状態や希望するデザインによって変わるため、歯科医院での相談が大切です。費用面だけでなく、快適さや機能性を考慮した選択が求められます。
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のお手入れ方法
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)を使用する際には、適切なお手入れが重要です。以下で解説します。
①入れ歯を洗ってよく磨く
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)を長く快適に使用するためには、正しいお手入れが欠かせません。
まず、使用後は流水で全体をゆすぎ、表面の汚れを洗い流します。その後、専用の入れ歯ブラシを使い、入れ歯の表面や歯茎に接する部分を丁寧に磨きます。この際、ブラシは毛先がやわらかいものを選び、入れ歯を傷つけないように優しく磨くことがポイントです。
なかでも、注意が必要なのは歯磨き粉の使用です。市販の歯磨き粉には研磨剤が含まれている場合があり、その研磨剤がシリコーン部分に傷をつけてしまう恐れがあります。傷ができると汚れが溜まりやすくなり、清潔に保つことが難しくなるため、歯磨き粉の使用は避けましょう。
また、入れ歯の端や細かい部分に汚れが溜まりやすいので、見落としがないように丁寧に磨いてください。
②入れ歯洗浄剤に浸け置きする
シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)のお手入れでは、入れ歯洗浄剤を使用した浸け置き洗浄も重要な手順です。
寝る前に入れ歯を外し、専用の容器に水を入れて洗浄剤を溶かします。このとき、容器は入れ歯全体がしっかり浸かる大きさのものを使用してください。入れ歯を溶液に浸した状態で一晩置くことで、除菌や汚れの分解が行われます。
浸け置き洗浄は、歯磨きでは取りきれない目に見えない汚れや細菌、カンジダ菌の除去に役立つとされています。なかでも、シリコン部分は汚れが溜まりやすい構造のため、洗浄剤を定期的に使用することで清潔さを保ち、衛生的な状態を維持できます。
さらに、洗浄剤を使用する際は製品の説明に従い、適切な量を守ることが大切です。また、浸け置き後は流水でしっかりすすぎ、洗浄剤が残らないよう注意してください。
③入れ歯を水でよくすすぐ
最後に、入れ歯を水でしっかりすすぐことが大切です。
一晩浸け置いた入れ歯には、洗浄剤の作用で浮き上がった汚れが残っているため、この汚れを取り除くために、流水で丁寧にすすぎましょう。この際、入れ歯全体を隅々まで洗うことを意識してください。
さらに、水ですすぐだけでなく、やわらかい毛先の入れ歯専用ブラシを使ってもう一度磨くことで、汚れをしっかりと除去できます。
適切に洗い流さないと、洗浄剤の残留物がお口に残る可能性があり、これが原因で口腔内のトラブルを引き起こすことも考えられます。したがって、毎日欠かさずにお手入れを行うことで、むし歯や歯周病、口臭の予防につながり、入れ歯を快適に使い続けることが可能とされています。
シリコン入れ歯以外の義歯の種類と費用
シリコン入れ歯以外には、どのような義歯の種類があるのでしょうか?
費用相場と併せて解説します。
保険適用の入れ歯
保険適用の入れ歯は、手頃な価格で基本的な機能を提供する義歯として、多くの方に利用されています。以下では、部分入れ歯と総入れ歯に分けて詳しくご説明します。
部分入れ歯
部分的に歯が失われた場合に使用される部分入れ歯は、保険適用で製作する場合、プラスチック素材が主に使用されます。
ただし、金属床を使用するものよりも耐久性が低く、装着時に違和感を覚える可能性があります。
3割負担の場合、費用相場は5,000円〜15,000円程度となっています。
総入れ歯
すべての歯を失った場合に使用する総入れ歯も、保険適用で製作できます。
総入れ歯は軽量で扱いやすい一方で、金属床の入れ歯よりも強度や装着時の快適性に制限がある場合があります。なかでも、長時間の使用での変形や食事中の噛み心地に課題を感じることがあるかもしれません。総入れ歯の費用相場は15,000円程度(3割負担の場合)になります。
保険適用の入れ歯は、費用が抑えられるとされていますが、快適性や耐久性を重視する場合は、自費診療の義歯と比較して選ぶことが重要です。
マグネット義歯
マグネット義歯は磁力を利用して入れ歯を固定するタイプの義歯で、歯の根に磁性金属を取り付け、義歯側に埋め込んだ磁石の力で安定させる仕組みです。金属のバネを使わないため見た目が自然で目立ちにくい点が特徴です。
脱着が簡単で、装着時のガタつきや外れやすさが軽減されるため、食事や会話が快適になります。費用は1箇所あたり5万円程度で、総費用は10万〜60万円程度が目安ですが、症例によっては保険適用が可能な場合もあります。
金属床義歯
金属床義歯は、入れ歯の土台に金属を使用した義歯で、コバルトクロムやチタンが主に使用されています。また、土台を薄く作れるため、装着時の違和感が少なく、金属の強度により薄さと軽さを兼ね備えています。
熱伝導性が高く、食べ物や飲み物の温度を感じやすい点も魅力で、食事の満足度が向上します。薄く設計できるため発音もスムーズで、会話時の違和感も軽減されます。
費用相場は部分入れ歯で30万〜60万円、総入れ歯で50万〜80万円程度で、使用する金属や設計の複雑さによって変動します。
ノンクラスプデンチャー
ノンクラスプデンチャーは、金属製の留め金具を使用しない部分入れ歯で、審美性が期待できるとされています。
特殊な樹脂素材を使用し、歯茎と似たピンク色をしているため、装着していることが目立ちにくく、自然な見た目を保てます。
費用相場は10万〜50万円程度で、補う歯の本数や素材によって変動します。審美性や快適さを重視する方に適切な選択肢ですが、耐久性を考慮して使用後のメンテナンス計画を立てることが大切です。
オーバーデンチャー
オーバーデンチャーは、残存する歯やインプラントに被せる義歯で、総入れ歯や部分入れ歯として使用でき、安定性を向上させる特徴があります。従来の入れ歯と違い、噛む力がしっかり伝わり、ズレや外れが防げるため、食事中のストレスが軽減されます。
費用相場は50万〜200万円程度で、インプラントの本数や素材によって変わり、残った歯を利用する場合は、費用を抑えられることもあります。
コーヌスクローネ義歯
コーヌスクローネ義歯は、内冠と外冠の二重構造で義歯を固定する入れ歯です。内冠を支台歯に取り付け、外冠を義歯本体に組み込むことで摩擦力で安定させ、従来の入れ歯より安定感と咀嚼力が得られる点が特徴です。
また、着脱が簡単で清掃しやすく、衛生的に使い続けられます。ただし、摩耗が進むと再製作が必要になるため、定期的なメンテナンスが求められます。費用相場は50万〜200万円程度で、使用素材や補う歯の本数によって変動します。
まとめ
ここまでシリコン入れ歯の費用相場についてお伝えしてきました。シリコン入れ歯の費用相場の要点をまとめると以下のとおりです。
- シリコン入れ歯(コンフォート・デンチャー)は、やわらかいシリコーンで歯茎の負担を軽減し、安定性や快適さを備えたオーダーメイドの入れ歯である
- シリコン入れ歯の費用相場は部分入れ歯で10万~50万円、総入れ歯で40万~60万円程度であり、自費診療に分類される
- シリコン以外の義歯には、保険適用の入れ歯やマグネット義歯、金属床義歯、ノンクラスプデンチャー、オーバーデンチャー、コーヌスクローネ義歯がある
シリコン入れ歯は、快適さや安定感を重視したい方にとって魅力的な選択肢ですが、費用やお手入れの手間についてもしっかり検討することが大切です。
この記事を通じて、シリコン入れ歯の特徴や注意点が少しでも明確になり、入れ歯選びの参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。