むし歯の治療後は、削った部分を補うために被せ物を装着します。その際に、被せ物に銀歯を選択するケースもあります。
銀歯は、位置や大きさなどによって目立ちやすく、少しお口を開けただけでも光を反射して見えることがあります。
このため、奥歯の銀歯を白い被せ物に変更したいと考える方は少なくないでしょう。
本記事では、奥歯の銀歯が目立つ原因やセラミックに変える場合のメリット、デメリット、費用相場を解説します。
奥歯の銀歯が気になる方にとって、治療の選択肢を考える手助けになれば幸いです。
奥歯の銀歯が目立つ原因と治療方法
- 奥歯の銀歯が目立つ原因を教えてください。
- 歯の見た目を重視する方にとって、銀歯が目立つことが気になるでしょう。
銀歯が目立つ主な原因は、使用されている素材が金属であるためです。そのため、お口を開けたときに光って目立ってしまいます。
そのほかにさまざまな原因があり、以下のとおりです。- 位置による影響
- サイズや形状
- 経年変化
- 金属の反射性
- 金属アレルギーの影響
銀歯の位置や大きさによって目立ち方は大きく変わります。特に前歯や下の奥歯が目立ちやすいです。
歯全体を覆うような大きさだと自然な歯との差がはっきりとし、金属部分が強調されます。
また、加齢によって歯や歯茎が変化しますが、銀歯は変化しません。
金属アレルギーの影響で歯茎が変色したり、歯茎が下がったりすることによって歯茎と銀歯の境目が見えるようになることも目立つ原因となるでしょう。
- 奥歯の銀歯を白くした方がよい理由を教えてください。
- 銀歯を白くするには、セラミックやジルコニア製の被せ物に交換する治療が必要であり、歯科医院への通院が必要です。
この治療には多くのメリットがあります。奥歯の銀歯を白い被せ物に変えることで得られる主なメリットは以下のとおりです。- 審美性が高い
- 金属アレルギーの心配がない
- 長期間使用できる
- 歯垢が付きにくい
銀歯を白くすると天然の歯に近い見た目になるため、審美性が高くなります。お口を開けたときの見た目を気にせずに過ごせるようになるでしょう。
金属を含まない白い被せ物もあり、金属アレルギーが心配な方でも使用できます。金属の影響による歯茎の変色も防げます。
また、銀歯に比べて耐久性が高く、歯垢が付きにくいため再度むし歯になるリスクが低くなるでしょう。
- 奥歯の銀歯を白くするための治療方法を教えてください。
- 銀歯を白くするためには、歯科医院を受診して被せ物を交換する必要があります。まずは、診察やレントゲン撮影をして歯の状態を確認するのが一般的です。
次に、ドリルや専用器具で銀歯を外す際に、むし歯や神経の異常が見つかることもあり、その場合はあわせて治療を行います。
治療が終わると、新しい被せ物を作るため歯を削って形を整えたうえで、型取りをします。被せ物が完成したら、装着して噛み合わせの調整を行います。
奥歯を銀歯からセラミックに変えるメリットとデメリット
- セラミックの素材にはどのようなものがありますか?
- 奥歯の銀歯を白い被せ物にしたいと考えたときに、セラミックを思い浮かべる方は少なくないでしょう。セラミックの素材は複数の種類があり、それぞれに異なる特徴があります。セラミックの素材を以下で解説します。
- ジルコニア
- 二ケイ酸リチウムガラスセラミック
- ポーセレン
ジルコニアは、透明度と耐久性が高くて審美性にも優れており、軽量で金属よりも強度があるのが特徴です。金属を使用しないので金属アレルギーの方でも使用できます。
二ケイ酸リチウムガラスセラミックは、ガラス素材で自然な歯に近い色合いと透明度が高いことが特徴です。
ポーセレンは、長石を原料とした素材のため、透明度が高く自然の歯に色を近づけられます。二ケイ酸リチウムガラスセラミックとポーセレンは、強度が低いために割れやすいことがデメリットです。
セラミックにはさまざまな素材があり、それぞれに適した用途があります。詰め物をセラミックに変えるときは、どの素材が適しているのか歯科医師と相談して決めるとよいでしょう。
- 銀歯からセラミックに変更するメリットを教えてください。
- 銀歯からセラミックに変更することで得られる主なメリットは、以下のとおりです。
- 審美性に優れている
- 経年劣化しにくい
- むし歯の再発率が低い
- 金属アレルギーのリスクが少ない
被せ物をセラミックに変更すると、天然の歯のような透明感のある色が再現されるので見た目では天然の歯との違いがほとんどわからなくなります。
そのため、被せ物だと気付かれにくくなるでしょう。
セラミックは金属よりも経年劣化が緩やかなため、色や質感が長持ちします。
また、経年劣化による天然の歯との隙間や段差ができにくいです。
さらに、歯垢が付きにくい素材のため、治療した歯が再度むし歯になるリスクが低くなります。
金属アレルギーのリスクが少ないので、金属が溶け出すことによる歯茎の変色を防げます。
- 銀歯からセラミックに変更するデメリットを教えてください。
- 銀歯からセラミックに変更する際の主なデメリットは、以下のとおりです。
- 費用が高額
- 割れるリスクがある
- 削る歯の範囲が広い
- 神経を抜くことがある
セラミックは自由診療のため、費用が高額になります。素材や歯科医院によって費用に差があるため、事前に説明を受けて納得したうえで治療を受けることが大切です。
セラミックは素材によっては割れやすい詰め物のため、奥歯に力が加わったときに割れる可能性があるでしょう。
強度を確保するためには、厚みのある詰め物が必要になります。そのため、詰め物を装着する際に天然の歯を多く削る必要があり、自分の歯の残存量が減ってしまいます。
神経の近くまで削ると痛みを感じたり、しみたりする可能性があるので注意が必要です。このような症状が続く場合は神経を抜く必要がありますが、神経を抜くことによって歯がもろくなる原因になります。
- 保険適用と自由診療ではどのような違いがありますか?
- セラミックは自由診療のため、費用が高額になる傾向があります。そのため、費用の問題から、白い被せ物を断念する方も多く見られますが、条件を満たせば保険適用の範囲で治療できる白い被せ物もあります。
例えば、CAD/CAM冠(ハイブリッドレジン冠)保険が適用される被せ物です。
CAD/CAM冠とは、ハイブリットセラミックをコンピューターで加工して作成する被せ物のことです。
ハイブリットセラミックは、レジンとセラミックを混ぜ合わせた白色の素材のため、白い被せ物になります。レジンが含まれるため柔軟性と吸水性に優れた被せ物です。
適度な硬さで対向歯を傷つけにくい一方、摩耗や色素沈着が起こりやすいという特徴もあります。
自由診療のセラミックと比べると耐久性に劣るので被せ物の寿命が短くなる傾向があります。
奥歯を銀歯からセラミックに変える場合の費用相場
- 銀歯からセラミックに変更する場合の費用はどのくらいですか?
- 詰め物や被せ物は、大きさや範囲に応じてインレーやアンレー、クラウンに分類され、それぞれ費用が異なります。銀歯からセラミックに変更する場合は、自由診療となるため小さな詰め物であっても費用が高額になる傾向があります。費用の相場は以下のとおりです。
- インレー、アンレー:3〜5万円(税込)程度
- クラウン:8〜15万(税込)程度
費用は歯科医院によって異なるため、事前に治療内容とともに確認することが大切です。
- CAD/CAM冠を利用する場合の費用相場を教えてください。
- CAD/CAM冠は、上下の4〜5番目の歯(小臼歯)は保険診療で治療が可能です。
条件を満たせば上下の奥歯6〜8番目の歯も保険診療で治療できます。CAD/CAM冠を装着する部位の反対側に上下でしっかり噛み合う大臼歯があることが必須条件です。
これに加えて以下の条件どちらかを満たす必要があります。- CAD/CAM冠を装着する歯と左右同じ側に上下でしっかり噛み合う大臼歯がある(ブリッジを含む)
- 上記の歯がない、または義歯の場合はその手前までの歯がしっかり噛み合う(ブリッジ、乳歯を含む)
金属アレルギーの方は、条件を満たしていない場合でも保険診療となります。歯科医師の診断書が必要なため、歯科医師に確認が必要です。
保険診療と自由診療では費用が大きく異なるので、治療前に歯科医師に確認しましょう。
保険診療の場合は、6〜8千円程度で装着できます。
自由診療の場合は、3〜6万円(税込)が一般的な相場です。
- セラミック治療にかかる費用を抑える方法があれば教えてください。
- 奥歯の銀歯をセラミックに変更する場合は、自由診療となる場合がほとんどなため費用が高額になります。できるだけ費用を抑えて治療をしたいと考える方は少なくないでしょう。
費用を抑えてセラミック治療を行う方法があり、以下で解説します。- 医療費控除を利用する
- 保険適用の素材や料金が安い素材を選択する
- ローンやクレジットカード払いを利用する
機能回復を目的とした治療は、医療費控除の対象となることがありますが、審美性を目的とした場合は対象とならない場合があるので注意が必要です。条件を満たしている場合はCAD/CAM冠を保険診療で利用できて費用を抑えられます。
ローンを利用すれば、月々の支払い負担を軽減できます。また、クレジットカード払いではカード利用額に応じたポイントが付与されることもあります。
支払い方法は、歯科医院によって異なるため事前に確認が必要です。
編集部まとめ
本記事では、奥歯の銀歯が目立つ原因とセラミックに変える場合のメリット、デメリット、費用相場を解説しました。
白い被せ物は天然の歯と見分けがつきにくく審美性が向上します。素材によって費用や特徴が異なるため、それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。
銀歯の見た目が気になる方は、まず歯科医師に相談し、自分に適した被せ物を選ぶようにしましょう。
参考文献