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子どものむし歯と大人のむし歯の違いとは?むし歯にならないためのケア方法も紹介

子どものむし歯と大人のむし歯の違いとは?むし歯にならないためのケア方法も紹介

むし歯は子どもでも大人でもかかることがありますが、子どものむし歯と大人のむし歯にはさまざまな違いがあることはご存じですか? この記事では、子どもと大人のむし歯の違いや、むし歯になったときの治療法、そしてむし歯にならないためのケア方法など、むし歯に関する情報をお届けします。

子どものむし歯の特徴

子どものむし歯の特徴

子どものむし歯には、大人のむし歯と異なるさまざまな特徴があります。
まずは、子どものむし歯の特徴を紹介します。

子どものむし歯は進行が早い

子どものむし歯は、大人のむし歯よりも進行が早いという特徴があります。
これは、子どもの歯(乳歯)は、永久歯と比べてエナメル質が薄く、歯を構成する組織がやわらかいという特徴があるためです。
大人の場合、むし歯が歯髄など歯の内部まで進行するまでにある程度の長い時間がかかりますが、子どもの場合は、初期段階のむし歯が象牙質など歯の内部に進行するまで、1~2週間程度しかかからないこともあります。
歯の性質だけではなく、子どもは歯磨きなどのセルフケアも大人と比べてしっかりと行いにくいため、これもむし歯が早く進行しやすい要因の一つです。
なお、乳歯のときだけではなく、永久歯に生え変わった直後も、まだ歯がやわらかいため、むし歯の進行が早い状況が続きます。

永久歯の生え変わりに影響する

子どもの歯である乳歯は、いずれすべて抜け落ちて永久歯へと生え変わります。そのため、子どもの歯がむし歯になっても、どのみちまた健康な歯が生えてくるから問題ないと考えてしまうかもしれませんが、これは間違いです。
なぜなら、永久歯は乳歯の下から生えてくるため、乳歯のむし歯が進行してしまって、乳歯の根っこ部分に細菌や膿が溜まると、これから生えてくる永久歯の発育不全などを引き起こしてしまうためです。
具体的には、永久歯に白い斑点模様ができてしまったり、茶色く変色した永久歯が生えたりといった影響が考えられます。

顎の発達に影響する

子どものむし歯は、顎の発達にも影響します。顎は食事の際の刺激などによって発達が促されるため、健康な歯でしっかりとした咀嚼をすると、顎がきちんと発達してしっかりと噛むことができるようになるほか、大人になったときの歯並びも良好な状態が保たれやすくなります。
しかし、子どものときにむし歯になってしまうと、むし歯がない歯ばかりで噛んでしまったり、十分な咀嚼をしないで食事を取るようになってしまいやすく、これによって顎の発達が不十分になり、噛む力が弱くなったり、歯並びが悪くなってしまったりといった影響が考えられます。

大人のむし歯の特徴

大人のむし歯の特徴

むし歯は、子どもだけではなく、大人も注意が必要です。子どもの歯に生じるむし歯だけではなく、大人も含めたむし歯の特徴も確認しておきましょう。

歯と歯茎の境目にできやすい

むし歯は、特に歯と歯の境目や、歯と歯茎の境目にできやすいという特徴があります。
こういった部分は歯ブラシが入りにくいため、汚れがしっかりと除去しきれず、そこに細菌が増殖してむし歯が起こりやすいためです。
むし歯を予防するためには、歯と歯茎の隙間の汚れを掻き出すような歯磨きや、歯と歯の間の汚れを取るためにフロスや歯間ブラシを適切に使用することが重要です。

痛みがなく進行する

むし歯は、ある程度進行するまで痛みなどの自覚症状が出ないことが特徴です。
むし歯の進行は、まずはじめに歯の表面側にあるエナメル質といった部分で発生し、徐々に歯の組織を溶かしながら、象牙質へと進んでいきます。しかし、エナメル質やそのすぐ内側にある象牙質には神経がとおっていないため、象牙質までの進行であれば、あまり痛みが生じません。
しかし、象牙質も貫通して、その内側にある歯髄と呼ばれる部分に到達すると、歯の神経が酸による刺激を受けるため、強い痛みが出てくるようになります。
エナメル質や象牙質までのむし歯であれば、細菌に感染している部分を削って埋めたり、被せ物をしたりするだけで治療が完了しますが、歯髄まで到達してしまうと、歯の神経を除去する治療など大がかりな処置が必要となります。

歯周病になりやすい

お口の健康を守るためには、むし歯だけではなく歯周病にも注意が必要です。
歯周病は口腔内の細菌が作り出す毒素によって、歯周組織が炎症を起こしたり、歯槽骨が溶かされていってしまう病気です。
歯周病も痛みなどの自覚症状が出にくく、知らない間に重度に進行してしまうというケースがあります。
子どもの場合は歯周病が進行するよりも早くむし歯の症状が進行し、歯の治療を行う際に歯周病もケアができる可能性が高いですが、むし歯の痛みに気づいた時だけ歯科医院を受診するのでは、気づかないうちに歯周病が始まっていて、歯周病が進みやすいという特徴があるといえます。
ただし、子どもは歯周病にならないというわけではなく、成長期のホルモンバランスの変化による思春期性歯肉炎や、若くても歯周病が急速に進行してしまう場合もあるため、注意が必要です。

子どもがむし歯になりやすい要因

子どもがむし歯になりやすい要因

子どもは、大人と比べてむし歯になりやすく、むし歯が早く進行してしまうという特徴があります。
その原因を見ていきましょう。

おやつなどをよく食べる

成長期にある子どもは、大人よりもたくさんの栄養やエネルギーを必要とします。そのため、食事以外にもおやつなどを食べる機会が多く、また糖分の含まれた甘いものなどを好みやすい傾向にあります。
むし歯は食事に含まれる糖分を、お口のなかにいる細菌が分解する過程でできる酸性物質が直接の原因になるため、おやつなどをよく食べる子どもはむし歯になりやすいといえます。
また、おやつを食べる機会が多いということは、食べている時間が長く、お口のなかが酸性に傾いている時間が長いということになるため、これもむし歯を引き起こしやすい要因です。

エナメル質が薄い

歯の表面にあるエナメル質は、身体のなかでも特に硬く頑丈な組織で、歯はこの硬いエナメル質に覆われているからこそ、噛むという強い負担や、酸などの刺激が加わりやすい過酷な環境にあってもしっかりと維持されます。
しかし、乳歯のエナメル質は、永久歯と比べて半分程度の厚みしかありません。エナメル質が薄いということは、刺激に対する抵抗力が弱いということであり、むし歯になってしまったときに素早く進行してしまいやすい要因です。

生えたばかりの乳歯はエナメル質の表面がもろい

乳歯は永久歯と比べてむし歯が進行しやすいという特徴がありますが、生えたばかりの乳歯は、特にむし歯になりやすく、進行しやすいといえます。
なぜなら、生えたばかりの乳歯はまだ歯の石灰化が進んでいないため、表面に無数の穴が空いているような状態で、エナメル質が十分に硬くなっていないためです。
生えたばかりの乳歯だけではなく、生えたばかりの永久歯も同じような状態であるため、歯が生えてきてすぐの頃は、特にむし歯に注意する必要があります。

歯磨きをきちんとできていない

子どもは、大人のようにしっかりとした歯磨きをすることができません。大人の方でも歯磨きが十分にできていないというケースはありますが、歯の大切さや歯磨きについての理解度が低い子どもの頃は、どうしても歯磨きが不十分になり、むし歯になりやすいといえます。
また、成長期の子どもはお口のなかの状態もどんどん変化していきますが、正しい歯磨きの仕方も、それに合わせて変わっていきます。歯並びの変化によって適切な歯磨き方法が変わるため、これも子どもがしっかりと歯磨きをしにくい理由の一つです。

年齢によって口腔トラブルのリスクも変わる

年齢によって口腔トラブルのリスクも変わる

お口のなかのどのあたりでトラブルが発生しやすいかは、年齢によっても異なります。
年齢別に、特に注意が必要な口腔トラブルを紹介します。

5歳までは前歯の裏や奥歯がむし歯になりやすい

歯が生え立ての1歳から2歳頃は、前歯でかじって食べる時期のため、特に上の前歯の裏がむし歯になりやすい部位です。
その後、奥歯を使って噛むようになる3歳頃からは、汚れが奥歯に溜まりやすくなるため、奥歯でむし歯が生じやすくなります。

6歳からは、生えた直後の永久歯がむし歯になりやすい

6歳頃から、子どもの歯は永久歯へと生え変わっていきます。
生えたばかりの永久歯はまだ石灰化が不十分でもろい性質があり、歯磨きもしにくいため、むし歯になりやすいという特徴があります。

10歳頃からは歯間や奥歯のむし歯のほか歯肉炎も注意

歯がある程度生えそろってくると、特に歯と歯の間や奥歯などの、歯ブラシが届きにくい場所にむし歯が発生しやすくなります。
また、この頃にはホルモンバランスの変化によって免疫力なども変化するため、歯肉炎などにも注意が必要です。

子どものむし歯の治療方法

子どものむし歯の治療方法

子どものむし歯も、基本的には大人のむし歯と同じような治療が必要です。
むし歯になった場合の治療方法を解説します。

歯を削る治療

むし歯治療の基本は、細菌に感染している部位を削って、むし歯の感染を除去する方法で行います。
なお、大人のむし歯の場合は、歯を削った後で噛み合わせを取り戻すために被せ物を作成する際に、セラミックなどで長く使い続けられる歯を作ることがありますが、乳歯の場合はそのうち生え変わるため、セラミックが使用されることはあまり考えられません。

根管治療

子どもの歯でも、むし歯が神経にまで達している場合には根管治療が行われます。
特に、生え変わりまでまだある程度時間がかかる状況であれば、抜歯をせずに根管治療を行って歯を残しておくことで、隣の歯が倒れてくるなどのトラブルを防ぐことにつながります。
また、乳歯の根っこまでむし歯が進行してしまっている場合、根っこの先に膿が溜まり、これがこれから生えてくる永久歯の発育に影響を及ぼす可能性があります。根管治療で膿を除去することで、永久歯がきちんと成長できる状態を目指せます。

抜歯

むし歯になっている歯が生え変わりのタイミングであれば、炎症を治療したうえで抜歯が選択されることもあります。
抜歯のタイミングによって生え変わる歯の健康状態にも影響が出るため、抜歯を行う際は慎重にタイミングを見極める必要があります。

子どものむし歯を予防する方法

子どものむし歯を予防する方法

子どもの歯も、大人と同じようにむし歯になってから治療するのではなく、むし歯を予防するためにしっかりとした対策を行うことが大切です。

食事方法に気を付ける

しっかりとした食事のほかに、おやつなど間食を頻繁に食べるような生活習慣は、お口のなかが酸性の状態で維持されやすく、食事の後すぐに歯磨きがされにくいため、むし歯を引き起こしやすいといえます。
子どもの頃はたくさんの栄養を必要とするため、無理に食事を我慢する必要はありませんが、ダラダラとおやつを食べ続けるなど、お口のなかが不衛生な状態が長引いてしまうような食事方法は行わないように気を付けましょう。

ミュータンス菌の感染を防ぐ

むし歯の原因になりやすいミュータンス菌という細菌は、親から子などの経路で感染しやすい細菌です。そのため、親子で同じ食器を使用しないようにするなど、ミュータンス菌の感染を防ぐことでむし歯のリスクを減少させるとも言われています。
ただし、ミュータンス菌だけがむし歯の原因菌ではないことや、親子以外では感染しないというものではありませんので、ミュータンス菌の感染さえ防げばむし歯を避けられるということではない点に注意しましょう。

歯磨き指導を受ける

子どもの歯は、成長による変化が大きく、適切な歯磨きの仕方もどんどん変化していきます。
歯科医院で状況に応じた歯磨き方法の指導を受けると、そのときの適切な歯磨き方法を理解しやすくなり、お口を清潔な状態に保ちやすくなります。

定期的な歯科検診を受ける

むし歯を予防したり、重度に進行する前に治療するためには、定期的な歯科検診を受けることが大切です。
子どもの頃から歯科医院に定期的に通うことができていれば、大人になってからも健康な歯を維持し続けやすくなります。

フッ素塗布をしてもらう

フッ素は、歯の再石灰化を促進し、歯の健康を維持するために役立ちます。
歯科医院によっては子どもの歯の健康を守るためにフッ素塗布を積極的に行ってくれるところもありますので、定期的な歯科検診と合わせて、フッ素塗布を受けるとよいでしょう。

シーラント処置をうける

シーラント処置とは、奥歯のくぼみのようなむし歯になりやすい箇所を人工物で埋めて、むし歯のリスクを軽減する処置です。
歯科医院でシーラント処置を受けておくことで、むし歯のリスクを大きく減少させる効果が期待できます。

キシリトールを利用する

キシリトールは、むし歯の予防に効果的な成分です。
キシリトールが配合されたガムなどを食べることで、細菌の増殖を抑制し、歯の再石灰化を促進することができます。

まとめ

まとめ

子どもの歯はエナメル質が薄く、大人よりもむし歯が素早く進行しやすいという特徴があります。
また、生え変わりによって適切なケア方法も変化していくため、セルフケアだけで健康な歯を維持し続けるのは、簡単なことではありません。
子どもの歯の健康を守るためにはフッ素塗布やシーラント処置などが有効で、小児歯科に対応している歯科医院であれば、こうした専門性の高い対応を受けることができます。
大人になってからも健康な歯を維持し続けるため、子どものうちから定期的な歯科検診に通ってみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光歯科医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光歯科医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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