むし歯の治療後に、歯の詰め物が取れてしまう方もいるでしょう。
突然取れてしまったら治療を終えたのになぜ取れたのか、すぐに歯科医院を受診する必要があるのかと戸惑ってしまうこともあります。
本記事では、歯の詰め物が取れる原因や取れたときの注意点などを解説します。
受診のタイミングや治療法も併せて解説しているので、参考にしてもらえると幸いです。
歯の詰め物が取れた原因と注意点
- 歯の詰め物が取れる原因を教えてください。
- 歯の詰め物が取れる原因は下記のとおりです。
- 詰め物の接着不良
- 歯ぎしりや噛合わせが合っていないことによる負担
- 詰め物の劣化
- 詰め物の下や周辺に新たなむし歯が発生
詰め物の寿命は種類によって異なりますが、次第に劣化していきます。歯ぎしりや噛み合わせが強いことが続くと詰め物に負担がかかるため寿命を縮めてしまいます。そのような場合は、マウスピースの使用で歯にかかる負担を軽減させるとよいでしょう。また、劣化に伴い接着力が弱まったり歯と詰め物の間に隙間ができたりするため、むし歯ができやすくなり詰め物が取れる原因につながります。
- 歯の詰め物が取れたときにしてはいけないことを教えてください。
- 歯の詰め物が取れたときは、詰め物を捨ててはいけません。場合によってはそのまま付け直したり作り直すときに仮の詰め物として使用できたりするため、衝撃で形が変わらないようにケースに入れて歯科医院に持っていきます。
また、詰め物が取れてしまった歯で食べ物を噛んだり、直接触ったりすると歯が欠けてしまい修復ができない場合があるため控えましょう。今まで詰め物で守られていた部分がむき出しになっているため、削った歯の深さが神経に近い場合は痛みがでることもあります。痛みが出た場合は、歯への刺激を与えないように過度に冷たいものや熱いものの飲食は控えましょう。
- 自分で詰め物を接着剤で付け直しても大丈夫ですか？
- 取れた詰め物は自分で付け直してはいけません。歯科分野で使用される接着剤は口腔内で使う目的で開発されたもののため、市販の接着剤とは異なります。歯科専用の接着剤は殺菌作用があるためむし歯の再発や接着剤によって周囲が炎症するのを防ぎ、長期使用をしても人体に有害なものが発生しません。
一方、市販の接着剤は身体にとって有害な物質が発生する可能性があります。自分で付けると歯との間に隙間ができて新たなむし歯が発生し、今ある歯を失うリスクも上がってしまいます。市販の接着剤は詰め物だけでなく、詰め物をしていた歯や身体にも悪影響を与えてしまうため自分で付け直さずに歯科医院を受診しましょう。
歯の詰め物が取れたときにするべきこと
- 歯の詰め物が取れたときにするべきことを教えてください。
- 詰め物が取れたときはまず、詰め物をした歯科医院へ連絡をしましょう。詰め物が取れた歯にはくぼみがあり、食べかすが溜まりやすい状態です。汚れをそのままにしておくとむし歯になるリスクがあるため、お口の中を清潔に保つのも大切です。むし歯の進行状況によっては詰め物をするために神経の近くまで削るため、少しの力でも痛さを感じることがあります。そのような場合は、歯ブラシを使って優しく取り除きましょう。
また、取れた詰め物も強い力が加わると変形してしまうためあまり触れてはいけません。汚れが付いているからといって強く擦ったり消毒したりせずに水で洗い流す程度にとどめましょう。取れてからすぐに受診ができない場合は、優しくうがいをしたりやわらかい歯ブラシで磨いたりして汚れが付いていない状態にしておくのが大切です。
- 詰め物が取れた歯を磨くときの注意点を教えてください。
- 詰め物が取れた歯を磨くときは、強く擦らないように注意しましょう。詰め物が取れた歯はむし歯の部分を削っているため、薄くなっていたり先端が細くなっていたりと衝撃に弱くなっています。強く磨いてしまうと歯が欠ける原因になるため、優しく歯磨きをしましょう。衝撃により歯が欠けてしまうと、その部分から菌が入り込んでむし歯になるリスクが上がる可能性や治療が長引く場合もあります。
また、詰め物を詰めていた部分は歯のなかでやわらかい部分のためむし歯になりやすく、歯磨きは欠かせません。食べ物のかすが歯のくぼみに溜まったままになっているときは無理にかきがそうとせずに歯ブラシの先端で優しく外に出してあげましょう。
- 取れた詰め物を飲み込んでしまったのですが大丈夫でしょうか？
- 取れた詰め物を飲み込んでしまっても、1週間ほどで便と一緒に体内から排出されます。飲み込んだものが小さく胃の痛みや違和感を覚えなければ、そのまま排出されるのを待ちましょう。胃の痛みやむかつき、腹痛がある場合は内臓を傷つける可能性があるため、内科や消化器内科などを受診する必要があります。
強くせき込んでいたり詰め物がのどに引っかかったりした場合は、下を向きすぐに吐き出させます。痛みを感じなければ自然に排出されるのを待っていればよいですが、少しでも違和感を覚えたらすぐに受診しましょう。
歯の詰め物が取れた場合の治療方法
- 歯の詰め物が取れたらいつ頃までに歯科医院で治療を受けるべきですか？
- 歯の詰め物が取れてしまったら、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。取れた原因にもよりますが、取れてすぐであればそのまま付け直せる可能性もあります。痛みがないからと受診を先延ばしにしてしまうと、治療費が高くなったり新しい詰め物を作るために時間がかかったりします。歯への負担を減らすだけでなく治療費を軽減するためにも、なるべく早く受診しましょう。
- 歯の詰め物が取れたまま長期間放置する危険性を教えてください。
- 歯の詰め物が取れたまま長期間放置する危険性は、下記のとおりです。
- むし歯になる
- 噛み合わせが悪くなる
- ほかの歯へ負担がかかる
詰め物が取れた歯はむし歯を削っているためくぼみがあります。詰め物を付けていた接着剤が残っていたり食べ物のかすが溜まりやすかったりと、むし歯になりやすい状態です。また、詰め物をしているときに噛み合わせを調節しているため、詰め物が取れていたらうまく噛めなくなってしまい噛み合わせが悪くなります。噛む合わせが悪いとほかの歯に負担がかかるだけでなく顎の痛みや頭痛の原因にもつながるため、長期間の放置は避けましょう。
- 歯科医院での治療方法を教えてください。
- 歯科医院での治療方法は詰め物がとれた原因によって異なります。治療直後に取れた場合や取れてからすぐに受診した場合は、取れた詰め物をそのまま使用できる可能性もあります。
むし歯が原因で取れてしまった場合は、まずむし歯の治療を行わなくてはいけません。長期使用による劣化で取れた場合は、口腔内のスケーリングをしたり取れた歯の形を整えたりと詰め物が接着しやすい状態を整えることが大切です。むし歯や劣化が原因であればそれぞれの治療が終わってから、詰め物を作り直します。歯の状態によって治療方法や期間が変わるため、早めに受診しましょう。
- 治療時に歯を削らなくてはならないケースもありますか？
- むし歯が原因で詰め物が取れた場合は、歯を削る必要があります。詰め物をする歯と詰め物の間にむし歯があるとうまく接着できず取れてしまうからです。
また、むき出しになっている部分はやわらかくむし歯が進行しやすい状態です。削らないままではむし歯の進行を早めてしまい、治療が長引いたり残っている歯を失ったりしてしまう場合もあります。詰め物を作り直すときに歯を削るのは自分の歯を守るために必要な治療です。
編集部まとめ
詰め物が取れる原因は、むし歯や噛み合わせが強すぎる、詰め物自体の劣化などが挙げられます。
取れたときは詰め物は再利用できる場合もあるため、捨てずに歯科医院を受診する際に持っていきましょう。
詰め物が取れた歯は汚れが溜まりやすいため、優しく歯磨きをして口腔内を清潔に保つことも大切です。
誤って詰め物を飲み込んでしまっても1週間ほどで便と一緒に排出されます。
もし、胃の痛みや違和感を覚えたときは消化器内科を受診しましょう。
取れた状態で長期間放置するとむし歯になったり噛み合わせが悪くなったりするため、できるだけ早く歯科医院への受診をおすすめします。
参考文献
電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。