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総入れ歯は上だけできる?総入れ歯の特徴や適切な使用方法などについて解説

総入れ歯は上だけできる?総入れ歯の特徴や適切な使用方法などについて解説

歯が一本もなくなってしまった場合に利用される総入れ歯ですが、まだ下の歯は残っているので、上だけ総入れ歯にしたいというような場合、対応ができるのかどうか疑問に思ったことはありませんか?
この記事では、上だけを総入れ歯にする場合の方法などについて、詳しく解説いたします。

総入れ歯について

総入れ歯について

総入れ歯とはどのようなものですか?
総入れ歯は、歯が一本もない状態の際に使用される義歯で、義歯床という土台の上に、白い人工歯が並んだ形状となっています。
総入れ歯を使用することで歯がなくなってしまった方でも、しっかりと噛むことができるようになるほか、会話における発音も適切に行えるようになるといった効果があります。
総入れ歯の形はどれも似たものに見えますが、お口の中の形状や噛み方の癖は一人ひとり異なるため、総入れ歯はそれぞれの患者さんに合わせてオーダーメイドで作られます。
適切な噛み合わせや快適な使用感を実現するためには高度な技術が必要であるため、使い心地のよい総入れ歯を手に入れるためには、歯科医師選びがとても大切になるといえるでしょう。
歯が残っていても総入れ歯にすることはありますか?
総入れ歯は基本的には歯が一本もない方に対して利用される方法ですが、歯が残っている方でも、むし歯や歯周病など何かしらの理由で残っている歯が近い将来抜けてしまうことが想定される場合や、そもそも入れ歯を固定するための歯として利用できない場合などでは、残っている歯を抜歯して総入れ歯の治療を行うというケースがあります。
総入れ歯の使用で味覚などの変化はありますか?
総入れ歯は、上の歯であれば上顎の全体を覆うような構造、下の歯の場合は歯茎の全体を覆うような構造となります。
総入れ歯を作る素材などによってはどうしても厚みが出てしまうため、使用中の違和感やストレスが強くなり、食事がおいしくないと感じてしまうケースもあるでしょう。
その他にも、食事の味は細かく咀嚼した食事と唾液が混ざって広がることで感じやすくなりますが、総入れ歯の噛み合わせが合っていなかったり、使用に慣れていなかったりすると、しっかりと噛むことができず食事を十分に咀嚼できず、噛む回数が少なくなることで唾液の分泌量も減少するため、味を感じにくくなるといった側面もあります。
総入れ歯は保険適用で作れますか?
総入れ歯は保険適用で作ることが可能で、歯を完全に失ってしまった際に費用負担を抑えながら受けることができる治療の代表ともいえます。
ただし、保険適用で作ることができる総入れ歯は使用する材料などに制限があり、ピンク色の義歯床と白い人工歯の部分の両方ともがプラスチックの素材となります。
義歯を作る材料にはプラスチックのほかにも金属やセラミックといったさまざまな種類があり、そちらを使用した方がより使い心地や見た目のよい入れ歯を作りやすい面はありますが、その場合は自費診療に限定される形となります。
総入れ歯を保健診療で作る場合、自己負担が3割の方で10,000~20,000程度となっていて、作成した後も定期的なメンテナンスなどが保健診療で受けられます。

総入れ歯を上だけ装着することについて

総入れ歯を上だけ装着することについて

上だけ総入れ歯にすることはできますか?
下の歯はしっかりと残っていたり、ブリッジやインプラントといった治療を行っているような場合で、上だけを総入れ歯にするという治療は問題なく行われています。
保険適用での治療のほか、自費診療などでも対応が行われていますので、上だけを総入れ歯にしたいという方は一度歯科医師に相談してみるとよいでしょう。
上だけ総入れ歯にする注意点はありますか?
下の歯がある程度残っていて、上だけを総入れ歯にする場合、通常の総入れ歯を作成する場合よりも治療の難易度が高くなる場合があります。
というのも、上下とも総入れ歯にする場合は入れ歯同士の噛み合わせを合わせるように作ればよいため、きれいに歯を揃える形で審美性も高い入れ歯が作りやすいのですが、上だけを総入れ歯にする場合は、残っている下の歯に合わせて、適切な噛み合わせとなるように細かく調整が必要となります。
歯並びは人それぞれに異なり、模型のようにしっかりと揃った歯並びの方はなかなかいませんので、下の歯に合わせて作るとどうしても審美性という点では上下ともに総入れ歯にする場合と比べて劣りやすいといえるでしょう。

総入れ歯の種類について

総入れ歯の種類について

総入れ歯にはどのような種類がありますか?
保険適用で作ることができる総入れ歯は義歯部分と義歯床部分の全体がプラスチックで作られたものとなっていますが、それ以外にも義歯床部分が金属ものや、やわらかいシリコンで覆ったもの、人工歯の部分をセラミックで作ったものなど、さまざまな種類があります。
プラスチック以外の素材を使用したものはすべて自費診療となりますが、見た目をより自然なものにしたい方や、使用感をよくしたいという方は、こういった素材を使用した総入れ歯も検討してみるとよいでしょう。
また、総入れ歯を固定する方法についても、一般的なものは口腔内の粘膜と密着させるだけの固定方法となりますが、それ以外にも磁力によって固定するものやインプラントを利用するものなどがあり、こうした方法を利用することでより安定感のある総入れ歯の作成が可能となっています。
マグネットデンチャーとはどのような入れ歯ですか?
マグネットデンチャーは、入れ歯の固定方法として磁力を利用するものです。
残っている歯根に金属の土台を埋め込んでおき、そこに強い磁力を持った入れ歯をくっつけることで固定します。
粘膜に合わせることだけで密着させるのではなく、磁力によって固定するため、より安定感が高まってしっかりと噛みやすくなる点がマグネットデンチャーの特徴です。
デメリットとしてはマグネットデンチャーの治療は歯根が残っていなければ行なえないため、適応の有無が人によって異なる点や、MRI検査などを受ける場合に正確な検査が行いにくくなる点などが挙げられ、マグネットデンチャーを利用している方が病院での精密検査を受ける場合は事前に医師や歯科医師としっかり相談しておく必要があります。
マグネットデンチャーは2021年から保険適用での治療が可能となっていますので、価格を抑えての入れ歯治療を検討している方は、歯科医師に相談してみるとよいでしょう。
金属床の入れ歯とはどのようなものですか?
総入れ歯の義歯床にチタンやコバルトクロムといった金属を使用するもので、保険適用外となります。
特に上の総入れ歯に用いられることが多く、プラスチックよりも硬い金属を使用することで、義歯床の厚みを抑えて圧迫感の少ない、使用感のよい入れ歯が作れる点や、温度が感じやすくなるため、食事を楽しみやすくなるといったメリットがあります。
シリコンデンチャーとはなんでしょうか?
シリコンデンチャーは入れ歯にやわらかいシリコン素材を張り付けたもので、口腔内にあたる部分が柔軟なシリコン素材になるため、安定感や使用感を向上させることができます。
デメリットとしては、保険適用外となることやシリコン素材専用の洗浄剤などを使用する必要があることからコストがかかりやすい点と、入れ歯に厚みが出てしまうため、それによる圧迫感や違和感がでるケースがある点です。
インプラント義歯とはどのようなものですか?
通常、インプラント治療では歯槽骨に埋め込んだインプラントに対して義歯を被せて一本の歯となるように治療が行われますが、義歯を被せるのではなく、入れ歯を固定するための固定源として利用する方法がインプラント義歯です。
歯槽骨に埋め込んだインプラントで固定させるため、安定感がとても高く、しっかりと噛みやすい入れ歯を作ることができます。
自費診療で作られるためコストがかかる点や、歯槽骨の厚みなどによっては治療が受けられないといった点がデメリットとなっています。

編集部まとめ

編集部まとめ

上だけを総入れ歯にする治療は問題なく受けられますが、下の歯に合わせて細かな調整が必要となるため、上の歯だけの治療は上下全体を入れ歯にするよりも難しいといえます。 しっかりと満足できる治療を受けるためにも、信頼できる歯科医師と治療法をよく相談し、自分に合った方法での治療を受けてくださいね。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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