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総入れ歯にしたい場合の注意点|総入れ歯以外の治療法も解説

総入れ歯にしたい場合の注意点|総入れ歯以外の治療法も解説

歯の多くを失ってしまって、残った歯が少ない場合、総入れ歯を検討する方は少なくないでしょう。
総入れ歯にした場合、どのようなメリットがあるのか、そして、デメリットや不便なことはないのかなどの疑問があるかと思います。また、総入れ歯以外にもよりよい選択肢があれば検討の余地があるでしょう。
今回は、総入れ歯にしたい場合の注意点や詳しい治療法について解説します。

総入れ歯について

総入れ歯について

入れ歯とはどういった場合の治療法ですか?
入れ歯とは、歯を失った部分を補うために装着する、つけたり外したりが任意で行える人工の歯のことです。

歯を失うと、さまざまなリスクや不具合が出ます。
例えば数本の歯がなくなった場合であれば、その部分に隙間が開いてしまうため、少しずつ歯並びが悪くなっていったり、噛み合わせが悪くなったりするリスクがあります。
歯がない場所では噛むことができなくなるため、残った歯への負担が大きくなり、残った歯の寿命が短くなってしまうリスクもあります。

すべての歯がなくなってしまった場合であれば、咀嚼が十分にできなくなってしまうため、食事による適切な栄養の摂取が行えなくなるといったリスクもあります。

こうしたリスクを抑え、健康な生活を送りやすくするために、入れ歯による治療が行われます。

部分入れ歯と総入れ歯の違いはなんですか?
部分入れ歯は、残っているほかの歯を支えにして装着する、部分的な入れ歯です。
一方で、総入れ歯は上下どちらかの歯がまったくない状態で使用する入れ歯で、14本の歯がすべてひと続きになっている入れ歯です。
部分入れ歯と総入れ歯の違いは、残存歯が少なくとも1本あるか、まったくないかという点です。
残存歯以外の部分に使用する(または残存歯を支えにして装着する)のが部分入れ歯で、歯がまったくない状態でつけるのが総入れ歯となります。
総入れ歯はどのような人に向いていますか?
歯が1本も残っていない方は総入れ歯が適応となりますが、歯が残っていても、総入れ歯による治療が推奨されることがあります。
例えば、高齢などで自分の歯のケアが十分に行えない方については、ケアを楽にするために、残っている歯を抜歯して総入れ歯にするという場合があります。
また、残っている歯があってもすぐに抜けてしまいそうな状態である場合は、治療を繰り返す必要がないように、抜歯をして総入れ歯の治療を行うことがあります。
総入れ歯のデメリットはありますか?
総入れ歯の治療には、いくつかのデメリットもあります。
まず、取り外して使うのが面倒であることです。毎日お手入れする際には取り外して洗浄する必要があり、適切なお手入れをしないと細菌の繁殖などによってトラブルが生じることもあります。
次に、噛む力が弱いことです。総入れ歯はお口のなかの形にそってはめているだけなので、硬いものを噛むときや、食べ物を噛み切るときに、ずれやすく、またすり潰すような動きに追従しにくいなどの特性から、食べ物がしっかりと噛みにくいといえます。
そして、場合によっては総入れ歯は不自然に見えることがあるのもデメリットといえます。最近ではよりリアルな見た目の総入れ歯もありますが、やはり本物の歯やインプラント治療による歯などと比べると、不自然になりやすいといえるでしょう。
総入れ歯にはどのような種類がありますか?
総入れ歯には、大きく分けて保険適用のものと、保険適用外のものとがあります。

保険適用で作ることができるものは、白い歯の部分と、歯を支えるピンクの義歯床部分がすべて歯科用のプラスチックで作られたものです。
保険適用で作れるためコストを抑えることができますが、厚みが出てしまいやすいためつけているときの違和感が大きく、慣れるのに時間がかかります。また、嘔吐反射が強く出る方には不向きです。

保険適用外のものとしては、チタン床義歯など、金属を素材として使用したものなどがあります。金属床の総入れ歯は、正面から見えない、内側の平たい部分に金属を使用しています。
金属はプラスチックよりも丈夫なため薄く作ることができることから、お口の中への馴染みがよく、付け心地がよいのが特徴です。
プラスチックよりも熱伝導率がよいため、食べ物の温度を感じやすく、食事を楽しみやすいといったメリットもあります。
その他にも、シリコンを使用することで安定感を強化したものや、インプラントによって固定するものなど、さまざまな種類があります。
自費診療のものの方が高機能な入れ歯が多いといえますが、その分費用負担が大きくなりやすい点がデメリットとなっています。

保険診療の総入れ歯よりも自費診療の総入れ歯の方がよいですか?
費用面で考えれば保険診療の総入れ歯の方が安くできますが、機能面を考えれば自費診療の総入れ歯の方がよい場合が多いといえるでしょう。
保険診療の総入れ歯でも大きな問題なく過ごせるという方もいますが、やはり付け心地に違和感が生じやすく、安定感も得にくい場合が多いので、自費診療の方が総合的な使用感がよい場合が多いといえます。
ただし、保険診療であってもしっかりと口腔内の状態に合わせて丁寧に作ったり、適切に調整を行えば使用感のよいものができる場合もありますので、丁寧な治療を行ってくれる歯科医院を選ぶことが大切です。

総入れ歯にしたい場合の注意点

総入れ歯にしたい場合の注意点

歯が残っていても総入れ歯にできますか?
歯が1本でも残っている場合は、基本的に部分入れ歯となりますが、歯の状態などによっては抜歯をして総入れ歯にすることもあります。
歯を抜いて総入れ歯にすると、メリットとデメリットの両方がありますので、残存歯が少なくても残しておくべきか、すべて抜いて総入れ歯にすべきかというのは、歯科医師とじっくり相談しながら一人ひとりの状態に合わせて検討していく必要があります。
上だけ、または下だけ総入れ歯にすることはできますか?
上だけ、または下だけを総入れ歯にすることはできます。しかし総入れ歯の噛み合わせはとても繊細ですので、上下どちらか一方が総入れ歯で、もう一方が本物の歯だと、噛み合わせの調整が難しく、本物の歯の方に負担がかかってしまうことも考えられます
上下どちらかだけを総入れ歯にする場合は、全体を総入れ歯にするよりもさらにしっかりと噛み合わせを調整し、治療後も定期的に噛み合わせのチェックを歯医者でしてもらうことをおすすめします。
抜歯をして総入れ歯にするメリットはありますか?
抜歯をして総入れ歯にすることには、いくつかのメリットがあります。
まず一つ目は、理想的な噛み合わせの入れ歯を作りやすくなることです。残った歯がある場合は、その歯の噛み合わせに合わせる必要がありますが、総入れ歯であれば噛み合わせの考慮が容易になります。
また、少ない歯を残して部分入れ歯で過ごす場合は、残存歯に負担が大きくかかりやすくなるため、歯が抜けやすくなるといえます。
歯が抜けたら再度治療を行う必要があるため、抜けてしまわないかと不安を抱え続けるよりも、心理的な負担が小さくできるといえるでしょう。
総入れ歯にすると付け心地の快適さであったり手入れがしやすくなるといった点も、心理的な負担が軽減される要因といえます。
ただし、抜歯をして総入れ歯にするのが必ずしもいいことばかりではなく、食べ物の制限であったり、使い心地であったりとそれ相応の苦労があるのも事実としてあるので、しっかりと検討することが大切です。

総入れ歯以外の治療法

総入れ歯以外の治療法

レジリエンツテレスコープ義歯とはなんですか?
レジリエンツテレスコープは、ドイツで開発された技術で、自分の歯の根を抜かずに利用できる入れ歯です。
従来の部分入れ歯のように周囲の歯にバネ(留め具)をかけて装着するものと違い、残存歯のうえの部分を削り金属製の内冠をかぶせて、それに合わせて入れ歯と一体化してつくられた外冠を装着するというものです。 歯科治療のブリッジのようなかたちの部分入れ歯というとイメージしやすいのではないでしょうか。
内冠と外冠との摩擦を少なくし、留め金を入れ歯のなかに組み込むことで、支台歯への負担が少なく、また金具が表面から見えないため自然な見た目となっています。
オールオン4とはどのような治療ですか?
オールオン4とは、インプラントの一種で、インプラントで埋め込んだ4箇所の金属の柱を支えにしてはめる形の人工歯です。
インプラントの埋め込む箇所が4箇所と少なく、外科手術の身体的負担が軽いのが特徴です。
オールオン4は歯科医院で固定するため自分での取り外しができませんが、インプラントオーバーデンチャーという、インプラントで安定させる総入れ歯の治療もあります。

編集部まとめ

編集部まとめ

総入れ歯は、保険適用での治療が可能であり、簡単に利用しやすく、低コストでうけやすい治療ではありますが、必ずしも快適と言い切れない部分もある治療法です。
残った歯が少なかったとしても、すべて抜歯して総入れ歯にする前に、レジリエンツテレスコープや、部分入れ歯、インプラントなど、ほかにもいくつか選択肢がありますので、まずは歯科医師の診断をうけ、自分にあった治療法をじっくり検討してみることをおすすめします。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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