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入れ歯の正しいケア方法は?間違ったケア方法や保管方法も併せて解説します

入れ歯の正しいケア方法は?間違ったケア方法や保管方法も併せて解説します

入れ歯を長く快適に使用するための方法をご存知でしょうか。入れ歯は適切なケアが重要となるため、取り外し方や洗浄方法などを身につけることが大切です。 本記事では入れ歯のケア方法について以下の点を中心にご紹介します。

  • 入れ歯のケアでやってはいけないこと
  • 入れ歯の正しいケア方法とは
  • 入れ歯を外した後の口腔ケアとは

入れ歯のケア方法を詳しく知るためにも、ご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

入れ歯のケアを怠るとどうなるの?

入れ歯のケアを怠るとどうなるの?

入れ歯も自身の歯と同様に、毎日の清掃とメンテナンスが重要です。入れ歯に食べかすやプラーク(歯垢)が付着すると、雑菌の繁殖や口臭の原因となります。カビの一種であるカンジダによる感染や口内炎のリスクも高まるとされています。

要介護を受けた高齢の方の入れ歯からは、誤嚥性肺炎(食べ物や口腔内の細菌が気管に入り込み発症する肺炎)などの呼吸器感染症を引き起こす細菌が見つかる場合もあるとされています。

また、入れ歯のお手入れを怠ると、変色や歯石の沈着が進み、部分入れ歯ではクラスプがかかっている歯がむし歯や歯周病になりやすくなるとされています。

入れ歯自体もデリケートなため、メンテナンス不足による変形や破損が発生しやすく、これがお口のなかでの違和感や噛む機能、発音に影響を与える可能性もあります。

したがって、入れ歯のケアを怠ると雑菌の繁殖や口臭、誤嚥性肺炎、むし歯や歯周病、変形や破損につながる可能性があるため、適切なケアをすることが重要です。

部分入れ歯の付け方と外し方

部分入れ歯の付け方と外し方

入れ歯をケアするために、まず正しい着脱方法を知ることが大切です。以下で詳しく解説します。

付け方

部分入れ歯の装着は、クラスプと呼ばれる留め具に指をかけることから始まります。まず、クラスプを指でしっかりと持ち、入れ歯を口腔内に挿入します。この際、クラスプを支台歯に引っかけ、ゆっくりと力を加えながら押し込みます。

正確な位置に収まったことを確認し、静かに噛み合わせます。位置がずれると痛みや炎症を引き起こす可能性があるため、慎重に行うことが重要です。

外し方

部分入れ歯を取り外すときも、クラスプに手をかけることが基本です。入れ歯の下部分とクラスプを指で挟み、ほかの歯や歯茎を刺激しないようにゆっくりと外します。両手を使い、人差し指や親指の爪をクラスプにひっかけてゆっくりと取り外すとよいでしょう。

総入れ歯の付け方と外し方

総入れ歯の付け方と外し方

部分入れ歯と同様に総入れ歯も、適切に着脱することが大切です。以下で詳しく解説します。

付け方

総入れ歯の装着は、前歯部分をつまんで行います。上の入れ歯は、口蓋部を上顎に押し付けて吸着させるように装着します。装着する際、正しい位置で行わないと嘔吐反射を引き起こす場合があるため、慎重に行いましょう。

下の入れ歯は、舌を少し持ち上げてから、その隙間に滑り込ませるように装着します。義歯が大きすぎて入りづらい場合は、口角に指をかけて押し広げるとスムーズに入ります。上下ともに、入れ歯がしっかり収まったことを確認したら、静かに噛み合わせます。

外し方

総入れ歯を外すときは、前歯の部分をつまみ、奥歯の方を浮かせるように力を加えます。上の入れ歯も下の入れ歯も、義歯の後方部分を浮かすようにすると外れやすくなります。力を加える際は、前歯部分をつかんで、奥歯の方をゆっくりと浮かせる形で行うとスムーズに取り外せます。

入れ歯の間違ったケア方法

入れ歯の間違ったケア方法

知らずと間違ったケアを入れ歯に施してはいないでしょうか?以下でやりがちな失敗をご紹介します。

熱湯に入れる

入れ歯の洗浄剤を切らしたり、旅行先で洗浄セットを忘れたりした際に、熱湯で消毒するという方法を選ぶ方もいます。しかし、これは危険な行為です。

熱湯による消毒はさまざまな菌を殺す効果が期待できますが、入れ歯は高温に弱いプラスチックや樹脂で作られているため、熱湯に入れると変形や劣化を引き起こしやすくなります。

実際に、熱湯で消毒したことで入れ歯が変形し、合わなくなってしまう事例は多い傾向があるそうです。入れ歯の手入れは、専用の洗浄剤とブラシを使った従来のやり方が推奨されます。金属床の入れ歯であっても、歯肉部分が樹脂でできているため、油断せずに適切なケアを心がけましょう。

歯磨き粉で入れ歯を磨く

普段使っている歯磨き粉で入れ歯を磨くことを考えがちですが、これも間違いです。歯磨き粉には研磨剤が含まれている場合が多く、この研磨剤が入れ歯の表面を削り、劣化を早める原因となります。

入れ歯を歯磨き粉で磨き続けると、噛み合わせが悪くなり、最終的にはフィッティングの再調整が必要になる可能性があります。入れ歯の手入れには研磨剤の入った歯磨き粉を使用せず、専用の洗浄剤でケアを行いましょう。

硬い歯ブラシやスポンジを使用

入れ歯の汚れが気になると、硬い歯ブラシや研磨性の高いメラミンスポンジでゴシゴシと磨きたくなるかもしれません。しかし、これらの道具は入れ歯の表面を傷つけ、最終的には破損の原因となります。

入れ歯の表面が傷つくと、その部分にさらに汚れが付きやすくなり、悪循環に陥ってしまいます。目立つ前歯部分の汚れは気になるものですが、無理に落とそうとするのではなく、専用の洗剤を使用した丁寧なケアが大切です。

したがって、頑固な汚れが取れない場合は、かかりつけの医師に相談し、適切な処置を受けましょう。入れ歯の手入れには、やわらかいブラシと専用の洗剤を使用し、優しく丁寧に行うことが重要です。

漂白剤につける

漂白剤を使用した入れ歯の消毒は危険です。漂白剤は強力な化学物質であり、入れ歯の表面や素材に深刻なダメージを与える可能性があります。具体的には、入れ歯の色が変色したり、表面が荒れたりすることが考えられます。

また、漂白剤の使用は入れ歯の変形を引き起こす場合があり、結果としてフィット感が失われ、不快な装着感や痛みを引き起こす可能性があります。

漂白剤の化学成分が入れ歯の材質を劣化させ、破損のリスクにもつながります。そのため、入れ歯の手入れには、漂白剤を使用せず、専用の洗浄剤を使用しましょう。

長時間入れ歯洗浄剤につける

入れ歯洗浄剤を長時間使用すると、入れ歯がより清潔になると考える方もいますが、これも誤りです。洗浄剤に長時間つけると、洗浄液内で細菌が繁殖しやすくなり、かえって衛生的ではなくなる場合があります。

就寝前には新しい洗浄液を用意し、古い洗浄液に再び浸けないようにしましょう。また、洗浄剤に長時間浸けると、入れ歯の材質が劣化するリスクにもつながります。洗浄剤の説明書に記載された使用時間を守り、適切なケアを心がけましょう。

入れ歯の正しいケア方法

入れ歯の正しいケア方法

上記で、間違ったケア方法について解説しましたが、入れ歯のケアを正しく行うための方法を以下で解説します。

使用しないときは水またはぬるま湯につけておく

入れ歯を使用しないときには、水またはぬるま湯に浸けて保管しましょう。入れ歯を乾燥した状態で放置すると、材質が劣化しやすくなり、なかでもアクリル樹脂などの部分はひび割れや変形のリスクにつながります。これによりフィット感が悪くなり、痛みを感じることもあります。

したがって、入れ歯の乾燥を防ぐためにも、使わないときは常に水に浸けておくという習慣を身につけましょう。家に来客がある場合など、見た目を気にしてしまうケースもあるかもしれませんが、身近な方には事情を説明し、理解を求めることも必要です。

入れ歯専用のブラシで入れ歯を磨く

入れ歯の手入れには、入れ歯専用ブラシの使用が推奨されています。市販のやわらかいタイプの歯ブラシを使用しても問題はありませんが、入れ歯専用のブラシは、細部まで効率的に汚れを落とすための設計がされています。

入れ歯専用ブラシは普通の歯ブラシよりも毛が硬く、持ち手が太いため、力を入れやすく、入れ歯の頑固な汚れをしっかりと磨き落とせる可能性が高いとされています。

また、やわらかい部分の汚れにはスポンジやガーゼの使用も有効です。さらに片手が不自由な場合には、吸盤付きの固定ブラシが便利です。総じて、どのブラシを使用するにしても、力を入れ過ぎず、優しく丁寧な歯磨きを行うことが大切です。

就寝前に入れ歯洗浄剤につける

入れ歯のケアにおいて、就寝前に入れ歯洗浄剤を使用することも重要です。義歯ブラシによる物理的な洗浄だけでは、入れ歯に付着した細菌や汚れをしっかりと除去し難いため、化学的な洗浄が必要となります。

毎晩、就寝前に入れ歯を洗浄剤に浸けた場合、カンジダ菌などの細菌を除去し、入れ歯を清潔に保てるでしょう。洗浄剤を忘れたり切らした場合には、中性洗剤やリステリンなどの代用品も使用が可能とされていますが、お手入れ方法は医師に確認してから実践するようにしてください。

入れ歯の保管方法

入れ歯の保管方法

入れ歯自体をどのように保管をするのかも入れ歯を適切に扱うために重要です。以下で詳しく解説します。

水中保管

入れ歯は、湿潤な口腔内で使用されることを前提としているため、乾燥すると素材が劣化しやすくなります。特にアクリル樹脂などで作られた入れ歯は、乾燥によるひび割れや変形のリスクが高まるため、常に水に浸して保管することが推奨されます。

水中保管は入れ歯の乾燥を防ぎ、形状と機能を長期にわたって維持するために不可欠です。また、水に浸すことで、入れ歯表面に繁殖する細菌の増加も抑制されます。

入れ歯を使用しない夜間や長時間の外出時には、入れ歯を水に浸しておく習慣を身につけることが大切です。このように適切な湿度を保つことで、入れ歯の快適なフィット感や耐久性を保てます。

洗浄液中保管

洗浄液中保管は入れ歯を清潔に保つために推奨される方法です。この方法では、専用の洗浄剤を水に溶かし、その溶液に入れ歯を浸して保管します。これにより、入れ歯の表面に付着した細菌の繁殖を防ぎながら、汚れも落とせます。

水中保管と同様に、洗浄液中保管も入れ歯の乾燥を防ぐ効果が期待できますが、さらに洗浄できるため、入れ歯の衛生状態をより良好に維持できます。特に、食事後や就寝前には、入れ歯を洗浄液に浸けておくことで、口腔内の衛生を維持し、口臭の発生や感染症のリスクを低減できます。

加えて、洗浄液は定期的に新しいものに交換し、清潔な状態を維持することが重要です。これらの手間を惜しまず、入れ歯のケアを丁寧に行うことで、入れ歯の寿命を延ばし、健康な口腔環境を保てるでしょう。

入れ歯を外した後のお口のケア方法

入れ歯を外した後のお口のケア方法

入れ歯を使用されている方は、入れ歯を外した後の口腔ケアも大切です。以下でお口のケア方法を見ていきましょう。

総入れ歯の場合

総入れ歯を外した後の口腔ケアは、入れ歯を清潔に保つのと同様に重要です。総入れ歯は口腔内の粘膜や歯茎を大部分覆っているため、細菌や真菌が繁殖しやすくなる恐れがあります。

そのため、入れ歯を外した後は、やわらかめの歯ブラシや粘膜ケア用ブラシを使って、歯茎や口蓋部分をやさしく歯磨きを行いましょう。

なかでも上顎の粘膜や歯茎、頬の内側などは、入れ歯によって覆われており、汚れがたまりやすい場所なため入念に磨いてください。

歯磨きした後は、お口の中をしっかりと洗浄するため、水をお口に含んで頬の筋肉を強く動かしながら、右左にすすぎます。

また、舌の表面に付着する舌苔もやさしく掃除し、口腔全体を清潔に保ちましょう。入れ歯安定剤を使用している場合は、お口のなかに残った安定剤も取り除くことが重要です。

部分入れ歯の場合

部分入れ歯を外した後の口腔ケアもまた、残っている歯の健康を守るために不可欠です。部分入れ歯の留め具であるクラスプがかかっている歯は汚れがたまりやすく、むし歯や歯周病のリスクが高まるとされています。

部分入れ歯を外した後の歯を清潔に保つためには、ヘッドの小さな歯ブラシやワンタフトブラシを使用して、細かい部分まで丁寧に磨くことが必要です。

また、孤立した歯はすべての面にブラシが行き渡るように工夫して磨きます。歯磨き方法の指導を受けて正しい方法を学び、効率的にケアを行いましょう。

入れ歯を外した後の口腔ケアを怠ると、残っている歯がむし歯や歯周病にかかり、最終的には失う可能性があります。したがって、部分入れ歯を使用している方は、口腔内の清掃を怠らず、健康を維持するために日々のケアを徹底しましょう。

まとめ

まとめ

ここまで入れ歯のケアをお伝えしてきました。 入れ歯のケアについて要点をまとめると以下のとおりです。

  • 入れ歯のケア方法として、熱湯につけたり、研磨剤の入った歯磨き粉で磨いたりはしてはいけない
  • 入れ歯を用しないときは水またはぬるま湯につけておき、入れ歯専用のブラシで入れ歯を磨くなどのケアを習慣化させる
  • 入れ歯を外した後の口腔ケアも重要であり、しっかりと口腔内を洗浄し、清潔さを保つことが大切

入れ歯を正しくケアすることで、口腔内の健康を維持できることを理解していただけたかと思います。日々の適切なケアと定期的な検診で、むし歯や歯周病のリスクを減らし、入れ歯の寿命を延ばしましょう。

歯の代わりとなる入れ歯のケアを学び長く使用するためにも、これらの情報が参考になりましたら幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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