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歯医者の定期検診は受けた方がいい?定期検診を受ける頻度や内容について解説

歯医者の定期検診は受けた方がいい?定期検診を受ける頻度や内容について解説

歯やお口の健康は、全身の健康維持に欠かせません。

歯医者で定期検診ができると知っていても、痛みがないのに行くべきかためらったことはありませんか。

今注目されているのは、歯が痛くなくても定期検診を受けて歯やお口の健康を維持する予防治療の考え方です。

本記事では、定期検診を受ける頻度や内容を解説していきます。

これから歯医者で定期検診を受ける人や歯の健康を維持したい方は、ぜひ参考にしてください。

歯医者の定期検診は受けた方がいい?

患者

定期検診を受けて歯やお口の健康を維持する予防治療の考え方が広がっているのは、健康の維持に役立つメリットがあるからです。

定期検診を受ける人は年々増加傾向にありますが、厚生労働科学研究が実施したWeb調査の結果によると、令和3年時点で過去1年間に歯科検診を受診した者の割合は55.8%でした。

歯医者での定期検診が気軽なものになっているとはいえず、歯が痛くなったら治療してもらうのが歯医者だと考える人が少なくないのが現状です。

ここからは、定期検診を受診するメリットについて紹介していきます。

むし歯・歯周病を予防できる

お口の中には、むし歯や歯周病の病原菌を含む細菌が数多く住んでいます。

むし歯は、私たちが食事で摂取した糖質を餌に繁殖した細菌が酸を作りだし、歯が溶けた状態です。

むし歯によって歯に穴があいても、痛みを感じない 人は少なくありません。

進行して歯の神経部に達すると痛みを感じるのが、むし歯の特徴です。

歯周病も初期の段階では歯茎が腫れて盛り上がる程度なので、気付かずに進行するケースがあります。

歯周病は、歯垢に存在する歯周病菌が出す毒素によって、歯を支える組織や骨が壊される病気です。

自分では気付かないむし歯や歯周病をチェックできるのが、定期検診を受けるメリットです。

自覚症状のないむし歯・歯周病を早期発見できる

むし歯の病原菌は、酸を作り出しながら細菌の集合体である歯垢を形成して歯に付着します。

歯に穴があく前の初期むし歯の状態なら、歯を削ることなく、崩れたアパタイト結晶を回復させて元の状態に戻す再石灰化が可能です。

むし歯は歯に穴が開いても痛みを感じないケースが多く、痛みを感じたときにはむし歯が歯の神経部分に達する程進行しています。

痛みを感じる程進行したむし歯は、歯の神経を抜くなどの治療が必要です。

歯周病も初期の段階では、自分自身で気がつくような症状はありません。しかし、進行すると歯が抜け落ち、食事や会話など日常生活に支障をきたす病気です。

むし歯や歯周病にかかっても、定期検診で早期発見できれば治療の負担は軽減され、歯を失わずに済む可能性が高まります。

口臭予防につながる

笑顔の女性

ほとんどの口臭は、舌苔から発生する揮発性硫黄化合物から生じるとされています。舌苔とは、剥がれ落ちたお口の粘膜が白く腐敗し、舌の表面に溜まったものです。

特に歯周病原菌は、揮発性硫黄化合物を大量に生み出します。

毒性のある口臭物質は活性酸素を増やしたり、細胞核の DNA を切断したりすることが明らかになってきました。

口臭は対人関係に影響を及ぼしたり、自分で気にするあまり悲観的に思いつめたりするケースがあります。

歯周病による口臭を予防するため、定期検診を受けましょう。

歯の治療費を減らせる

定期検診の継続は、むし歯や歯周病の発生と重症化の予防に効果的です。

定期検診を受診する人は受診しない人に比べて1 回あたりの治療期間が短く、歯科医療費が安くなると報告されています。

定期検診で異常が見つかっても早期発見と早期治療により、処置が少なくて済むためです。

痛みを感じてから受診したむし歯は、歯を削る範囲も広くなり、状況によっては歯の神経をとる処置を行います。

複数回の通院と大がかりな処置によって治療費がかさみ、その後再発して抜歯すると入れ歯やブリッジ、インプラント治療などの補綴治療が必要です。

むし歯や歯周病の早期発見と早期治療は、治療の負担と費用を減らします。

全身の健康につながる

歯周病は炎症による毒性物質が歯肉の血管から体内に入って、さまざまな全身疾患と関連することがわかっています。

歯周病と関連する全身疾患は、以下のとおりです。

  • 糖尿病
  • 心疾患
  • 慢性腎臓病
  • 呼吸器疾患
  • 骨粗鬆症
  • 関節リウマチ
  • 悪性新生物

また、高齢の患者さんは歯の喪失によって咀嚼機能・嚥下機能が低下し、十分な栄養が摂れなくなる低栄養のリスクが高まります。

全身の健康づくりには、定期検診によるお口の健康状態の維持が欠かせません。

定期検診を受ける頻度の目安

周期

定期検診の頻度は、3ヵ月に1回程度がおすすめです。

しかし、お口の状態・セルフケアの状況・むし歯に関連する食生活など、むし歯や歯周病のリスクは一人ひとり異なります。 歯科医師と一緒に、お口の状態に応じた受診頻度を決めましょう。

上手に磨けていて良好なお口の状態が維持できている患者さんは、期間を伸ばして半年に1回の定期受診となる場合もあります。

定期検診で行われる内容

鏡で確認

般的な歯医者での定期検診の所要時間は、30〜60分程度です。

ここからは、むし歯や歯周病の予防を目的とした定期検診の内容について紹介していきます。

むし歯の有無の確認

むし歯は子どもがかかりやすいというイメージがありますが、実は大人もよく発症する歯科疾患です。

歯の噛む面や歯茎に近い部分だけでなく、直接見えづらい歯と歯の間に発生するむし歯もあります。

子どものむし歯は、奥歯の臼歯の溝に発生しやすいのが特徴です。

また、むし歯治療した際に取り付けた詰め物や被せ物と歯のすき間に細菌が繁殖し、むし歯が再発するケースも少なくありません。

ご年配の患者さんでは、歯周病により露出した歯の付け根にむし歯が発生するケースが多くなります。

このように、毎日歯を磨いていても自分では見つけにくい むし歯もチェックしているのが、歯科医師による定期検診です。

定期検診では目には見えない歯や歯茎の状態を確認できるレントゲン撮影を行う場合もあります。歯を支える骨の状態がわかるため、歯周病の確認にも役立ちます。

歯周ポケットの深さの確認

歯周病は、歯と歯茎の境目に歯垢が溜まって炎症を起こす歯肉炎から始まります。

歯茎が赤く腫れる歯肉炎の段階ならば、歯垢の除去による症状の改善が可能です。

しかし、歯と歯茎の境目から歯垢が侵入し、歯根に向かって進行すると歯周炎になります。

歯と歯茎の隙間がより深くなった歯周炎に形成されるのが、歯周ポケットです。

専用の器具で歯周ポケットの深さを測ると、歯周病の進行度合いがわかります。 歯周ポケットは、歯周病のない健康な歯肉では1〜2mm程度です。

歯周病の歯周ポケットは3mmを超え、重症の患者さんでは10mmを超えるケースもあります。

舌・口腔粘膜などの病気の確認

歯科治療

お口の粘膜の病気は口内炎に代表される炎症のほかにも、アレルギーや口腔がんなどの可能性もあり、一見しただけではわかりません。

舌や口腔粘膜の病気は、主に腫れ方・色調・粘膜の状態を観察します。痛みのない腫れもあるため、定期的なチェックが必要です。

口腔がんとは、お口の中にできるがんの総称です。舌や歯茎、頬の内側などさまざまな場所に発生し、舌がん・歯肉がん・頬粘膜がんのように分類されます。

初期症状のうちに発見された口腔がんは、5年生存率が90%以上との報告もあり、早期発見が重要な病気です。

歯垢の染め出し

歯垢を除去できる歯磨き方法の実践が、むし歯と歯周病の予防につながります。しかし、毎日歯磨きをしていても、歯垢を完全に除去するのは困難です。

定期検診ではどこに歯垢がつきやすいかをチェックするために、歯垢の染め出しをしている歯i医者もあります。

歯医者で歯垢の磨き残しを指摘されたとき以外で、歯垢の磨き残しを見つけられる人はほとんどいません。

なぜなら、除去したい歯垢が自分の歯と同じ白色をしているからです。

染め出しを行うと歯垢が赤くなり、普段の歯磨きで磨き残しやすい部位が視覚的に理解できます。

歯垢の除去

そもそも歯は立体的で複雑な形をしており、隣り合わせて並んでいる性質上、歯に付いた歯垢を自己管理のみで除去するのは至難の業です。

むし歯と歯周病を予防するには、自己管理に加えて専門家による歯垢の除去が欠かせません。

歯科医院で行われる徹底した歯面清掃が、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)です。

PMTCではペーストと回転式器具を使って歯面の歯垢を除去していきます。

回転式器具の先に取り付けるブラシやカップは、お口の状況に応じた形状や硬さの選択が可能です。

歯面清掃では歯肉縁下3mm程度まで歯根面の歯垢が除去できます。

歯石の除去

治療を受ける男性

歯周病を引き起こす原因とされる歯石は、誰もが付いているものです。

歯石が付いているのは恥ずかしいことではないので、歯科医院のPMTCで除去してもらいましょう。歯石は歯磨きで取り除くことができません。

歯科医院の専用器具であるスケーラーを使って機械的に歯石を歯から剥がし取ります。スケーラーの種類はハンドスケーラー・エアスケーラー・超音波スケーラーの3種類です。

歯石が沈着している部位や歯石の量・歯周組織の状態などを考慮してスケーラーの種類を選択します。

歯茎より上に付着している歯石を取る場合、個人差はありますがほとんど痛みはありません。

歯に関する悩み相談

定期健診では、むし歯や歯周病以外の歯の相談にも応じてくれます。乳幼児や要介護者のお口のケアについても、気軽に相談してみましょう。

乳幼児期や学童期は保護者が仕上げ磨きをする時期ですが、仕上げ磨きを嫌がる子どもは少なくありません。

子どもがなぜ嫌がるかをともに考え、保護者が力加減に気をつけたり、時間をかけずに効率よく行ったりすると少しずつ仕上げ磨きに慣れていくケースもあります。

また、砂糖の過剰摂取はむし歯のリスク要因の一つです。

間食習慣やむし歯になりにくい間食についての指導を、子どもと一緒に受けるのもよいでしょう。

歯磨き指導

歯と歯茎の正しい磨き方は、歯並びやお口の状況により一人ひとり異なるものです。

自分に合った歯ブラシを使い、デンタルフロスや歯間ブラシなどの補助道具の使い方を定期検診で教わりましょう。

乳幼児期は小さく、コンパクトな歯磨きがおすすめです。

保護者が仕上げ磨きをするときは、ペンを持つように歯磨きを持ち、片方の指で子どもの唇を軽くめくります。

永久歯に生え変わる学童期は、磨き残しが多くなりむし歯になりやすい時期です。生え代わりや歯並びの状況に応じた歯磨き指導を受けてむし歯を予防しましょう。

発生しやすい場所の汚れを除去するむし歯予防と、歯と歯肉の溝に溜まった汚れを除去する歯周病予防では、磨き方が異なります。

噛む面の溝や歯面に対して歯ブラシの毛先を直角に当てて、小刻みに磨く磨き方がむし歯予防には効果的です。

一方、歯周病を予防する歯磨き方法では、歯ブラシの毛先を歯と歯肉の境目の部分に対して45度になるように当てます。

弱い力で細かく振動するように、前歯の裏側は歯ブラシを縦に使って磨きましょう。

定期検診の歯磨き指導は、自分のお口の状況に応じた正しい歯磨き方法の習得に有用です。

歯医者の定期検診とクリーニングの違い

歯科模型

検診とは、疾患の早期発見を目的とした検査プログラム です。

成人期において歯を失う原因は、歯周病およびむし歯によるものが大半を占めます。

歯科の2大疾患といわれるむし歯と歯周病の予防に役立つと、注目されているのが定期検診です。

定期検診では歯周病のチェックとして歯周ポケットの深さを確認しています。

クリーニングは、歯医者が行うセルフケアで除去できない歯垢と歯石の除去です。

定期検診と同時にクリーニングを行う歯科医院もあります。

一方で、定期検診とクリーニングを予防治療として扱う歯医者もあったり、クリーニングは予防治療として行う歯医者もあったりと現状はさまざまです。

定期検診はどこの歯医者でも受けられる?

受付

一般的に、ほとんどの歯医者では歯科検診や歯科相談を行っています。

歯とお口の健康を守るために、いつでも気軽に相談できるかかりつけの歯医者を見つけておくことは大切です。

かかりつけの歯医者で定期検診を受けると、経年的なお口の変化をとらえやすく、自分の体質や持病に対応した指導が受けられます。

特に小児期からの定期検診の継続は、健康を維持する行動形成に重要です。

子どもの頃から歯医者はお口の健康を相談できる場所だと認識できていれば、異変に気付いたときの受診行動がスムーズになり、早期発見と早期治療に役立ちます。

歯医者の定期検診の費用

歯科費用

保険適用される場合の費用は、3割負担の患者さんで2,000円〜4,500円になります。

令和2年の診療報酬改定で定期検診の歯垢や歯石の除去・PMTCなどが保険適用となったため、保険が適用される範囲が広がりました。

また、かかりつけ歯科医の有無とむし歯の発生や残存歯数には関連があるとの観点から、設置されているのが口腔管理体制強化加算です。

口腔管理体制強化加算の認可を受けた歯医者は、予防に関わる処置に保険の適用が認められます。

自費診療のみを扱う歯医者の定期検診は、医院独自の検診内容です。 そのため、費用が数万円となるケースもあります。

まとめ

女性

歯医者での定期検診はむし歯や歯周病、お口の健康づくりに役立ちます。

歯医者で歯垢や歯石を除去してもらったり、自分に合った歯磨き方法を教えてもらったりできるのは、セルフケアに対するモチベーションアップにつながります。

忙しい人も3ヵ月〜半年に1回の頻度で、所要時間が30〜60分なら定期検診のための時間を捻出できるかもしれません。

定期検診で初期段階のむし歯や歯周病を見つけて進行を食い止めれば、治療の負担を軽減できます。

ぜひ、かかりつけの歯医者で定期検診を受診してみてはいかがでしょうか。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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