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歯が折れたときの対処法は?歯医者での治療や注意点について解説

歯が折れたときの対処法は?歯医者での治療や注意点について解説

歯は再生することがない組織なので、何かの拍子で折れたり、割れたりすると、どうすればいいかと焦ってしまう方もいるのではないでしょうか。私たちの歯はとても丈夫であるものの、いくつかの原因によって、突然折れる可能性があることを知っておいてください。

本記事では、歯が折れる原因や折れたときの応急処置、歯科医院での治療法などを詳しく解説します。歯が折れてどうしたらよいかと困っている方は、このコラムを参考にしてみてください。

歯が折れる原因と歯の構造

はじめに、歯が折れる原因と歯の構造、折れやすい箇所などを確認しておきましょう。

歯が折れる原因は何がありますか?
歯が折れる原因としては、外傷、歯ぎしりや食いしばり、適合の悪い修復物や補綴があげられます。

【原因1】外傷
歯が折れる主な原因の一つに外傷があります。転倒やスポーツ中の事故、交通事故など、外部から強い力が歯にかかると、歯が割れたり折れたりすることがあります。

【原因2】歯ぎしりや食いしばり
日常的に歯ぎしりや食いしばりをしていると、歯に過剰な負担がかかります。長期間続いてしまうと、歯が折れるリスクが高まります。特に、寝ている間の無意識な歯ぎしりや食いしばりが原因となるケースがあります。

【原因3】適合の悪い修復物、補綴物
クラウンやブリッジなどの修復物や補綴物が適合していないと、噛み合わせに負担がかかり、歯が折れることがあります。適切な治療を受けることでこのリスクを軽減できます。

歯の構造と折れやすい箇所について教えてください
歯の構造は、口腔内で露出している歯冠(しかん)と歯茎のなかに埋まっている歯根(しこん)の2つで構成されています。

外傷によって折れやすい箇所は、前歯の先端部分です。歯ぎしりや食いしばり、適合の悪い被せ物などがあると、歯根が折れることもあるため十分な注意が必要です。特に、歯根が折れてしまうと、歯の保存が難しくなってしまうケースがあります。歯ぎしりや食いしばりがあるときには、できるだけ早く歯科を受診するようにしてください。

歯が折れたときの応急処置

歯が折れたときの応急処置 次に、歯が折れたときの応急処置や破折片の保管方法、やってはいけないことを解説します。

歯が折れた場合、歯医者に行くまでの応急処置を教えてください
歯が折れたら、まずは折れた歯や破片を誤って飲み込んだり、失くしたりしないよう注意しましょう。

そのうえで傷口を確認し、大きな出血がある場合は清潔なガーゼを噛むなどして止血に努めてください。口腔内に砂などが入り汚れている場合は、軽くゆすぐようにしましょう。うがいを繰り返すのは、傷口にかさぶたができるのを遅らせてしまうのであまりよくありません。

気持ちが落ち着いてきたら、歯科医院に状況を説明して、すぐに受診するようにしましょう。折れた歯の処置は、できるだけ早い方がよいため、かかりつけ歯科医院が休みであったり、診療の枠が空いていなかったりする場合は、急患対応してくれる歯科医院を受診するようにしてください。

折れた歯や破片の保管はどうすればいいですか?
折れた歯や欠けた歯は、牛乳に浸けて保管するのが望ましいです。この保管方法は、歯が丸ごと抜けたケースに適応される方法ですが、歯が部分的に欠けたり、判断に迷ったりした場合でも同様に保管しておくことで、不要なリスクを避けられます。折れた歯を牛乳に浸ける理由は、歯の根っこの周りに付着している歯根膜細胞を生かすためです。牛乳のpHは口腔内とほぼ同じであることから、歯根膜へのダメージを抑えられます。

学校で歯が折れたり、欠けたりした場合は、保健室に常備されているティースキーパーという専用の保存液を使用するとよいでしょう。学校によってはティースキーパーと牛乳を常備していないところもありますので、その場合は、お口のなかに入れた状態で折れた歯を保管してください。ただし、小学生低学年などの場合、歯を口腔内に戻したままだと飲み込んでしまう恐れがあるので注意してください。

痛みが強い場合の対処方法を教えてください
歯が折れた部分に強い痛みが生じている場合は、普段使っている市販の痛み止めを服用しましょう。具体的には、アスピリンやロキソプロフェンナトリウム、アセトアミノフェンなどが該当します。痛みと炎症を抑える効果が期待できるしょう。ただし、これはあくまで歯科医院を受診するまでの応急処置ですので、何日間も痛み止めだけでやり過ごそうとするのはやめてください。また、患部が腫れている場合は、口腔外から間接的に冷やすことで、症状の改善が見込めます。氷などを当てて直接的に冷やすのは、患部の血流を悪くしたり、細菌感染を引き起こしたりするため、控える方がいいでしょう。
歯が折れたときにやってはいけないことはありますか?
歯が折れたときに次の3つのことを行うのはNGです。

◎そのまま放置する
歯が折れたまま放置することは避けましょう。
折れた部分がさらに悪化し、感染のリスクが高まる可能性があります。歯が折れた状態は見た目も悪くなることから、早めに歯科医院を受診して、適切な治療を受けた方がよいです。

◎折れた歯を接着剤でつける
折れた歯を市販の接着剤で無理につけ直すのは危険です。
接着剤が歯に悪影響を及ぼすだけでなく、正しい治療が難しくなる場合があります。折れた歯の状態がよい場合は、そのまま元の位置に戻すことがありますが、それは歯科医院でしか取り扱えない専用の接着剤を使っており、市販の接着剤とはまったく別物であることを知っておきましょう。

◎患部を刺激する
折れた歯を触ったり、舌や指で刺激したりすることも避けましょう。
熱い食べ物や辛い食べ物もNGです。刺激によって歯茎や歯根がさらにダメージを受けることがあります。受傷後の行動によっては痛みや炎症を引き起こす可能性があるため、患部を安静に保つことを心がけ、歯科医院での適切な処置を受けることが重要です。

歯が折れたときの治療法について

歯が折れたときの治療法について
折れた歯の治療法は、歯の状態によって変わります。

歯の折れた部分が小さいときはどのような治療法を取りますか?
歯が折れた部分の形を整えたうえで、コンポジットレジン修復を行います。治療は即日完了するケースがほとんどです。
歯の大半が折れてしまったときの治療法を教えてください
歯の神経である歯髄が露出していない場合は、歯の形を整えたうえで詰め物、被せ物を装着します。歯髄が露出している場合は、抜髄と根管治療が必要となります。ただし、歯髄が露出していても出血が認められず、感染している可能性も低い場合は、神経を残す治療を行うこともあります。いずれの治療法においても、被せ物を装着することで治療が完了となります。歯根まで大きく割れているようなケースでは、歯の保存が難しいことから、抜歯を余儀なくされます。歯を抜いた後はブリッジや入れ歯、インプラントといった補綴装置を装着します。

歯が折れたときの注意点とよくある質問

続いて、歯が折れたときの注意点を解説します。

前歯が少し折れただけなので放置しても大丈夫ですか?
放置してはいけません。歯が折れた部分は、傷口がむき出しとなっているのと同じです。細菌に感染しやすいことに加え、そこからさらに亀裂が入る可能性があります。また、前歯で食べ物を噛み切ることが難しくなったり、欠けた部分で粘膜を傷つけたりするリスクも生じることから、歯が少しだけ折れた場合でも、必ず歯科医院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
折れた歯の治療後に気をつけることを教えてください
治療した歯に大きな負担がかからないよう気をつけてください。歯ぎしりや食いしばりが原因で歯が折れた場合は、歯が再び折れるリスクが高いため、スプリント療法を受けることも検討しましょう。いずれにしても折れた歯の治療後は、健全な歯よりも脆くなっている点に注意しなければなりません。

編集部まとめ

今回は、歯が折れたときの応急処置や歯科医院での治療法、注意点などを解説しました。歯は、外傷や歯ぎしり、適合の悪い補綴物などが原因で折れることがあります。歯が折れた状態は、むし歯リスクが高くなっているため、放置せずにできるだけ早く歯科医院を受診するようにしてください。歯科医院を受診するまでは、本文でも紹介した方法で応急的に対処しましょう。折れた歯の治療法は、ケースによって変わることから、まずは歯科医師に診てもらうことが重要です。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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