「入れ歯は低コストで作成できると聞いたけど、修理できるのかな?」、「入れ歯が壊れたら、また作り直しになってしまうの?」、「保険適用の入れ歯が修理できるのかを知りたい」と入れ歯治療の選択を迷っているとき、万が一破損した場合に修理できるのか気になる方は少なくないのではないでしょうか。
入れ歯は、低コストで作成できる治療の1つです。現在、70歳以上の方が多く利用しています。
本記事ではどのような場合に入れ歯を修理できるのか、修理にかかる期間や費用、入れ歯の故障の原因や注意するポイントなどを解説しています。
この記事を読めば、万が一入れ歯が故障しても、慌てることなく歯科医師に相談できるでしょう。入れ歯の修理についてお悩みの方はぜひチェックしてみてください。
入れ歯が壊れたら修理できる?
- 入れ歯の寿命はどのくらいですか?
- 入れ歯の寿命は、素材や種類・保険適用か保険適用外かによって異なります。平均的な入れ歯の寿命は、保険適用のプラスチック製の入れ歯の場合が約3年~5年、自費診療の金属製の入れ歯の場合が約8年です。
入れ歯は、使っている間に顎骨や歯茎の老化による変化でお口に合わなくなったり、違和感を覚えたりすることがあります。入れ歯が合わないまま使い続けると、食事中に痛みを感じたり話しにくくなったりなどのトラブルを引き起こす原因となる恐れがあります。
長持ちさせるためには、定期的な歯科医院での調整やメンテナンス、日頃のお手入れが大切です。
入れ歯作成時の調整をしてもらうのもポイントです。「はじめは違和感があるものだ」と思い込み我慢してしまうと、作成し直すことになる可能性があります。
入れ歯やお口のことで困ったことがあったら、我慢して使い続けるのではなく、歯科医師に相談するようにしましょう。
- 入れ歯が壊れたら修理できますか?
- 入れ歯を修理ができるかどうかは、破損状態次第です。
例えば、入れ歯を落とした際に歯が欠けたり割れたりしてしまった場合、欠けた歯や割れた歯があれば歯科医院でくっつけることができます。ヒビが入った場合も修理可能です。
しかし歯科医院で修理したとしても、同じ部分が再び割れてしまったり、ヒビの入った部分が厚くなってしまうため違和感を覚えたりすることがあります。できる限り破損することがないように、入れ歯を丁寧に扱いましょう。
限られた素材で作成する保険適用の入れ歯は、調整や修理がしやすいとされています。しかし、修理が難しいと判断された場合は、新しく入れ歯を作ることになります。
また保険適用外の入れ歯は、保険適用のものに比べると壊れにくく長持ちするメリットはありますが、修理や調整が難しい場合があることに注意してください。
入れ歯を作成する前に、メリット・デメリット・特徴を歯科医院で確認しておくのがおすすめです。できる限り、入れ歯治療に不安なことや疑問点の残らないようにしておくようにしましょう。
- 引っ越しをした場合別の歯科医院で修理してもらえますか?
- 保険適用の入れ歯の場合、基本的には入れ歯を作成した歯科医院でなくても破損した入れ歯を修理できます。入れ歯に違和感を抱いたり、合わなくなったりした場合も歯科医師に相談しましょう。
ただし、保険適用外の入れ歯は修理ができないことが少なくありません。いずれの場合でも、歯科医院によっては対応できない場合があるため、まずは電話で問い合わせることをおすすめします。
- 保険適用の入れ歯の場合も修理できますか?
- 保険適用の入れ歯の場合でも修理や調整はできます。患者さん自身で応急処置せずに、壊れた破片を含め入れ歯すべてをそのまま歯科医院へお持ちください。
ただし何度も破損してしまう場合は、人工歯がお口に合っていないか、その他何らかの原因が考えられます。破損状態によっては修理できず、作り直しになる可能性があります。
新しく作り直す必要がある場合、保険適用の入れ歯は、作成後6ヵ月以内は作り直すことができないため注意しましょう。
- 修理ではなく作り直しが必要なのはどのようなケースですか?
- 修理ではなく作り直しが必要なのは、下記のようなケースです。
- 歯科医院で修理してもらったのに何度も壊れてしまう
- 入れ歯の使い心地が悪い
- 顎を覆う床に問題がある
- 入れ歯が劣化してしまった
- 入れ歯を作った後に抜歯をした
- 調整しても痛みや違和感がある
- むし歯や歯周病などにより歯茎が弱ってしまった
- 噛み合わせが悪くなった
- 入れ歯が外れやすくなった
- すれ違いの歯並びになっていて、噛み合わせが悪い
- 入れ歯の素材の問題
- バラバラに壊れてしまった
- 長く使っているため、入れ歯が変色や変形してしまった
すぐに作り直した方がよいのか、調整や修理で対応できるかは、歯科医師に確認してください。入れ歯治療における患者さん自身のご希望をしっかりと伝え、納得のできる治療方法を選びましょう。
入れ歯の故障の原因
- 入れ歯が故障する原因を教えてください。
- よくある入れ歯の故障原因は以下のとおりです。
- 入れ歯を落としてしまった
- 人や何かにぶつかった
- 入れ歯に強い力がかかってしまった
- 入れ歯のお手入れに研磨剤が入った歯磨き粉を使っている
- 噛み合わせに問題がある
- 入れ歯のお手入れが不十分
入れ歯が故障しないように気をつけましょう。
- よくある入れ歯の壊れ方を教えてください。
- よくある入れ歯の壊れ方は以下のとおりです。
- 入れ歯の歯がかけてしまった・割れてしまった
- 入れ歯のバネが折れてしまった
- 入れ歯にヒビが入ってしまった
- 入れ歯の前歯が取れてしまった
- 入れ歯の金具が取れてしまった
- 入れ歯床や人工歯のざらつきが気になる
日頃の入れ歯のお手入れ方法が適切かを確認しましょう。
- 入れ歯の故障を防ぐために注意するべきことはありますか?
- 入れ歯の故障を防ぐために患者さんができることのほとんどは、基本的なことです。
- 入れ歯を洗う際にはシンクに水を溜めておく
- 毎日のお手入れを丁寧にする
- 寝るときは入れ歯洗浄剤の入った専用ケースに入れ歯を保管する
- 定期的に歯科医院でチェックしてもらう
入れ歯の破損原因の1つに、洗面台で入れ歯を洗浄中に落としてしまうというのがあります。シンクに水を張っておくことで、万が一落としても破損するリスクを軽減できるでしょう。
患者さん自身が毎日のお手入れを丁寧にすることはもちろん、定期的に歯科医院でチェックしてもらい、メンテナスを受けることも大事です。
入れ歯の修理期間・費用
- 入れ歯の修理期間はどのくらいですか?
- 入れ歯の状態によって修理にかかる期間は変わります。
入れ歯を引っかけていた歯が抜けてしまった場合など、簡単な修理なら約1~2時間で終わります。
難しい修理の場合は入れ歯を1~2週間程、預ける必要があります。
修理中に歯がない状態だと、審美的にも機能的にも困る方は少なくありません。歯がない状態がないように、即時入れ歯などの対応ができるかを歯科医師に確認しましょう。
入れ歯の修理を依頼するなら、入れ歯の作成や加工、修理などを担当する歯科技工士が常駐している歯科医院がおすすめです。
- 入れ歯の修理費用の相場を教えてください。
- 保険適用の入れ歯は、3割負担の患者さんの場合2,000~3,000円程度で修理ができます。
自由診療の入れ歯は、修理する歯科医院や入れ歯の素材によって費用が異なります。
歯科医院によっては保険適用外で作成した入れ歯に保証制度を用意している歯科医院もあります。直接歯科医院に問い合わせて確認しましょう。
編集部まとめ
入れ歯が壊れた場合修理できるかどうかは、入れ歯の状態や素材によって変わります。
大切なのは、入れ歯作成時に入れ歯の素材によるメリットやデメリットを確認して、入れ歯を選ぶことです。
丁寧にお手入れをすることや定期的な歯科医院での検診も忘れないようにしましょう。万が一壊れてしまった場合は、歯科医師に相談してください。
入れ歯は完成がゴールではなく、新たなスタートです。入れ歯は一度作ったら終わりではありません。
日常的に使用しているうちに、人工歯の摩耗や顎の骨の吸収が進行し、次第に入れ歯の適合性が変化していきます。
そのため、入れ歯を長く快適に使うためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。適切なメンテナンスを行うことで、入れ歯の調整や修理が可能となり、入れ歯の寿命を延ばすことができます。
参考文献