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入れ歯でむせるのはなぜ?誤嚥性肺炎や誤嚥を防ぐ方法について解説!

入れ歯でむせるのはなぜ?誤嚥性肺炎や誤嚥を防ぐ方法について解説!

入れ歯を使っていると、食事中にむせやすくなることがあります。これは、入れ歯がフィットしていないことや、誤って食べ物が気道に入り込んでしまうことが原因です。むせることは、誤嚥性肺炎などの健康リスクにもつながりかねません。

本記事では入れ歯でむせる理由について以下の点を中心にご紹介します。

  • 入れ歯で食事をするとむせる理由
  • 入れ歯と誤嚥性肺炎の関係について
  • 誤嚥や誤嚥性肺炎を防ぐ方法

入れ歯でむせる理由について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。

入れ歯で食事をするとむせる理由

入れ歯で食事をするとむせる理由

入れ歯で食事をするとむせるのはなぜですか?
食事中にむせる原因は、食べ物を飲み込む際に気管を遮る喉頭蓋がうまく機能しないことにあります。高齢者は食事中にむせやすい傾向があり、原因としては反射機能の低下や筋力の衰え、また病気による舌や唇の麻痺などが考えられます。また、歯が抜けていたり、入れ歯が合っていない場合にもむせやすくなります。そのため、入れ歯がうまく合っていない場合には、しっかりとメンテナンスを行うことが重要です。誤嚥のリスクがある方に向けて、入れ歯は2種類あります。一つは、一般的な入れ歯で、失った歯を補い、咀嚼を助けるものです。もう一つは、舌がんなどによって構音障害が生じた人向けの特殊な入れ歯で、食事をスムーズに飲み込めるように設計されています。

一般的な入れ歯でも、しっかりとお口のなかに合っていれば、食事がしやすくなると思われがちですが、実際には摂食や嚥下に障害を持つ方の場合、上下の入れ歯を使うことで逆に誤嚥のリスクが高くなることがあります。入れ歯を装着すると、舌が動く範囲が狭くなり、嚥下圧をうまく発生させにくくなるためです。

そのため、一般的な入れ歯では、まず上顎にだけ入れ歯を装着し、嚥下能力の回復を目指すことが推奨されます。

なぜ食べ物が飲み込みにくくなるのですか?
食べ物を飲み込むのが難しくなるのは、主に次の3つの理由が考えられます。

  • 唾液の分泌が減ること
    飲み込みには唾液の役割がとても重要です。唾液は食べ物と混ざり、のどを通過しやすい状態に整えてくれます。しかし、年齢とともに分泌が減少すると、食べ物がまとまりにくくなり、うまく飲み込めなくなることがあります。
  • 歯の噛む力の低下
    歯のぐらつきや欠損があると、食べ物を細かく噛むことが難しくなります。そのまま飲み込もうとすると、喉に負担がかかり、うまく嚥下できない原因になります。
  • 飲み込むための筋力の衰え
    飲み込みには、口や喉周りの筋肉がしっかりと働く必要があります。加齢によりこれらの筋力が弱くなると、食べ物を喉から食道へスムーズに送る動きが鈍り、途中で引っかかりやすくなります。

このような変化が重なると、食べ物が誤って気道に入ってしまう「誤嚥」が起こることがあります。本来なら咳やむせで異物を排出できますが、反応が鈍っていると気付かないまま気管にとどまり、肺炎などのリスクを高めることもあるのです。

嚥下障害について詳しく教えてください
嚥下障害とは、食べ物や飲み物をうまく飲み込めなくなる状態を指します。普段の食事では、口に入れたものが噛まれ、舌の動きで喉の奥へ送られます。その際、誤って気道に入らないように喉の構造が瞬時に動き、食べ物は安全に食道へと送られます。しかし、この飲み込む動きに支障が出ると、むせたり、食べ物が喉に残ったりすることがあります。このような嚥下のトラブルは、加齢により筋力が低下したり、喉の動きが鈍くなることで起こりやすくなります。特に高齢者では、食事中に何度もむせたり、食後に痰が絡むような声になるなどの症状が見られた場合、嚥下機能の低下が疑われます。
また、脳の病気(脳梗塞やパーキンソン病など)や神経の異常が原因となることもあります。

嚥下障害の兆候としては、水分を飲むとむせる、食べるのに時間がかかる、食事の後に声がかすれる、体重が減ってきたなどがあり、重症化すると誤って食べ物が肺に入ってしまう誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

嚥下機能が低下している場合には、医療機関での検査や専門的なリハビリ、食事内容の見直しなどが必要になります。早めの気づきと対処が、健康を守る第一歩です。

入れ歯と誤嚥性肺炎の関係について

入れ歯と誤嚥性肺炎の関係について

誤嚥性肺炎とは何ですか?
誤嚥性肺炎とは、お口から飲み込んだ食べ物や唾液、異物などが誤って気管に入り込み、それらに含まれる細菌やウイルスが肺に到達して引き起こす肺炎のことです。通常、食べ物や飲み物は食道を通って消化器官に進みますが、嚥下(飲み込み)の際に誤って気管に入ると、気管や肺に細菌が入り込み、炎症を引き起こします。これが誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎は特に高齢者に多いとされ、肺炎が死因の上位を占めており、高齢になるにつれてそのリスクは高くなります。実際、肺炎の多くは誤嚥が原因であるとされ、日常生活において誤嚥を避ける工夫が重要です。

特に寝たきりの状態にある高齢者や病気を患っている方は、口腔ケアが不十分になりがちで、口内で細菌が繁殖しやすいため、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが増加します。
誤嚥性肺炎を防ぐためには、嚥下機能を維持することや、しっかりとした口腔ケアを行うことが必要です。

入れ歯と誤嚥性肺炎はどのような関係があるのですか?
入れ歯と誤嚥性肺炎は密接に関係しています。高齢者の場合、入れ歯を清掃せずに使用すると、入れ歯に繁殖した細菌がお口のなかから気管に入り込むことがあります。この細菌が誤って肺に到達すると、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高まります。また、入れ歯がしっかり合っていない場合や、すり減ったり破損したりしていると、食べ物がうまく噛めず、飲み込む力が弱くなります。よって、舌が正しい位置に動かず、食べ物が喉へと送られる際に圧力がかからなくなります。その結果、食べ物や飲み物が気管に入り込んでしまい、誤嚥の危険性が増します。

誤嚥や誤嚥性肺炎を防ぐ方法

誤嚥や誤嚥性肺炎を防ぐ方法

食事の際むせないようにする方法を教えてください
むせやすい食べ物やむせないようにする方法は以下のとおりです。むせやすい食品の例としては、水やお茶などのサラサラした飲み物や、味噌汁のように、液体と固体が混ざっている料理、いも類・木綿豆腐・ひじき・かまぼこなど、パサパサしたりボロボロ崩れる食材などです。食べ物を工夫する方法は以下が挙げられます。

  1. とろみを加える
    食べ物を一まとめにして飲み込みやすくするために、食事にとろみをつけるとよいでしょう。またおすすめの食べ物はあんかけや卵とじ、または市販のとろみ剤を使用するのもよいです。
  2. 飲み込みやすい形にする
    お口や喉にくっつきにくい形に食べ物を加工することで、スムーズに飲み込むことができます。例えば、海苔は板海苔ではなく、佃煮に変更したり、薄切りのキュウリやレタスは、千切りやや厚めに切ったりするのがおすすめです。
飲み込む力をつける方法はありますか?
飲み込みの力を維持し、唾液の分泌を促すために、お口や喉の筋肉を鍛える体操を行いましょう。お口の周りや喉の筋力が強化され、乾燥を防ぐことや、オーラルフレイルの予防にもつながります。以下に飲み込む力をつけるためにおすすめなエクササイズをご紹介します。

  1. 舌をお口のなかで弾いて「タッ」と音を立てて鳴らす
  2. 舌で左右の頬を内側から押す
  3. 額に手を当てて押しながら、下を向いてゆっくり5秒数える
  4. お口を閉じて、唾液を飲み込む動作を3秒間キープする

また、免疫力を高めておくことも、誤嚥性肺炎の予防につながります。日常生活で以下を意識するとよいです。

  • 十分な睡眠を取る
  • 室内を換気して新鮮な空気を取り入れる
  • 寒い季節は暖かく過ごす
誤嚥性肺炎を防ぐにはどうしたらいいですか?
誤嚥性肺炎を予防するためには、いくつかの重要なポイントを意識して生活することが大切です。

  • 入れ歯の清掃を徹底する
    入れ歯の清掃を怠ることが肺炎発症のリスクを高めることが研究で明らかになっています。入れ歯は毎日きちんと清掃し、義歯ブラシや入れ歯用の洗浄剤を使用して清潔を保つことが重要です。高齢者においては、入れ歯の手入れを日々行うことで、肺炎の発症を予防できる可能性があります。
  • 口腔内の衛生状態を保つ
    口腔内に蓄積される細菌は誤嚥性肺炎の原因となることがあります。定期的に歯科医院でチェックを受け、家庭でのケアが届かない部分の汚れや歯石も取り除くことが、予防につながります。口腔ケアを徹底し、細菌感染のリスクを減らしましょう。
  • 食後の体勢に注意する
    食後すぐに横になると、胃から逆流してしまうことがあり、それが誤嚥の原因になります。食後2時間は横にならず、体勢に気をつけることで、誤嚥性肺炎のリスクを減らすことができます。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで入れ歯でむせる理由についてお伝えしてきました。入れ歯でむせる理由についての要点をまとめると以下のとおりです。

  • 食事中にむせる原因は、食べ物を飲み込む際に気管を遮る喉頭蓋がうまく機能しないことが挙げられる
  • 誤嚥性肺炎とは、お口から飲み込んだ食べ物や唾液、異物などが誤って気管に入り込み、それらに含まれる細菌やウイルスが肺に到達して引き起こす肺炎のことを指す
  • 食事の際蒸せないようにするためには、水やお茶などのサラサラした飲み物を飲んだり、味噌汁のように、液体と固体が混ざっている料理を食べるのがよい

入れ歯でむせる原因には、飲み込む機能の低下が関係しています。誤嚥性肺炎を防ぐためにも、日頃の食事の工夫や早めの対策が大切です。気になる方は医療機関へ相談しましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
中嶋 麻優子歯科医師(中島歯科クリニック 副院長)

中嶋 麻優子歯科医師(中島歯科クリニック 副院長)

東京歯科大学卒業 / アソアライナー認定医 / ポリリンホワイトニング認定医 / WHマスク監修

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