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奥歯の治療には金歯とジルコニアのどっちがおすすめ?それぞれの違いを解説

奥歯の治療には金歯とジルコニアのどっちがおすすめ?それぞれの違いを解説

奥歯は、咀嚼機能の主体となる歯なので、自分にあった素材で治療したいという方もいるのではないでしょうか。そこで選択肢としてあがるのが金歯とジルコニアです。どちらも保険が適用されず、自費診療で材料費も高額となりますが、奥歯をしっかりと治したいという方には推奨できる人工歯です。ここではそんな奥歯の治療に使う金歯とジルコニアの違いについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら解説します。奥歯の治療で後悔をしたくないという方は参考にしてみてください。

金歯とジルコニアの違い

金歯とジルコニアの違い はじめに、金歯とジルコニアの違いを4つの観点から解説します。

審美性の違い

金歯とジルコニアを検討する際にまず着目したいのは、審美性の違いです。金歯とジルコニアは、審美面において決定的な違いが見られます。金歯は文字どおり貴金属であるゴールドで作られていることから見た目が金色です。装飾品に使われる金と同様、光を反射するため、ギラギラと輝いているため、とてもよく目立ってしまいます。稀にですが口腔内で輝くのが美しいと感じる方にとっては、金歯の見た目もメリットとしてとらえられることでしょう。

一方で、ジルコニアはセラミックの一種で白色を呈しています。歯科素材のなかでもっとも美しいといわれる、オールセラミック程の審美性は備えていませんが、金歯とは比べ物にならないくらい自然で美しいです。

目につきにくい奥歯の治療なら、ジルコニアの被せ物でも残った歯を自然に調和させることができるでしょう。また、金歯とは違い、どの歯を治療したかわからなくなるというメリットもあります。奥歯の治療で審美面を第一に考える場合は、ジルコニアを優先するとよいといえます。

強度と耐久性の違い

金歯とジルコニアは、強度と耐久性においても違いがあります。いずれも強度と耐久性は高く、強い力がかかっても壊れることはほとんどないといわれる素材ですが、細かな点でいくつか違いがありますので解説していきます。

金歯は、金のみで構成されているのではなく、銀やプラチナ、銅、パラジウムなどが含まれています。100%金のみで作ると被せ物が少しやわらかくなってしまうことから、その他の金属で強くする必要があるのです。

金の持つやわらかさは、金歯の重要な特長ともなります。金が持つ特性は、人工歯にある種の柔軟性を与えることになるため、金歯は対合歯を傷つけにくいというメリットがあります。一方、ジルコニアは金属に匹敵する硬さを備えた人工ダイヤモンドであり、柔軟性は備えておらず、対合歯を傷つけるリスクがあるのです。

このように、金歯とジルコニアは、どちらも強度が高い素材ではあるものの、柔軟性という面において少しの違いが見られるので、周りの歯への影響も変わってきます。人工歯そのものの耐久性に大きな違いは見られないため、金歯もジルコニアも10年、20年と使い続けることができるでしょう。

身体への負担の違い

奥歯の治療で人工歯を検討する際は、身体への負担も考える必要があります。生体親和性という観点から、それぞれの素材の特性を見ていきましょう。

金歯は、金属で構成されていることから、金属アレルギーのリスクが心配な方も少なくありません。銀歯が原因で金属アレルギーを発症するケースが増えているため、金歯にも同様のリスクがあるのではと考えがちですが、アレルギーのリスクは低いとされています。

アレルギーを引き起こしやすいのは、いわゆる卑金属(ひきんぞく)であり、金歯を構成する金や銀、プラチナなどはそもそもそのリスクが極めて低いのです。金歯は、唾液による刺激で金属イオンが溶出もしにくいことから、歯茎が黒ずむメタルタトゥーも起こりにくいです。金は生体親和性が高く、身体への負担が少ないです。

一方、セラミックの一種であるジルコニアに関しては、金属アレルギーのリスクがありません。ジルコニアそのものがアレルゲンとなるリスクも限りなくゼロに近いため、奥歯治療の素材として使用しやすいでしょう。ちなみにジルコニアは、顎の骨に埋め込む人工歯根(インプラント体)の素材としても活用されています。

費用の違い

金歯とジルコニアの被せ物(ジルコニアクラウン)を比較した場合、ジルコニアの治療費の方が高い傾向にあります。ジルコニアは性質上、作製に大きな手間がかかることが要因です。ジルコニアクラウンは、金歯や銀歯、レジン歯とは異なる工程で被せ物を作らなければなりません。また、ジルコニアクラウンは材料費も高いことから、奥歯の治療にかかる費用も自ずと高くなってしまいます。一般的には、ジルコニアクラウン1本あたり100,000〜150,000円程度かかります。

材料費という観点では、ゴールドもかなり高額です。近年は、金の価格も上昇しており、タイミングによってはジルコニアクラウンよりも高くなることはあるでしょう。ただ、金歯の作製方法はジルコニアクラウンより特殊ではないため、1本あたり50,000〜80,000円程度が相場となっています。

金歯とジルコニアのメリット・デメリット

金歯とジルコニアのメリット・デメリット 次に、金歯とジルコニアに伴うメリット・デメリットをそれぞれ解説します。

金歯にするメリット・デメリット

◎金歯のメリット

【メリット1】割れたり欠けたりすることがない

金歯は強度に優れた人工歯なので、使っていくなかで割れたり、欠けたりすることがほとんどありません。これは通常のセラミックやレジン歯と比較した場合のメリットであり、ジルコニアと比較した場合は、柔軟性が高いという点で金歯の方がより破損しにくいといえるでしょう。

【メリット2】歯に馴染みやすい

金には、展延性(てんえんせい)という性質があります。これは柔軟に伸びる性質を指す言葉で、歯の形に馴染みやすいことを意味します。歯質との適合性が高く、不要なすき間が生まれにくいことから、むし歯の再発リスクも少ないというメリットが得られます。また、歯質が複雑な形をしている場合でも、金なら精度の高い被せ物を作りやすいです。

【メリット3】経年的な劣化が起こりにくい

口腔内は、湿度100%であることに加え、食事の際に極端な温度変化が生じたり、pHも大きく変わったりします。そんな過酷な環境でも金歯は劣化しにくく、いつまでも正常な状態を維持しやすい素材です。

◎金歯のデメリット

【デメリット1】装置が目立ちやすい

金歯は、金属色がむき出しとなっていることから、歯科治療を受けた歯が目立ちやすいです。銀歯と比較すると金歯の方が高級感に富み、人によっては口元の魅力を高めるポイントとなるかもしれません。しかし、基本的には天然歯の色とは大きく異なることから、口元の審美性は低下してしまいます。

【デメリット2】金属アレルギーのリスクがある

金歯は、金属アレルギーの原因となりにくい素材ですが、ゴールド以外にもパラジウムなどの金属が含まれています。このような、金以外の素材がアレルゲンになるリスクもゼロではないことは、認識しておいた方がいいでしょう。

【デメリット3】保険が適用されない

金歯による奥歯の治療に保険が適用されることはありません。全額自己負担となることから、奥歯の治療費が高額になります。

ジルコニアのメリット・デメリット

◎ジルコニアのメリット

【メリット1】見た目が自然で美しい

セラミックの一種であるジルコニアは、見た目が自然で美しいです。奥歯の治療では、周りの天然歯に自然と調和します。

【メリット2】強度が高くて壊れにくい

ジルコニアは、金属に匹敵する硬さを備えており、奥歯の素材として使用しても壊れることがまずありません。安定性や耐久性も高く、長年にわたって使い続けることができます。

【メリット3】金属アレルギーのリスクがゼロになる

ジルコニアはセラミックなので、金属アレルギーのリスクがありません。パラジウムなどの金属アレルギーを持っている方は、ジルコニアで治療することで健康被害を回避できます。

◎ジルコニアのデメリット

【デメリット1】製作に時間と手間がかかる

ジルコニアクラウンは、従来の被せ物と比較すると作製に時間と手間がかかります。

【デメリット2】費用が高くなる

奥歯のジルコニアクラウンによる治療では、1本あたり100,000〜150,000円程度の費用がかかります。これは銀歯やレジン歯はもちろんのこと、金歯よりも高額となるため、経済面を重視される方にとっては大きなデメリットとなります。

【デメリット3】壊れたときの修理が難しい

ジルコニアは、壊れにくい素材ですが、万が一欠けたり割れたりした場合は、修理するのが難しいです。そのためジルコニアクラウンが破損したケースでは、装置全体を作り直さなければならなくなることが少なくありません。

奥歯治療で金歯の使用が向いている人

奥歯治療で金歯の使用が向いている人 続いて、奥歯治療に金歯が向いている人の特徴を紹介します。

見た目よりも機能性を重視する方

見た目があまり気にならないことが前提で、機能性に富んだ被せ物が欲しい方には、金歯がおすすめです。金歯は硬くて丈夫であるだけでなく、柔軟性も備えていることから、噛み合う歯を傷つけるリスクも低いです。

歯やセラミックが欠けた経験がある方

噛む力が強いなどの理由で、自分の歯やセラミック歯が欠けた経験がある方には、金歯が推奨されます。金歯なら欠けるリスクは少ないですし、噛み合う天然歯に大きなダメージを与えることもほとんどありません。

長期間使える治療を希望する方

金歯の寿命はとても長いため、長期間使える奥歯の被せ物を希望する方には推奨できます。

奥歯治療でジルコニアの使用が向いている人

次に挙げるような方は、奥歯治療でジルコニアが向いています。

奥歯でも自然な見た目を重視する方

しっかりと噛めて耐久性も高い奥歯の被せ物がほしくて、見た目も重視する方には、金歯ではなくジルコニアクラウンが向いています。ジルコニアクラウンなら、自然な見た目に仕上げられます。

金属アレルギーのリスクを少なくしたい方

金歯にも少なからず金属アレルギーのリスクがあることから、その可能性をゼロまで近づけたいという方には、ジルコニアクラウンがおすすめです。土台までジルコニアで製作した被せ物なら、金属アレルギーのリスクをゼロにできます。

金歯とジルコニアの選択で後悔しないためのポイント

金歯とジルコニアの選択で後悔しないためのポイント 奥歯の治療で金歯とジルコニアのどちらかを選ぶ際、後悔しないためのポイントを3つ紹介します。

それぞれのメリットとデメリットを比較する

金歯とジルコニアには、異なるメリット・デメリットがあります。それらを正しく理解したうえで治療法を選択しないと、治療後に後悔する可能性が高まります。

自身の口腔内の状況に合わせて歯科医師に相談する

「ジルコニアより費用が安いので金歯にしたい」「見た目が自然なのでジルコニアがいい」などの理由で、治療法を選択するのも間違いではないのですが、患者さんに適している素材は、本人の希望だけで決まるわけではありません。患者さんの口腔内の状況によっては、見た目がよくなくても柔軟性のある金歯の方が向いていることもあります。まずは歯科医師に相談することが大切です。そのうえで、自分の奥歯に適した被せ物を選択しましょう。

セカンドオピニオンを受ける

金歯とジルコニアクラウンは、どちらも自費診療となり、材料費も高いことから、治療費が高額となります。治療の方針や期間、治療費などに疑問がある場合は、すぐに治療を開始するのではなく、セカンドオピニオンを受けるのもよいでしょう。

金歯やジルコニアクラウンの診療経験が豊富な歯科医院を探して相談してみてください。セカンドオピニオンは、すべての患者さんが持っている権利ですので、ためらわずに行使していきましょう。それが金歯とジルコニアの選択で後悔しないための近道となります。

まとめ

今回は、奥歯の治療に使用する金歯とジルコニアの違いやそれぞれの特徴、メリット・デメリットについて解説しました。奥歯は強い力がかかる部位なので、強度と耐久性に優れた金歯やジルコニアクラウンが適しています。どちらも経年的な劣化が起こりにくく、長く使える人工歯ではありますが、費用や金属アレルギーのリスク、製作にかかる手間や時間などに違いが見られるため、予算や自分の口腔内の状態に合った方を選択することが大切です。奥歯治療で金歯とジルコニアで迷った場合は、まず歯科医院に相談しましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

大津 雄人歯科医師(医療法人社団GLANZ大津歯科医院 副院長 / 東京歯科大学インプラント科 臨床講師)

東京歯科大学歯学部 卒業 / 東京歯科大学大学院歯学研究科(口腔インプラント学) 卒業 / 現在は大津歯科医院勤務 / 東京歯科大学インプラント科臨床講師 / 専門は口腔インプラント

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