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セラミック歯はむし歯にならない?理由やメンテナンス方法を解説

セラミック歯はむし歯にならない?理由やメンテナンス方法を解説

歯が欠けたりなくなったりした際に、被せる歯に何を選びますか。保険適用の銀歯や歯科用プラスティックのレジンを選ぶ人も少なくないでしょう。

近年では、見た目の側面や健康への影響からセラミックでの治療が注目を集めています。また、セラミックはご自身の歯の色と見分けがつかない色のため、治療した歯が目立つことはほとんどありません。

以下では、セラミック歯がむし歯にならない理由やメンテナンス方法を紹介しています。セラミックでの補綴治療を考えている人は参考にしてください。

セラミック歯はむし歯にならない?

歯が痛い人

セラミック歯は、むし歯になりにくい特徴を持っています。しかし口腔内のケアを怠ると意外な場所に磨き残しが生じてしまいがちです。気付かないまま放置すると、セラミックの劣化が進んでしまうでしょう。

セラミックのメンテナンスを怠ると、汚れが蓄積するだけでなく隣合う健康な歯にまで影響を及ぼす可能性があります。その結果、むし歯や歯周病につながってしまうかもしれません。

セラミックは銀歯に比べると、再びむし歯になるリスクが低いといわれています。

セラミックは変形が起きづらく、歯への密着性が高いため隙間が生じづらいのが特徴です。また、ほかの素材に比べて、汚れが付着しにくいこともむし歯になりにくい理由の一つです。

歯ブラシやデンタルフロスでのケアを怠ると、セラミック歯の土台となっている部分や隣の歯がセラミックでないとむし歯になるでしょう。

セラミック歯が欠けると、その部分からプラークが侵入してむし歯になる場合もあります。セラミック歯でも、治療が不十分であったりケアを怠ったりすると、むし歯になるため気をつけましょう。

セラミック歯がむし歯になりにくい理由

色調整

セラミック歯がむし歯になりにくいのは、次の3点です。

  • 経年劣化が少ない
  • 表面に歯垢が付着しにくい
  • 温度による膨張や収縮がない

以下で、詳しく紹介します。

経年劣化が少ない

セラミックは、結合力が強いため硬くて安定しており、経年劣化が少ない材料です。菌の侵入を防ぐ効果があり、金属材料に比べて、密度も小さく耐食性が高いのも特徴です。

耐食性は、腐食に耐える性質を指します。こういった特性があるため、セラミックは歯・陶器・窓・トイレの便器・PC・スマートフォンの電子部品など身の回りの製品でよく使われています。

セラミックは高硬度の反面、脆い性質で衝撃や急な負荷には弱いのが特徴です。

被せ物・詰め物の表面に歯垢が付着しにくい

歯が綺麗な人

セラミック歯は、素材や処理の仕方から、表面が滑らかで汚れや歯垢が付着しにくいのが特徴です。歯磨きを1日行わないと、口腔内がネバネバした感じになります。

これは歯垢の影響です。歯垢には、1mgあたりに10億個以上の細菌が含まれています。むし歯や歯周病の原因となり、うがいでは除去できないため、歯磨きで除去するのが一般的です。

歯垢が付着しにくい性質が、セラミック歯がむし歯になりにくい理由の1つです。

温度による膨張・収縮がない

セラミックは、温度による影響を受けにくい材料です。通常、金属製の詰め物は温かい食べ物や冷たい飲み物などの影響を受け、膨張や収縮を繰り返します。そのため、歯との境界部分に微細な隙間が発生し、細菌が入り込むのです。

しかし、セラミックは温度変化に対する膨張・収縮が少ないため、こうした隙間が発生するのを最小限に抑えることができます。

金属材料の鉄は12ppm/度、アルミニウムは23ppm/度とセラミックの方が金属材料に比べて、温度変化の影響を受けにくいのがわかります。

結果として、細菌の侵入を防ぎ、むし歯のリスクを減少させることにつながっています。

銀歯がむし歯になりやすい理由

銀歯

銀歯がむし歯になりやすい理由は、金属が溶け出す・温度で変化する・細菌が付着しやすいの3点です。

長期使用による金属の溶け出し

銀歯や金属製のもので覆われている歯では、金属の組成元素が口腔内に溶け出します

口腔内が、咬耗や摩耗などの機械的刺激・酸性の飲食物による化学的刺激・飲食物による温熱的刺激など、さまざまな刺激を受けやすい環境のためです。

歯科で使われている金属元素は、体に有害ではないとされていますが、近年では歯科金属アレルギーの症状も報告されています。

そのため、上記で紹介したセラミックのような非金属材料の応用範囲が広がるでしょう。歯の状態や補修が必要な箇所によっては、金属材料での処置が必要なこともあり、金属製の重要性は変わりません。

温度で膨張・収縮が起こる

補綴治療では、銀歯のような金属材料の部分と残っている歯を接着剤でくっつけて1つの歯にみたてています。

しかし、金属材料や接着剤が劣化して、接着部分が剥がれてしまうことがあります。また、金属部分と歯では温度によって、体積が変化する度合いが異なる点も接着部分の剥がれにつながるでしょう。

口腔内では、飲食物などの影響で-10〜80度までの温度変化があるとされています。温度変化の影響や接着剤の劣化などで接着部が剥がれ、そこからプラークが入り、むし歯になることもあります。

剥がれて銀歯が取れれば気付けますが、むし歯が進行してから気付く場合も少なくないでしょう。

表面に細菌が付着しやすい

銀歯は腐食すると表面が荒くなるため、細菌が付着しやすいです。

口腔内で金属製の物が腐食する要因は、微生物の代謝で発生する酸や硫化水素・異なる金属の接合・噛み合わせ・咀嚼による機械的な作用など、さまざまな要因が組み合わさった結果と考えられています。

また、口臭の原因になる揮発性硫黄化合物と銀歯の変色は関連が高いとされています。

揮発性硫黄化合物の量が多い人の口腔内では、銀歯は硫化物に常にさらされている状態になるため、腐食も進みやすいでしょう。 腐食が進むと、銀歯の表面が粗くなるため、プラークが付着しやすくなります。

除去しにくい箇所にプラークが付着すると、除去しきれず2週間程で歯石になり、歯石に細菌が繁殖してむし歯になるでしょう。

セラミックを長持ちさせるためのメンテナンス方法

歯科メンテナンス

セラミックを長持ちさせるためには、メンテナンスが大事です。そのため、以下で3つのメンテナンス法を紹介しています。

毎日の口腔ケアをしっかり行う

セラミックの歯であってもむし歯や歯周病になるため、口腔ケアはしっかりと行いましょう。

セラミック自体はむし歯にならないと思い口腔ケアを怠ると、セラミックで詰め物や被せ物をした歯がむし歯になる可能性があります。

そうなった場合、詰め物や被せ物を一度外してむし歯を除去し、新しい歯を作る必要がでてきます。被せるための歯を作り直すため、費用や手間がかかるでしょう。

近年では、コンピューター技術の発達でセラミックの歯が1日で作れるようになっています。ただし、対応できる歯科医院も限られるため、新しい歯になるまで2〜3ヵ月はかかるでしょう。

また、口腔ケアを怠ると歯周病のリスクも高まり、進行すると歯が抜けてしまいます。セラミックを長持ちさせるためにも、口腔ケアは毎日行いましょう

歯ぎしり対策をする

歯科治療器具

歯ぎしりをする人は、歯ぎしり対策が必要です。セラミックは硬くて脆い性質のため、急に負荷がかかると、欠けたり割れたりするでしょう。

歯ぎしりは、覚醒時・睡眠時ともに起きており、どちらも発症のメカニズムが異なります。睡眠時の歯ぎしりでは、歯面の咬耗・歯根の破折・補綴物の破損・歯周組織の損傷などが生じます。

覚醒時よりも強い力がかかりやすいのが特徴です。覚醒時の歯ぎしりは、20%程の人は自覚があるとされています。

しかし、多くの人は無意識のうちに起きているため、治療法には歯ぎしりをしやすい状況や精神状態を知るための行動療法がとられます。

睡眠時の歯ぎしりへの対応は、ナイトガードと呼ばれる歯ぎしりを防ぐためのマウスピースを装着すると、歯への影響が軽減されるでしょう。

歯ぎしりをする人は、セラミックを長持ちさせるためにも、歯ぎしりへの対応が必要になります。

定期的に検診を受ける

検診でセラミックや口腔内の状態をみてもらえるため、定期的に受けるようにしましょう。定期的に受けることで、セラミックも口腔内もよい状態が保てます。

検診では、セラミックの状態確認・歯石除去・歯面清掃などを行ってくれます。毎日のセルフケアも大事です。

しかし、自身では磨ききれていない箇所や汚れに気付けていないところがでてきます。そういった細かいところまでケアを行ってくれるため、むし歯や歯周病などの予防につながるでしょう。

歯科医院によってメンテナンスの頻度は異なりますが、セラミックを長持ちさせるためにも定期的に検診を受けるように心がけてください。

セラミック治療後の痛みの原因

セラミック

セラミック治療後に痛みを感じることはあるでしょう。

歯が馴染むことで痛みが引く場合もありますが、痛みの原因によってはなかなか引かない痛みもあります。痛みが長引く場合は、歯科医師に相談してください。

歯を削った刺激

根管治療・歯周外科・親知らずの抜歯などの歯科治療で、痛みが引き起こされることがあります。治療によって神経が損傷したり、炎症がでたりして神経障害が生じます。

神経障害の症状として、痛みや異常知覚を呈し、3ヵ月以上持続したり繰り返したりするのが特徴です。治療は、服薬や麻酔薬の局所塗布などが行われます。

根管治療や抜歯など歯科治療の後から痛みや知覚の変化が続いている人は、歯科医師に相談してみましょう。

セラミックが適合していない

セラミックと自身の歯がフィットしていないために起こる痛みです。

セラミックと自分の歯は接着剤でくっついていますが、くっつきが悪いと噛んだ際に痛みが生じやすくなります。

また、時間の経過とともに接着力が弱まることがあります。特に、接着部分に負荷がかかると口腔内の炎症につながる可能性があります。

細菌の取り残し

歯の痛み

歯根まで治療した場合、汚染組織を除去しきれていなかったり除菌が不十分で細菌が取り残されていたりすると、痛みや違和感につながるでしょう。

根管治療は、歯根まできれいにしないといけません。しかし、歯根は細くて複雑なケースもあるため、すべてを除去するのは難しい面もあります。

また、根管治療を一度行ったことがある歯では、根尖性歯周炎になる頻度が多くなるため注意が必要です。

細菌の取り残しによる再根管治療を防ぐためにも、細部まで見られるマイクロスコープを使っている歯科医院を選ぶとよいかもしれません。

噛み合わせが合っていない

噛み合わせは加齢や歯のすり減り、歯周病の進行などによって変化します。噛み合わせが適切に行われていないと、歯の痛みや不快感につながるでしょう。セラミックの歯を入れた当初は問題がない場合でも、徐々に噛み合わせが変化してセラミックの歯に負担がかかることがあります。

噛み合わせが合っていない状態で物を噛むと、かかる力が歯によって異なるため、痛みとなって現れるかもしれません。

噛み合わせが変化してセラミックの歯に負担がかかると、欠けたり割れたりして寿命が短くなることがあります。

セラミック治療後のむし歯治療の流れ

カウンセリング

セラミック治療後にむし歯が見つかることがあります。セラミック歯と自身の歯の隙間から細菌が入り、むし歯になると考えられています。

むし歯になった際には、次のような治療の流れになるでしょう。

  • セラミック歯を外す
  • むし歯の状態を確認する
  • 状態や治療計画を説明する
  • むし歯の部分を除去する
  • 詰め物や被せ物を装着する
  • 噛み合わせを確認する

まずは、セラミック歯を外して、むし歯の状態を確認します。むし歯の範囲が広くない場合は、むし歯を除去した後に歯型を採って、仮歯をします。

2回目の来院で、仮歯を外してセラミックの歯をセメントで着けて治療終了です。2〜3回の通院で2〜4週間程で済みます。

むし歯が大きい場合には、歯髄にまでむし歯が達している可能性が高く、治療にも時間がかかるでしょう。

まず、痛みがある歯に麻酔をし、効いてきたらむし歯や神経を針のような器具で除去していきます。神経を除去すると炎症が起きやすいため、消毒薬を注入して、一度蓋をします。

1〜2週間程、炎症が治まるのを待ちましょう。炎症が治まると歯根の先まで隙間なく根管充填剤を詰めていき、被せ物の土台や被せ物の型取りが行われます。

歯髄が入っていた穴にレジンと呼ばれるプラスティック素材のものや金属で土台をたて、その上から人工の歯を被せていきます。

最後に、噛み合わせを確認して終了です。治療には、3〜8週間程の期間がかかるでしょう。

まとめ

歯磨き

セラミック歯がむし歯にならない理由やメンテナンス方法を紹介してきました。

セラミック歯は、経年劣化が少ない・歯垢が付着しにくい・温度による膨張や収縮がないなどの特性からむし歯になりにくいとされています。

ただし、これはセラミック自体だけの特性であり、口腔内全体に当てはまるわけではありません。

セラミック歯をしているからといって、歯磨きを怠るとむし歯や歯周病になります。セラミック歯を長持ちさせるためにも、セルフケアを徹底して定期的に検診も受けましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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