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入れ歯による炎症が原因の義歯性口内炎とは?義歯性口内炎の対処法や予防も併せて解説!

入れ歯による炎症が原因の義歯性口内炎とは?義歯性口内炎の対処法や予防も併せて解説!

入れ歯が原因で発生する炎症の1つに義歯性口内炎があります。
痛みや腫れを引き起こすため、傷口がしみたり、味覚が変わったりする厄介な口内炎です。

本記事では入れ歯の炎症の原因や対処法などについて以下の点を中心にご紹介します。

  • 義歯性口内炎の原因
  • 義歯性口内炎の対処法
  • 義歯性口内炎の予防

入れ歯の炎症の原因や対処法などについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。 ぜひ最後までお読みください。

入れ歯による口腔粘膜の炎症:義歯性口内炎とは

入れ歯による口腔粘膜の炎症:義歯性口内炎とは

入れ歯(義歯)を使用することで発生する口内炎を、義歯性口内炎といいます。
入れ歯が接触するお口の粘膜部分に炎症が生じることで引き起こされ、赤みや腫れ、白い潰瘍、さらには痛みや出血、傷口がしみる、味覚の変化などの症状が見られます。
義歯性口内炎が進行すると、口腔内にさまざまな悪影響が現れます。

まず、炎症が広がり、口内の痛みや腫れが強くなります。特に入れ歯が接触する部分に潰瘍や出血が起こりやすくなり、食事や会話をするたびに痛みを感じるため、日常生活に支障をきたします。

さらに、炎症が慢性化すると、粘膜が傷つきやすくなり、細菌や真菌(カンジダ菌)の感染リスクが高まります。それが原因で感染症が発生し、治りにくい口内の炎症が続くことがあります。
カンジダ菌による感染が広がると、白っぽい斑点が粘膜に現れ、強い不快感を伴います。

また、義歯性口内炎が長引くことで、食事を十分に摂れなくなり、栄養不足に陥ることも少なくありません。栄養状態が悪化すると免疫力が低下し、さらに炎症が治りにくくなる悪循環に陥る可能性があります。
長期的な炎症が続くことで、口腔がんのリスクもわずかに増加する可能性があるため、早期の対処が重要です。
入れ歯を使用しない場合でも、疲労やストレスなどが原因で免疫力が低下し、口内炎が発生することがありますが、入れ歯を装着している方は注意が必要です。
入れ歯の影響で口腔内に炎症が生じるリスクが高まるため、定期的なメンテナンスや適切な使用法を心がけることが重要です。

進行した義歯性口内炎は、生活の質を著しく低下させるため、早めに歯科医師の診察を受け、適切な治療を行うことが大切です。
入れ歯の調整や日々の清潔なケアが、炎症の悪化を防ぐ鍵となります。

義歯性口内炎の原因

義歯性口内炎の原因

歯性口内炎の原因には何が挙げられるのでしょうか?

入れ歯が歯茎に合っていない

入れ歯は最初はフィットしていても、時間が経つにつれて歯茎の形状が変わることや、入れ歯自体の変形や摩耗によって、徐々に合わなくなることがよくあります。

入れ歯が歯茎に合わなくなると、食事の際にかかる負担が一箇所に集中し、噛む際に不快感を引き起こすことがあります。
また、入れ歯と歯茎の間に隙間ができることで、さらに問題が悪化する可能性があります。
>少しのずれでも、口内の粘膜に与える影響は大きく、入れ歯が圧迫したり擦れたりすることで、粘膜が傷つき口内炎を引き起こすこともあります。特に硬い素材で作られた入れ歯を使用していると、このリスクは高まります。
入れ歯のフィット感が悪くなったと感じた場合は、早めに歯科医師に相談することが重要です。

入れ歯のお手入れ不足

デンチャープラークにはカビの一種であるカンジダ菌が多く存在します。
カンジダ菌の特徴は、体液を栄養源とし、入れ歯とお口の粘膜の間に溜まった体液で繁殖しやすくなることです。
一度カンジダ菌が入れ歯の裏面などに付着すると、普通に洗っただけでは除去が難しいです。カンジダ菌が付着した入れ歯を使用し続けることで、口内炎が発生し、入れ歯の形に沿った赤いただれが生じることがあります。
入れ歯の手入れを怠らず、定期的に適切なケアを行うことが重要です。

金属アレルギー

部分入れ歯に用いられる金属は、主に金銀パラジウム合金、コバルトクロム、ステンレスなどがあり、これらの金属は歯に固定するためのバネとして使われます。
しかし、金銀パラジウムやコバルトクロムは金属アレルギーを引き起こす可能性があり、敏感な体質の方においては、口内炎や炎症が生じることがあります。

また、症状は口腔内にとどまらず、手足に腫れやかゆみを伴う場合もあります。
何らかの異常を感じた際には、早期に適切な対処をすることが重要です。

義歯性口内炎の対処法

義歯性口内炎の対処法

義歯性口内炎が発生した場合、適切な対処が重要です。
まずは口腔内を清潔に保つことが大切です。うがい薬を使用して口腔内を消毒すれば、傷の治癒を助け、口内炎の一因となる細菌感染を防ぐことにも役立ちます。

また、軟膏を用いると、口内炎の部分に直接塗布できるため効果が期待できるでしょう。軟膏には、痛みを和らげる鎮痛剤や炎症を抑えるステロイド剤が含まれており、痛みや不快感の軽減が期待できます。

食事に関しては、口内炎が回復するまで刺激物は避け、やわらかい食べ物を選ぶことが望ましいです。栄養の偏りや睡眠不足は免疫力の低下を引き起こし、口内炎のリスクを高めるため、栄養バランスの取れた食事と十分な睡眠が重要です。特に、皮膚や粘膜の修復を助けるビタミンB群が不足すると、口内炎ができやすくなります。

日常生活における規則正しい習慣を心がけることで、義歯性口内炎の改善が期待できます。

義歯性口内炎にならないために

義歯性口内炎にならないために

義歯性口内炎にならないための対策法はあるのでしょうか?以下で解説します。

定期的に入れ歯を調整する

入れ歯は使用しているうちに歯茎とのフィット感が失われることがあるので、定期的に歯科医院で調整を受けることが重要です。
調整の際、専門の器具を使って入れ歯と口内の接触部分を確認し、必要に応じて削ることで、適切なフィット感を取り戻せます。

もし入れ歯が当たる部分の歯茎が赤くなっていたり、入れ歯自体に傷や変形が見られたりする場合は、合わない可能性が高いです。
傷や炎症が起きている状態で使い続けると、口内炎を引き起こすだけでなく、口腔がんのリスクが高まるとの研究結果もあります。
入れ歯に違和感を感じたら、早めに歯科医師に相談することをおすすめします。

入れ歯安定剤を使用する

入れ歯安定剤は、やわらかいジェル状の製品で、入れ歯のフィット感が悪く、揺れたり痛みを感じる場合に役立ちます。粘着性があり、クッションのように機能しながら、入れ歯をしっかりと歯茎に固定することが可能とされています。
入れ歯安定剤はドラッグストアで手に入るため、歯科医院に行く時間がないときの応急処置として重宝します。
しかし安定剤は、入れ歯の根本的な調整にはならないため、できるだけ早く歯科医師による適切な調整や再製作を受けることが大切です。

やわらかい素材の入れ歯を作る

硬い素材で作られた入れ歯は、口内の粘膜に与える負担が大きく、口内炎を引き起こすリスクが高まります。入れ歯の調整を行っても、摩擦が軽減されないことがあります。
対策としておすすめなのは、やわらかい素材で作られた入れ歯に切り替えることです。
やわらかい素材は粘膜に優しく、快適な装着感を提供するため、口内炎の予防に役立ちます。新たに製作することで、よりよい使用感が得られるでしょう。

毎日しっかりと入れ歯をお手入れする

入れ歯を清潔に保つためには、毎日の歯磨きが欠かせません。特に就寝前には、専用の洗浄剤に浸けることをおすすめします。

入れ歯用ブラシを使用し、流水の下で丁寧に洗った後、ブラシの先を使って歯と歯の隙間や部分入れ歯の金属バネ、内側のくぼみなど、汚れが溜まりやすい箇所を重点的に歯磨きしましょう。
ただし歯磨きだけでは、カンジダや細菌を除去することはむずかしいので、ぬるま湯に洗浄剤を混ぜて入れ歯を浸し、徹底的なクリーニングが大切です。

クリーニング後は、再度義歯用ブラシで洗浄剤と汚れを落とし、清潔な状態で装着します。
また、60度以上のお湯を使うと、入れ歯の素材が変形する恐れがあるため、温度に注意が必要です。
入れ歯の定期的な手入れは、口内炎を予防するだけでなく、口臭や変色を防ぐためにもとても大切です。毎日のケアを怠らず、快適な使用を続けましょう。

金属アレルギーの場合:金属以外の素材で入れ歯を作る

金属アレルギーが原因で口内炎が発生することがあります。
金属製の入れ歯を使用していると、アレルギー反応を引き起こす可能性があるため、金属を取り除くことが重要です。
アレルギーの原因となる金属を特定するためには、パッチテストと呼ばれる検査を受けることが推奨されます。
検査結果に基づいて、問題のある素材を排除し、代わりにプラスチックやセラミックなどの非金属材料を用いた入れ歯を製作します。

義歯性口内炎をチェックするポイント

義歯性口内炎をチェックするポイント

ここでは、義歯性口内炎において、確認しておきたいポイントをいくつかご紹介します。

義歯のチェックポイント

入れ歯の内面やかけ金、上部構造の表面には、食べかすやプラークが付着しやすいです。これらが蓄積すると、口腔内の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
入れ歯をほとんど外さずに使用している場合でも、定期的に点検し、清掃することが重要です。
特に食事後や就寝前には、入れ歯を外して洗浄する習慣をつけることで、清潔な状態を保ちましょう。

お口のなかと全身のチェックポイント

「もしかして入れ歯が原因?」と疑われる口内炎が発生した場合、まずは入れ歯を外して状態を確認しましょう。
もし入れ歯の当たる部分が赤くなっていたり、入れ歯が合わなくなっていたりすれば、粘膜に刺激を与えている可能性があり、入れ歯の調整が必要です。

また、部分入れ歯を支えている歯の状態も確認しましょう。
部分入れ歯は隣接する歯に金属バネで支えられていますが、長期間使用しているとバネのフィット感が悪くなることがあります。
そのまま放置すると、噛む力が過度に加わり、隣接する歯に影響を与えることもあります。
特に、その歯に歯周病がある場合、強い力がかかることで骨が溶けやすくなり、病状が悪化する恐れがあります。さらに、金属バネに汚れが溜まりやすく、これが口内炎を悪化させる原因ともなり得ます。

最後に、口臭にも注意を払いましょう。
入れ歯が清潔でないと細菌が繁殖し、口内炎を引き起こしやすくなります。デンチャープラークは時間が経つ程腐敗し、悪臭を放つため、口腔内が不潔だと口内炎ができやすくなるのです。
口臭が気になる場合は、入れ歯の清掃状態をしっかり確認しましょう。

要介護者の入れ歯ケアも大切

高齢者が増えるにつれて入れ歯を使用する方が増え、日常生活に支障が出る要介護者は、口腔ケアが後回しになることが多いようです。同居している家族や介護者がしっかりとサポートし、入れ歯の手入れや口腔の衛生管理を行うことが重要です。
定期的なケアは、入れ歯の寿命を延ばすだけでなく、口腔内の健康維持にもつながります。
しっかりとしたサポートを通じて、快適に生活できる環境を整えましょう。

口内炎が長引いていたら歯科医院へ

口内炎は1週間〜10日程度で自然に治癒することが多いようです。しかし、入れ歯が合わずに常に粘膜が刺激を受けたり、免疫力が低下したりすると、治癒が遅れることがあります。
原因が解消されたにも関わらず、なかなか症状が改善しない場合、口内炎だと思っていたら、実は口腔がんだったという可能性も考えられます。
長引く口内炎に悩まされている方は、早めに歯科医院での診察を受けることがおすすめです。
早期発見が重要ですので、自己判断せず医師の意見を仰ぎましょう。

まとめ

まとめ

ここまでに入れ歯の炎症の原因や対処法などについてお伝えしてきました。
入れ歯の炎症の原因や対処法の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 義歯性口内炎の原因には、入れ歯が歯茎に合っていない、入れ歯のお手入れ不足、金属アレルギーなどが挙げられる
  • 義歯性口内炎の対処法には、口腔内を清潔に保つこと、軟膏を口内炎の部分に直接塗布する、刺激物は避けやわらかい食べ物を選ぶ、バランスのよい食事と十分な睡眠をとるなどが挙げられる
  • 義歯性口内炎にならないためには、定期的に入れ歯を調整する、入れ歯安定剤を使用する、やわらかい素材の入れ歯を作る、毎日の入れ歯の手入れをしっかり行う、金属アレルギーの場合は金属以外の素材で入れ歯を作るなどの点に気をつけるとよい

入れ歯の使用中に炎症が気になっている方は、お早めに歯科医院で適切な診断と治療を受けることがおすすめです。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

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