本記事では入れ歯の費用について以下の点を中心にご紹介します。
- 保険診療の入れ歯にかかる費用
- 自由診療の入れ歯にかかる費用
- 入れ歯治療にかかる費用を抑える方法
入れ歯の費用について理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
保険診療の入れ歯にかかる費用
- 保険診療の総入れ歯にかかる費用を教えてください
- 保険診療の総入れ歯にかかる費用は、使用する材料や設計によって異なります。全部床義歯(総入れ歯)は、上顎・または下顎の歯をすべて失った場合に選択されます。プラスチック製で、厚みがあり異物感を感じやすいことがありますが、費用の相場はおよそ約10,000円〜16,000円程度です(保険の負担割合によります)。治療期間も短く、約6ヵ月ごとに再作成できるとされています。
- 保険診療の部分入れ歯はどのくらい費用がかかりますか?
- 保険診療の部分入れ歯の費用は、歯の欠損数や設計により異なりますが、相場は約5,000円〜1万5,000円です。プラスチック製のレジン床義歯は、上部構造と床部分がプラスチックで構成され、両側の歯に引っかけて固定する金属製のクラスプが使用されます。このクラスプの位置によっては、お口を開けた際に目立つことがあります。
また、治療期間も短いことが多く、総入れ歯と比べて違和感が少ない点も利点です。ただし、金属のバネが目立ちやすく、プラスチック部分が割れやすい、残っている歯に負担がかかるなどのデメリットもあります。
- 入れ歯が保険適用になる条件は何ですか?
- 入れ歯が保険適用となる条件は、以下のとおりです。まず、部分入れ歯の場合、残存歯に固定するための金属製クラスプが使用されていることが求められます。アクリルレジンと呼ばれるプラスチック樹脂が主な材料として使用されており、このレジンは保険適用内の入れ歯に標準的に採用されています。総入れ歯については、すべての歯を失った場合に適用され、こちらもアクリルレジンで作られていますが、クラスプはありません。上部構造には硬質レジンなどが使用され、耐久性と機能性が保たれています。
これらの条件を満たす入れ歯は、医療保険の適用範囲内で製作され、患者さんの自己負担は制度に基づく割合で抑えられます。具体的な費用や詳細は、歯科医療機関での診察や相談を通じて確認しましょう。
自由診療の入れ歯にかかる費用
- 自由診療の総入れ歯の費用相場を種類別に教えてください
- 自由診療の総入れ歯には、さまざまな種類があり、それぞれの費用相場は以下のとおりです。
- 金属床義歯:チタンやコバルトクロムが使用されている義歯のことです。プラスチック製の入れ歯の約4分の1の薄さで作成できるとされているため、軽量で装着感が良く、生体親和性が高いとされています。価格は約50万〜80万円が目安です。
- インプラントオーバーデンチャー:インプラントで固定し、噛む力が強く安定します。価格の相場は約50万〜200万円で、インプラント本数により変動します。
- シリコーン義歯:噛んだ時の圧や衝撃を分散し、痛みを軽減します。価格の相場は約25万〜50万円です。
- マグネット義歯:歯の根と義歯をマグネットで固定し安定性を高めます。2021年9月から保険適用となりましたが、条件によっては自費になる場合もあります。価格は義歯費用に加えて約3,000円〜10万円です。
これらの自由診療の総入れ歯は、保険適用外のため高額ですが、それぞれの特性に応じたメリットがあります。
- 部分入れ歯は自由診療だとどのくらい費用が必要になりますか?
- 自由診療の部分入れ歯の費用は、使用する材料や技術により大きく異なります。以下に主な種類とその費用相場を示します。
- マグネットアタッチメント:磁石で固定するため装着感が良く、相場はマグネット一箇所あたり約3万〜5万円です。
- 金属床義歯:軽量で生体親和性に優れ、価格は約30万〜60万円が目安です。
- ノンスクラブデンチャー:審美性が高く、金属アレルギーの心配がない入れ歯で、相場は約8万〜30万円です。
- シリコーン義歯:歯茎と接する面がシリコーンで、相場は約10万〜50万円です。
- ノンクラスプ義歯:金属を使わない自然な見た目の入れ歯で、相場は約8万〜30万円です。
これらの自由診療の部分入れ歯は、保険適用外のため高額ですが、各種の特性に応じた利点があります。
入れ歯治療で治療費以外にかかる費用
- 入れ歯が破損した場合の修理費用はどのくらいですか?
- 入れ歯が破損した場合の修理費用は、破損の程度や修理方法によって異なりますが、保険適用の範囲内であれば、3割負担で2,000円〜3,000円程度です。簡単な修理であれば、約1〜2時間で完了することが多いとされています。しかし、預かり修理が必要な場合は、1週間〜2週間程かかることがあります。自費診療の入れ歯の場合、使用する材料や技術によって費用が大きく異なるため、具体的な費用については事前に歯科医への相談が必要です。また、保険の入れ歯を新しく作り直す場合は、前回の製作から半年経過している必要があります。ただし、抜歯による歯の本数の変化や上下異なるタイミングでの製作、破損などの条件下では、半年以内でも新たに作り直すことが可能とされています。
- 定期健診にかかる費用を教えてください
- 定期健診の費用は、健康保険が適用されるため、自己負担額は2,500円〜3,000円程度です。健診の内容や口腔内の状況によっては、追加でレントゲン検査が必要になる場合があり、その場合はさらに1,000円〜1,500円程度かかります。定期的な歯科検診を受けることで、費用を抑えつつお口の健康を維持できます。歯科検診の費用は、希望する治療内容や歯の状態により異なりますが、2,000円〜3,000円程度が相場です。高額になる場合でも5,000円〜1万円程度に収まることが多いとされています。定期的に検診を受けないと、むし歯や歯周病が進行し、結果的に高額な治療費がかかるリスクがあります。そのため、健康な歯を保ち、長期的な治療費を抑えるためにも、定期的な歯科検診が重要です。
入れ歯治療にかかる費用を抑える方法
- 入れ歯治療は医療費控除制度を利用できますか?
- 入れ歯治療は、医療費控除制度を利用できます。この制度は、1年間で合計10万円(または総所得の5%)を超える医療費が発生した場合に、超過した部分が所得税や住民税から控除されるものです。保険適用の治療費だけでなく、自費治療の費用も含まれるため、自費での入れ歯治療費も対象となります。同一家計の家族全員の医療費を合算して申請できるため、家族全体で高額な医療費が発生した場合も有効です。制度を利用するには、確定申告が必要で、申請時には治療費の領収書が必要となります。また、処方薬や治療器具の費用、さらには治療のための交通費も一定条件下で医療費として計上できます。
自費で入れ歯を作成する場合、多くの場合で治療費が10万円を超えるため、ほかの医療費の領収書も一緒に保管し、確定申告に備えるとよいでしょう。この制度をうまく活用し、入れ歯治療費の一部を補填できます。
- 入れ歯治療の費用を抑えるためにデンタルローンはおすすめですか?
- 入れ歯治療の費用を抑える方法として、デンタルローンの利用はおすすめです。デンタルローンは、医療費専用のローンサービスで、高額な入れ歯の費用を分割払いで賄うことができます。自動車ローンと同様に、まとまった資金がなくても入れ歯を手に入れられます。デンタルローンを利用するには、金融機関の審査が必要となりますが、審査基準は各金融機関で異なりますので、事前に確認しておくことが重要です。定期的な収入を持つ20歳以上の方が対象で、専業主婦でも配偶者の収入が安定していれば申し込みできます。未成年の場合は保護者名義での申し込みが必要です。
デンタルローンの特徴として、クレジットカードを使用せず、新たにローン契約を結ぶため、独自の分割払いプランを設定できる点があります。また、後払いシステムも存在し、治療費を一括で支払った後にローンを組むこともできます。
また、健康保険に加入している方は、選定療養費制度も選択肢のひとつです。選定療養費制度は、保険外治療である金属床総義歯の費用を軽減するための仕組みです。この制度は保険診療と同様に一部負担金を支払いながら、数万円程度の費用が保険でカバーされます。
デンタルローンや選定療養費制度を活用すれば、経済的な負担を軽減しながら、必要な治療を受けられます。詳細は歯科医や金融機関に相談してみてください。
編集部まとめ
ここまで入れ歯の費用についてお伝えしてきました。入れ歯の費用の要点をまとめると以下のとおりです。
- 保険診療の入れ歯の費用相場は、総入れ歯の場合は約1万5,000円、部分入れ歯の場合は約3,000円〜1万5,000円
- 自由診療の入れ歯費用は、種類と素材により異なる
- 入れ歯治療の費用を抑える方法として、医療費控除制度の利用やデンタルローン、選定療養費制度の活用がある
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。