入れ歯が合わないと、日常生活に支障をきたすことがあり、食事や会話が不便になるだけでなく、お口の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。そんな時、入れ歯の作り直しを検討することが必要ですが、保険適用の入れ歯の作り直しには注意が必要です。
本記事では入れ歯が合わない場合は作り直しが必要なのかについて以下の点を中心にご紹介します。
- 入れ歯の寿命
- 保険適用の入れ歯を作り直す場合の期間制限とは?
- 入れ歯が合わない・作り直したい場合の対処法
入れ歯が合わない場合は作り直しが必要なのかについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。
入れ歯について
- 入れ歯の寿命について教えてください
- 入れ歯は日常的に使うものであり、その寿命はさまざまな要因に左右されます。入れ歯の平均使用期間は約4〜5年とされていますが、これは手入れ方法と使用状況に依存します。特に保険適用の入れ歯は、摩耗や変形が起こりやすく、素材の吸水性が高いために着色汚れも目立ちやすいです。そのため、定期的な新調が推奨されます。
さらに、自費で製作する入れ歯の場合、使用される素材の質が高いため、より長い期間使用することが可能とされています。金属製の入れ歯の寿命は約10〜20年で、しっかりとメンテナンスを行えば30年以上使用されることもあります。ただし、素材によっては寿命が短くなることもあり、選択には注意が必要です。
入れ歯の寿命を延ばすためには、日々の正しいケアが重要です。摩耗や劣化を防ぐために、定期的なクリーニングと、必要に応じて歯科医院でのチェックが勧められます。また、口内環境の変化によりフィット感が変わることもあるため、定期的な調整が必要となる場合もあります。入れ歯はただ使うだけではなく、適切に管理することが大切です。
- 入れ歯が合わない場合、どのような症状が現れますか?
- 入れ歯が適切に合っていない場合、以下のようなさまざまな不快な症状が発生することがあります。
痛み:
入れ歯が歯茎に正しくフィットしないことにより、噛む際の痛みが挙げられます。この痛みは食事の楽しみを大きく損ねる可能性があり、場合によっては口内炎へと発展することもあります。吐き気:
入れ歯が大きすぎるまたは位置が適切でない場合、飲食物を摂取する際に吐き気を感じることがあります。口腔内の感覚鈍麻:
総入れ歯の場合、お口の中の感覚が鈍くなり、味や温度を感じにくくなることも一つの問題です。発音不良:
入れ歯がしっかりと固定されていないと、話している最中に外れやすくなり、発音が不明瞭になることもあります。このような状態は日常生活において大きなストレス源となり、社交的な場面での自信を損なう原因ともなり得ます。入れ歯はご自身のお口にフィットしていることが重要であり、不具合があれば早急に歯科医師の診断を受け、適切な調整や交換を行いましょう。
- 入れ歯が合わなくなる理由を教えてください
- 入れ歯が合わなくなる理由には複数の要因がありますが、主に年齢とともに起こる口内環境の変化が原因です。まず、顎の骨や歯茎が痩せることで入れ歯が安定しなくなり、適切なフィット感が失われます。この骨の減少は、歯を失った後に進行しやすいため、入れ歯を使用している方はこの変化に注意が必要です。
また、入れ歯自体の劣化も問題です。入れ歯は多くがプラスチック素材で作られており、時間が経過すると材質が劣化し、痛みや違和感が生じることがあります。
さらに、入れ歯の適切なメンテナンスが行われていない場合、汚れや細菌が蓄積しやすくなります。これが原因で入れ歯が変形することもあり、定期的な清掃が必須となります。
これらの要因により、入れ歯は時間とともにフィット感が低下するため、適切な時期に調整を検討することが重要です。
【保険適用】合わない入れ歯の作り直し
- 保険適用の入れ歯の作り直しの費用と期間について教えてください
- 保険適用の入れ歯を作り直す際には、部分入れ歯と総入れ歯で費用と必要な期間が異なる場合があります。
部分入れ歯の作り直しには、3割負担で約5,000〜10,000円の範囲で費用が発生します。この費用には、失った歯の本数が影響し、歯が多いほど高額になる傾向があります。作製期間は、約2週間〜1ヶ月を要します。一方、総入れ歯の作り直しの場合、費用は3割負担で約8,000〜20,000円が目安となります。部分入れ歯よりも広範囲にわたるため費用が高くなります。また、上下一方のみか両方を作るかによっても費用が変動します。作製期間は部分入れ歯と同じく約2週間〜1ヶ月です。
どちらのタイプの入れ歯も、作製後には違和感が少なくなるように微調整が必要となるため、その期間も考慮に入れておくことが大切です。歯科医院によって多少の違いが出ることもあるため、詳細は治療を受ける歯科医院に確認しましょう。
- 保険適用の入れ歯の作り直しの期間に制限はありますか?
- 保険適用の入れ歯を作り直す際には、期間制限が設けられています。
前回の入れ歯を製作してから6ヶ月が経過していないと、新たに保険適用での作り直しは認められません。これは保険制度の範囲内で効率的かつ適切な治療を提供するために設定されているルールです。しかし、このルールには例外が存在します。入れ歯が破損した場合や、使用後に新たな抜歯が必要になったことで歯の本数に変更があった場合、または以前に下の入れ歯だけを製作し、今回新たに上の入れ歯を製作したい場合などは、6ヶ月未満でも入れ歯の作り直しが行えます。また、自費診療を選択することで、保険の制限を受けずに任意のタイミングで入れ歯を新規製作することもできます。
- 保険適用の入れ歯の調整期間に制限はありますか?
- 保険適用の入れ歯において、調整期間に制限は設けられていません。新しく入れ歯を作製してから6ヶ月が経過するまでは、新たに作り直すことはできませんが、調整に関してはその限りではありません。入れ歯を装着してから生じる痛みや違和感、噛み合わせの問題などがある場合、これらは保険の範囲内で調整されます。具体的には、入れ歯の噛み合わせを調整することや、痛みを和らげるために入れ歯を削るなどの治療が含まれ、保険適用の3割負担で約2,000~5,000円が目安です。
入れ歯の調整は、個人の口内状況に応じて複数回行う必要があります。特に新しい入れ歯を装着した直後や装着してから数日間は、装着感に変化が見られることが多く、入れ歯に違和感を感じたら、我慢せずに速やかに歯科医師に相談し、適切な調整を受けることが推奨されます。
【自費】合わない入れ歯の作り直し
- 自費の入れ歯の作り直しの費用と期間について教えてください
- 自費の入れ歯を作り直す際の費用と期間は、入れ歯の種類や使用する材料によって異なります。
部分入れ歯の場合、作り直しには約150,000〜500,000円の間で、期間は約2〜3ヶ月が必要です。これは、使用される材料の種類や入れ歯の精密さに依存します。一部の高級な部分入れ歯では、費用が1,000,000円を超えることもあります。総入れ歯の作り直しの場合、費用は約200,000〜2,000,000円まで幅広く、完成までには約2〜6ヶ月かかることが多いようです。総入れ歯は覆う範囲が広いため、その分高額になりやすく、製作期間も長くなります。
自費の入れ歯は、保険適用の入れ歯に比べて材質が高品質で、オーダーメイドで精密に作製されるため、初期の投資は高くなりますが、その分、適合性と快適性が向上します。また、完成後の調整が少なく、長期的な使用感に向いているため、コストパフォーマンスは高いでしょう。自費で入れ歯を作り直す際には、これらの点を考慮し、事前に歯科医師とよく相談することが重要です。
- 入れ歯が合わない・作り直したい場合の対処法を教えてください
- 入れ歯が合わないと感じる場合には、まず、日常的な清掃に加えて、専用の洗浄剤を使用することで入れ歯を清潔に保ち、安定剤を用いることでフィット感を向上させます。
さらに、現在使用している入れ歯が保険適用のものであれば、自費診療によるカスタムメイドの入れ歯を検討することをおすすめします。自費診療の入れ歯は材料や製作方法に制限が少なく、患者さんのお口の状態に合わせて細かく調整されることにより、噛み合わせの問題や痛みなど、保険適用の入れ歯で発生する問題を解決します。入れ歯が合わない場合には調整、もしくは再製作が必要となる可能性があります。入れ歯が合わない状態を放置せず、対処方法を担当医に相談しましょう。
また、異なる歯科医院でセカンドオピニオンを求めることも有効でしょう。治療を行う歯科医師によって得意とする分野が異なるため、入れ歯の作製に特化した歯科医師の意見を聞くことで、より快適な入れ歯に作り変えられるかもしれません。
編集部まとめ
ここまで入れ歯が合わない場合は作り直しが必要なのかについてお伝えしてきました。
入れ歯が合わない場合は作り直しが必要?の要点をまとめると以下の通りです。
- 入れ歯の平均使用期間は約4〜5年だが、自費で製作する入れ歯の場合は使用される素材の質が高いため、より長い期間使用することが可能とされている
- 保険適用の入れ歯を作り直す場合は、前回の入れ歯を製作してから6ヶ月が経過していないと新たに保険適用で作り直せない
- 入れ歯が合わないと感じる場合には、日常的な清掃や専用の洗浄剤の使用、さらに、自費診療によるカスタムメイドの入れ歯を検討、セカンドオピニオンなどの対処法がある
入れ歯が合わないと感じた場合は、まずは作製した歯科医院での調整を再度依頼することが望ましいです。歯科医師と密にコミュニケーションを取りながら進めましょう。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。