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入れ歯は保険適用外と保険適用でどう違う?入れ歯の種類やメリット・デメリットを解説

入れ歯は保険適用外と保険適用でどう違う?入れ歯の種類やメリット・デメリットを解説

入れ歯には、保険適用のものと保険適用外のものとでさまざまな種類があります。それぞれに特徴やメリットとデメリットとがあり、どちらのいればを選ぶかは、ご自身の口腔内の状況や、重視する点によって異なります。また、人によっては保険適用の入れ歯と保険適用外の入れ歯を併用するという場合もあるでしょう。
この記事では、保険適用か適用外かでの入れ歯の違いを詳しく解説していますので、ご自身にとってよりよい入れ歯選びのための参考にしてみてください。

保険適用外の入れ歯と保険適用の入れ歯の違い

保険適用外の入れ歯と保険適用の入れ歯の違い

入れ歯には、保険適用外のものと保険適用のものとがあります。 保険適用の入れ歯というのは、厚生労働省によって治療を行う際に健康保険の適用が認められたものです。治療にかかる費用が全国一律で定められていて、どの歯科医院でも同じ金額で治療を受けることができます。
また、年齢などによって費用の負担割合が定められていて、75歳以上の後期高齢者の方は治療費の1割、70歳から74歳までは2割、それ以外の多くの方は3割の負担で治療を受けることができます。生活保護受給者の方など、医療費の自己負担なしで治療を受けられるケースもあります。
自己負担分以外は健康保険組合から支払われ、その費用は労働者の給与などから差し引かれています。 保険適用の入れ歯は、その材質や形状が明確に定められていて、総入れ歯であれば白い歯の部分と、それを支える義歯床のすべてが、歯科用レジンという樹脂素材で作成されたものになります。
部分入れ歯の場合は歯科用レジンで作られた歯に、金属でできたクラスプと呼ばれる、歯を固定させるためのパーツがついた形状となっています。
また、近年になってマグネットデンチャーと呼ばれる磁力で安定させるタイプの入れ歯も保険適用の対象となっていて、適応がある方はこちらも利用することができます。
保険適用の入れ歯は、その作成方法や治療方法が明確に定められていて、全国どこでも同じように治療が受けられるようになっているため、安定感のある治療を受けやすい点も特徴の一つといえます。
基本的にどの歯科医院でも同じものを取り扱っているので、入れ歯が壊れたときや調整が必要なときに、歯科医院が変わっても適切な対応を受けやすいというメリットもあります。 一方で、保険適用外の入れ歯とは、上記の保険適用の方法以外で行う治療全般であり、使用する素材や形状に対する制限がありません。
制限がないため、より見た目にこだわった自然な入れ歯や、高い安定感のある、噛み心地のすぐれた入れ歯を作ることが可能となっています。
ただし、その分治療にかかる費用は全額自己負担となるので、治療の費用負担が大きくなりやすいといえます。治療費用も歯科医院が独自に設定できるので、場合によっては100万円を超えるような、高額な費用が設定されているケースもあります。
その分、歯科医院がよりよいものを目指して追及することができるため、品質面では満足度が高いものが実現しやすいといえるでしょう。
注意点として、保険適用外の入れ歯については歯科医院によって対応している内容も大きく異なるため、入れ歯の修理や調整が必要となった場合に、適切な対応をほかの歯科医院で受けにくくなる可能性があります。
保険適用外の入れ歯を作る場合は、治療をうける歯科医院との長期的な付き合いも意識して、医院選びをするとよいでしょう。

保険適用外の入れ歯の種類

保険適用外の入れ歯の種類

保険適用外の入れ歯は、素材や構造が多様で、一人ひとりの要望に細かく応じることができるので、より快適な付け心地や見た目の自然さを求める方に向いています。
代表的な保険適用外の入れ歯の種類は以下のとおりです。

金属床義歯

入れ歯のなかで、白い歯を支えている土台となる部分を床といいます。
金属床義歯は、その名前のとおり金属製の床(入れ歯の土台)に人工歯をつけた入れ歯です。
保険適用の入れ歯は床部分が歯科用レジンという樹脂製ですが、噛むという強い力がかかる入れ歯において、樹脂素材で入れ歯を作るためには、一定の強度を保つためにある程度の厚みが必要となります。
この厚みが装着時の違和感につながったり、場合によっては喉を刺激してしまい嘔吐反射を引き起こす要因となります。
金属床義歯は、丈夫な金属を素材を床の素材に使用することで、入れ歯の厚みを薄くして、お口の中の形に合わせてフィットしやすい形で作れるため、装着時の違和感を感じにくいのが特徴です。
また金属は樹脂素材に比べて変形しにくいため、長期間に渡って安定したフィット感を維持できるのも大きなメリットです。

シリコン義歯

歯科用レジンでできた入れ歯に、やわらかいシリコン素材を貼り付けたものがシリコン義歯です。
口腔内に密着する場所がやわらかい素材になっているため、粘膜への刺激が少なく、痛みを感じにくいのが特徴です。また、やわらかい素材であるために密着感をアップさせることが可能で、入れ歯装着時の安定感が増すため、噛み心地の改善も期待できます。
注意点として、シリコン義歯はやわらかい素材を貼り付けたものであるため、不適切なケアや時間経過によってシリコン部分がはがれてしまう可能性があります。
シリコン義歯のケアには専用の洗浄剤なども用意されているので、長期的に使用し続けるためにも適切なケアを心がけましょう。

ノンクラスプデンチャー

クラスプとは、部分入れ歯にあるパーツで、残っているほかの歯にひっかけることで、入れ歯をしっかりと安定させるためのパーツです。
保険適用の入れ歯はクラスプによってしっかりと安定させることで適切な噛み心地をえることができますが、一方でお口を開いたときにクラスプが目立つことによって、不自然な印象を与えやすくなってしまいます。
ノンクラスプデンチャーは、この金属性のクラスプが見えないように設計された入れ歯です。見た目が自然で、審美性を重視する方におすすめです。バネの代わりに、樹脂で作られた歯茎に似た色の素材を使用しているため、笑ったときやお口を大きく開けたときでもパッと見ただけでは本物の歯と見分けがつかず、入れ歯とバレにくいのが大きなメリットです。

コーヌス義歯

コーヌス義歯は、残っている歯に金属の冠を被せ、そこに義歯を固定するタイプの入れ歯です。金属パーツによって高い安定感が得られるため、しっかりとした噛み心地が実現しやすくなっています。
また、クラスプと異なり入れ歯の内側に固定用のパーツがあるため、お口を開いたときにも自然な見た目が作りやすく、審美性にこだわりを持つ方も利用しやすい義歯となっています。
コーヌス義歯の治療では、入れ歯を固定させるための金属の冠を装着するため、残っている歯を削って治療を行う必要があります。しかし、しっかりとした安定感があることや、残存し全体に負荷が分散されるため、歯にかかる負担は大きくなく、長持ちしやすい点が特徴となっています。

インプラントオーバーデンチャー

インプラントとは、歯がなくなってしまった場所に人工歯根を埋め込み、そこに人工の歯をかぶせて固定する歯科治療です。
インプラントによる治療は天然の歯と同じような構造を作ることができるため、使用感と見た目の両方で満足度の高い治療を行いやすいです。一方で手術による身体への負担や費用負担が大きいため、歯が全部ないような、多数の歯がない場合には適さないという側面もあります。
そこで、インプラントによる安定感と、入れ歯治療の負担の少なさを組み合わせたものが、インプラントオーバーデンチャーです。
この治療では、顎の骨にインプラントを埋め込み、それを土台として固定が可能な入れ歯を作成します。
入れ歯でありながら、歯槽骨に固定させた人工歯根で安定させるため、自分の歯のようにしっかりと噛むことができ、ずれにくいため安定性が抜群です。
ただし、インプラント手術は残っている骨の量などによってはそのまま治療が受けられない場合もあります。

保険適用外の入れ歯のメリット

保険適用外の入れ歯のメリット

保険適用外の入れ歯といってもさまざまな種類があるので一概にすべて同じメリットとデメリットがあるとは言い切れないものの、保険適用のものと比べたときにある程度共通しているメリットはあります。
いくつかご紹介します。

使用感のよさ

保険適用の入れ歯は、使用できる素材が歯科用レジンに限定されるため、どうしてもある程度厚みがあり、硬さを感じる義歯床となることなどから、使用中に違和感が出やすいといえます。
一方で、保険適用外の入れ歯には、床部分を薄く作ることができる金属床義歯や、口内に触れる部分にやわらかいシリコンが使用された義歯などがあり、使用感がよく快適に利用しやすい入れ歯が多いといえます。
それ以外の入れ歯も、しっかりとした安定感によって使用している間のずれが気になりにくいなど、使用感のよい入れ歯が実現しやすいといえるでしょう。

耐久性の高さ

保険適用外の入れ歯は保険適用のものに比べて耐久性が高いものが多く、長期間使用しやすい点もメリットの一つです。
長期的に使用し続けられるので、入れ歯の調整や作り直しに頻繁に歯科医院に通わなくてもよく、通院の手間が減るという点もメリットといえます。

審美性のよさ

金属のバネなどの部品が見えると不格好で入れ歯がバレやすいというお悩みを持つ方は多いと思いますが、保険適用外の入れ歯は金属のバネが見えにくかったり、歯や歯茎の色や形を自然に再現できたりと、バレにくく見た目にこだわることが可能です。

食感への影響

保険適用外の入れ歯はフィット感が良くずれにくいものも多いため、違和感なく食事や会話を楽しむことができます。
また、例えば保険適用の総入れ歯は食事の温度などが口内に伝わりにくく、これが食事にも影響すると考えられますが、金属床義歯などは温度が伝わりやすいため、食事をより楽しみやすくなるといったメリットがあります。

保険適用外の入れ歯のデメリット

保険適用外の入れ歯のデメリット

保険適用外の入れ歯にはさまざまなメリットがある一方で、デメリットもいくつかあります。

費用がかかる

保険適用外の入れ歯は、保険が適用されない分全額自己負担となるため、保険適用のものに比べて費用が高額になります。
また、治療にかかる費用も歯科医院がそれぞれ独自で設定できるため、治療内容へのこだわりなどによっては高額になる場合もあります。
費用が高いものがよい治療とも限らないため、自分の希望にあった歯科医院選びは慎重に行う必要があります。

歯科医院によって取り扱いが異なる

保険適用外の入れ歯はすべての歯科医院で作成できるわけではありません。また歯科医院によっても取り扱いのある入れ歯の種類が異なります。
希望する入れ歯の種類が決まっている場合、事前に歯科医院に問い合わせて、希望の保険適用外の入れ歯の取り扱いがあるかを確認する必要があります。
また、歯科医院によって取り扱いが異なるため、入れ歯の調整などが必要な場合に、どこでも同じようなケアを受けられるとは限りません。
引っ越しなど、通院している歯科医院での対応が難しくなる場合には、どのように入れ歯のケアを行うかを考えておく必要があります。

適用症例が限定される場合がある

入れ歯の種類によって、残存歯の有無や、入れ歯装着による負担に耐える十分な強度があるか、ずれにくいように装着できるか、などを検査のうえそれぞれの入れ歯の適用が診断されます。そのため、お口の中の状態によっては、保険適用外の入れ歯が制作できない場合があります。

製作に時間がかかる場合がある

保険適用の入れ歯はある程度治療の流れが定められているので、どの歯科医院でもそこまで大きな差がなく、一定の期間で治療をうけやすいといえます。
一方で、保険適用外の入れ歯は治療方法も歯科医院それぞれで異なるため、場合によっては治療に長期間が必要となることもあります。
通院回数が増えると、移動の労力や時間の確保も必要となります。

ケア方法が制限される場合がある

入れ歯でも自分の歯と同じように歯磨きでケアできるものや、簡単に取り外してブラシを使って掃除するなどの簡単なケアが行えるものが多いですが、入れ歯の種類によっては、専用の洗浄剤を使用するなど、特別なケアが必要な場合があります。

保険の入れ歯と保険適用外の入れ歯を両方作ることはできる?

保険の入れ歯と保険適用外の入れ歯を両方作ることはできる?

基本的には、保険適用の入れ歯と保険適用外の入れ歯を両方作ることは可能です。
両方とも作ることを検討する場合は、まずは保険適用の入れ歯を作成し、装着感などを確認してから、保険適用の入れ歯で気になる部分を解消するための保険適用外の入れ歯を作るとよいでしょう。
両方とも作っておくことで、普段は保険適用外の入れ歯を使用しつつ、万が一破損などした場合に保険適用の入れ歯を一時的に使用するなどもできる可能性があります。
ただし、保険適用外の入れ歯では、例えばコーヌス義歯など歯の形状を変更する必要があるものもあるため、こうした治療を受ける際は保険適用の入れ歯と併用はできません。
また、入れ歯は使用しないでいても劣化してしまう可能性はあるので、両方作ったとしても結局費用の無駄になってしまうという可能性は考えられます。

まとめ

まとめ

保険適用外の入れ歯は、保険適用のものに比べて、より快適な装着感や審美性を求める方にとって選択肢が広がるためメリットが多いですが、その反面、費用が高額になるなどのデメリットもあります。
どちらを選ぶかは、ご自身のお口の中の状況や、何を重視するかなどを総合的に考え、歯科医師と相談して決めるのがよいでしょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次歯科医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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