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部分入れ歯は寝るときに外した方がよい?つけたまま寝る場合のリスクなどを解説

部分入れ歯は寝るときに外した方がよい?つけたまま寝る場合のリスクなどを解説

部分入れ歯を使用していると、着けていることを忘れて寝てしまうといったこともあるのではないでしょうか。
部分入れ歯は寝るときに外すべきなのかどうかなどの疑問をお持ちの方へ、この記事ではつけたまま寝る場合のリスクや、つけて寝た方がよいケースなどについてご紹介しておりますので、参考にしてみてください。

部分入れ歯とは

部分入れ歯とは

部分入れ歯は、その名前のとおり歯の一部分を補うために使用される入れ歯で、歯が1本以上残っている場合に適応となる義歯です。
歯が全く残っていない場合は部分入れ歯ではなく総入れ歯を使うこととなります。
部分入れ歯は人工の歯と、歯を支える床部分、そして入れ歯を残っている歯を使って固定するためのクラスプと呼ばれる金属製のバネといった構造になっているものが一般的で、歯と床部分がプラスチックでできているものは保険適用で作成することができます。

歯を失ってしまった際の治療法としては、部分入れ歯のほかにもブリッジやインプラントといった治療法がありますが、ブリッジやインプラントは治療を行った後に自分で外すことはできず、常に装着された状態となります。
入れ歯は自力で取り外すことが可能なため、使用しないときは外して洗浄などを行うことができます。

部分入れ歯は寝るときに外すべき?

部分入れ歯とは

部分入れ歯を使用している方は、使用方法について歯科医師からの説明をうけているかと思いますが、基本的に部分入れ歯は寝るときには外しておくべきといえます。
その理由としては、寝るときに部分入れ歯を装着したままだと下記のようなリスクがあるためです。

誤って飲み込んでしまうリスク

部分入れ歯はバネなどによってしっかりと固定されていますが、歯ぎしりなど何かしらの影響で外れてしまう可能性があり、寝るときは外れた入れ歯が自然と喉の方に来てしまうため、特に1~2本程度の小さな部分入れ歯を使用している場合は誤ってそれを飲み込んでしまう可能性があります。
場合によっては喉を詰まらせてしまうなど危険な状態になるリスクもありますので、寝るときには部分入れ歯を外すようにした方がよいでしょう。

歯や顎への負担になるリスク

部分入れ歯を装着しているときは、入れ歯によって歯茎や顎が圧迫されている状態になるため、つけっぱなしで寝てしまうと負担になるリスクがあります。 一度つけたまま寝てしまったからといって大きなトラブルにつながるものではありませんが、部分入れ歯を入れたまま寝ることを繰り返すと、歯茎や顎への負担で痛みが生じたり、歯並びが変わってしまうといった可能性もあります。
歯並びの変化などがおこってしまうと、入れ歯が合わなくなって作り直しが必要になる場合などもあるため、作った入れ歯を長く利用し続けるためにも、寝るときは部分入れ歯を外しておいた方がよいといえるでしょう。

細菌が増殖しやすくなるリスク

睡眠中は、起きているときと比べて唾液の量が減少するため、口腔内に細菌が繁殖しやすい状態となります。
部分入れ歯を装着したまま寝てしまうと、外して寝るときよりも細菌が増殖しやすくなり、むし歯や歯周病、口内炎といった歯のトラブルが起こりやすく、進行しやすくなってしまいます。

口内炎などのリスク

部分入れ歯のパーツが口腔内に触れると、その部分に刺激が加わって炎症が起こりやすくなり、口内炎のトラブルへとつながりやすくなります。
前述のとおり睡眠中はそもそも口腔内で細菌が増殖しやすいため、部分入れ歯をつけたまま寝てしまうと、口内炎や歯肉炎といったトラブルの可能性がとても高くなるので、寝るときは外しておいた方がよいでしょう。

寝るときに部分入れ歯をつけたままの方がよいケース

寝るときに部分入れ歯をつけたままの方がよいケース

基本的に、寝るときは部分入れ歯を外しておいた方がよいとされていますが、下記のようなケースでは着用したままの就寝が推奨されることもあります。
部分入れ歯をつけたままにした方がよいケースや、つけたまま寝る場合のメリットについてご紹介します。

歯ぎしりや食いしばりが強い

無意識に強く噛みしめてしまう、いわゆる歯ぎしりや食いしばりが強い人の場合、部分入れ歯を装着しないでいると、残っている歯に集中して負担がかかってしまうため、その負荷によってまだ残っている歯が劣化しやすくなってしまうといった問題があります。
部分入れ歯を装着しておけば、入れ歯にも負担が分散されることで残っている天然の歯を健康に保ちやすくなるため、歯ぎしりや食いしばりが強い人の場合は、寝るときにも部分入れ歯を装着したままが推奨されるケースがあります。

また、歯ぎしりや食いしばりが継続されると歯が少しずつ削られるなどして高さが変わってしまうため、入れ歯を外して寝ていると、入れ歯の高さが合わなくなるといった変化が生じる場合があります。
入れ歯が合わなくなってきたと感じたら、早めに歯科医師と相談し、寝るときにも装着しておくべきかどうかなどを相談してみるとよいでしょう。

残っている歯への負担を減らしたい

歯ぎしりや食いしばりがない場合でも、残っている歯の状態などによっては部分入れ歯を外すと歯に負担がかかりやすくなり、せっかく残っている歯が悪くなってしまう可能性があります。
部分入れ歯を装着して寝ることで、噛み合わせが適切に保たれて残っている歯への負担を軽減することが可能となります。

歯の移動を防ぎたい

歯は日常生活のなかでも、少しずつ移動していく可能性があります。
部分入れ歯を使用しているような、一部の歯が欠損しているという場合には、通常よりも歯が動いてしまいやすく、歯が動いていくことで入れ歯が合わなくなってしまうという可能性もあるため、歯の位置を固定して、移動を防ぐための目的で部分入れ歯を入れたまま寝ることが推奨されるケースもあります。

緊急時に対応したい

災害など、睡眠中に何か大きな緊急事態が発生したときは、冷静な対応を行うことが難しくなりますので、部分入れ歯を持ち出すなどの行動が取りにくくなります。
部分入れ歯がなくなると食事も取りにくくなり、例えば避難生活などが必要になった場合に健康状態が維持しにくくなってしまう可能性が考えられますので、緊急時の対応という点では部分入れ歯を装着したまま寝ることも1つの手段といえるでしょう。
また、人は体に力を入れるとき、無意識のうちに歯をかみしめるといった力の使い方をしています。
立ち上がるときや物を持つとき、歩くときといったそれぞれで、部分入れ歯を入れたままであれば力が入りやすく、スムーズに動きやすくなるため、緊急時の避難などもしやすくなるでしょう。
緊急時ではなく、夜中に起きてトイレに行くなどの場合でも、部分入れ歯を装着しておくことで楽に動きやすくなります。

総入れ歯の場合はつけたまま寝ることを推奨される場合もある

総入れ歯の場合はつけたまま寝ることを推奨される場合もある

歯が残っていて、一部分の歯を補うために使用される部分入れ歯ではなく、歯がすべてなくなっている場合に使用される総入れ歯については、部分入れ歯と異なる理由で、寝るときにつけたままの状態が推奨されるケースがあります。

その理由の1つ目が顎関節症の予防で、歯がまったくない状態で寝ると、上下の顎の距離が一定ではなくなってしまうため、顎に負担がかかって顎関節症が生じやすくなるといった問題があることから、トラブルを避けるために総入れ歯を装着したままの睡眠が推奨されます。

上記のほかにも、入れ歯を使用していると口呼吸を防止できるという点から、入れ歯を使用したまま寝ることがよいとされることもあります。
入れ歯を外したまま寝ると、舌が下がりやすくなることから口呼吸の割合が増加し、口内の細菌が増殖しやすくなるほか、増殖した細菌が含まれた唾液が気管に到達することで誤嚥性肺炎のリスクになる場合もあります。
また、舌が下がることでいびきや睡眠時無呼吸症候群などの症状につながってしまう可能性もあるため、こういったトラブルを防ぐために、寝るときも入れ歯を装着したままが推奨されるケースがあります。

寝るときにつけておくならしっかりとしたお手入れが大切

寝るときにつけておくならしっかりとしたお手入れが大切

場合によっては寝るときにも装着したままの状態が推奨される部分入れ歯ですが、だからといって常につけっぱなしの状態がよいというものではなく、寝るときも含めて長時間装着するのであれば、よけいにしっかりとお手入れを行って、清潔に部分入れ歯を使い続けられるようにすることが大切です。
部分入れ歯の正しいお手入れ方法について解説します。

ブラシによるケア

部分入れ歯の基本的なケアも、天然の歯と同じようにブラシによって行います。
ケアが必要なタイミングは食事の後と就寝前で、食事の後はなるべく食べ終わってから時間が経過しないうちにケアを行った方が、歯垢などになりにくく、しっかりとケアしやすいでしょう。

食事後のケアでは、入れ歯を義歯用のブラシで丁寧に磨いていきます。
部分入れ歯は金具などのパーツがあり、装着したままの歯磨きではきれいに磨くことが難しいため、必ず取り外してからケアを行いましょう
歯と歯の間や、歯にはめて固定するためのバネ(クラスプ)などの部分は特に汚れが蓄積されやすいため、しっかりと洗う必要があります。
ただし、ゴシゴシと力を入れすぎると入れ歯が損傷してしまう可能性があり、特に歯茎と接する部分を強く磨いてしまうと、隙間ができて入れ歯が合わなくなってしまう場合がありますので、適度な力加減で、丁寧に掃除をするように心がけましょう。
ケアの際には洗面器などに水を張って、入れ歯を落として排水溝などに入ってしまわないようにして行うとよいでしょう。

就寝前のケアは、よりしっかりと入れ歯についた細菌などを落として、安全に使い続けるために、ブラシだけではなく洗浄剤なども使用しながら行います。
なお、ブラシによるケアを行う際に、歯磨き粉などの使用は基本的にNGです。 入れ歯は天然の歯と構造が異なるため、市販の歯磨き粉を使用してもよりよいケアができるようになるわけではなく、研磨剤などが入っている場合は入れ歯が劣化しやすくなってしまう結果となりますので、注意しましょう。

洗浄剤を使用したケア

入れ歯は取り外してケアが行えるため、専用の洗浄剤を使用しての殺菌が可能です。
入れ歯用の洗浄剤を溶かした水に一定時間入れ歯をつけておくことで、ブラシでケアをしにくい細かい部分の汚れを落としたり、カンジダ菌などの真菌や細菌をしっかりと除去して、より衛生的に入れ歯を使い続けることができるようになります。
洗浄剤を利用したケアでは、洗浄剤で汚れを浮かした後、流水に当てながら義歯用のブラシでみがきながら洗い流していきます。
適切に洗浄剤を利用することで入れ歯が清潔に保たれ、長く利用できるようになりますので、1日1回はしっかりとケアを行うようにしましょう。

なお、殺菌を行うという点で熱湯による煮沸消毒を思い浮かべる方もいるかと思いますが、入れ歯の素材によっては熱湯を使用すると変形してしまう可能性などもあるため、熱湯によるケアは行ってはいけません。
入れ歯ケア専用の洗浄剤を使用して、適切にケアを行いましょう。

定期的に歯科医院でメンテナンスする

入れ歯は日常的に使用しつづけるものであり、食事の際の負荷などが積み重なっていくことで少しずつダメージが蓄積され、変形や破損がおこってしまう可能性があります。
また、歯並びの方も徐々に変化していくため、同じ入れ歯をずっと使い続けることは難しく、丁寧にケアをしていたとしても、入れ歯が合わなくなることがあります。
入れ歯を快適に使用し続けるためには、やはり定期的に歯科医院でメンテナンスをすることが大切で、治療を受けたクリニックで1~3ヵ月に一度程度、入れ歯のケアと歯のメンテナンスを受けると、作った入れ歯を長期間使いやすく、残った歯も健康に保ちやすくなるでしょう。
歯科医院でのメンテナンスは必要に応じて入れ歯を預けて調整などを行う必要があるため、歯科技工士が在籍しているクリニックなどで治療をうけると、入れ歯がない期間が発生しにくくなります。

編集部まとめ

編集部まとめ

日本においては、寝るときは部分入れ歯を外した方がいいとされていますが、国によっては部分入れ歯をつけたままの方がよいとする場合もあるなど、部分入れ歯を装着したままの睡眠にはメリットとデメリットの両方があります。
部分入れ歯の適切な扱い方には個人による違いもありますので、自身がどうするべきかについてはしっかりと歯科医師と相談して、指示を守って入れ歯を利用するようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

菱川 敏光医師(ひしかわ歯科院長)

長崎大学歯学部卒業 愛知学院大学大学院歯学研究科修了 愛知学院大学歯学部歯周病学講座講師(2020年3月まで) 愛知学院大学歯学部歯周病学講座非常勤講師 ひしかわ歯科 院長

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