注目のトピック

歯医者

歯がぐらぐらする原因|治療法や対処法を解説

歯がぐらぐらする原因|治療法や対処法を解説

歯がぐらぐらするのに気付いたら、速やかな治療が必要です。

歯がぐらぐらしてしまう原因は、歯周病や歯根破折などさまざまな原因があり、治療方法も異なります。

いずれにしても自然に治ることはほぼないため、速やかに歯科医院を受診しましょう。

本記事では、歯がぐらぐらする際に考えられる原因と治療方法を解説します。

すぐに受診できない場合でも、受診するまでの間にできる対策も解説しますので、自分の歯を守る参考になれば幸いです。

歯がぐらぐらするのはなぜ

頬を抑える女性

歯はお口のなかに見えている歯冠の部分と、歯肉と骨に埋まっている歯根の部分に分けられます。

一般的に歯根は歯冠よりも長く、歯槽骨に深く埋まって固定されています。歯肉にも歯を支える役割があり、さらに歯根と歯槽骨の間を強固につなげているのが歯根膜という組織です。

歯根膜にはクッション性があり、咀嚼の力をやわらげたり、歯が衝撃によって割れたりしないよう守る働きもあります。

このように歯は強固に固定されているため、簡単に揺れたり抜けたりすることはありません。

歯がぐらぐらしてしまうのは、歯を固定する組織が弱っているためで、何らかの治療が必要です。

永久歯は一度抜けてしまうともとには戻せないため、歯のぐらぐらに気付いたら速やかに歯科医院を受診しましょう。

歯がぐらぐらする原因

歯医者に来た虫歯の女性

本来の歯はしっかりと固定されているため、簡単にはぐらぐらすることはありません。

歯がぐらぐらするときは何らかの重大な問題が生じており、速やかに対処しないと歯が抜けてしまいます。

歯がぐらぐらする原因は、歯周組織もしくは歯そのものの問題であることがほとんどです。

原因に心あたりがあるときは、歯科医師に伝えて治療してもらいましょう。

歯がぐらぐらするのは、主に以下のような原因があります。

  • 歯周病
  • 歯根破折
  • 歯の根の先に膿が溜まっている
  • かぶせ物・土台のゆるみ
  • 歯ぎしり
  • 外傷
  • 性の疾患

それぞれの内容を解説します。

歯周病

歯周病は、歯を支える組織である歯肉や歯槽骨の病気です。

歯と歯肉の間の歯周ポケットで細菌が増殖し、歯を支える組織を溶かすため、治療しないと歯が抜けてしまいます。

初期の歯周病は痛みなど自覚症状がほとんどなく、歯がぐらぐらしはじめてから気付くケースも少なくありません。

歯周病の治療は、歯周ポケットを入念に掃除して殺菌し、炎症を止めて治癒を待つのが一般的です。

歯周病が進行して歯槽骨まで溶かされてしまうと、治癒が難しいので抜歯せざるを得なくなる場合もあります。

歯根破折

歯根破折は、歯の根元が割れてしまった状態です。

歯が割れる原因は、事故やスポーツによる外部からの衝撃のほか、歯ぎしり癖や不適切な詰め物による場合もあります。

歯根は骨と歯肉でしっかり固定されているため、割れてしまってもすぐに歯は抜けません。

歯根が割れると、割れ目から細菌が歯の内部に侵入し、神経が感染して壊死してしまいます。

歯の内部が細菌で溶かされると、治療が難しく抜歯せざるを得なくなりますが、その前に治療ができれば歯を保存できる場合もあります。

冠が割れていなければ見た目ではわからず、歯根のわずかなひび割れはレントゲンでも難しい診断です。

強い衝撃を受けた後に歯がグラグラしはじめたら、歯根破折を疑って速やかに歯科医院を受診しましょう。

歯の根の先に膿が溜まっている

が歯の根元にまで進行し、歯の根元が溶かされて膿が溜まると、歯がぐらぐらしはじめます。

一般的なむし歯は歯の表面から進行し、歯の内部の神経に近づいていきます。

むし歯が神経まで近づくと耐え難い痛みとなりますが、神経が感染して壊死すると痛みはほとんど感じません。

神経が通っている根管は歯の根元まで通じており、細菌が根管を通って歯の根元に達した場合、治療しないと歯が抜けてしまいます。

壊死した神経を除去して根管内を入念に殺菌する治療を、根管治療といいます。

根管治療で細菌を除去できれば、溶けた歯肉も再生するため、自分の歯を守れるでしょう。

むし歯の進行を防ぐためにも、歯科検診は定期的に受けるようにしましょう。

かぶせ物・土台のゆるみ

むし歯治療で歯を大きく削ってかぶせ物をした後に、そのかぶせ物がグラグラ動いてしまう場合があります。

一般的に、かぶせ物をする際は残った歯根に土台を構築し、その土台の上に人工歯冠をかぶせていきます。

かぶせ物の材料にもよりますが、数年程度で劣化したり、残った歯根がむし歯になったりする場合が少なくありません。

かぶせ物は永久に使えるものではないため、治療後は定期的に歯科検診を受けてメンテナンスをしましょう。

自分の歯が歯根しか残っていなくても、歯根を保存できればかぶせ物を交換して、自分の歯と同じ感覚で噛めるようになります。

歯ぎしり

口腔トラブルを気にする男性

睡眠時の歯ぎしり癖や日中の食いしばり癖がある場合、歯の負担が蓄積してぐらぐらしてきてしまう場合があります。

歯ぎしりによって歯がぐらぐらするのは、歯が割れたか、歯周組織が弱っているのが原因です。

どちらにしても放置すると歯を失う原因となりますので、早期に治療しましょう。

歯ぎしりや食いしばりの治療方法は、歯と顎を保護するためにスプリント(マウスピース)を装着する治療や、異常に緊張した筋肉を弛緩させる薬物療法があります。

ほかにも、カウンセリングによる認知行動療法があり、日常のストレスケアや睡眠の質を高める工夫も重要です。

外傷

事故やスポーツで強い衝撃を受けた後に、歯がぐらぐらしてくるケースは少なくありません。

歯が割れる歯根破折か、歯を支える歯周組織の怪我かは自分ではわからないため、速やかに歯科医院を受診しましょう。

歯根破折や歯槽骨の骨折であっても、早期に治療すれば歯を残せる場合があります。

割れたのが歯冠だけであれば、細菌が根管に侵入するまえに修復すれば元通りになるでしょう。

全身性の疾患

全身性の疾患が、歯を支える歯周組織にも影響して、歯を失うことになるケースもあります。

歯周病の悪化や歯槽骨の退縮などの原因となるのは、主に以下のような病気です。

  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症
  • 妊娠性歯肉炎

糖尿病の患者さんは血液がドロドロになって流れが悪くなり、全身の血流が悪化します。

歯肉の毛細血管の血流も悪化するため、歯肉が退縮して免疫細胞が届かなくなり、歯周病が悪化する要因となります。

骨粗鬆症の患者さんは、歯槽骨の退縮によって歯を支える力が弱くなり、歯が抜けやすくなるため注意が必要です。

妊娠中にはホルモンバランスが大きく変化し、ホルモンの影響で歯肉炎などが起こりやすくなるといわれています。

いずれも毎日の歯磨きを丁寧に行い、口腔内を清潔に保っていればリスクは軽減できますので、日々のデンタルケアを心がけましょう。

ぐらぐらする歯は自然に治る?

歯が痛い若い女性

人体には自然治癒力がありますが、ぐらぐらした歯が自然に治ることはほぼありません。

本来であれば、歯周病の原因菌も免疫機能によって抑えられていますが、歯垢の蓄積などで細菌の繁殖を抑えられなくなって歯周病が発症します。

歯周ポケットに溜まった歯垢はセルフケアでは落としきれず、炎症が進行しているときは専門的なケアが必要です。

歯根破折やむし歯も同じで、割れた歯や溶けた歯が自然に修復されることはありません。

歯がぐらぐらしているときは重大な問題があると認識し、速やかに歯科医院を受診してください。

ぐらぐらする歯を自分で抜いても大丈夫?

鏡を見て歯をチェックする男性

歯がぐらぐらしはじめたら、絶対に自分では抜かないでください。

歯が抜けた後は歯肉に大きな傷口が開いている状態で、速やかに塞がなければ細菌が侵入して化膿する場合があります。

歯肉の傷から侵入した細菌は、血流によって全身に周っていくため、敗血症など重大な病気になる可能性もあります。

ぐらぐらした歯は抜歯せざるを得なくなる場合がありますが、その際にも歯科医院で治療を受けるようにしてください。

歯がぐらぐらするときの治療法

歯医者でカウンセリングを受ける患者

歯がぐらぐらするのに気付いたら、できるだけ早く歯科医院を受診するのが原則です。

特に歯が割れている場合には、細菌が歯の内部に侵入する前に治療できるかが、歯を保存できるかを大きく左右します。

歯周病やむし歯が進行している場合にも、速やかに治療すれば歯の保存が可能です。

歯がぐらぐらする原因に応じて、一般的には以下のような治療を行います。

  • 歯周病治療
  • 抜歯
  • 歯の固定治療
  • 根管治療

それぞれの内容を解説します。

歯周病治療

歯周病の治療は、歯周ポケット内を入念に洗浄して、原因となる細菌を除去するのが基本です。

細菌を除去して炎症を抑える薬を使用し、歯肉の治癒を促します。

炎症の進行を止められれば、細菌に溶かされた部分も自然に回復していくことがほとんどです。

抜歯

歯根破折や重度の歯周病で回復が難しい場合は、抜歯せざるを得なくなります。

ぐらぐらした歯が自然に抜けてしまうと、抜けた傷口から細菌が侵入するおそれがあるため、先に抜歯して傷口を縫合します。

抜歯後の傷口は1週間程度で塞がるため、その後に失った歯を補う治療を検討しましょう。

歯の固定治療

軽度の破折や歯周病であれば、治療後にぐらぐらした歯を固定して治癒を促します。

隣の歯に固定具をかけてぐらぐらした歯を安定させ、歯肉や歯槽骨が成長すれば、再び歯はしっかりと固定されます。

傷の程度によって大きく異なりますが、歯を固定する期間は2週間~3ヶ月間で、その後も定期的な経過観察が必要です。

根管治療

患者を治療する医師と歯科衛生士

歯の根元がむし歯で溶かされている場合は、根元を洗浄する根管治療が必要です。

壊死した神経をすべて除去し、根管内に侵入した細菌を入念に殺菌したら、根管を充填剤で封印します。

根元の炎症が治まったのを確認したら、かぶせ物をして再び自分の歯で噛めるようになるでしょう。

歯がぐらぐらするほど根元の炎症が進行していた場合、根管治療後にも再発する場合があり、何度か治療を繰り返す必要があります。

歯がぐらぐらするときの対処法

患者を治療する医師と歯科衛生士

歯がぐらぐらするのに気付いたら、歯科医院に行く前に症状が悪化しないよう対処しましょう。

医療機関にかかる前に患者さん自身がどのような行動を取るかが、歯を保存できるかを左右します。

歯を守るためにも、以下のようなポイントに注意しましょう。

  • ぐらぐらする歯を刺激しない
  • 痛みがある場合は鎮痛剤を服用する
  • 硬いもの・粘着性のある食べ物は避ける
  • 歯科医院を早めに受診する

それぞれの内容を解説します。

ぐらぐらする歯を刺激しない

ぐらぐら動く歯はつい触って確かめたくなりますが、なるべく刺激しないようにしましょう。

指で触ったり舌で動かしたりすると、症状が悪化する原因となり、歯が抜けてしまいます。

歯根破折の場合は割れ目を大きくしたり、割れ目から細菌が侵入するリスクを高めますので、なるべく触らないようにしてください。

痛みがある場合は鎮痛剤を服用する

歯のぐらぐらによって痛みがある場合は、むし歯や歯周病で炎症を起こしている可能性があります。

歯の痛みがひどいと睡眠や食事が満足に取れず、体力を消耗してしまいます。

根本的な原因を解決しないと痛みは治まりませんが、すぐに歯科医院に行けない場合は市販の鎮痛剤を服用しましょう。

痛みが強いからといって鎮痛剤を大量に服用しても、効果は高まらず副作用のリスクが高まるだけですので、必ず用法用量は守って使用してください。

硬いもの・粘着性のある食べ物は避ける

辛い表情で煎餅を食べる高齢者の男性

ぐらぐらする歯では、硬いものや粘着性のある食べ物は噛まないようにしてください。

せんべいや魚の骨など、硬いものを噛む刺激で歯が割れたり、動揺が大きくなったりしてしまう場合があります。

キャラメルや餅など粘着性のある食べ物は、歯にくっつくため、歯が抜けてしまうおそれがあります。

調理は細かく刻んでやわらかく煮込むようにして、なるべく咀嚼しなくても食べられるものを選びましょう。

歯科医院を早めに受診する

歯がぐらぐらしはじめたら、何よりもまず歯科医院を受診するのが第一です。

どうしてもすぐに通院できない場合は、歯科医院に電話して対応を相談することもできます。

ぐらぐらした歯が自然治癒することはありませんので、放置すると症状が悪化していくだけです。

大切な自分の歯は、一度失われたら取り戻すことはできません。

早期に治療すればぐらぐらした歯を保存することも可能ですので、速やかに歯科医院を受診しましょう。

まとめ

虫歯

歯がぐらぐらする原因と、治療法などを解説してきました。

歯は歯槽骨をはじめとした歯周組織によって強固に固定されており、簡単にぐらぐらすることはありません。

歯がぐらぐらするのは重大な問題が起きている証であり、ぐらぐらした歯が自然に治ることはないと考えてよいでしょう。

ぐらぐらした歯は速やかに治療しないと抜けてしまい、大事な自分の歯を失うことになってしまいます。

歯周病やむし歯であれば、早期治療によって歯の保存が可能となり、自分の歯で再び噛めるようになります。

自分の歯を多く残すことは、健康寿命の延伸や生活の質の向上につながりますので、歯がぐらぐらした場合は速やかに治療しましょう。

外傷を受けて歯が割れた場合も、速やかに治療すれば修復できる場合がありますので、まずは歯科医院にご相談ください。

参考文献

この記事の監修歯科医師
箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

箕浦 千佳歯科医師(長谷川亨歯科クリニック 歯科医師 / 名古屋デンタルオフィス)

朝日大学歯学部卒業 / 現在は長谷川亨歯科クリニック非常勤勤務

記事をもっと見る

RELATED

PAGE TOP

電話コンシェルジュ専用番号

電話コンシェルジュで地域の名医を紹介します。

受付時間 平日:9時~18時
お電話でご案内できます!
0120-022-340