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金属アレルギーでも入れ歯は使用できる?対処法を解説

金属アレルギーでも入れ歯は使用できる?対処法を解説

金属は、私たちの生活のなかに多く存在している物質のひとつです。それらが原因で引き起こされるアレルギーを金属アレルギーといいます。

金属アレルギーになる方は年々増えているといわれており、身近なアレルギーであるといえます。

入れ歯にも金属が使用されているため、金属アレルギーでも入れ歯の使用ができるか不安に思っている方もいるのではないでしょうか。

また、今は金属アレルギーの症状がなくても、入れ歯を使うことで金属アレルギーになる可能性があるのではないかと心配されている方も少なくないはずです。

この記事では、金属アレルギーでも入れ歯を使えるのか、さらに金属アレルギーの場合の対処法を解説します。

金属アレルギーの症状・検査

歯痛い

金属アレルギーの特徴を教えてください。
金属アレルギーとは、さまざまな種類の金属に触れることによって生じるアレルギー性の接触皮膚炎です。接触から24~72時間後に発症します。
食べ物や花粉症などのように即時に反応し症状が出るアレルギーとは異なり、症状が出るまでに時間がかかるのが特徴です。また、症状の現れ方により、2種類に分類されます。
  • 接触性反応(肌に金属が触れることにより皮膚が炎症を起こすタイプ)
  • 全身性反応(全身に症状が出るタイプ)

金属に直接肌が触れることでアレルギー反応を起こす場合、金属自体がアレルギーを起こしているのではありません。汗に含まれる塩素イオンにより金属が溶かされ、金属イオンとなり汗と混ざることでアレルギーを引き起こします。
また全身性反応というのは、慢性的に食べ物から摂取していたり、歯科用金属を長年装着していたりすると起こるアレルギー反応です。金属が慢性的に体内に取り込まれることで金属アレルギーを起こす場合があります。

どのような症状が出るのですか?
金属製品に接触した部位に、赤いぶつぶつ(紅斑)や小さい発疹が出ます。症状が悪化すると、紅斑や発疹の上に水泡や膿疱を伴うこともあります。また、痒みが伴うため、掻いて傷ができてしまう場合もあるでしょう。
粉塵に含まれる金属を吸い込んでしまったり、食事から摂取したり、歯科治療用の金属が溶け出して体内に金属を摂取すると、全身に症状が出ることがあります。全身の掻痒感や紅斑が現れて、難治性の慢性湿疹が出る場合があります。
原因を教えてください。
金属アレルギーは、日用品・アクセサリー・歯科用金属など金属が含まれる物に触れることが原因で引き起こされるアレルギーです。
金属は身につけるアクセサリーや歯科治療用金属などのほかに、調理器具・化粧品・革製品・食品にも含まれています。金属アレルギーの原因となる物の一例が以下のとおりです。
  • 衣類・服飾小物(金具・ボタン・ブラジャーのワイヤー・衣類のホック・ジッパー)
  • 眼鏡
  • アクセサリー(ピアス・イヤリング・指輪・ネックレス・腕時計・ヘアピン)
  • 歯科治療用金属(入れ歯・インプラント・金歯・銀歯)
  • 化粧品
  • ヘアカラー剤
  • 食べ物
  • 調理器具

日常生活で触れる機会がある物に、金属が多く利用されていることがわかります。誰にでも金属アレルギーになるリスクがあることを知っておく必要があるでしょう。

どのような検査が行われますか?
金属アレルギーの検査法は、パッチテストを行うのが一般的です。パッチテストでは、どの金属にアレルギー反応を起こしているのかを明確にできます。24時間閉塞型パッチテストと呼ばれており、試験薬がついたテープを背中に2日間貼った状態にします。2日後にテープを剥がし、その後2日目・3日目・7日目・10日目に皮膚に現れた反応を国際基準の判定基準に基づき判定する検査です。また、全身性金属アレルギーの場合には、金属を多く含んでいる食べ物を摂取する負荷試験や制限する除去試験を行い、症状の変化を観察し診断する方法があります。
ほかには採血で採取した血液から取り出したリンパ球に、アレルゲンである口腔内金属を取り込ませて調べるリンパ球刺激試験や、口腔内の電流を測定し金属がどのくらい出ているかを調べる方法があります。
金属アレルギーを起こしやすい素材を教えてください。
ニッケル・コバルト・クロム・水銀・金・パラジウムなどが金属アレルギーの頻度が高いとされており、そのなかでも3大原因金属といわれるのがニッケル・コバルト・クロムです。ニッケルは安価であるため、金属製品や装飾品のツヤや輝きを出すために多く利用されています。身の回りにあるさまざまな物に使われているため、接触する機会が少なくない金属です。クロムは革製品のなめしの工程で使用されているため、革製品に触れることで接触性皮膚炎を起こす可能性があります。また、食品に含まれる金属としてニッケルがあります。ニッケルは豆類・野菜・ワイン・タバコなどに含まれているため、これらを摂取する機会が多くなるにつれ、全身性の金属アレルギーを引き起こす場合があるでしょう。

金属アレルギーの入れ歯の使用

入れ歯

入れ歯にはどのような種類がありますか?
入れ歯には、総入れ歯部分入れ歯があります。総入れ歯は、すべての歯を失っている方が対象となり、保険適用で作成できます。また、金属を使用せずに作成できるため、金属アレルギーの心配がありません。
一方、失った一部の歯を補うために使われるのが、部分入れ歯です。部分入れ歯には、入れ歯を周囲の歯に固定するためのクラスプという金属製の金具がついているのが一般的です。保険適用の部分入れ歯には、金属アレルギーの症状が出やすい金属が使われています。そのため、金属アレルギーがある方や金属アレルギーのリスクが気になる方は注意が必要です。
金属アレルギーでも入れ歯を使用できるのですか?
金属アレルギーの方でも、入れ歯を使用できる方法があります。従来、金属でできているクラスプの部分を樹脂製のプラスチックで作成したり、金属アレルギーの原因となる金属を使用せずに作成したりする方法です。金属を使用しない入れ歯をノンクラスプデンチャーといいます。金属アレルギーがある場合には、金属をまったく使用しないメタルフリー治療が可能です。
金属アレルギーの人が入れ歯を使用する際の注意点を教えてください。
金属アレルギーの方が入れ歯を使用する際には、入れ歯にどのような金属が使われているか知っていることが大切です。また、自分がどの種類の金属に対してアレルギー反応があるのかを事前に調べておくと、該当する金属を使用せずに入れ歯を作成できます。入れ歯を作成する際には、担当の歯科医師とよく相談し、ご自身に適した治療法を選択するようにしましょう。

金属アレルギーを起こしてしまった場合の対処法や治療の選択肢

先生

入れ歯で金属アレルギーを起こしてしまった場合の対処法を教えてください。
入れ歯を使用していて金属アレルギーを起こしてしまった場合には、まずはアレルギー検査を行うことをおすすめします。検査により、アレルギー反応を起こす原因となっている金属を特定します。
金属アレルギーであることがわかれば、使用している入れ歯をはずし、使用を控えるようにしましょう。また、日常生活で触れる機会がある金属があれば、使用しないことが大切です。そうすると、アレルギー症状が軽快する可能性があります。入れ歯が必要な場合には、アレルギーの原因である金属を使用しない入れ歯を再度作成するとよいでしょう。
入れ歯以外の治療の選択肢を教えてください。
入れ歯以外の治療法として、以下の方法が挙げられます。
  • インプラント治療
  • ブリッジ治療

インプラント治療は入れ歯のように取り外しする手間がなく、天然歯に近い感覚で噛めるのが特徴です。チタンやジルコニアを使用したインプラントであれば、金属アレルギーを起こすリスクが低く、金属アレルギーの方も治療が受けられます。
また、オールセラミックやジルコニアを使用したブリッジ治療も、金属アレルギーがある方の治療法の選択肢のひとつです。いずれの治療法も入れ歯と比較すると治療費が高くなる可能性があるため、歯科医師とよく相談のうえ、適切な治療法を選択しましょう。

編集部まとめ

入れ歯を持つ女性

金属アレルギーがある方でも、金属を使用しない入れ歯を作成すれば入れ歯を使えます。入れ歯を固定する部分をプラスチック製に変えたり、アレルギーの原因となっている金属を使用せずに作成した入れ歯であれば、金属アレルギーを心配せずに使用できるでしょう。

入れ歯以外にも、金属を使用しないインプラント治療やブリッジ治療などの選択肢もあります。

金属アレルギーは誰でも起こりうるアレルギーです。発症のリスクを軽減するためにも、入れ歯治療の前にパッチテストを受け、金属アレルギーがないかを調べておくとよいでしょう。

歯科医師とよく相談し、納得したうえで治療法を選択するようにしましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

山下 正勝医師(医療法人徳洲会 名古屋徳洲会総合病院)

国立大学法人 鹿児島大学歯学部卒業 / 神戸大学歯科口腔外科 勤務 / 某一般歯科 7年勤務 / 国立大学法人 山口大学医学部医学科卒業 / 名古屋徳洲会総合病院  呼吸器外科勤務 / 専門は呼吸器外科、栄養サポートチーム担当NST医師

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