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歯並びが悪いと老後の健康に悪影響を及ぼす?歯列矯正や抜歯のメリット・デメリットを解説

歯並びが悪いと老後の健康に悪影響を及ぼす?歯列矯正や抜歯のメリット・デメリットを解説

悪い歯並びによるデメリットは、審美面にフォーカスされがちですが、実際は歯の機能面や口腔の衛生面、健康にまで悪影響がおよびやすいです。特に老後の健康には深刻なトラブルを招きかねないため十分な注意が必要といえます。ここではそんな悪い歯並びによる老後の健康への悪影響を軽減するための歯列矯正やそれに伴う抜歯のメリットやデメリットについて解説します。

歯並びの悪さが引き起こす悪影響

歯並びの悪さが引き起こす悪影響 はじめに、歯並びが悪いとどのような悪影響やトラブルが生じうるのかについて確認しておきましょう。

歯並びが悪いとどのようなトラブルが起こりえますか?
悪い歯並びを放置していると、次に挙げるようなトラブルが起こりえます。

【トラブル1】口臭が強くなる

歯並びが悪いと、歯ブラシを歯列の隅々にまで行き届かせることが難しくなるため、磨き残しが多くなります。そこに歯垢や歯石が形成されると細菌の活動が活発になり、口臭の原因となる物質の産生も増えていきます。

【トラブル2】歯周病やむし歯になる

口腔衛生状態の低下によって口腔内細菌の活動が活発になれば、歯周病やむし歯といった細菌感染症のリスクも増大します。特にデコボコの歯並びである乱ぐい歯や八重歯などは注意が必要です。

【トラブル3】発音や滑舌が悪くなる

歯並びの良し悪しは、発音・滑舌とも深く関係しています。とりわけ前歯の歯並びが乱れている場合は、サ行やタ行、ラ行などの発音がしにくく、滑舌も悪くなる傾向にあります。

【トラブル4】食べ物が噛みにくい

多くの不正咬合では、食べ物が噛みにくいという症状に悩まされます。出っ歯、受け口、乱ぐい歯、開咬(かいこう)、鋏状咬合(はさみじょうこうごう)など、いずれの歯並びも上下の歯列が正常に噛み合わないことから、硬い食べものや弾力のある食べものが噛みにくくなります。

【トラブル5】顎関節症を発症する可能性がある

悪い歯並びや噛み合わせによって特定の歯や顎の関節に過剰な負担がかかることは、顎関節症の発症原因の一つになる可能性があると言われています。顎関節症では、顎の関節が痛い、口を大きく開けられない、口を開け閉めするたびに顎がカクカク鳴るなどの症状が現れます。

歯並びの悪さが老後の健康へ与えうる影響について教えてください
悪い歯並びを老後まで放っておくと、咀嚼機能や認知機能の低下、ひいては全身の機能の低下にまでつながることがあるため十分な注意が必要です。悪い歯並びによって咀嚼能率が低くなると、軟らかくて噛みやすいものばかりを選んで食べるようになります。

また、食べものを噛むことが少なくなると、脳への刺激が減って認知機能が低下しやすくなります。記憶力や思考力が弱まり、栄養も不足してくると、日中の活動量も減っていき、寝たきりという状態に陥るリスクもあることを知っておいてください。

歯並びを改善するメリット

歯並びを改善するメリット ここからは、悪い歯並びを改善するメリットについて解説します。

歯並びを改善した方がよい基準はありますか?
出っ歯や乱ぐい歯、八重歯など、明らかに見た目が悪いと感じる歯並びは、治療によって改善した方がよいといえます。また、食事の際に食べ物が噛み切りにくい、すり潰しにくいと感じる場合も、歯並びや噛み合わせに大きな問題があると考えられるため、矯正治療が推奨されます。その他、歯と歯の間の不要な隙間、歯並びがデコボコ、上の前歯が下の前歯を覆い隠しているなどの症状が認められる場合も空隙歯列や叢生、過蓋咬合(かがいこうごう)といった診断名がつくため、矯正治療の必要性が高いといえるでしょう。
見た目がよくなるとどのような効果が期待できますか?
口元に自信が持てるようになるため、人と話すのが楽しくなります。笑うときも口元を手で隠したり、口をできるだけ開かないようにしたりする必要もなくなります。毎日の生活が楽しくなってQOLの向上にもつながることでしょう。
よく噛めるようになることのメリットを教えてください
悪い歯並びを治療してよく噛めるようになると、食事のバリエーションが広がります。噛み応えのある食べものや繊維質が豊富な食べ物もしっかり噛めるようになるため、食事の楽しみが増えます。いろいろな食品を食べれば、全身の健康維持につながる栄養素が摂取できます。

歯並びを改善する方法

悪い歯並びを改善する方法について解説します。

歯並びを自分で改善することはできますか?
出っ歯や受け口、乱ぐい歯といった悪い歯並びは、自分で改善することはできません。なぜなら私たちの歯は、骨の中にしっかりと埋まっているからです。自分の手やさまざまな道具を使って強引に動かそうとすると、かえって歯並びが悪くなるだけでなく、歯の破折などを引き起こすリスクが生じるため、絶対に行わないようにしてください。

悪い歯並び・噛み合わせを改善する方法としては、歯科医院で受ける矯正治療が挙げられます。マウスピース型矯正やワイヤー矯正で歯を計画的に動かして、歯並びや噛み合わせの問題を解消します。ケースによっては抜歯や骨切りなどの外科的な処置も必要となります。

歯列矯正で抜歯をすると、大切な天然歯を失うというデメリットはありますが、同時に美しくて機能的な歯並びが手に入るというメリットもえられます。

歯並びは悪化することもありますか?
歯並びは、さまざまな理由で変化します。その変化はほとんどのケースで悪化につながるので、可能であれば未然に防ぎたいものです。具体的には、以下の理由で歯並びが悪化することがあります。

【理由1】歯ぎしり・食いしばり

歯をギリギリと擦り合わせる歯ぎしりやグッと噛みしめる食いしばりでは、ものすごく強い力が歯や歯周組織にかかります。歯ぎしり・食いしばりが習慣化している人には、咬耗(こうもう)と呼ばれる歯質がすり減った所見が見られます。歯茎や顎の骨が炎症を起こす咬合性外傷も歯ぎしり・食いしばりの人に見られる症状で、いずれも歯並び・噛み合わせを悪化させる原因となり得ます。

【理由2】歯周病の重症化

歯周病が重症化すると、歯茎や顎の骨が破壊され、歯が不安定になります。舌や指で歯を押して、グラグラと動く場合は要注意です。そうした状態では、噛み合わせも不安定となり、全体の歯並びも徐々に悪くなっていきます。

【理由3】歯の喪失

外傷や歯周病、むし歯などで歯を失うと、両隣の歯が欠損部へと倒れ込んだり、もともと噛み合っていた歯がそこに向かって伸びてきたりして歯並びが悪化します。

【理由4】口腔習癖

舌で前歯を押す、唇を噛む、口で呼吸するなどの習癖があると、歯に不適切な力が加わったり、逆に適切な圧力がかからなかったりすることで、歯並びが悪くなることがあります。食事をする際に片側だけで噛むなどの習慣がある場合も歯並びを悪化させる原因になりえるため注意が必要です。

歯並びを悪化させない方法はありますか?
歯並びの悪化を防ぐためには、歯並びを悪くする原因をひとつずつ取り除く必要があります。歯ぎしり・食いしばりや口腔習癖がある場合は、それらを改善することから始めましょう。むし歯や歯周病は、セルフケアとプロフェッショナルケアを両立させてしっかりと予防してください。また、食事の取り方にまで配慮することで、今現在の歯並びや噛み合わせを維持しやすくなることでしょう。

編集部まとめ

今回は、歯並びが悪いと老後の健康に悪影響を及ぼす理由と歯列矯正で改善する方法について解説しました。悪い歯並びは、口臭が強くなる、歯周病やむし歯になりやすいなどの悪影響があるため、可能であれば歯列矯正で改善した方がよいといえます。悪い歯並びのまま老後を迎えると、さまざまな問題が蓄積し、QOLが大きく下がる可能性があることも知っておきましょう。

参考文献

この記事の監修歯科医師
遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

遠藤 眞次医師(グランメゾンデンタルクリニック)

長崎大学歯学部を卒業後、東京と群馬の歯科医院で分院長を歴任。臨床のかたわら、歯周治療やインプラント治療についての臨床教育を行う「Dentcation」の代表を務める。他にも、歯科治療のデジタル化に力を入れており、デジタルデンチャーを中心に、歯科審美学会やデジタル歯科学会等で精力的に発表を行っている。

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